概要
スーパーファミコン版の第一作『ゆき姫救出絵巻』での登場以来、派生作品も含めてシリーズ最多出演を誇る敵キャラクター。
ゴエモンとの戦いに破れて以降、ゴエモンを倒す事だけを生き甲斐に己の体をサイボーグ化してまで挑戦を繰り返す復讐の鬼。
変遷
ゆき姫救出絵巻
ステージ6「山城国」(現在の京都府南部地域)の難所『天狗山』を根城とし、旅人から金品や通行手形を強奪する一人働きの悪党『つづら助六』として登場する。
白塗りの顔に赤の筋隈、入れ子枡の地抜紋をあしらった海老茶の袴、着物の下の着込んだ甲冑や袂を絡げるだんだら縄など、その姿は市川團十郎宗家の傑作選『歌舞伎十八番』の1つ『暫』(しばらく)に登場する主人公「鎌倉権五郎景政」(かまくらごんごろう かげまさ)をモチーフとした傾奇者と呼ぶに相応しい外見に加え、ケレン(歌舞伎における奇抜な演出)の「宙乗り」(ちゅうのり)や「葛籠抜け」(つづらぬけ)までやってのける相当な派手好み。
からくり機構を持つ巨大な葛籠から姿を現す第一形態では空中浮遊からの強烈な急降下と画面全体に降らせる桜吹雪で牽制する、葛籠を失った第二形態では自慢の巨体を活用した大地を揺るがす飛び六方で左右に移動しつつ毒霧やかつらブーメランを織り交ぜた強烈なコンビネーションを駆使するといった目まぐるしいパターンでプレイヤーを翻弄し、終盤に登場する『やじろべえ達磨』『はんにゃ大将軍』と共に「ゆき姫救出絵巻初見殺し三本柱」に君臨する。
漫画版では、コミックボンボンでコミカライズを手掛けた帯ひろ志のプロレス好きが高じて実在のプロレスラー『ザ・グレート・カブキ』をもじった『グレートル(愚れとる)・カブキ』の名称で登場する。名前の由来通りにプロレス勝負を申し込んでゴエモンを圧倒したが、形勢逆転の末に敗北を喫した。
奇天烈将軍マッギネス
中国地方から近畿地方を支配下に置いたマッギネス隊の拠点『かぶき城』に駐留し、その最上階で待ち構える防衛責任者『かぶき・りたーんず』として登場する。
復讐に燃えて鍛錬に明け暮れていた頃、日本支配の準備を進めていたマッギネス=カス=テイラ直属の科学者集団「マーブル五人衆」の1人であるマーブル・ブルーにスカウトされ、より強い力を得るためにからくり改造手術の提案を飲み、この改造手術を契機に助六の名を捨ててゴエモンを倒すためだけに存在するキリングマシーン『カブキ』となる。
手足を中心に大幅な機械化が施されており、足裏のジェット噴射で跳躍力を増した飛び六方や一回の噴出量を多くした毒霧に加え、背中の葛籠から発射されるのは桜吹雪ではなく2種類の射出タイプを持つエネルギー弾「マーブル弾」に、かつらブーメランも追尾性能を付与した「ホーミングかつら」に強化されている他、袴の地抜紋が入れ子枡から三つ入れ子枡(歌舞伎十八番をお家芸とする市川團十郎宗家の定紋)に変わった。
なお、条件を満たすと出現する隠しステージに進み、さらにそこで提示される4つの条件をクリアして挑戦可能となる「ばーちゃ地獄」の最奥部で本来のボスを倒した後、時空が歪んだ空間から突如として現れてまさかの再戦となるが戦闘能力に別段の変化は無い。
漫画版では人間形態も披露しており、その外見はまさしく『ターミネーター』のイメージそのものとなっている。尽きる事無く湧き上がる復讐心を源とした驚異的な戦闘力でゴエモンたちをあと一歩まで追い詰めるも、サスケのちょんまげ機能に怯んだ隙を突かれて貫通小判の痛烈な一撃を浴びて再び敗れる。
獅子重禄兵衛のからくり卍固め
規定の条件を満たすと現れる本当のエンディングシーンで、もはや異形と化した巨大からくりサイボーグ『かぶき・ふぉーえばー』として登場する。
この時、シスター・ビスマルに伴われて大江戸はぐれ町で暴れ回った謎のからくりサイボーグ『からくり用心棒』が自分であった事、おみつを攫ったビスマルを追って時空航行していた時にゴエモンインパクトに妨害工作を仕掛けた事など今回の一件に深く関与していた真の黒幕である事実を自ら明かにする。そしてからくり再生能力を結集して強化復活した最終形態でゴエモンとの一騎打ちに臨む。
