「これを指輪の魔法使いに渡してくれる?」
演:前山剛久
概要
陽気な性格の青年。「ハロ~!」が口癖で、ファントムだけでなくゲートや晴人らに対しても言うことがある。また、他のファントムを一貫して人間だった頃の名前で呼んでおり、自分の事も「グレムリンではなくソラだ」と主張するなど、何か特別な拘りがあるらしい。
緑色の羽の付いた帽子を被り、肩にストールを羽織っており、さらにズボンの左側をたくし上げるという独特のファッションをしている。また、帽子をなくした際に取り乱したり「お気に入りだったのに…」とぼやいていたことから、ファッションにはそれなりにこだわっている様子。
彼の住んでいたと思われる部屋には青空が描かれたグッズや帽子が飾られている。その中にはヘアカット用のマネキン、白黒の動物のペーパークラフトが確認できる。
本来ファントムになると生前の記憶を引き継いだ別の人格になってしまうのだが、何故か彼だけは生前の心を保ったままファントムの姿になったとのこと(何故そのような経緯を辿ったかは不明だが後述の経歴が何か関係があるとも考えられる)。
なお、本人曰く、「僕だって望んでこの姿になったわけじゃない」とのことで、晴人に対して「その点で君と僕は似た者同士かもしれない」と嘯いていた。
また、ファントムを生前の人間の名前で呼んだり、自分のことをソラと呼んでほしがっているのも人間の心を保持していることに起因しているらしい。「人間になる」というファントムらしからぬ夢(ファントムは基本的に人間を見下しており、宿主と同一視されることを極端に毛嫌いしている)も、あくまで人間として生きたい故なのかもしれない。
作中における主な行動
第18話で初登場。コヨミに黄色い魔宝石を渡す。この段階で、彼女の能力によりファントムである事は判明している(ソラ自身もコヨミの正体を知っていた)。
人間態のままでも瞬間移動や、ビルを飛び越える等の驚異的な身体能力を見せ、コヨミや木崎に魔宝石を授けたが、どのような目的があって授けたのかは不明。
初登場からは謎めいた行動をとっていたが、第24話から退場した幹部ファントムであるフェニックスに変わり、ファントムの幹部として活動を開始する。
しかし、前述の魔宝石譲渡というウィザードに肩入れするとも取れる行動やフェニックスを嵌めたとも思える第22・23話の行動があるため、メデューサからは完全には信用されていない。部下となるファントムたちにも、まだその存在を知られていない様子で、立場に関わらず未だにタメ口である。
メデューサやフェニックスが部下のファントムの行動にはあまり干渉しないのに対し、彼は行動中のファントムと接触し、作戦を提案したりウィザードらとの戦闘中に加勢するなど積極的に関与している。
第30話ではレギオンを勝手に解放した事でワイズマンに処刑されかけるが、何をどうしてか解放されてミサより上の立場につけられる。
第34話ではウィザードに緑の魔宝石を提供していたのが彼であること、ゲートとなった人物の名前が判明。同話ではゲートである女性をファントムから身を挺して庇うなど完全には人間を捨てていないことを晴人に打ち明けるのだった。
生前の彼(第35話ネタバレ!!)
