概要
基本的に平地で豪雨や津波、川の氾濫などといった天災(水害)により洪水が発生した場合最も被害を受けやすく危険とされる区域であり、ハザードマップなどで確認することが出来る。
海抜が低いのは地下水の汲み上げ過ぎによる地盤沈下が最も多い理由である。伊勢湾や有明海沿いでは干拓地のゼロメートル地帯が多い。再開発された地区では、後から埋め立てでかさ上げされた場所もなくはないが、液状化現象による地盤の変形という別の問題も抱えている。
洪水リスクに加え地盤も悪いので、地震などの災害リスクが高いとされ、交通の便のわりに安い物件が多い。結果として所得水準が低い人が多く住み着き、首都圏では当該地域に低年収・低学歴の人が多い傾向がある。
この区域で生まれ育った住人は、学校でゼロメートル地帯が義務教育のプログラムに組み込まれる事がある。
ゼロメートル地帯の多い都道府県
日本国内では東京都、愛知県/三重県、大阪府と三大都市圏に位置する都府県や、港町に多く見られる。
東京都では23区を走る山手線東側以東にゼロメートル地帯が集中している。
具体的には足立区(北千住・綾瀬)、葛飾区(亀有・堀切・立石・青砥・新小岩)、墨田区(曳舟・錦糸町)、江東区(亀戸・大島・北砂・南砂)、江戸川区(平井・西葛西・葛西・船堀・一之江)がゼロメートル地帯に該当する。特に江戸川区は干潮時の平均海水面を下回る地域が非常に多く、平井に至っては海抜-2m以下の場所に平井駅の改札が位置している。
また江東区南砂は地下水を大量に汲み上げることで起きた地盤沈下で、最大4.5メートルも沈下している。(江東区より)
山手線内側の家賃が高いと言われる理由も、この山手線を境目に高度が大きく異なることによるものが大きく、特に田端~上野間が明らかに線路の外側と内側で地形の高さが違うことからもそれは明白である。
愛知県は最もゼロメートル地帯が多い県である。
東部は豊橋市、中部は碧南市と西尾市を中心に、西部は県庁所在地である名古屋市西側(中村区・中川区・港区・南区)から西側一帯に向けてあま市、津島市、弥富市、愛西市、海部郡とゼロメートル地帯が続いている。また、隣接する三重県の桑名市、川越町、四日市市にもゼロメートル地帯が多い。愛知県西部と三重県の伊勢湾沿いのゼロメートル地帯は伊勢湾台風の高潮で水没し大被害を受けた歴史がある。
(元々愛知県あま市、津島市、弥富市、愛西市、海部郡及び岐阜県岐阜市から海津市にかけての地域、三重県桑名市は木曽川・長良川・揖斐川の木曾三川の流域で輪中も多く、明治になって改修後も水害で苦しんだ。⇒詳細はこちら。)
大阪府は大阪市の海沿いの場所に多く淀川区、西淀川区、港区、福島区、此花区、北区、西区がゼロメートル地帯である。特に淀川流域周辺は東淀川区までゼロメートル地帯が続いている。また、関西国際空港もゼロメートル地帯に立地しているため、地盤沈下を想定した設計が施された。さらに隣り合っている兵庫県の尼崎市や西宮市もゼロメートル地帯が多い。東大阪市、大東市も地下水汲み過ぎによるゼロメートル地帯が多い。
新潟県新潟市は大半がゼロメートル地帯のため、大河内分水、関屋分水や鳥屋野潟の排水ポンプなどを設けている。天然ガスの採掘が盛んだったため地盤沈下しているところもあり、新潟地震で液状化現象の研究が進んだ。
上記以外の都道府県で海抜がゼロメートル未満の場所だと、干拓地を有する福島県南相馬市や秋田県大潟村が有名。岐阜県と埼玉県は内陸県ではあるが、河川の影響によってゼロメートル地帯がある。輪中地帯の海津市はよく知られ、埼玉県の利根川流域にも三郷市や八潮市の一部にゼロメートル地帯がある。
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