「──告げる!
汝の身は我に! 汝の剣は我が手に!
聖杯のよるべに従い この意この理に従うならば応えよ!
誓いを此処に! 我は常世総ての善と成る者! 我は常世総ての悪を敷く者──!
汝 三大の言霊を纏う七天! 抑止の輪より来たれ 天秤の守り手──!」
『夢幻召喚(インストール)!!!』
概要
クラスカードの真の力。英霊の力を自身の体を媒体にし具現化させることで、その能力をフルに発揮する。
分かりやすく言えば、自分を一時的にデミ・サーヴァント化させる魔術。ステッキにカードを読み込み宝具化させる『限定召喚(インクルード)』と違い、元となった英霊の能力、技術が使用者に付与されるため、素人であっても一流の戦士として十分な水準には至る。
しかしながら(一部を除き)戦術、記憶までは与えられず、魔力も提供されない。そのため同じカードを使ったとしても使用者のセンス、魔力次第で強さはいくらでも変わり、使い方次第ではアーチャーのカードが接近戦でセイバーを圧倒することもある。
また、バーサーカーのカードから上書き(オーバーライト)する場合のみ、バーサーカーのクラスとスキルを継承したまま他の英霊になれる特性も有している。(上書召喚/オーバーライト・インストール)
初登場はセイバー戦でのイリヤ。アーチャーのカードを無意識に夢幻召喚することで英霊化、彼女を撃破した。ただしこれはイリヤから分化する以前、イリヤの一部分として安全装置化していたクロが行った事であり、当時のイリヤ本人は覚えていなかった(その後アサシンとの戦いのショックで全て思い出す)。
その後、使い方を知った美遊もバーサーカー戦でセイバーのカードを使用。
イリヤも以前クロが自分の身体でやって見せた感覚を呼び起こして、夢幻召喚を使いこなす。
クラスカードを使用する強敵が現れた原作第3部『プリズマ☆イリヤ ドライ!!』からは、英霊同士の力がぶつかるFateシリーズらしい激戦が多くなり、特にイリヤは最初に登場した7枚全てを一回以上は夢幻召喚して戦っている。
基本的にサーヴァントの出典元は冬木を舞台にした『Fate/staynight』や『Fate/zero』だが、使用者によっては『prototypeシリーズ』の要素が現れるタイプも存在している。
セイバー
速度、筋力のバランスが取れており、武器の聖剣も扱いやすい。カレイドの魔法少女の弱点である近接戦闘能力を上手く補ってくれるため、作中でもかなり便利に使われている。
宝具は威力・射程ともに優秀だが、魔力消費が非常に大きいため、発動すると魔力切れで変身が解除されてしまう。
イリヤはセイバー・リリィに似た衣装、美遊は本編のセイバーから胸当てを外したような衣装となっている(へそが出ているなど全体的に露出度が高め)が性能には特に差異はない。
また、男性が使用すると旧セイバーに似た格好となる。(また、兜を被っていたり、剣自体はアルトリアの物だったりと差異がある。)アルトリア・ペンドラゴンそのものに繋がったカードというより、アーサー王という『概念』そのものに繋がったカードなのかもしれない。
ジュリアンとの最終決戦でイリヤが使用したときは、さらに姿を変え甲冑にファーのついた赤いマントと、アーサー王本来の姿と色違いの衣装となり、セイバーの力をさらに引き出せるようになった。
イリヤ版
アーチャー
作中初の夢幻召喚。イリアーチャーも参照。
俊敏な動きと優れた剣技で黒化セイバーすら追い詰める一方、宝具の投擲や弓による射出で遠距離もカバー、更に盾の宝具により防御力も極めて優秀な、非常に汎用性の高い英霊が宿っている。
第2部序盤でクロの核になってしまっているため、以降は他の者が使えない状態になっている。
また、過去には美遊の兄が使用していた。彼はこの英霊とただならぬ縁が有った事からカード無しでも力を行使する事が可能になったが、代償として力を使う度にその存在を英霊に置換されてしまう。尚、美遊の兄が使用した際の姿はとある英霊に似た外見となっている。
劇中ではアンジェリカと美遊が使用。
宝物庫に無尽蔵とすら言える大量の宝具を貯蔵しており、任意で使用可能。原作同様の絨毯爆撃も行われる。
しかしながら近接戦闘はいまいちで咄嗟の事態への対処も不得手。付随被害が大きいので毎度全力で消し飛ばすわけにもいかず、使い方次第では大きな隙を晒すことになる。
