概要
残虐超人をも凌ぐ残忍性から超人活動資格を剥奪され、地球を永久追放された悪魔超人集団『7人の悪魔超人』の1人。
非常に特徴的なフレーズ「マキマキ」、名場面「わたしはレフェリー」などで一部のファンから熱烈な支持を受けている。
構成
古代エジプト秘伝の闘法・魔術を駆使する神出鬼没、変幻自在のトリックファイター。技の名前などに「ファラオ」が散見されるものの、カーメン本人が王家出身者、あるいはその血族に連なるとされる記述は明示されていない。また、一部の外部作品などでは『ミスター・カーメン』の名称が使用されているが、厳密には区切り点を含まない『ミスターカーメン』が原典初出に則した正式名称である。
原作版がネメス(縞頭巾)を金と橙、フェイスマスクとショートタイツを黒としたのに対し、アニメ版ではネメスとショートタイツを赤・橙、フェイスマスクを金とした大きな相違点がある。細かく言えばウセク(襟飾り)やシェンティ(腰布)の形状・色柄の違いも指摘対象とすべき所、論拠となる原作中(アトランティスvsロビンマスク戦終了まで)にアニメ版のベースとなったと思われるデザインで登場しており、さらに一部の後発作品では原作版をベースにネメス、フェイスマスク、ショートタイツを金としたバージョンも存在するため、完全な指摘および分類はほぼ不可能。だってゆでだから・・・。
- 参考資料:アニメ版カーメン
「教えてやろう、ミイラの作り方をよ…」
先述のプロフィールは1990年代に公開された作品初の公式資料集『キン肉マン超人大全』の設定に準じたものであるが、以後の設定資料では以下5項目について変更が加えられた。
<変更点>
- 身長200cm→189cm・体重150kg→98kg・超人強度200万パワー→130万パワー:超人大全以前に存在した設定を尊重して差し戻し
- アラブ共和国出身→カイロ出身:すでにアラブ共和国の国名が存在しないため(1977年までにアラブ連合共和国およびアラブ共和国連邦が解体)再設定
- 27歳→3500歳:『キン肉マンII世』中で示された新設定を引用
しかし、それでも後発の解説本や解釈によってはこれらが混在した状態であり、未だに筋の通ったプロフィールが確立されていない。
来歴
7人の悪魔超人編
代演:戸谷公次(アニメ版第60話)、堀秀行(テーマソングのセリフパート)
ステカセキング、ブラックホールを続けて撃破したものの、重傷と過労が重なってリングに立てる状態ではなくなり、しばしの養生を余儀なくされたキン肉スグルの代理として参戦を表明したアイドル超人のうちブロッケンJr.の挑戦を受ける。
なお、他の6人とは違ってカーメンの登場時期は異様に遅く、原作版でようやくその全貌を衆目に晒したのはブラックホール戦終了後の同日夜、バッファローマンの頼みで執り行われた占星術の場面からである。これは、読者投稿によるカーメンの原案こそ手元にあったものの「7人目の悪魔超人にどの投稿者のデザインを採用するか?」という最終選定でゆでたまごが予想以上に手こずったためであり、カーメンの登板が決定するまでは不明瞭な形でごまかしていた。
北海道のUFO発着所(所在不明)に設けた特製ピラミッドリングで最も得意とするピラミッド・パワーデスマッチを行う絶大なメリットにより、圧倒的不利を強いられたブロッケンJr.を試合開始直後から得意技「キバ地獄」で苦しめるも、ブロッケンJr.がカーメンの喰い付いた右肩肉ごと強引に引き剥がす怒涛の根性で戦況を変え、伝家の宝刀「ベルリンの赤い雨」の一撃で痛烈なダメージを負わされた。
この機を逃すまいと一気に勝負に出たブロッケンJr.だったが、直情的な未熟さを見抜いたカーメンが「怪光線」を発して動きを鈍らせ、解いたシェンティを使ったフィニッシュホールド「ミイラパッケージ」に捕えて容赦なくストローを突き立てた。ところが、水分を吸い尽くした姿を確認するべく包みを破って露わになったのはレフェリーの変わり果てた亡骸(テレビアニメ版ではキン骨マンに変更)であり、技の掛かりが浅かったために間一髪でレフェリーと入れ替わって死角へ逃げおおせたブロッケンJr.の「ラーメンマン直伝・ローリングソバット」を喰らい、パッケージに必要なシェンティまで奪われてしまった。
※この時、ミイラパッケージの中身がブロッケンJr.でない事を強調する意味でギャグ描写的に「わたしはレフェリー」と書かれた看板が同梱されていたため、後に「ミスターカーメンvsブロッケンJr. ピラミッドリング決戦」を語る上で欠かせないキーワードとなった。この無残な犠牲者となったレフェリーも、死んでるのに「わたしはレフェリー」と主張するギャグ漫画的描写や、「超人なので、きっかけがあれば生き返れる」という記述が後年の『キン肉マン特盛』で明確になったことで、フォローも辛うじて入っている。
