君が見据える 正義の視線で
独り闘う 死さえも恐れず
概要
『特捜ロボジャンパーソン』とは、1993年1月31日から1994年1月23日まで放送されたメタルヒーローシリーズ第12作目の作品であり、劇中に登場するヒーローの名前でもある。機動刑事ジバン以来のロボットヒーローかつ、悪の組織に立ち向かう王道ヒーロー路線へと回帰した作品でもある。
最大の特徴は人間態を持たない主人公である。当初ジャンパーソンは視聴者にも正体を明かさない謎のロボットヒーローであり、彼の正体を探る話も何話か作られた。
他にも日本の特撮ヒーロー番組としては珍しく悪の組織が複数存在し、1年を通じてジャンパーソンと戦った。また敵味方問わず登場人物の入れ替わりが激しく、厳密な意味で『一話も欠けずに全話皆勤』なのは主人公のみという思い切った展開も話題になった。
敵組織のボスがチェンジグリフォンを演じた高橋和興、マリバロンを演じた高畑淳子、仮面ライダーZXを演じた菅田俊であるなど過去の東映特撮で主役格を演じた人物が多いと言う豪華な作品でもある。
前作までのレスキューポリスシリーズとは繋がりが無く、「世界忍者戦ジライヤ」以来の警察組織の一部に属さない作品になった。
あらすじ
悪が蔓延るところ、突如投擲されたカードの閃光と共に謎のロボット・ジャンパーソンが現れる。
そして圧倒的な強さで敵を倒すと、またいずこかへ去っていく。その正体は誰も知らない。
果たして彼はどこから来て、どこへ行くのだろうか……?
登場人物
主要メンバー
呼称表
が\に | ジャンパーソン | ガンギブソン | かおる | 周平 |
---|---|---|---|---|
ジャンパーソン | 俺 | ガンギブソン | かおる | 周平 |
ガンギブソン | ジャンパーソン | 俺 | かおる | 周平 |
かおる | ジャンパーソン | ガンギブソン | 私 | 周平 |
周平 | ジャンパーソン | ガンギブソン | お姉ちゃん | 俺 |
声:小峰裕一
主人公。
メインカラーは紫。外見上は人型ではあるがスーツやアーマーで生身の人間が変身する類ではなく純粋なロボットであり、人間態を持たない(大事な事なので二度言いました)。
内蔵・外付け合わせて複数の装備を使用する事ができる。
愛車であるダークジェイカーのパトライト付きのデザインと、ジャンパーソンのどこか警察官を思わせる容姿からすると…?
初期は無口かつぶっきらぼうな性格であり、敵に対しても無慈悲な態度を見せ容赦なく破壊する『ダーティハリー』シリーズのハリー・キャラハンを彷彿とさせるクールなロボットヒーローだった。だが周囲の人間との交流で徐々に軟化していき、ロボットでありながら相手の気持ちを理解し受け止める優しさを持つようになり、『ブレードランナー』のリック・デッカードに近いキャラクター造形となった。そのAIの奥底には、かつて封印された危険なプログラムが今なお残っているが、最終回で完全に断ち切った。
エンディングテーマ「朝焼けのララバイ」で「あいつも夢を見るのだろうか」の一節があるが、実際にSS-Nが引き起こした夢を見せる作戦で夢を見ており、しかも夢が何かを認識できている。つまりジャンパーソンは夢を見る程の高性能なAIを搭載しており、これにはSS-Nの敵科学者も驚いていた。
愛車ダークジェイカーは車体左サイド部が分離した飛行メカ・スカイジェイカーと、砲台を備えた地上走行メカ・ランドジェイカーの2つで構成されている。
後にダークジェイカーを空輸し、地中航行メカ・ドリルジェイカーと水中航行メカ・マリンジェイカーとの換装機能を備えたサポートメカ・ジェイガリバーも登場した。
※ジャンパーソンの人間態が登場しなかったのは、番組が開始する前に募集していた人間態のオーディションに適した人材が居なかったから……と言われているが、その一方で同年に公開していた映画『仮面ライダーZO』の麻生勝と翌年のブルースワットでシグを演じる土門廣が候補だったとする説もあるため事実は不明(土門は本作で人間モドキを演じている)。また、ジャンパーソンの声を演ずる小峰裕一も一目で気付きにくいが、ジャンパーソンの作中で端役として出ていた事がある。