自身をソラと自称していた通り、彼の生前は
滝川空(たきがわそら)というどこにでもいる普通の美容師だった。
彼が働いていた美容室の店長によると滝川空はいつも明るく陽気な人物で後ろから「ハロ〜!」と驚かせてくる悪戯好きな美容師だったが半年前の日食の日の後に辞めてしまったらしい。
加えて彼が辞めて以降、彼の担当していた美容室のお客が数名ほど店に来なくなってしまったので店長からは他の店に客を引っこ抜いてるのではとぼやいていたが…
「けど僕は捨てられたりしない。捨てるのは、僕の方だ――!」
「ちょうどいい!死の恐怖で絶望してよ!それでファントム生まれれば、一石二鳥だからさあ!!アハハハハハハハハハハハハハハ!!」
生前のソラは美容師を続ける傍ら、かつて自分を捨てた交際相手の女性と同じ特徴を持つ「白い服を着た長い黒髪の女性」の客を狙って髪を切り落としてから殺害するという凶悪で残忍なサイコキラーであった(彼を捨てた女性も程なくしてソラに殺害されている)。
木崎達が捜査した所、画面に映っただけでもその被害者数は実に43人。画面に映っていなかった写真があったり、ファントムになった後や仕事外でも同じような事件を起こしている可能性も捨てきれないので、実際にはこれ以上の犠牲者がいると思われる。
つまり彼はファントムになる前から怪物だったのである。
その拘りはファントムとなった現在でも捨てておらず、むしろゲートが自分の狙う対象に当てはまる場合は、他のファントムを邪魔してでも自分で殺そうとするなど、ファントムとしての目的や使命よりも優先してしまうほど異常な執着を抱いている。とは言え、その過程でゲートが絶望してファントムが生まれる分には一石二鳥と思っている模様(廃墟に美容室を作っておくなど彼なりに殺人場所には拘っている模様)。
ちなみに、同じくファントムの幹部であるミサも黒く長い髪の女性であることから、「相手がミサでも白い服を着れば襲い掛かったりするんだろうか」等と早々ファンからネタにされていた。劇中においてもミサより立場が上になった途端、彼女に対して悪辣な仕打ちを何度か行っている事からその可能性は有り得なくもない事が窺える。
コヨミ(ある意味ではソラがファントムになった元凶でもある)も同様に長い黒髪の為か、ウィザードを誘き出す人質にした時に抵抗した彼女を容赦なく殴打している。
なお、劇中の行動や台詞から、ファントムとして人間を絶望させることよりも、人間の殺人鬼として殺戮を楽しむことのほうが楽しいと考えている可能性が非常に高い。
希望を奪われた怪物(最終決戦)
第45話にて、真の目的は「賢者の石を手に入れて人間になる」ことであると判明。ワイズマンのこれまでの行動を分析した結果、ファントムと袂を分かつ。だが第47話でワイズマンの正体が笛木で目的がファントムを増やす事ではない事が明らかとなり、それに伴いメデューサが始末された為、純粋なファントム側としては実質的な首領格になった。
第50話ではわざと白い魔法使いと交戦、ハーメルケインで自身の体を刺し貫かれるが、これはハーメルケインが賢者の石を取り出せる能力があったことを知っていたための捨て身の作戦であった。結果それが功を奏し、ウィザードと交戦後、満身創痍の状態となっていた笛木奏を背後から急襲して殺害。コヨミを斬って賢者の石を入手し、高笑いしながら立ち去っていった。
そして、第51話では手に入れた賢者の石の力でパワーアップを果たし、魔力を集めて自分が人間に戻るため町の人を無差別に襲い、仮面ライダーメイジの3人を退け最後の敵として晴人たちの前に立ちはだかる。
インフィニティースタイルをも苦戦させるものの、ウィザードの一撃で賢者の石を体内から奪われる。最期は「人の希望を奪って…君はそれでも魔法使いなのかい?」と希望を守るウィザードへの最大の皮肉を送っていたが、身も心も怪物になってしまったソラの言葉に耳を貸す晴人ではなく、「人の心を失くしたお前は人じゃないだろ」と切り返されて消滅している。
確かに彼は殺人という形で数々の人々の希望を奪っているが、彼もまた愛していた人物に裏切られて、希望を無くしたのは何ともやり切れない所がある。
彼をファントムにした原因である笛木も人間だった時期に一度、希望を打ち砕かれており、ファントムとなっても尚、非人道的な「希望」に縋った点が共通している。また、上記の発言は見方を変えれば「指輪の魔法使い」でもある笛木への皮肉とも取れる。
余談
ファンからはその残虐性故に「よく今のニチアサでこんなヤツ出せたな」と評されていると同時に、手口のよく似た古代の怪人たちと比較される事も。
関連タグ
仮面ライダーウィザード ファントム(仮面ライダーウィザード)
スコルピオワーム:素体の人格が怪人の人格を上回った怪人。ただし、こちらは物語終盤まで自身が人間だと思い込んでいた。
御堂英之助:緑の異形に変身する悪役。彼は仮面ライダーだが、凶悪残忍なサイコキラーで倒される直前に自身の悪行を棚に上げた人権論を振りかざした末路も共通している。