概要
2006年に週刊少年ジャンプに掲載されていた学園武侠漫画。作者の杉田尚のデビュー作である。パラレルワールドの日本を舞台に、主人公のへっぽこ高校生剣士・村山斬が一人前の武士(おとこ)を目指し、悪党に戦いを挑む物語。
あらすじ
廃刀令の出されなかった、もう一つの日本。そこではサラリーマンから中高生に至るまで、あらゆる男性が武士の魂を腰に下げていた。高校生剣士・村山斬もその一人。斬は日本最強と歌われた父・斬之助のような立派な武士を目指していたが、気弱な性格ゆえに全く愛刀の研無刀(けんぶとう)を使いこなせず、父親の名に嫉妬する不良たちに苛められていた。
そんな中、友人の木下静雄がクラスのアイドル・月島弥生に襲い掛かっている光景に斬は出くわす。憧れていた月島の危機に斬は勇気を振り絞って戦いを挑むが、狂気に苛まれた木下に殴り倒されてしまう。しかし、自らを拒絶した月島にその凶刃を振り下ろさんとする木下に怒りが爆発し、斬は意識を失い‥‥。
登場人物
主要な登場人物
主人公。無双(なしふた)高校に通う高校2年生。ヘタレでバカで甘ちゃんだが、大柄な不良を斬撃一発で上空に吹き飛ばし、貫木の掴まった縄を片手一本で釣り上げるなど筋力は尋常ではない。
感情が高まり、戦闘モードに突入すると目つきが鋭くなり、身体能力が上昇する。また、この時には口調も荒々しくなる。
ヒロイン。斬のクラスメイトでツンデレその1。女性だが帯剣しており、剣道五段の腕前を持つ。実力もかなりのものだが、少しおせっかいな所もあり、「真剣勝負に横槍を入れるなんて…」と発言した数分後に背後から相手を斬ったり(斬を守るという名目はあるが)、照れ隠しに不良を蹴飛ばすなど、やや乱暴な点も見受けられる。
忍術を使用する武士、略して忍武士(しのびぶし)の少年。忍者ではない。どう見てもただのDQNだが、優しくされると弱いタイプ。ツンデレその2。
改造した制服には大量に手裏剣や煙玉が入れられている。手裏剣や忍者刀を使用する戦闘スタイルの他に、超スピードを生かした徒手空拳を得意とする。
外見に似合わぬ凄まじい大食い。
金蔵一派
諸悪の根源、だいたいこいつのせい。大財閥の跡取り息子で、自分より強い者が自分に敗北するのを目にすることを何よりも好むゲス野郎。本人の実力は素人に毛が生えた程度だが、相手に与えるハンディキャップは目を覆うばかりの代物である。
金蔵が金で無理矢理雇った不良。鋭斬刀と無崩篭を武器に戦う。凄まじいローライズのズボン、未成年者なのにいつも咥えている煙草、左右非対称なピアス…という突っ込み所満載のファッションをしている。
後に金蔵一派を自らの意志で辞め、斬に協力する。ツンデレその3。
金蔵が金で雇った巨体の不良。しかし金蔵よりも討条に傾倒している。武器は木製の大槌で、打撃だけでなく地を這う衝撃波を放つことも可能。また、その鍛え上げられた筋肉の鎧は貫木の打撃をも無効化する。
金蔵の側近。眼帯をはめている。金蔵がクズヤローであることは黙認しているが、忠誠心故に彼には従っている。居合の達人で、本気を出せば貫木や刺々森の眼でも刀を抜いたことすらわからないほどの速度での二段居合、居合返しを必殺技とする。筋力も覚醒状態の斬に匹敵するほどで、爆発的な脚力を使用した突撃と同時に放つ斬撃が主な戦法。
その他
生徒会執行部の男子生徒。四角い大剣を使用し、相手を貫き飛ばす(原文ママ)独自の戦い方をする。
絶山の側近のスイーツ(笑)女子。格闘と剣術を合わせたトリッキーな戦い方をするハイテンションガール。巨乳。
変態。
用語集
- 研無刀(けんぶとう)
斬の使用する武器。一見して普通の刀に見えるが、実際は打撃武器である。
