アーバロン、アーバロン、うーるーわーしーの~~
概要
本作の主人公を務める皇帝が代々治める国家。
ゲーム開始時の時点で帝国暦1000年という歴史ある国だが、現在は帝都『アバロン』とその周辺のみを領土とする小さな国へと衰退していた。
書籍『ロマンシング サ・ガ大全集』によると、それまでの1000年間は一般的な国家の歴史を歩んでおり、南バレンヌ地方にヴィクトール運河を築いたこと以外ほぼ記録には残っていないという。
また、「最盛期は東方を除く世界のほぼ全土を領土におさめたが徐々に衰退した」「ルドン地方の宝石鉱山はかつて帝国の直轄地だった」とも記述されているが、ゲーム中では南バレンヌ地方を制圧すると「全盛期の領土を回復した」と表示される為、上掲書の記述とは矛盾する。
ゲーム開始時点の画面上では北バレンヌ地方全体を制圧しているかのように表示されるが、皇帝たるレオンが同地方の港町ソーモンの現状を把握していない描写がある(七英雄クジンシーがモンスターを引き連れて町を占領したというのに「七英雄の1人ならそう無茶をする奴でもあるまい」と評する)ため、設定上は地方全体に影響力は持っていないことがわかる。
七英雄クジンシーによる帝都アバロン襲撃と謎の女魔術師オアイーブより齎された伝承法の会得により、全世界の統一と七英雄の打倒という長きに渡る戦いの歴史を歩む事になる。
ゲームのエンディングでは、七英雄との戦いに終止符を打った最終皇帝の退位に伴い、帝政が廃止され共和制国家となった。
これに関しては帝国大学で軍師が「皇帝が七英雄打倒という役目を終えた後は我々の手で国を治めなければならない」と言っており、大学建設をスルーしなければ皇帝の活動の裏で共和制移行の準備を着々と進めていたことが窺える。
実際、皇帝の根拠が血筋から伝承法に代わってしまい、伝承法による継承が終わってしまったら政体の変革は必定なので理に適った共和制移行といえる。
皇族
バレンヌ帝国の30代目の現皇帝。
"皇帝"という帝国でトップの立場ながら、民の平和の為にモンスター退治に自ら前線に乗り出している。
後に帝国で建造されるレオンブリッジは恐らく彼の名前から取ったものと思われる。
レオンの長男である第1皇子。
父レオンと同じく武勇に優れ、流し斬りをはじめとする大剣の剣技を得意とする。
ちなみに「ヴィクトール運河」という地名があるが、恐らくはバレンヌ帝国のかつての皇帝の名前がヴィクトールだったことに由来し、彼とは関係ないと思われる。逆にいえば彼の名前は運河の名前にもなった偉大な皇帝の名前から名付けられた可能性が高いともいえる。
レオンの次男である第2皇子。
父や兄と違って武ではなく学問に才能がある。
そして、架空現実双方における皇族(父である皇帝・長男である第一皇子・次男である第二皇子)と言えばかなり多くの物語や史実では意見の食い違いなどから一部で対立していたりウマが合わなかったりということがザラだが、本作におけるこの3人に関してはお互いに信頼し合っており、関係は極めて良好であり、その点も珍しい。
バレンヌ帝国諸兵団
『大全集』に記載されている分類で、帝国軍が有する兵科に所属する者たち。
仲間に加わる『クラス』としては、参謀である軍師、皇帝の親衛隊インペリアルガード、術兵の宮廷魔術士、兵卒の帝国猟兵・帝国軽装歩兵・帝国重装歩兵がこれに当て嵌まる。
家臣
- 文官
青色の帽子と衣服に身を包でおり、その名の通りバレンヌ帝国の軍事以外の行政事務を担当している。
リベンジオブザセブンでは玉座に座った皇帝に替わって「陛下は○○○○したいとお考えだ」と通訳のように他の文官に伝えてくれる。
その名の通り、バレンヌ帝国専属の鍛冶師。
鍛冶場が設立されると帝国が使う武器や防具の鍛造を担うようになり、その中の一人である女性はとあるイベントをクリアしてくれると一緒に戦ってくれるようになる。
関連する人物
七英雄