声:鳥居賞也
物語後半でジャンパーソンの相棒になる、二丁拳銃を使うガンマンロボット。
当初は恋人のキャロルと共にネオギルドの暗殺ロボとして身を置いていたが、卑怯な手段を嫌う彼のやり方はおよそネオギルドの思想や理念と相いれるものではなく、痺れを切らしたジョージ真壁によって心の拠り所だったキャロルを破壊されてしまう。
その後しばらくは単独行動を取っていたが、紆余曲折を経てジャンパーソンの仲間となり、共に悪に立ち向かう。
第37話で自分と同じくパートナーを殺された海底開発ロボット「サイレント」の憎しみと悲しみの感情を一番理解していたガンギブソンは説得を何度も試みるも届かず、同じ復讐者として暴走する彼を止めるべく最後の手段としてスピンドルキャノンで引導を渡している。
こういう事があった為か第38話ではネオギルドに対する復讐心に憤り、ジョージ真壁本人に戦いを挑む。しかし、この復讐心を真壁に逆手に取られ、ジャンパーソン達の秘密基地の在処を知るガンギブソンのメモリーチップを奪い探ろうと真壁は挑戦を受けた。真壁が率いるロボット軍団の攻撃に大破したが、実はガンギブソンはさらに裏をかいて敗北した場合に備え自分のメモリーチップを自爆させる仕掛けを施していた。…全ては共に戦う仲間の為に。
これでガンギブソンは死んだ……と思われたが、実は自爆装置の改造を施した技術者が密かにガンギブソンのメモリーチップの複製を用意しており、復活を遂げた。
愛用の銃はガンボルバーとブローソンの二挺拳銃で、後にジックキャノンのプロトタイプでもある長大なスピンドルキャノンを使用するようになる。
使用するマシンはバイクのGGスレイヤー。
アールジーコ
物語中盤から登場した小型ロボット。
一人称は「オイラ」で、ガンギブソンを「ガンモドキ」と呼ぶ。
ジャンパーソンの銃・ジャンデジックに合体し、ジックキャノンに強化させる機能も持つ。
演:川嶋朋子
中盤から登場する若きロボット工学の天才で、元警視庁特殊装備開発班メンバー。
ジャンパーソンについての重大な関わりを持っており、彼の過去を知る数少ない人物。
ジャンパーソン基地の維持やジェイガリバーの開発関係の費用を何処から捻出しているのかは不明。
演:富田樹央
かおるの弟で、ジャンパーソン達のムードメーカー的存在。
その他
初期しか登場しない方々。彼らのその後の消息はいずれも不明で、ムック本などにも詳しい動向は記述されていない
演:太田貴彦
「桜田門のバットマンと呼ばれる優秀な刑事」を自称する三流警官。
恰好つけたがりのドジであり、よくはずみでゴミバケツに頭を突っ込む。
「コウモリ警部」と呼ばれるとブチキレる。
ジャンパーソンに対しては否定的な態度を取るが、内心では少々認めている。
第8話を最後に退場。
顔は『超電子バイオマン』のグリーンツーに変身する人物によく似ているが、彼とは異なりバイオ粒子反応は無い模様。
演:片桐順一郎
小森警部の部下。
小森ほどではないがおっちょこちょいで、小森を「コウモリ警部」と呼んでいる。
第13話を最後に退場。
顔は『高速戦隊ターボレンジャー』のイエローターボに変身する人物によく似ているが、裸眼で妖精を見る事は出来ない模様。
演:観崎美和
テレビ局JBCの女性記者。
ジャンパーソンの存在を肯定的に捉え、テレビ中継で「無力な警察」と言い切るくらいに警察を無能扱いしているため、度々小森と衝突する事が多い。
第6話を最後に退場。
後に『ビーロボカブタック』に彼女によく似たリポーターが登場している。
MX-A1
かつて警視庁が開発した、高度化した社会犯罪に対処する高性能AI搭載の警官ロボット。だがその装備は警官と呼ぶには過剰防衛レベルで、軍用ロボットだと思わせる。
治安維持・犯罪の撲滅を第一とするプログラムをされているが、その結果、あまりにも冷徹かつ非情であり「悪を無慈悲かつ徹底的に破壊する」事に固執する、過剰な正義の暴走とも言うべき思考になってしまった。結果プロジェクトは中止。危険な失敗作としてMX-A1はその後プロジェクトごと葬られたのだが…?
