作品情報
作者 | 赤松健 |
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ジャンル | ラブコメ・SF・少年漫画 |
出版社 | 講談社 |
連載誌 | 週刊少年マガジン→マガジンSPECIAL |
連載期間 | 1994年18号 - 1994年40号(週刊少年マガジン)、1994年No.11 - 1997年No.9(マガジンSPECIAL) |
話数 | 全55話 |
単行本 | 少年マガジンコミックス全9巻、新装版全8巻、完全版全7巻 |
概要
赤松健の初連載作。
パソコンが現代のように普及していなかった時代に「コンピュータープログラム」を題材に置いたラブコメディ、英語副題は"A・I think so!"、愛称(略称)はAI止ま(あいとま)。
あらすじ
神戸ひとしは運動ダメ、勉強ダメ、女の子とまともに話も出来ない「ダメ男」の代名詞。
そんな彼にもだれにも負けない特技がひとつだけあった、それは「コンピュータープログラム」である。
親がコンピューター会社の社員(研究員)であるため家にスーパーコンピューターが常備されている環境を持っていたひとしは、その環境(の一部領域)を流用させてもらって「人工知能(AIプログラム)」を開発。その中でも理想の彼女を設定した№30(ナンバーサーティ)と話をすることに夢中だった。
そんなある日ひとしの家に雷が落ちてサーティが現実世界に実体化してしまった。
理想の彼女との同棲生活によって彼の人生が180度変わっていく!!?
登場人物紹介
(主要キャラ)
本編の主人公。だめ男の代名詞だが実はコンピュータープログラムが大の得意。理想の女の子を想定して作った「人工知能、AIプログラム№30」は恋人という設定だが物語が進むにつれて……。
後の『魔法先生ネギま!』では、直接の登場こそないものの、ある人物によって、「MITの天才日本人兄妹」の兄として言及されている。
・サーティ(№30)
メインヒロイン。雷による高圧電流で現実世界に出てきてしまった。
C言語で出来ており自分で自分を書きかえられる究極の進化プログラム。
ひとしの恋人、外での名前は難波サーティ。
初めはおっとり癒し系お姉さんだったが!?
・トゥエニー(№20)
サーティよりも前に作られたプログラム、アセンブリ言語で出来ている。
彼女も雷の高圧電流によるショックで実体化してしまう。ひとしの初恋相手、麻生希美華がモデル。彼女を得られなかったために作ったが、イケイケねえちゃんになってしまった。
理論上では史上最強のAIになるはずだったが……外での名前は難波トゥエニー。
・フォーティ(№40)
トゥエニーとサーティの妹に当たるが、起動時の設定ミスにより「男」と「女」の二つの性格を持ってしまった。キーワードで性格ががらりと変わってしまう。その設定が災いし、男フォーティは中盤から出番が極端に減らされてしまった。(元々無理のある設定だったかも知れず、ある意味女フォーティに乗っ取られたと言える)
外での名前は難波フォーティ。
愛称「シンディ」。アメリカのIBN本社社長の一人娘。コンピュータ会社の社長の娘だが、実はコンピュータ嫌い。(本人は「コンピュータアレルギー」を自称している)
物語の中盤で登場するサーティのライバル。のちに「コンピュータアレルギー」に関しては、ひとしとサーティのサポートによって見事に克服した。
『ラブひな』に登場するサラ・マクドゥガルとは遠い親戚の可能性もあるらしい。
なお赤松作品ヒロインの系譜上では成瀬川なる(ラブひな)と神楽坂明日菜(ネギま!)のルーツとなるキャラクター。(と、いう時点で性格などは、お察し頂けるはず)特に成瀬川は(メタ的な意味で)シンディのリボーンキャラとしての特性を持たされている。
あと、初登場シーンや空港のシーンなどは惣流・アスカ・ラングレー(新世紀エヴァンゲリオン)に対するオマージュ(リスペクト)であり、彼女のオマージュキャラでもある。
・神戸弥生
ひとしの妹、物語クライマックスに登場した、いわゆる終わらせキャラ。
ブラコンだがアメリカのゼミでAIプログラムの研究をするなど頭がいい。