その他、宿っている英霊の自我が非常に強いため、下手をすると使用者の意識が飲み込まれかねない独自のリスクもある。実際に美遊が使った際には、英雄王の意思が彼女を支配しかけた。
ランサー
近接戦闘ではセイバーにも引けを取らない。
宝具は真名解放すれば必中必殺の赤槍。本編通りなら解放しないでも強力な治癒阻害付きという極めて厄介な代物で、一対一などでは魔力消費量の大きいセイバーよりも実戦向き。作中ではその確実性から美遊が『限定召喚』で最も多用している。
しかし手加減が出来ないというデメリットもあり、使う相手をかなり選ぶ。また、心臓がない相手には強力な槍程度にしかならない。
イリヤたち以前にはケイネス・エルメロイ・アーチボルトが使用していた(『Fate/Zero』でクー・フーリンと同じケルト神話のランサーのマスターであった人物である)。
ライダー
俊敏値が高めで石化の魔眼持ち。鎖は捕縛、攻撃、投擲と使い勝手があり、天馬を召喚し高速飛行も可能となかなかの汎用性。宝具使用時は天馬による突撃を行う。
美遊は問題なく使用できるが、相性の問題でイリヤが使うとスペックダウンしてしまい、魔眼も片目のみの発現となる。
イリヤ達が使用する以前には間桐雁夜が使用していた(『Fate/Zero』でのバーサーカーのマスターであり、間桐桜と相棒を入れ変えた形となっている)。
キャスター
火力は上がるが防御が犠牲になり、基本的にカレイドの魔法少女とできることがモロ被り。
フルスペックを発揮しようとすると時間をかけた拠点構築が必要なのだが、これが一時的な英霊化であるインストールのシステムといまいちかみ合わない。
しかし理論上の火力は折り紙つきである他、付属するある宝具が特殊な効果を持つため、作中非常に重要な場面で使用。
アニメのOPにも登場しているので、印象に残っている読者・視聴者は多いかもしれないが、回想を除くと結局イリヤしか使う機会がなかった。
イリヤ達以前にはアトラム・ガリアスタが使用していた(本編でキャスターの最初のマスターであった人物)。
アサシン
このカードはとある暗殺者集団に繋がっており、使用者との縁や相性によって召喚される人物が変わる。他のカードも使用者によって性能は多少変わるが、このカードは特に使用者による変化が大きく、完全に別物になることも。
イリヤが使用した場合、分身による集団戦を得意とした暗殺者が召喚される。
分身能力は黒化英霊時に比べて大幅に性能低下しており、せいぜい変わり身人形程度の分身を作るぐらいで、出せる数も少ない。性能が逃走・隠匿に特化しており戦闘は苦手。
しかし、発動にほとんど予備動作がいらないので、緊急回避と割り切ればとても有用。
美遊の兄の回想で登場したときの姿。
右腕がうねうねと縦横無尽に蠢く触手になっており、切り落とされた触手を遠隔操作することも可能。大量の触手を人型に成形して戦闘をさせることもできる。
イリヤが使用している時よりも正面戦闘向きではあるが、やはり不意打ちがメイン。
仮面が不気味、腕が不気味、使う力も不気味である。
使用者は間桐慎二で本編のアサシンのマスターと血縁関係にある人物である。
美遊が使用した場合、全身に猛毒を宿した暗殺者が召喚される。
身体から空気中に放出される毒によって、相手が気づかぬ内にその肉体を侵し弱体化させる事が可能。性質上近接戦闘を行う相手にも有利に立ち回れるが、味方を巻き込むリスクも孕んでいる。
この他、クロエが使用した際の姿が劇場版特典チケットに描かれている。
バーサーカー
夢幻召喚に使った場合、強大な戦闘力を得る替わりに徐々に使用者本人の理性が奪われてしまう。
この大きすぎるリスクがあるため、イリヤがはじめて使用したときには協力者の手で10分の制限時間が設けられ、自動的に排出(アンインストール)されるようになった。
イリヤの使用時は上半身がサラシ1枚で腰蓑を巻いた半裸の姿となり、凄まじい肉体強度と怪力で巨大な斧剣を振るい闘う。しかしバーサーカーである為、宿す英霊本人の武芸は完全再現できない様子。
後述する二枚目に押されてしまっていたが、イリヤとは相性がとても良く、制限時間を過ぎて夢幻召喚し続けてもギリギリ理性を保てるなど、予想以上の活躍を見せた。作中ではイリヤがセイバーと並んで最も多用している。
また、原作よりも先にゲーム版で登場はしているのだが、それは忘れろ。
- 雷神トール?