特徴として、「斬る」ことより「破壊する」ことに重点を置き、全く切れ味が無い分硬度と重量が通常の日本刀をはるかに上回る。故に使いこなすのは非常に難しく、素人が持っていてもただの鉄屑である(かなり簡潔に纏めてみました)。
作中でこの武器を解説する非常に長いセリフはコピペと化すほどに有名になった。
- 鋭斬刀(えいざんとう)
刺々森の使用する武器。研無刀とは反対に、ひたすらに鋭く薄く軽くすることにより刺突斬撃に特化した刀。その軽さ故に使いこなすのには時間がかかるが、刺々森曰く「慣れると簡単に扱える」らしい。
- 無崩篭(むほうごて)
刺々森の使用するガントレット。
この漫画でよくあること
- 作画崩壊
- ただ「ムカついた」という理由だけで真剣抜いて斬りかかる
- 明らかにその場では立たないであろう変な擬音
- 輪郭ガタガタの建物が出てくる
- 建物内が亜空間でもあるのかというくらい広い
- 室内にもかかわらず砂漠のような砂埃が上がる
- コマの半分以上をフキダシが占める
- そのような構成のコマが数ページ続く
- 明らかに数秒しかかからないシーンで1分以上かかる長台詞をしゃべり倒す
- 冗語法を用いた文章
- 全く漢文を理解していない熟語
- 自分が言ったセリフを数秒で忘れる
- 傷が付いても数コマで回復する
- 攻撃方向と傷口が一致しない
- それどころか攻撃のベクトルと吹き飛ぶ方向すら一致しない
- ゆで理論
- 右手と左手が瞬時に入れ替わる
- 背景のカキワリがカメレオンのように変化する
- 登場人物の立ち位置すら入れ替わる
- 地下室に行くのに階段を上る
余談
内容はご覧の有様で、ジャンプの水準を全く満たさない画力、読者の斜め上を行く展開、徹底的な作画ミス、全ページに付箋を貼る必要がある程見受けられる突っ込み所、と連載開始当時の評価は散々であったが、余りに低評価だった故にニコニコ動画では勝手にアニメ化されてOP・ED映像が作られ、コミケでは腐向けのサークルが出展されるなど、作者が意図していたのとは別な意味で大人気となった。
(とはいえネタとしてこの漫画を愛する者たちだけでなく、キャラをはじめとした魅力を見出し普通にこの漫画のファンになった者たちも一応存在するため、場所を選ばず駄作扱いやネタ作品扱いするのはやめておいた方がよいと思われる)
ただ、一つ付け加えると、業界トップの少年漫画誌に連載される作品としては著しく低品質であるものの、一つの漫画作品としては成立している。
すなわち総合的な質(画力、漫画力)は漫画をかじった程度の素人レベルとは相当の開きがあることに留意したい。
受け手中心の場であるならともかく、pixivのような作り手が主であるイラストコミュニケーションの場で「中学生レベル」「pixivの標準を満たさない」などの評を行うと、知ったかがバレて恥ずかしい思いをするので気をつけよう。
科学考証はキン肉マン以下だが、「斬撃よりも打撃に特化した武器」「忍術を使用する武士」などといった一部の設定は史実に忠実だったりする。
ちなみに、バトルものにしてはキャラクターの頭身が総じて低いのは作者曰く「意図してやっていた」らしい。
関連イラスト
備考
たぶん「杉田尚」タグで探した方が早いと思うよ。
また、各キャラクターのタグはフルネームではなく苗字だけで付けられていることが多い。この漫画に限ったことではないが。
関連項目
- 侍
- 武士
- SWOT
- るろうに剣心
- 人類には早すぎる
- MUSASHI -GUN道- - 低品質という共通点があり、愛され方も似ている作品。
- デッドプール - 少年ジャンプ+連載のコミカライズ『デッドプール:SAMURAI』にて「左が全身やられた」という言い回しをパロられている。