「あの顔も、この顔も、ぜ~んぶ僕のモノ~♡」
「僕のコレクションが~!」
データ
概要
妖怪軍団に与する妖怪の1体で、復活した妖怪大魔王が最初に送り込んだ刺客でもある。またの名を「夜の散歩者」。
一人称は「僕」で、人間態はアイスキャンディー屋を営む男性の姿を取っているが、本来の姿は巨大なジャック・オ・ランタンから手足の生えたような異様な出で立ちで、身体の至る所には様々な表情の面も備わっているのが特徴。
また、ジャック・オ・ランタンのような顔もあくまで仮面に過ぎず、その下に隠された真っ白な素顔は、大きく裂けた口に鋭い牙と長い舌を備え、両目に当たる部分にはデスマスクのような顔が浮かび上がっているという、非常に悍ましい形相となっている。その口から吐き出すゲップは、爆発を引き起こすだけでなく尋常ならざる臭さで相手を苦しめる武器となる。また、走ってるバイクと対面衝突しても、撥ね飛ばされないどころか微動だにせず、バイクの方だけが転倒する、サイゾウの狼手裏剣を受けてもノーダメージなどある程度の打たれ強さも備えている。
原典にある昔の「ぬっぺふほふ」は、死人の肉体で出来た妖怪として伝わっているが、現代のヌッペフホフはその裂けた口から伸びる長い舌で、相手の顔を舐めてはこれを奪う能力を有している。また前出のゲップ攻撃については、原典にも「ぬっぺふほふが通った跡に腐肉のような臭いが残る」とする言い伝えがあるとされ、恐らくはこれを意識したものであると考えられる。
顔を奪われた人間はのっぺらぼうのように変貌し、自分が誰かを証明する術が無くなってしまう(当時は現在と違って個人の特定方法が乏しいため、誰が誰だかわかってもらえず、自棄になって犯罪行為してもやりたい放題という有様だった)。そうして互いが互いを分からなくすることにより、街中をパニックに陥れるのが大魔王の狙いである。一方でそうした狙いとは別に、ヌッペフホフも人間の顔をコレクションする趣味を持ち合わせており、奪った顔は自分のアジトに転送され、その壁に掛けられた額縁に飾られる(しかも、盗んだ顔にキスしようとする始末)。
作中での動向
残暑の残るとある晩に、海帰りのアベックを始めとした多くの人々から顔を奪い取る事件を起こし、街中をパニックに陥れる。
後日、新聞でその事件を知ったカクレンジャーが調査に動き出す中、ヌッペフホフから顔を奪われた上で新しい顔になりたがる少女《ハルカ》(演:中島真希)と、彼女を家まで送ろうとしていたサイゾウと遭遇。一瞬の隙を突いて2人の顔を奪い取り、後から駆けつけたサスケたちに対してもゲップ攻撃を仕掛けるも、レッドの投げたレッドスライサーに怯んで撤退を余儀なくされた。
その後も、浜辺でアイスキャンディー売りに扮して待ち伏せ、アイスキャンディーを買いに来たサスケとセイカイの顔も奪い取ろうと後ろから忍び寄るが、雨が降って避難しようとして2人が動いたことで転倒し、正体が露見し失敗。彼らにその狙いを感付かれてしまう。
サスケとセイカイの報告から、ヌッペフホフを逆手に取ったカクレンジャーの策により、あらかじめ「隠流顔写し之術」でジライヤに化けていたサイゾウに襲いかかったところを押さえられてしまい、やむなくドロドロと共にこれを迎え撃つ。
サイゾウの変身したニンジャブルーとの再戦では、ゲップ攻撃の爆発を伴う強烈な悪臭で苦しめ、崖から突き落として責め立てる。ゲップの余りの悪臭に、ニンジャブルーは地面で身体を激しく仰け反らせて苦しむが、直後にブルーショットの水流で反撃され、そのままの流れで隠流・正方の陣を受け敗北した。
それでも妖怪エネルギーの落雷を浴びて巨大化し、なおもスーパー隠大将軍に挑みかかるヌッペフホフであったが、大した抵抗も出来ぬままフライングキックに怯んだところへ、止めの鉄拳フライングフィニッシュを叩き込まれ、記事冒頭下段に示した台詞と共に爆散。それと同時に、盗まれた顔も無事に持ち主の元に戻るのであった。
備考
ヌッペフホフの登場回である第32話は、当初第23話として放送される旨が『月刊ニュータイプ』1994年8月号にて告知されており、これに合わせて無敵将軍と対決しているシーンのスチール写真も存在する。このスチール写真は、小学館より刊行された『30大スーパー戦隊超全集』などでも確認できる。
当時、本作に助監督として参加していた竹本昇は、本来第26話として放送予定であったりんどう湖ロケ編(実際の放送では第25話)を、諸事情により早期に放送しなければならなくなり、なおかつその前後が数話に亘っての連続ストーリーであったことから、連続性のないエピソードであるヌッペフホフの登場回の放送が大幅に後ろ倒しされ、全体に1週繰り上がったことを後に明らかにしている。第2部に入ってからの放送ゆえにカットされているものの、当初は講釈師のシーンも存在し実際に撮影も行われたという(参考リンク)。
デザインは岡本英郎が担当。顔をどうしようかと悩んでいたところ、ロサンゼルスで売っていたという「カボチャの顔が開くと中からお菓子が出てくる」ハロウィングッズに着想を得て、顔が開いて耳になるという形に落とし込んだ事を、後年のインタビューにて述懐している。このギミックについては、放送当時周囲からガボラを連想する反応があったものの、これについては違うとも証言している。
仮面の下の素顔については、当初は決定稿よりもさらに気持ち悪いものを描いていたものの、企画者104の葛西おとからの注意を受けて修正をかけたという。
演者の高月は、1980年代から90年代にかけて東映特撮にも多数出演したバイプレーヤーの一人でもあり、本作へはヌッペフホフ役以外にも、船頭役(第1話)でクレジットされているが、こちらの出演シーンはカットされている。また同年放送の『ブルースワット』にも、貸し倉庫の社長役で出演している(第10話「ザ・ミッション」)。
関連タグ
ノッペラボウ:ヌッペフホフと同様に妖怪軍団に属する妖怪の一体。原典となった妖怪同士については関連性を指摘する向きもあるものの、本作においてはあくまで別個の存在とされている
他作品の関連怪人
ノッペラボーマ:『高速戦隊ターボレンジャー』に登場する敵怪人の一体。ヌッペフホフと同様に、人間の顔を奪う能力を持つ
カボチャンプキン、ジャックオーランタンマイナソー、ハロウィンワルド:後年の戦隊作品に登場する、ジャック・オ・ランタンorハロウィンモチーフデザイン繋がりの戦隊怪人の後輩達。