前2作品と比べてゴエモンたちの4倍近くある巨体に似合わぬ軽やかな飛び六方や高低差の激しい毒霧で襲い掛かるが、最も怖ろしいのはホバージェットで一気に間合いを縮めて両手の鉈を振り下ろす直接攻撃であり、全身を使って繰り出される鉈の範囲は画面の約25%に及ぶために逃げ遅れれば必中は免れない。
ちなみに、この時のカブキは「遥か遠い未来から時空を越えて現れた」という設定であり、即ち後発作品に登場する様々な改造体を経た末の姿となっている。
漫画版でも真の最終ボスとして登場。名前は「カブキフォーエバー」。ゴエモンインパクトと伝説の巨神の対決が終わった直後に突然現れ、ゴエモンの命を狙って襲い掛かって来る。ゴエモンとは一進一退の勝負を繰り広げるも改心した獅子重禄兵衛がゴエモンに加勢したことで旗色が悪くなる。次々とプロレス技を掛けられ、最期は先祖と子孫のツープラトンバックドロップで頭部を破壊されて爆発四散した。
でろでろ道中 オバケてんこ盛り
CV:柳沢栄治
ビスマルが物知り爺さんから奪い取り、かつて妖怪世界を蹂躙した恐怖の大魔王『ドウチュウ鬼』の復活に利用された発明品「召喚マシーン」の番人『復讐の戦士 カブキ64』として登場する。
頭髪が白色になり、マニピュレーター化された両腕やジェット内蔵型の両足がサイバネティックボディと人工表皮の導入で生身と見紛う精巧な機械体に置き換えられた他、海老茶に白抜の紋袴が黒地に赤抜の紋袴に変わり、紋自体も隅立て三つ入れ子枡となった。
「りたーんず」の時と比べてゴエモンたちの3倍近い巨体となったにも関わらず驚くほど身軽な飛び六方で近付き、飛躍的に噴射時間と出力が向上した毒霧で動きを封じ、相手の攻撃を大判の下駄で受け止める防御形態まで展開するようにもなり、従属する海坊主に強烈な金棒の一撃を繰り出す指示を出す戦略も織り交ぜた多彩な攻撃を仕掛けてくる。
また、撃破後には不測の事態に備えて建造した巨大からくりメカ『チョー戦国メカ カブキファイナル』に魂を憑依させてすぐさま出撃し、そのまま再戦に臨む。
もののけ双六
CV:高木渉
第6マップ「インパクトデッキ」で立ちはだかる相手『カブキ』として登場する。
本来であればゴエモンを憎んでいるはずだが、ゴエモンやエビス丸の問い掛けに対して律儀に敬語で返すという性格面の変更に加え、黒袴が馬乗り型から行灯型に変わり、三つ入れ子枡紋も袴の裾を彩る二本の筋に変更され、下駄も二枚歯の高下駄となり、青地の前垂れには金糸で「歌舞伎命」と縫い込まれ、新たに装着したプロテクトアーマーの背面からはふぉーえばーへの伏線を匂わせる4本のエアダクトが突き出ているなど大幅なデザイン変更が施された。
なお、派生作品のパチスロ機『がんばれゴエモン』ではりたーんずと共にこの姿で出演し、さらに2011年に発表された続編『がんばれゴエモン2 奇天烈回胴活劇』ではこの時の改造体を素地として限界まで追加改造を施したハイグレードバージョン『カブキリベンジ』として出演している。
大江戸大回転
エコロリ斎の壮大な勘違いによって実行された「日本リサイクル計画」により、かつてのかぶき城に似せた内観に改築された大江戸城の松の廊下でゴエモンたちを待ち構える『不屈の連敗男 カブキ男』として登場する。
姿はカブキ64に極めて近く、諸肌だった上半身にはプロテクトアーマーを装着し、追尾扇子や番傘パズソー、見得を切ってから繰り出す突進張り手など新たな機能を与えられている一方、自慢の巨体はゴエモンたちよりもやや大きい程度に抑えられ、袴の三つ入れ子枡紋は「再」の一文字、トレードマークの葛籠は巨大な空き缶という無残な姿に変わり果てた。
東海道中 大江戸天狗り返しの巻
カブキ本人ではないが、カブキと関連性が高いと思われる敵キャラクター『助六』が登場する。
髪型と素襖(古式の直垂)を除いて『暫』の鎌倉権五郎を模倣したつづら助六同様、出で立ちこそ歌舞伎十八番の1つ『助六由縁江戸桜』(すけろくゆかりのえどざくら)の主人公「花川戸助六」(はなかわどのすけろく)を彷彿とさせるが、髪型を権五郎特有の「力紙に車鬢」(ちからがみにくるまびん)に整え、その上に筋隈まで施してあるという部分的な崩しを取り入れている。
また、攻撃方法に見られる飛び六方や跳躍からの押し潰し、毒霧、番傘などにも共通点が多い。