「夢も現実も、すべては君のものだ。君の、自由だよ――」
概要
著者 | あざの耕平 |
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イラスト | 村崎久都 |
ジャンル | ネオ・サスペンス・アクション |
出版社 | KADOKAWA |
レーベル | 富士見ミステリー文庫※1 |
刊行期間 | 2000年11月 - 2004年1月 |
単行本 | 本編8巻(+短編2巻、番外編1巻)※2 |
※1 後に富士見ファンタジア文庫より復刊
※2 富士見ファンタジア文庫版は1~3巻が二巻分にまとめられ、本編7巻となっている。
あらすじ
ドラッグなんて自分には関係のないものだと思っていた
その噂の中で、昔ずっと一緒だったあの男の子の名前を聞くまでは・・・
「飲めば、天使や悪魔が出てきて願い事を叶えてくれる」
オカルトめいた噂をもつドラッグ『カプセル』
女生徒の飛び降り事件をきっかけに、姫木梓はそのカプセルを巡る奇妙な噂を追い始める
大切な幼馴染が変わってしまった理由を知るために
それが彼との絆を取り戻す唯一の道と信じて
―――パンドラの箱を開けたのは誰だ?
幼い頃に抱いていた幻想、カプセルのもたらす幻覚、夢魔の見せる現実
堕落したイデアの元に認識の境界は歪み、世界は人の意思の元に従属する
ひも解かれた言葉は鍵となり、アンダーグラウンドに眠る真実への扉が、今開かれる
作品紹介
今は無き富士見ミステリー文庫の看板作品。『東京レイヴンズ』『BLACK BLOOD BROTHERS』で有名なあざの耕平氏の初の長編シリーズで、ドラッグを題材にした現代ファンタジーという異色のライトノベル。ファンからの愛称はDクラ。
本作の舞台は麻薬グループの横行するアンダーグラウンドであり、ファンタジー的な要素は一見皆無に思える。だがファンタジーと現実の二つの異なる次元はドラッグというテーマを中心にたしかに交錯しており、その世界観は『幻想』と『幻覚』に根差したダークファンタジーと言える。こうした方向性・物語の本質が明らかになっていくのは原作3巻※からであり、Dクラッカーズの本領はそこから加速度的に発揮されていく。尚、公式によればジャンルは『ネオ・サスペンス・アクション』とのこと。
また幼馴染ものとしても有名な一作。萌えは少なく暗い展開は多いが、その幼馴染二人を主軸にすえたストーリーは、多くのナジミストたちを虜にした。
※富士見ミステリー文庫版3巻は、富士見ファンタジア文庫版2巻に該当する。理由については概要の項の※2を参照。
登場人物
主要人物
物部 景(もののべ けい)
CV:古島清孝
無愛想で寡黙な性格だが、根は健気で繊細な優しさを秘めている。
3巻のかっこよさは異常。
姫木 梓(ひめき あずさ)
CV:浅井晴美
無鉄砲なイケメン女子。護身術に長けており、並みの男なら一捻りできる。
家庭環境は最悪であり、そのため幼少期は“同胞”である景にひどく依存していた。
カプセルに関する噂を追う内に、ある真実と向き合うことになっていく。
海野 千絵(うみの ちえ)
CV:今井麻美
カプセルの撲滅を目的に、自身の正義感と情熱のおもむくままに猛進するデンジャラスガール。
暴走する若さを体現したような少女だが、一方でセンチメンタルな一面も持つ。
作中最高のド根性を誇る。
水原 勇司(みずはら ゆうじ)
CV:加藤寛規
葛根東高校2年生。
ノリの軽い性格の不良で、自称「美女と、美少女と、その他の女性---カッコ上限三十五の味方」
カプセルの売買組織『セルネット』の関係者で、梓と千絵に様々なアドバイスを送る。
目端が利き、アンダーグラウンドの情報に聡い。景の相棒。
セルネット
無慈悲な女王
謎に包まれた人物で、アンダーグラウンドの伝説的存在。
ベルゼブブ
ベルゼブブ (Beelzebub)の名を持つ『セルネット』の執行細胞(ファーストセル)の一人。
セルネット創設の立役者の一人であり、表舞台には決して顔を出さなかった『無慈悲な女王』に代わり、『指導者』としてセルネットに君臨した。
自分の願望に忠実に生き、そしてこの世界から姿を消した。
