概要
初出は恐らく漫画『忍者ハットリくん』で、両手両足を用いて風呂敷など広い布を掴み、風の勢いにのってパラグライダーの様に滑空する術。『ハットリくん』内では伊賀忍術とされ、甲賀忍者のケムマキは「モモンガーの術」と呼称していた。
滑空とはいうものの作中描写では明らかに自由自在に飛行している。
かなりの大技のように見えるが、半人前のシンゾウや獅子丸も難なくこの術をこなしている(獅子丸は布を使わず自らの皮を四角状に拡げて飛ぶ。本来のムササビに近い)為、ある程度の忍者ならそう難しい術ではないようだ。
実現性
人類には不可能である。
忍者はダイエットを重ね極めて体重を減量していたのだが、仮にそうだとしても風呂敷程度の布面積で滑空を行うと間違いなく墜落する。ウサイン・ボルト並みの速度で走り出して、崖や建物の屋根などから飛び出して落下速度を加えたとしても、手足でつかめるサイズの風呂敷では減速できず、そのまま地面に激突してお陀仏となる。
空想科学読本で知られる柳田理科雄氏の計算によれば時速74㎞で走れば可能らしい。まあ、歩いて45分かかる距離を競歩で8分しかかからなかった(単行本3巻「住宅難には忍者もマイッタでござる」参照)ほどの健脚を持つハットリくんが全力疾走すればムササビの術は可能という事だろう。
こういうこともあってか、実写映画『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』ではムササビの術はハンググライダー(のようなもの)を用いて飛行する忍術に変更されている。これにより、同作では人間2人を抱えて飛行できるようになっているなど原作より飛翔力が増している。
ちなみに、スカイダイビングの一種としてはウイングスーツという似たようなものがあり、これも原理的にはムササビの術と同じく特殊な膜の付いたスーツを着用し、空から降下することで滑空飛行を行う。高度がハンパではないので、最終的に時速360㎞にも及ぶ滑空が可能となる。
着用するためには500回以上の通常スカイダイビングか、200回以上スカイダイビングしたうえでインストラクターの資格を有している必要がある。
しかもウイングスーツは着用しただけでは着地出来ないので、別にパラシュートを使用する必要がある。…飛行というか落下だね。
やはり人間が体一つで空を飛ぶのは、力学上極めて難しいのである。
創作
- 『SD戦国伝』:隠密頑駄無が使用。
- 『SDガンダム聖伝』:剣士エックスと愛犬フリーデンが下界に降りる際に使用。
- 『ジャングルの王者ターちゃん』:ターちゃんが○○の皮を用いて飛行した。
- 『サルゲッチュ3』:へんしんシステムの中の「ミラクルニンジャ」のアクションの一つとして登場。
- 『トリコ』:トリコがベジタブルスカイに向かう際にムササビスーツによる滑空をごく短時間ながら行っている。
- 『手裏剣戦隊ニンニンジャー』:ニンニンジャーが移動手段として使用。
- 『ONE PIECE』:ワノ国の忍者雷ぞうが背中の板を用いてムササビの術を披露。こちらは手足が自由な分ハットリ式よりも便利そうだ。
- 『スーパーマリオワールド』:マントマリオがこの方法で飛ぶ。
- 『なつもん!』:主人公サトルがこの方法で滑空する。
- 『平成狸合戦ぽんぽこ』:タヌキ達が○○の皮を用いて飛行した。