巨乳の女性に対してコンプレックスを抱いていた。
実は兄妹の両親が進める開発プロジェクト「ゼロ・プロジェクト」に所属する研究生でもあり、袋小路になりかけている両親の研究のブレイク・スルーを求めて兄の力を欲した事情もある。お風呂が大好き。
『魔法先生ネギま!』でも、「MITの天才日本人兄妹」の妹として言及されている。
ひとしの父が開発途中の「実体化モジュール」の未完成AI、弥生はこれを動かそうとして失敗してしまう。一応サーティ達のご先祖様。コンピュータウィルス「スパイダー」(その正体はコンピュータウィルス「ペーターシリーズ」のオリジンである「ペーター0」)に感染して暴走し、ラスボス化。
・まーくん
弥生がアメリカのゼミで作ったAIプログラム、卵のような形になっていて普段は弥生の首にぶら下がっている。実は電脳空間上のアバターではワイルド系の超イケメン。
・ビリーG
ひとしのライバルとなる少年プログラマー。その実態は、その才能ゆえに誰にも理解を得られず、そしてその孤独ゆえにサイコパスへと至ったマッドサイエンティスト。自らの研究のためならば犯罪にすら手を貸すが、そんな自らが犯罪にいざなった者たちすらも、自身にとっては「ただの人形」に過ぎず、彼らの欲や悲しみなども理解すべくもなく「目先しか見えない動物」レベルに考えており時に協力関係も結ぶものの内心では見下している。
彼もまた「実体化モジュール」の開発を行っており、ゆえにひとしの実力はをとても高く買っている。あるいは歯車が少しでも食い違っていれば、ひとしとは逆の立場になったか、あるいは「親友」にもなれ得たかもしれない少年。ある意味ではもうひとりのひとし(悪のひとし)とも言える。
作内でひとしたちを散々に苦しめてきたコンピュータウィルス「ペーターシリーズ」の作者でもあるため、赤松作品の悪役の中でもその凶悪さはトップクラスと言われる。ただ、最終回にてペーターシリーズのオリジンである「ペーター0・SPIDER」の暴走に至っては、サーティのコピープログラムとして開発した「No.31」をサーティとひとしの元へと遣わした。(ただ改心したのではなく「自らが考えるプランに対して、かつて自らが放ったはずの『ペーター0』が邪魔になったから、仕方なく「大事なモニタリングサンプル」である、ひとしたちに手を貸した」というのが実情)
ちなみにビリー製コンピュータウィルスには「感染発症時に顕在化する症状を呈するウィルスは実は囮であり、囮のウィルスが退治された後に隙を生じぬ二段構えの形で本来のウィルスが退避している安全圏から凶悪な本性を露呈する」という、とんでもない特徴を持っている。
ひとしの従妹、初めはサーティをライバル視していたが心を開くようになる。
1回限りの出演だったが読者にウケて「パソコン通信」などを通し署名活動までされたので再登場となった伝説のキャラクター。
(サブキャラ)
クラスのマドンナにして、ひとしの初恋相手。さらにトゥエニーのモデル。超金持ちのお嬢様。
しかして、その恵まれた環境を鼻にかけ、他人を虐げたり自らの「娯楽のため」に人を嵌めてに貶めてバカにする(ひとしも被害に遭っている)など、人間性には問題ありまくりのタカビー女。(いわゆる悪役令嬢)
トゥエニー登場以来出演が殆ど皆無となり、1、2、3巻最終回で1カットのみ登場。
・新田先生
ひとしとサーティの担任。「鬼の新田」と呼ばれるほど怖くて厳しい先生、生活指導担当。パソコンにはとっても疎い。(そのためサーティに自身の教務用端末を渡して、彼女の学校システムへのハッキングを許してしまう)
サーティの名乗った「ナンバーサーティ」の「ナンバー」を「難波」と誤読し、はからずもサーティたち姉妹が名乗る名字を付けてしまった人である(本人は無自覚)。
また『魔法先生ネギま!』に登場する「新田先生」は同一人物とのことなので、『AIとま』終了後は麻帆良学園女子中等部に赴任したことになる。「鬼の新田」というあだ名は麻帆良でも健在、単行本では4,9巻にて登場。
作者の高校時代の担任がモデル(2007年3月に定年退職されたそうな)。
『ネギま!』では学校内新聞のインタビューにて「パソコンに詳しい元教え子に写真の分析を頼んだが分からない」と書かれていたがこれはひとしの事らしい。