バール
バール(Baal)の名を持つ『セルネット』の執行細胞(ファーストセル)の一人。
交渉や情報工作、調略を一手に担ったセルネットの『調停者』
静かな印象を人に与える美青年で、現在はセルネットの運営から遠ざかっている。
べリアル
ベリアル (Berial)の名を持つ『セルネット』の執行細胞(ファーストセル)の一人。
カプセルが出回り始めたアンダーグラウンドの争乱期に、最強と謳われた『オーナー(悪魔使い)』
セルネットの『始末屋』であり、他のグループに対する最大の抑止力でもあった。
現在は、表舞台から姿を消している。
カーク
セルネットの現状維持派。非常に用心深く、打算的な性格をしている。
カイム
カイム (Caim)の名を持つ『セルネット』の第二世代細胞(セカンドセル)の一人。
現在のセルネットきっての武闘派であり、残忍な性格をしている。
キメリエス
キメリエス (Cimeries)の名を持つ『セルネット』の第二世代細胞(セカンドセル)の一人。
オカマ口調のジェンダーフリーの男性。
かつてはバールの懐刀として、セルネットの敵対者を秘密裏に処理してきた凄腕のオーナー。
一見ふざけた人物に思えるが、実際は情に厚い性格をしている。
短編集2巻の過去編に登場。
クリスタル
クリスタル (Crystal)の名を持つ『セルネット』の第二世代細胞(セカンドセル)の一人。
情報部を統括する切れ者。セルネット内では中立の立場を保つ。悪の女幹部の鑑。
ケルベロス
ケルベロス (Cerberos)の名を持つ『セルネット』の第二世代細胞(セカンドセル)の一人。
デルタ
デルタ (Delta)の名を持つ『セルネット』の第三世代細胞(サードセル)の一人。
外見とは裏腹に度胸は座っており、とても理知的な性格をしている。
やや人を信じすぎるきらいがある。
ディンゴ
ディンゴ (Dingo)の名を持つ『セルネット』の第三世代細胞(サードセル)の一人。
おどけた性格をしており、小柄なデルタをよくからかっている。
ディアブロ
ディアブロ (Diablo)の名を持つ『セルネット』の第三世代細胞(サードセル)の一人。
キメリエスの細胞に所属していた過去を持つ。情報戦にも秀でた厄介なオーナー。
番外編のDクラッカーズプラスに登場。
DD(ドラッグドッグス)
甲斐 氷太(かい ひょうた)
カプセルユーザーの集うグループ『DD』のリーダーで、最強の『オーナー(悪魔使い)』
普段は道化のように振る舞っているが、その本質は虚無主義の戦闘狂という複雑な人物。
青のフード付きウィンドブレーカーを羽織ったオーナー『悪魔狩りのウィザード』を追っている。
ビーグル
DDの幹部で参謀役。
抜け目ない性格をしている一方愛嬌があり、DD内では仲裁に回ることも多い。
情報収集能力に秀で、水原とは古い付き合い。
その他
松崎 祐子(まつざき ゆうこ)
葛根東高校二年生。梓の同級生。
おしゃべり好き。虚栄心の強いところがある。
清井 美加(きよい みか)
葛根東高校二年生。梓の同級生。
おっとりした人柄で、人当たりがよい。
倉沢 麻里奈(くらさわ まりな)
相当にマイペースな性格で、特徴的なしゃべり方をする。ラノベ的には実はけっこうな逸材
上田(うえだ)
話のわかる人物。事件に首をつっこみがちな千絵とも、それなりの付き合いがある。
新田 菫(にった すみれ)
状況に流されやすい性格だが、恋愛に関してははっきりした面を持つ。
新田つぐみ
久美子(くみこ)
手癖の悪い不良少女。能天気で単純、子どもっぽい性格の持ち主。
由紀(ゆき)
責任感の強いしっかり者だが、やや思い詰めやすいところがある。
香苗(かなえ)
陰にこもりやすい質(たち)だが、実際は思慮深い面をもつ。
たぶん作中で一番女らしい性格をした少女。というか他の女性キャラの女らしさが壊滅的すぎる…。
滝田 静(たきた しずか)
葛根東高校の生徒。景たちと同学年。
初心(うぶ)で惚れっぽくて、ロマンチストな乙女。
ショートカットの可愛らしい顔立ちをしている。
本作の癒し枠にして、至高のチョロイン。出番が少ないのが悔やまれる…。