しかし、一瞬の隙を見逃さずリングシートを使ってミイラパッケージを強行し、今度こそ決着を迎えると思ったその時、突如として現れた謎の人物によって邪魔をされ、矢継ぎ早に放った煙玉でピラミッド内のみ黒煙に包まれた。その際、彼から「もう勝負はついた。わざわざこの超人をミイラにすることはない」と説得させられるも敵の命を奪うことに拘るあまりそれを拒否し、さらに謎の人物はキン肉マンの仲間だと知るとブロッケンJr.諸共殺そうとするが、圧倒的な実力差の前に為す術無く絶命した。
夢の超人タッグ編
はぐれ悪魔超人コンビの悪魔霊術「地獄のキャンバス」によってザ・魔雲天、アトランティスなどと共に正義超人に対して深い遺恨を持つ怨霊として召喚されたが、目立った活躍の無いままマッスルブラザーズの即興技「マッスル・ローリング」の餌食となった。
完璧超人始祖編
声優:谷山紀章
悪魔超人界の首領たる悪魔将軍が密かに抱き続けた「完璧超人始祖抹殺計画」をいよいよ決行するに当たり、その障害となる親衛隊『完璧・無量大数軍』の注意を引き付けておくために下された勅命に従い、東ドイツ・ブランデンブルク門近郊に設営されたリングでクラッシュマンと交戦。『黄金のマスク編』時点で復活したバッファローマン、夢の超人タッグ編で復活したブラックホールを除く4人(スプリングマン、アトランティス、魔雲天、ステカセキング)と同じく蘇生の経緯は不明。
※連載終了から24年後の2012年に再始動した第38巻以降の新解釈では、スプリングマン曰く「7年間2555日の修業期間」とあるように計画参加の7年前、つまりどんなに遅くとも黄金のマスク編終了までには復活して新たな修行に明け暮れていた事になる。ただし、この新解釈の代償として「地獄のキャンバス」の一件に釈明の余地すら無い矛盾を抱える結果となってしまった。だってゆでだから・・・。
かつて辛酸を嘗めたブロッケンJr.戦の経験を教訓としてキバ地獄の照準を頸動脈が走る首筋に絞り、さらに秘術「顔強の術」を使った鉄壁の防御でクラッシュマンを苦しめるが、弱点であるネメスのコブラを攻撃されて有利な戦況を持ち崩す。その後も秘術「ファラオ解骨術」を使って窮地を凌ぎ、遂にミイラパッケージに捕えるも予想外の事態で一気に劣勢に陥った末、クラッシュマン渾身のフィニッシュホールド「アイアングローブ」の餌食となって凄惨な最期を迎えた。
戦績
2戦0勝2敗(2死亡)
シングルマッチ
- ×ブロッケンJr.+乱入者(決まり手:レッグラリアート)
- ×クラッシュマン(決まり手:アイアングローブ)
技一覧
- キバ地獄(キバじごく)
古代エジプトの秘術によって頭部以外を透明化、あるいは別次元に分離させ、その状態で自在に飛翔、旋回しつつ持ち前の鋭い牙で相手に痛烈に噛み付くカーメンの十八番。また、頭そのものをネメスと同化させて一枚の布に見せかける撹乱にも利用可能。
対クラッシュマン戦では「ファラオ・カースヘッド」の名称で使用されるも、しばしの後には旧来通り「キバ地獄」に戻った。
- ミイラパッケージ
大きく広げたシェンティに相手を包み込んで一切の身動きを封殺し、鋭利な先端を持つストローを刺して相手の体内の水分を残らず吸い取り、ミイラ化させて完全に命を奪うフィニッシュホールド。
ある程度の大きさを保つ布であれば代用が効き、ピラミッドリングに限っては「ピラミッドパワーの中ではリングの何もかもが自身の体の一部となる」という能力強化によって相手が纏う衣服すら転用可能。ストローは相手や状況によって大小2種類を使い分け、対クラッシュマン戦の際に「カルトゥーシュ・ストロー」の名で呼ばれた。
しかしこの技で実際に血を吸い取ったのはレフェリーと野犬のみであり旧アニメではキン骨マンが吸われ失敗(しかもピンピンしていた)。新アニメではそもそも野犬が登場しなかったので試合における成功率は割と低い。
- 怪光線(かいこうせん)
「マキマキ」の呪詛と共にカーメンの両目から放たれる閃光。その光を浴びた相手は一瞬のうちに動けなくなる。
- 顔強の術(がんきょうのじゅつ)
自身の頭部を超硬化して相手の攻撃を無力化する。その硬度は高位完璧超人であるクラッシュマンの拳をも砕く反面、唯一絶対の急所であるネメスのコブラを強打されると術を解除してしまうほどの苦痛に襲われる。
- ファラオ解骨術(ファラオかいこつじゅつ)
全身を頭・胴体・腰・両腕・両脚の7つに分解し、自在に操るカーメン秘術中の秘術。これによって一度はアイアングローブを回避したが、全力を注いだ二度目のアイアングローブは(カーメン自身ダメージを負って動きが鈍っていたのもあって)解骨術の分離が間に合わなかった。
余談
不遇(?)
