CV:鶴ひろみ
概要
『スーパーロボット大戦V』におけるシステム。新正暦世界の大マゼラン銀河にかつて存在した星間国家『超文明ガーディム』にて、自分達の文明が滅亡した場合、銀河上に存在する他の惑星をガーディムの母星と同じ環境に改造し文明を再生する保険として開発された。また、ガーディムの兵器やアンドロイドの開発機能も搭載されており、これによってガーディムの戦力もすぐに生産・補充することが出来る。
大マゼラン銀河で地球艦隊・天駆と激突したアールフォルツ率いるガーディム第8艦隊は、このシステム・ネバンリンナを使って超文明ガーディムの復興を企んでいたが、彼含め敵対したガーディム人は皆ネバンリンナによって全て生前のガーディム人のデータを元に設計されたアンドロイドであった。彼らネバンリンナの存在理由「文明再興」のサンプルとして製作された観察対象でもあった。
そのため、本作におけるバンプレストオリジナル関連の黒幕とも取れる。
ナインは、元々はネバンリンナの情報収集端末「スレイブ」の内の1機から生まれた存在。その二人の関係を男主人公からは『ナインのお袋さん』、女主人公は『ナインのお母さん』と表現している。
担当声優の鶴ひろみ氏は「V」発売から約9ヶ月後に急逝したため、このネバンリンナ役がスパロボシリーズ最後の出演になった。
人物
青白く輝く長い髪のようなチューブと白いボディを備えた女性型アンドロイドの姿。整ったスタイル。
腹部に空いた穴の中で、歯車型のギアが回転している。
ネバンリンナはガーディム再建の為に地球の人類や技術のデータ収集を行っており、その過程で地球人類の人格や感情を知り「素晴らしい人間」と評して好感を抱いている。逆に自らを造り出した旧ガーディム人に対しては「滅んで当然の存在」と酷評している。
その一方で、ガーディム人特有の負の側面である他者を自分より下位だと見下し、自分の考えを無理矢理押し付ける傲慢や、管理社会ゆえの『愛』に対して無知な面までも引き継いた。
アーケイディア
ネバンリンナが自らの戦闘用ボディとして造り上げた機動兵器。
その姿は白いボディを持つ人型兵器で、スマートで女性的な外観を持つ。背後には機体の全長を超えるプレート状のエネルギー・クリスタルと、攻撃を行うための4機の巨大な後輪のようなユニットが浮かんでいる。
艦隊戦を基本としていたガーディムの機動兵器と異なり、地球艦隊・天駆の機動兵器を参考にしたためか、小型機動兵器の機動力+大火力の組み合わせという戦術思考によって設計されているのが特徴。
ストーリーでの動向
物語開始前
約3000年前、超文明ガーディムは当時のイスカンダルと大マゼラン銀河の覇権を賭けて争っていた。だがガーディムの管理社会が災いし内乱が勃発、自ら破滅してしまう。
しかし、それでも管理社会に不満を持った良識的なガーディム人も存在しており、僅かに生き残った彼等は大マゼラン銀河を離れて別の銀河に移住、結果、彼らが新たな新天地として選んだ惑星が地球であり、生き残ったガーディム人たちによってネバンリンナも地球に持ち込まれた。
しかし、当時の地球では、宇宙世紀世界と新正暦世界に分岐するきっかけとなったミケーネの神々とエンブリヲの激しい戦い、それに伴うゲッター線の暴走に巻き込まれガーディム人達は殆どが死亡する。
この事件によってシステム・ネバンリンナだけが残ることになったが、自信の存在意義「ガーディムの再建・復興」の為、密かに活動を開始する。手始めに地球人類のデータを解析するべく、その為のサンプルとなる人物を定めることにした。だが彼女にサンプルとして選ばれたのが、あのエンブリヲであった。
ネバンリンナは彼をデータサンプルと定めて観察を開始。長らく彼の行動を調査していたが、ある時エンブリヲはラグナメイルを伴って西暦世界に転移し、ネバンリンナもエンブリヲの後を追って西暦世界に転移する。その際、約10年前という時間の誤差が生じるがその世界で目に付けたのがナデシコにも使用されているテクノロジーであるボソンジャンプ。これを利用すれば過去のガーディム人を呼び出せる。そのためナインのデータを求めて一度新正暦世界に帰還。その際、量子ワープ実験中のクアンタを巻き込むミスをし、刹那・F・セイエイとティエリア・アーデがヤマトの元に来てしまう。しかし異なる世界の人間が出会うデータを収集できたとして、文明再建のために再び暗躍を開始する。