作中ではベアトリスが使用。
宝具の大槌『悉く打ち砕く雷神の槌(ミョルニル)』から雷撃を放ち物質を原子のレベルで分解するという、英霊のくくりでも最強格の破壊力を持つ上、近接戦闘もかなり強い。
宝具から真名は雷神トールと推測されたが、子ギル曰くクラスカードでも純粋な神霊を召還することは原則不可能であり、何かしらカラクリがあると推測されていた。事実、出自から神性が高い割にすぐに天の鎖から抜け出せていたなどの伏線が張られていた。(これがトールならもっと拘束時間が長かったと思われる。)
その正体は神霊トールではなく、その息子にして半神半巨人である「マグニ」。現在判明しているクラスカードの中で、過去作からの出典でない完全新規の英霊である。
原典の北欧神話ではトールの死後に彼が大槌を回収しており、その経緯から同じ宝具の使用が可能となっている。加えて父とは違い死を迎えた逸話がないため、無力化できる弱点が存在しない。ただし、父の逸話から後退すると狂化がさらに進行する。
使用者が人形に置換された死者の人格である事や、少なくとも2ヶ月以上、夢幻召喚で狂化し続けたことで本来の人格は上辺しか残っておらず原形を留めていない。
宝具を所有権ごと強奪する特性を持つ。このため多種多様な宝具や武器を扱うアーチャーのカード2枚共、このカードとは相性が悪い。
さらに間桐の魔術特性で虚数属性を発露させ、その力を以て人の身でありながら英霊の力を飲み込んで自らを作り変えている。
ライダーのカードの別側面である『怪物』。先行での登場例によれば本来は"復讐者"のクラスに該当するのだが、1枚目のバーサーカーからクラスを引き継いだことで、いわゆるバーサーク・ライダーとしての夢幻召喚が行われた。
蛇と人を合わせたような姿となり、ステッキは蛇の髪となって一体化している。騎兵と同様に石化の魔眼も使用可能だが、イリヤの使用では相変わらず片目のみの発現となっている。
作中ではベアトリスの『悉く打ち砕く雷神の槌』による攻撃を真正面から受け止めるなど、魔性としての人知を超えた怪力がより強く発揮されている。
その他
エインズワースが"本命"として引き当てたと推測されているカード。クラスは不明。
エインズワース家はこのカードとエリカを使用し、世界の救済を掲げている。
宝具のみ
ジュリアン・エインズワースがクラスカードで使用した宝具達。
いずれも使用者が特定されておらず、子ギルも詳細を知らないと言っている。
この点から通常の英霊とは異なる“何か”である事が伺え、謎が深まっている。(『FGO』で語られた幻霊と同様の概念なのかは不明。)
- 三○一秒の永久氷宮(アプネイック・ビューティ)
巨大な氷壁で周囲を覆い、約五分で範囲内の敵を窒息させる宝具。
ただし、発動時に自分を巻き込んでしまった場合、容赦無く窒息する。
カラドボルグを持ってしても突破できない高ランクの結界型宝具である事が判明済み。
ルビを英語で表記すると『apneic_beauty』。無呼吸と美しさを合わせた造語である。
宝具名からこの宝具の持ち主は恐らく…。
- 黒玉皇に顔は無し(オーソテリアン・パーソナリズム)
概念的な干渉により、対象を地面に伏せさせる。曰く、重力操作でも概念的な干渉でもないとの事。
オーソテリアンは権威主義者、パーソナリズムは人格主義を指す。
恐らく宝具名からこの宝具の持ち主は…
- 両立する螺旋の右手(シャドウハンド・オブ・コード)
無数の黒い手で対象を捕縛する。クラスカードの柄からアサシンの英霊である事が判明している。
- 地臥す夜鷹の千年渓谷(そらはちよりちはそらへ)
巨大な岩山を召喚して防壁としたり、質量で押しつぶすという応用が可能な宝具。
黒化英霊が発動している。
夜鷹と言うワードやペンを使って発動すると言う要素から、この宝具の持ち主は…。
- 魔術荊棘・並列接路(スパイン・パラレルコネクション)
自身の魔術回路と接続した茨を操り、対象を拘束したり、攻撃したりする。
アニメ版のみの登場だったが、後に原作でも逆輸入された。
余談
同じカードを用いた場合でも使用する人物によってコスチュームが変化する模様。
(例:イリヤ→セイバー・リリィ(途中からFGOにおける第三再臨の姿になった。)、美遊→青セイバー)
これは使用者の練度、魔力、英霊との相性などが関係しているらしい。
意匠だけでなく鎧や衣服の面積までもがこの辺の影響を受けており、イリヤたちの夢幻召喚が原典に比べて無防備な装備になりがちなのはそのため。
イリヤから分化したクロが行う戦闘スタイルは、クラスカードを核とした魔力による現界なので正確には夢幻召喚ではない。
またpixivでは他のFate派生作品に登場するサーヴァントを夢幻召喚させたイラストも存在する。
公式も意識しているのか、『ドライ!!』10巻の特装版では、「プリズマインストールコレクション」と題した企画が行われている。
関連イラスト
関連項目
シトナイ(Fate):SNイリヤの肉体と記憶に、三柱の女神が習合した疑似サーヴァント。ある意味では、夢幻召喚の逆転現象といえる形態。