新シリーズにて久々にリングに立つ事になった彼だが、他の面々と比べて(旧作含め)目立った活躍がなかった事がしばしばファンの間でネタにされる。
ストーリーの展開を順に追うと、彼の前には敗北を喫したものの、強化された技の数々を披露したステカセ、後には大金星を挙げたブラックホールといったように目立つ試合の間に挟まってしまっている。
試合自体も編み出した新技を速攻破られる、得意技を思いきりミスる、そして普通に敗北といったように地味さは否めない展開となってしまった。
また彼の不遇さを象徴する出来事として作者に名前を忘れられ、友人にメールして聞いた事があると語られるといったエピソードもある。
2024年の新アニメ版でカーメンを演じた谷山からは、放送前のキャストコメントにて「イケメン属性があることがせめてもの救いでしょうか」「派手に脇役を演じます」、
『超人ラジオ』にてやや冗談交じりに「なんか微妙」「他の役が良かったなと思いました」と言われており、少なくとも「微妙な立ち位置」であることは意識している様子がうかがえる(一応その後に「愛着が湧いた」とも語っている)。
カーメンの名誉のためにも言っておくと、彼は悪魔超人としての誇りを持ち続け、最後まで信念を貫き通した男であることに変わりはない。
例え地味でも、誇り高き悪魔超人の一人であり、己の信念を全うした戦士なのである。
その他
キン肉マンファンの間で常識とされる「『マキマキ』=カーメン特有の笑い声」の図式は大きな誤解である。それが証拠に、第38巻以前の原作中では「カカカー」「クッククク」「ケケーッ」など他の悪魔超人同様の禍々しい笑い声を何度も見せており、肝心の「マキマキ」は術を発動する際の呪詛、または口癖としてしか使われていない。
つまり、アニメ版の台本や演出を発端とし、それを視聴した者の印象、あるいは勘違いが約30年を経る過程で誤解の連鎖を生み続けた末に公然の事実へと歪曲されてしまった「間違った常識」である。
完璧超人始祖編において彼は「神のお告げ」と称してクラッシュマンを指名していたが、実際の試合においては試合内容こそ完璧な勝ちパターンに入っていったものの、クラッシュマンの体質の関係でそもそもミイラパッケージが通用しないというよりによってカーメンにとって最悪の相性の相手と戦うことを告げた「神」とやらについてネタにされることがある。
ただ、「キバ地獄」で頸動脈に嚙みついた際の台詞から、クラッシュマンが機械超人であることは認識していたようなので、有利に戦えた「ファラオ解骨術」を中心に戦えばよかったのに「カルトゥーシュ・ストロー」による体液吸い取りを選択してしまったことがミスだった可能性がある。
前述の『超人ラジオ』にて谷山は、「顔はそこそこなのでガールズバーでは二番目位にモテそう」と語っている(ちなみに谷山曰く「一番モテるのはバッファローマンでスプリングマンや魔雲天はモテない」との事)。
新シリーズでミートくんを演じる上坂すみれはカーメンのキャラソン『ファラオの呪い』をキン肉マンのキャラソンの中でも特にイチオシ曲として挙げている(本人曰く、ライブで歌うほど大好きらしい)。
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