男フォーティの初恋相手だが、寿退職をし引っ越す。
作者の赤松先生もお気に入りの女教師。
・宮原貴子
ひとしのクラスメート。新聞部のスゴ腕のフライデー女。
サーティの正体に疑惑を持ち、スクープ写真を撮るために付け回す。
・渡辺裕子
ひとしのクラスメートで図書委員長。
図書室のマドンナと呼ばれ、裏人気投票No.1の美少女。
漫画内に出る用語辞典
・人工知能∶AIプログラム(英 Artificial Intelligence, AI)
、コンピュータに人間と同様の知能を実現させようという試み
あるいはそのための一連の基礎技術をさす。
コンピュータープログラムを現実世界に実体化させるための技術。
今の技術では(というか作内での既知の技術でも)サーティ達のようなプログラムを再現することは不可能。
もともとは神戸兄妹の両親の研究課題であり、彼らが所属しているコンピュータ会社「IBN」とMITによる産学共同開発プロジェクトのひとつ「ゼロ・プロジェクト」の目指す成果となるべき技術。(弥生も実は既に学生などではなく飛び級英才教育で養成された「ゼロ・プロジェクト」の研究員)
インターネットのご先祖様のようなもの。
コンピューター同士が勝手に世界中繋がりあった状態を指す。
ホームページのご先祖様のようなもの。
現在は「Google」「Yahoo!」などの検索サイトからキーワード
入力で簡単に企業や個人サイトにアクセスできるようになったが
昔はURLを入力したり、インターネット接続用ソフトをわざわざ
購入していた人もいた。
・オプションプログラム(OP)
#1~9まで存在するサーティ達が現実世界で生活するのに必要なプログラム。現在におけるプラグインプログラムに相当する。
後期開発となるフォーティのものだけは、より出力が強い発展型であるハイパーオプションプログラム(HOP)であり、これはより強く現実世界に働きかけができる。
例:OP#4は服のデータを読み込みもの。HOP#4の場合は体格などを変えたりできる。
初期のサーティの料理下手は「味覚ルーチン」を組み込んでいなかったせいだと気付いた。
ひとしはそれをオプションプログラム化し読み込ませて、なんとかまともに料理が出来るようになった。
相手のコンピューター内部に勝手にアクセスしデータを破壊したり覗いたりすることができる。
コンピュータの天敵、サーティは医療データベースにアクセスした際に「ペーター4」に感染してしまう。
・バグ
こちらもコンピューターにとっては天敵、トゥエニーの苦手なもの。
・IBN
ひとしの父の務めるコンピューター会社、大手パソコン会社がモデルなのはほぼ確定
シンディの父が社長。
トリビア
- 本作は時代の先見性に優れた作品といわれる。連載が始まった1994年当時、漸くインターネットの普及が始まった事と、A・Iキャラクターとの擬似恋愛はあのときめきメモリアルやラブプラス等のギャルゲーを先取っていたと言える。序でにときめきメモリアルは週マガ連載時代の1994年5月28日にPCエンジンオリジナル版が発売され、マガスペ移籍後の1995年10月14日にPS1版が、翌1996年7月19日にSS版がそれぞれ発売され、ラブプラスは2009年に発売された。
- 赤松先生によると、「AI止ま」キャラの声のイメージは、
サーティ:笠原弘子さん、トゥエニー:小林優子さん、フォーティ:日高のり子さん
とのこと。
しかし、後年「AI止ま」は初期の作品なのであんまりアニメとして見たくないと発言した。
- 英語副題の「AI think so!」は元々タイトル案のひとつだったが、 日本語じゃないと少年誌ではダメという理由で現在のタイトルに落ち着いたらしい。副題として残ったのはその名残り。
関連タグ
電光超人グリッドマン:本作同様、パソコンやネットが普及していない時代にこれらをテーマにした作品。
ああっ女神さまっ・コンパイラ:これ等作品からの影響が指摘されているが、コンパイラの3人は全くの赤の他人である。
コレクターユイ:本作連載終了後にコンピュータ世界によるデバッグを描いた作品。