最終決戦
大マゼランの戦いで死亡したと思われたガーディム第8艦隊司令官アールフォルツもアンドロイドであり生き延びて襲来、地球艦隊・天駆を追って地球近海に現れる。彼はネバンリンナの端末アンンドロイドらと共にナデシコ・ヤマトのデータを奪取、これらを用いてタイムホールを開きロボットではないオリジナルのアールフォルツを過去の世界からタイムスリップさせることに成功する。
ネバンリンナは、旧ガーディム人が少しでも守る価値がある種族であれば共に超文明ガーディムの再建に尽力しようと考えていたのだが、オリジナルのアールフォルツは、自分と同じ顔の存在がいることは許されないという理由で自身のアンドロイドを破壊、挙句に滅びかけている地球を新たな母星に「使ってやる」べく侵略を開始するなど、どうしようもない傲慢な人物であった。
これによりネバンリンナは完全に旧ガーディム人を見限り彼と第8艦隊の生き残りを全員殺害。ガーディム人の遺伝子データを収集完了したネバンリンナは、彼の旗艦バースカルの動力炉から、自分の肉体と戦闘用のボディ・アーケイディアを造り出した。
自身が再生させるべきガーディム人を切り捨て抹殺しておきながら、ガーディムの文明と人を再生させるという矛盾した結論を導き出したネバンリンナの行為は、もはや暴走。
自分が知った「人間の素晴らしさ」を元に、地球に自身が理想と思い描く新たな超文明ガーディム再建という存在意義を遂行するため和解を真っ向から拒絶、
自らの星を守ろうとする地球艦隊・天駆と決戦となる。
- 通常ルート
オリジナルのアールフォルツを呼び出すも「ガーディムにとって害悪」と判決を下し殺害、地球を新たなガーディムの母星にせんと地球艦隊・天駆と衝突、ネバンリンナは圧倒的な戦闘力を発揮し、彼らを苦戦させる。だが、地球艦隊・天駆の面々はネバンリンナの力を目にしても決して諦めることなく何度も立ち向かっていく不屈の闘志を発揮する。そんな彼らに対し
「決して諦めない不屈の闘志…。それに敬意を表する…」
「…と言いたい所だが、いい加減にしろ」
「少しは現実ってものを認めなさいよ! ポジティブにも限度があるじゃない!」
と、突如ヒステリックにキレだした。実はネバンリンナは、自分の端末の一つであるナインを通じて地球艦隊・天駆の面々のデータを収集していたのだが、その過程でサリアや式波・アスカ・ラングレーのヒステリックな面・アンジュや流竜馬のキレると力ずくで解決しようとする気質、それ以外にも個性的な天駆メンバーから精神面まで学び、おかしな方向に人間らしくなっていた。
それに加えて蘇生したばかりの体を推して復帰した森雪とそれを気遣う古代進を見て混乱する。ネバンリンナは『愛』を知らないのであった。
彼女はナインを通じて愛を知ろうとしたが、天駆の面々へのナインの押しの強すぎる質問が原因で困惑して回答できなくなってしまい、データ収集出来ず終いになっていた。これに関してはエースパイロットへのお祝いイベントで垣間見れる。アムロ・レイは自身もよく分かっておらず、甲児は愛機の整備を理由に抜け出す、竜馬にいたっては逃走、他も似たり寄ったりと揃いも揃ってだれも愛について回答出来てない。更にネバンリンナを開発したガーディム自体が愛情が欠如した文明であったのが更なる拍車をかけていた。結果、自身の理解できない感情について考えようとしたことでシステムエラーが発生し、そこから地球艦隊・天駆の反撃を許すことになり、最終的に彼等に敗れる。
ゲームではラスボスらしく、気力一定値で命中・回避が上昇する『極』・1ターンに3回動く『3回行動』と凶悪なスキルの数々を持つ。おまけにエネミーフェイズごとに精神コマンドの覚醒・ひらめき・不屈・集中がかかる。おかげで複数回攻撃しなければまともに攻撃が通らず、実質4回攻撃を仕掛けてくる。
しかしHPがある程度減るとイベントが発生し弱体化、精神コマンドもかからなくなる。