かつて世界を救ったとされる古の英雄『七英雄』の一人だが、モンスターを率いて帝都アバロンに襲撃をかけた。
ソウルスティールによってヴィクトールを殺害したことで、クジンシーどころか七英雄そのものがバレンヌ帝国と長きに渡って敵対するきっかけを作った。
その他
レオンにクジンシーの危険性について進言した謎の女魔導士。
レオンがヴィクトールの弔い合戦に向かう前に、彼にジェラール及びそれ以降の皇帝に深く関連する秘術《伝承法》を伝授した。
バレンヌ帝国に雇われている傭兵達。
雇われの身であるため雇い主である皇帝の命令には従うものの、それは『依頼主は「自分の命と武を預けるに値する」と判断できた時のみ』であり、もし皇帝がそれに当てはまらない場合は、『モンスターの群れが襲撃してくる』のような緊急事態の時ですら我関せずに徹することもある。
帝都アバロンの地下に拠点を構える盗賊集団『シーフギルド』のメンバー。
泥棒ではあるものの『盗みの対象は"あくどい方法で荒稼ぎした者"のみで貧しい者からは盗まない』というポリシーがある義賊でもある。
皇帝の運河要塞攻略に助力した後は、勢力に加わる。
なお、記事冒頭の歌はシーフギルドのメンバー(モブキャラ)が歌っているもので、プレイヤーに『アバロン』を帝国の名前と誤解させる一因となっている。
伝承法によってレオンから代々続いてきた《力と記憶の継承》の果てに行きついた最後の皇帝。公式イラストでも初期からイケメンと美女に描かれており、「リベンジオブザセブン」までそれは一貫して変わらない。
彼(彼女)によって七英雄が倒された後は、詩人の歌で語られる時の人となった。
巨大なシロアリのモンスター。
遥かな昔から七英雄をはじめとする古代人をも恐れさせた存在で、最終皇帝の代においても(プレイヤーのプレイングにもよるが)帝都アバロンにて民衆や家臣(仲間)の体内を背中から食い破ってあちこちで大量発生するという地獄絵図が発生する事になる。
余談
- レオン、ヴィクトール、ジェラールといったフランス系の名前が皇族を担っているので帝国そのものはフランスがモデルといえる(実際にジェラールのマントに百合の紋章があしらわれている)が、軽装歩兵がイギリス王族系の名前だったり、帝国内には様々な民族がモデルとなっているキャラクターが存在する。
- スクウェア作品に限らず、当時の創作全般において「帝国=敵サイド、皇帝=悪の親玉」とする世界観が多かった中で、味方側が「帝国」というのはかなり珍しい。…まぁ、悪人プレイもできるし作中人物から侵略者扱いされる場面もあるにはあるのだが。
- また、レオン、ヴィクトール、ジェラールの三人全員の一人称が「私(わたし)」であり、在位中であっても変わることはない。帝国であれば「朕」や「余」、「我」、「わし」、「俺様」などが多そうなものだが、このあたりもバレンヌ帝国の手本である謙虚な姿勢というものが伝わってくる。
- 「バレンヌ帝国」という国名は、実は一度もゲーム中では呼称されない。単に「帝国」とだけ呼ばれている。
- それどころか「バレンヌ」という地名自体、ゲーム中では「南バレンヌ」という地方名の一部でしか登場しない。
- そのうえスーパーファミコン版の取扱説明書では「バレンヌ王国」と表記されており、『大全集』に至っては「アバロン帝国」「ロアーヌ帝国(ロマサガ3。本当は侯国だが)」という誤表記まで登場する始末である。
- 一方帝都の名前である『アバロン』の方はゲーム中で普通に登場することから、『アバロン』が国名であると誤解しているプレイヤーも少なくなかった模様。
- その誤解を晴らすためか、リメイク作品『リベンジオブザセブン』ではバレンヌ帝国と作中で強調して表示されるシーンが出てくるようになった。
- ただし、発売前に公開されたPV内では開発中の画面なのか「アバロン帝国の次の皇帝を選択してください」と誤記されたりもしていた。製品版ではきちんと「バレンヌ帝国」に修正されている。