説明
JR東日本において、水戸支社が管轄する線区にかつてつけられていた俗称。言うまでもなく元になった言葉は「國鐵廣島」である。
かつて同じJR東日本の八王子支社管内が國鐵八王子と呼ばれていたのと同様に、2000年代以前の常磐線(交流区間である取手駅以北)と水戸線は、東京近郊にありながら403/415系や特急用の485系の巣窟であり、JR化後の新形式は特急用の651系(これがJR東日本で初の在来線特急形式ともなった)を別にすると、交直流型初の4扉車でもあるE501系のみで、それも基本・付属それぞれ4編成ずつにとどまり運用も上野〜土浦間のみで、E501系による本格的な403/415系の置き換え自体は予定されていたもののトイレがないといった事情から中止となり置き換えは数本だけでストップしてしまった。
更に水戸以北となるとお隣の仙台支社から乗り入れてくる急行型の455系の運用が仙台~いわき~水戸間にて存在していた。
非電化の水郡線は、2000年の時点でキハ110系が導入されていたのでまだましだったが、電化されている常磐・水戸線の圧倒的大多数である403系・415系鋼製車は老朽化が進み、丁寧な保守点検の甲斐もなく、車内からの雨漏りが複数回発生する状況が続いていた。
これは当時、並行する他社線が無かった為新車導入の優先度が低かった事、更に415系1500番台は製造初年が1986年で最終編成は1991年製造と比較的若い車両である事、加えて高価な交直両用車を使用しなければ成らない常磐線特有の事情等によるものだが、「茨城県民を軽視している」と受け取られても仕方が無い状態だったのは言うまでもない。
そこへつくばエクスプレス(TX)の開業が2005年に決まる。
実質的に常磐線と競合する路線でもあるTXの開業をにらみ、常磐線ではE501系に続く交直流4扉車のE531系の開発を決め、2004年から運行を開始。その後も急激に増備が進められ、瞬く間に403系全てと415系鋼製車を一掃する。更にこのE531系は、確実に座れるサービスを提供すべくグリーン車2両が連結された。E501系も上野駅乗り入れから撤退し土浦駅以北の運用に使用されるようになり、水戸線へも転用されていた。さらに、ボンネット車が多数残存していたことで知られた485系もE653系に置き換えられた。
455系の運用も、2005年に仙台支社からの車両の乗り入れがいわき以南で消滅した。
その上、水郡線ではラッシュ時の輸送において、2扉のキハ110系では支障をきたすようになり、3扉のキハE130系を導入、常磐線特急も651系、E653系もろともE657系に置き換えられることになった。
2023年6月現在、415系鋼製車はもちろん、415系1500番台は2016年3月25日で運用を終了、JR世代の651系、E653系、キハ110系すらもすでにない。
なお651系は一部が高崎線の特急「スワローあかぎ」「草津」(ともにかつての「新特急」)に転用されたが、2023年3月17日をもってE257系5500番台に置き換えられて撤退。
勝田車両センターに残存していた編成は波動輸送に専念していたが、2017年7月22日より、常磐線・いわき-富岡間の普通列車2往復に付属編成が投入され、普通列車ながらも定期運用が復活したが、2020年に再度運用終了した。
E653系は東日本大震災の影響により、当初の目的だったいわき駅~仙台駅間の特急への転用計画は中止になったが、國鐵新潟・・・もとい新潟車両センターの485系をこれで置き換える方針に転換、信越本線の「しらゆき」と羽越本線の「いなほ」の2つの特急に使われるようになる。キハ110系も東北地区へ転属し、かの地の国鉄型気動車を漸次置き換えていった。
「國鐵水戸」も今は昔、である。
補足
ちなみに常磐線は快速運転する取手よりも南側の直流電化区間は東京支社管内だが、こちらも旧式の電車や少数配備の珍車の巣窟であった。
取手以南を走る快速線と緩行線は松戸車両センターの管轄であるが、こちらの当時の主力は快速・成田線用が103系と一部1000番台、緩行線が203系、207系900番台、209系1000番台(更に乗り入れ先の主力が営団6000系、稀に06系も乗り入れて来る)というラインナップで、旧車・珍車のオンパレードである。特に快速・成田線の103系は、首都圏では最後まで現役だった。
現在はE233系2000番台とE231系(快速・成田線)で(乗り入れ先も16000系に)それぞれ置き換わっている。
現在の水戸支社の車両群
勝田車両センター
ジョイフルトレインや波動用車両などは省略。
「ひたち」「ときわ」で使用される。
上野東京ラインを経て品川駅にも乗り入れるようになった。
上野駅に乗り入れていたころにはなかったトイレが付加された。土浦駅〜いわき駅間で使用。(水戸線からは2019年3月15日に撤退)
水郡線営業所
JR化後の水郡線の第3世代。
関連項目
國鐵新潟、國鐵廣島・・・元・国鉄型天国つながり。現在の電化区間の主力はそれぞれE129系、227系となっている。
國鐵千葉・・・こちらも今は209系の時代になったが、最近まで国鉄型、それもボロのまま保守点検をまともに受けられず酷使された車両群だらけの状態が40年以上も続いていた。
國鐵髙﨑・・・千葉と入れ替わるかの如く2010年代にまさかの爆誕。まさにジェネレーションギャップ・・・