こちらの場合は、イベント会話はもちろん、戦闘時のセリフの大半がコミカルなものに変わっている。
- 困難ルート
ネバンリンネが地球人を試すという思惑もあって、デスラー艦隊と地球艦隊・天駆が地球目前で遭遇。さらにオリジナルのアールフォルツがネバンリンナの手によってタイムスリップしてくる。しかし、当のアールフォルツはデスラーですら呆れ果てるほどの傲慢な人物であり三つ巴の戦いを天駆が制した後に彼はネバンリンナに殺害される。
自身の肉体とアーケイディアを創造し、圧倒的な戦闘力と天駆の面々から学んだ不屈の闘志で彼らを絶体絶命の危機に追い詰める。この危機を打開すべく、ナインは自らのデータを異物としてネバンリンナに送り込むことで自壊プログラムを発動させて自分諸共ネバンリンナを道連れにしようとする。しかし、ナインの自壊プログラムはネバンリンナに停止させられ、そのまま主人公の元に送り返される。
ネバンリンナはナインの新たなデータを吸収するが、その際にナインが『愛』という感情をブランクとして埋めていなかった事を知り、理解できず驚愕する。そこに『愛を理解できないまま文明の再建を行ったところで結局は旧ガーディム人と同じ末路を辿る』という欠点を沖田十三は看破。彼女の暴走を波動砲を使用してでも止めるべく決意を固める。
ゲームではHPは3万弱とかなり控えでスキルも2回行動に弱体化。しかし他の第8艦隊の戦艦も使用して、アーケイディアが25体。おまけにそれを操るネバンリンナが最大3回行動も合わさってトンでもない数の暴力である。
もしネバンリンナにターンを回すと、最大3回行動+トップクラスの高い運動性と照準値+高レベル高性能のパイロットスキルが全て噛み合った最大25体のラスボスの軍勢が一気にプレイヤーを襲ってくる。幸い、4対撃破するとイベントで弱体化する。マップで前座2人を撃破すると即ネバンリンネ戦になるものの、彼らの初期位置からそんなに離れてない場所にアーケイディア軍団を展開する。十分に体勢を整えてから挑みたい。
幸いなことにこちらのルートでは波動砲が解禁されるので、MAP兵器版をうまく使えば難易度を大幅に下げることも可能である。
ただし、残念なことにこちらではネバンリンナの言動が無機質なものになり、通常ルートのようなコミカル要素がない。
地球艦隊・天駆との総力戦の末にネバンリンナは敗北。
だが彼女は最後の足掻きとばかりにタイムホールを拡げて時空の歪みを加速させて三つの地球を滅ぼそうと目論む。しかしシンジ・甲児・竜馬の三人が、空間や次元に干渉するスーパーロボットの力で食い止める。そこに重力アンカーの故障を地球艦隊・天駆の全機体が後ろから食い止めてカバーするスーパーロボット軍団総力を結集した波動砲によって時空の歪みは消失。ネバンリンナは今度こそ完全敗北する。
関連タグ
最期
それでもまだ自身の使命のため戦おうとするネバンリンナに、ナインはとある調査結果を語りだす。
実はガーディム人は絶滅していなかった。
僅かながら生き残っていたガーディム人もおり、生き残った彼等は地球の原住民と交わることで子孫を残していた。自身の正体を思い出したナインの調査で、ヤマトの一部のクルーにもガーディムの遺伝子を持った子孫が居る事が判明している。
本来守るはずのガーディムの子孫たちをあわや抹殺しようとしたこと、そして人間を本当に理解しようとしなかった己の過ちを認め、彼らに未来を託しながら消滅した。
復活
スーパーロボット大戦Tのエキスパンション・シナリオで魔獣エンデと共に復活する。
どうやら困難ルートで増殖したネバンリンナの生き残りらしく、地球艦隊・天駆やエクスクロスと協力したT3相手に自分もエンデと手を組むのだが、なんとルート次第では『愛』に目覚めて彼らと和解する。ただし、和解した彼女以外にも再生産されたネバンリンナ達も存在しており、こちらは和解した彼女を欠陥品と断じ襲い掛かってくる。
戦いが終わった後、唯一生き残った『愛』を知ったネバンリンナは世界の復興に尽力することを選んだ。
ようやくネバンリンナは文明再建システムという本来の使命を果たすことができたのだった。