敵組織
第2話でギルドが壊滅した後、ネオギルド、帯刀コンツェルン、スーパーサイエンス・ネットワークの3組織が出現。それぞれジャンパーソン打倒と世界征服の野望を抱き、時には協力し、時には反目しつつ、ジャンパーソンを含めた四つ巴の戦いが繰り広げられてゆく。
ギルド
ベン藤波率いるロボットマフィア。
組織の全容は不明ながら、人間社会に多数の市民ロボットを潜入させており、何らかの計画を進行していたと思われる。
第2話という異例の早さで壊滅するが、「人間への復讐」という目的は異母兄・ジョージ真壁のネオギルドに引き継がれる。
ギルドのボスでサイボーグ。腕から怪光線を発射する。
人間に激しい憎悪を抱いているが、その理由は終盤に明かされた。
ネオギルド
ギルドと同じロボットマフィア。ボスはベン藤波の異母兄・ジョージ真壁。詳細は当該記事を参照。
帯刀コンツェルン
帯刀龍三郎が総裁を務める巨大財閥。しかしその実態は…。詳細は当該記事を参照。
スーパーサイエンス・ネットワーク(SS-N)
首領・綾小路麗子の指揮のもと、人類抹殺を図る過激派科学団体。詳細は当該記事を参照。
ちなみに、ジョージ真壁・帯刀龍三郎・綾小路麗子の3人が顔を合わせたのは第18話の1回だけである。ただし、直接対面したのではなく、真壁が帯刀に回線ジャックする形で登場し、それに麗子が割り込む形での画面越しの対面となっている。
各話リスト
主題歌
余談
良くも悪くも「登場人物の入れ替わりが激しい」作品(事情を把握した上で「主人公・ジャンパーソンの孤高さ」を端的に表現する為にジョークの範疇で発言しているファンが大半だが、稀に事情を知らずにその様な印象を持つファンもいる事は事実である)だが、これは本作の流れがテコ入れでの路線変更ではなく、ある意味「見切り発車」でスタートして徐々に肉付けしていったである。
本作は放送開始当初、製作の遅れから設定が全く出来ておらずジャンパーソン周りの設定が固まったのですら第2話が放送された後だったと言われている(事実、放送開始当初の設定にはMX-A1や三枝かおるは影も形も無い)。そのため、最終的に設定がどうなってもいいように主人公を謎のヒーローとして描き、初期レギュラーを中心に話を進めるという方式を採用したのである。そして、主人公の設定が固まった所で晴れてお役御免となったと思われる。
初期はジャンパーソンがあまり喋らなかった(喋っても明らかにエフェクトが入った声をしていた)のも、恐らくは設定が固まってなかったからであろう。また、初期はやたらロボットを強く意識した動き方をしていたが、設定が固まりだしてからは自然と人間に近い動きや喋りになっている。
また、同様に第2話で敵組織が壊滅して3つの新しい敵組織が登場するという当時としては斬新な展開も、設定が出来ていない事(と高畑淳子の妊娠および出産)の影響であるとされる。
警視庁で作られたジャンパーソンを警察関係者である小森と高井戸が知らなかったのも、ジャンパーソンが警視庁の極秘プロジェクトから生まれた事を伏線として上手く繋げたと言える。
山形地区では1993年4月から放送局がこれまでの山形放送から山形テレビへ移行したが、本来の放送時間帯に山形テレビが開局時のフジテレビ系列時代から放送されている地元討論番組「提言の広場」が編成された為、5日遅れの金曜夕方5時からの放送となっていた。
その後2009年4月改編から仮面ライダーディケイドが日曜朝8時に移動し、漸く同時ネットが実現した。
先述の通り前作までの「レスキューポリス三部作」とは繋がらない全く別の世界設定だが、実は前作の「エクシードラフト」自体当初は「ウインスペクター」「ソルブレイン」と世界観を共有していなかった。その為前作と世界設定の繋がりを完全に無くしたのがこの「ジャンパーソン」である。ジャンパーソン以降も作品同士の繋がりは本来無かったはずだが、「重甲ビーファイター」で「ブルースワット」と共に繋がりができた。
関連タグ
特捜エクシードラフト→特捜ロボジャンパーソン→ブルースワット