メキシコ

めきしこ

北アメリカ南部に位置する連邦共和国

概要

首都	メキシコシティ
面積	196万4375平方キロメートル
人口	1憶2915万971人
建国	1821年9月27日（スペインより独立）
通貨	ペソ
公用語	スペイン語
国家元首(職)	大統領
政体	大統領制連邦共和国

メキシコ合衆国（メキシコがっしゅうこく、スペイン語：Estados Unidos Mexicanos、英語：United Mexican States、通称：メキシコ）は、北アメリカ南部に位置する連邦共和国。現在のアメリカ合衆国の本土にある南西部の地域は元々この国の一部だったが、1848年2月に米墨戦争に敗北して領土を失った。アメリカ南西部にスペイン語の地名が多く見られるのは、かつてメキシコの一部であった名残である。その後は国境を接するアメリカ合衆国の勢力圏下に置かれつつも、中南米諸国との関係も重視した多元外交を実施している。

1521年8月にスペインの統治に服する以前は、アステカ帝国やマヤ文明と言った先住民の国が栄えていた場所である。

歴史

1428年3月にアステカ族はテノチティトラン・テスココ・トラコパンの3つの都市・都市国家と共にアステカ三国同盟を形成した。1472年6月にネサワルコヨトルが死去した後は、アステカの湖上の都であるテノチティトランを中心にアステカ帝国を形成した。

1519年2月にスペインのコンキスタドール（征服者）であるエルナン・コルテスが上陸し、コルテス達はアステカの内紛・神話の伝承を有利に利用して執拗な大虐殺を繰り返し実行した。その末に首都であるテノチティトランを破壊し、1521年8月にアステカ帝国を滅亡させた。1535年10月にこの地にヌエバ・エスパーニャ（新スペイン）副王領が創設され、1821年9月に独立するまでメキシコはスペインの統治に服した。

国内

自然

北部は乾燥帯で砂漠が見られる。南部や平野部では熱帯雨林が卓越する。全体的に山がちな国であり、内陸部にメキシコ高原が広がる。首都のメキシコシティや第2位の都市であるグアダラハラを始め、主要な都市の多くはこの高原上に位置している。トウモロコシや綿の原産地と言われる。

文化

ルチャ・リブレという格闘技が盛んである。食べ物では竜舌蘭から作られた蒸留酒のテキーラ・軽食のタコス・香辛料のタバスコなどが有名である。犬の品種として知られるチワワは元々はメキシコ北部の都市の名称である。伝統的な民族衣装ではポンチョ・つばの大きな帽子（ソンブレロ）などが有名である。

社会

人種

伝統的なカトリックの国で、1憶2915万971人の総人口はスペイン語を公用語とする国の中で最多となる。構成する民族はメスティーソが全体の約6割、原住民のインディオが約25パーセント、白人が約14パーセントとなっているという。

通貨危機

1982年8月と1994年12月の2度の通貨危機を受けて国有企業の外資系への売却と海外資本の導入が進められ、1994年1月に北米自由貿易協定（NAFTA）が発効された。多数の億万長者が産まれる一方で、大半の国民は物価高騰で生活苦に喘ぐという結果をもたらした。

治安

NAFTAが発効された後は多くの農民が失業し、貧困なメキシコ人のアメリカ合衆国への流入（密入国）は深刻な国際問題となっている。格差社会による貧困層の絶望は治安の悪化・社会の荒廃をもたらしており、2006年12月から麻薬カルテルの抗争で治安が極度に悪化した。地域によっては行政組織が崩壊しており、毎年数万人の死者・行方不明者を出している。ちなみに「リアル北斗の拳状態」というほど酷いのはメキシコでも一部の地域ではある。

アメリカへの密入国・麻薬などの密輸の問題が多発しており、アメリカの国境警備隊の大半がメキシコとの国境での警備に配属されている。

外資

メキシコ人の給与が安い事からアメリカ合衆国を市場とする外資系の製造業が多く立地しており、日本企業が多く進出している。

国際関係

アメリカ合衆国

1825年6月に外交関係を樹立し、ポルフィリオ・ディアス大統領の時代に緊密な外交・経済関係を築いてきた。1876年11月から1911年5月まで続いたディアス大統領の長い在任中に、アメリカのビジネスマンは国内で農業・鉱業の権益を取得した。アメリカは1910年11月のメキシコ革命の過程で重要な役割を果たし、アメリカの直接的な行動が結果に影響を与えた。

1964年1月にアメリカとメキシコは国境条約を締結した。この協定で両国間の国境をめぐるチャミサル紛争を解決し、アメリカは係争中の領土を割譲した。1970年11月に新たに締結された国境条約は、両国間のさらなる問題を解決した。

2017年7月にドナルド・トランプ大統領とエンリケ・ペーニャ・ニエト大統領が会談した。この会談でメキシコ・アメリカ・カナダに「具体的な利益」をもたらす為、北米自由貿易協定を近代化する事の重要性を強調した。更に農業部門の移民の為の一時的な労働プログラムの検討・組織犯罪の問題を「分かち合い、責任を持って」対処する事に合意した。

日本

1888年11月に外交関係を樹立し、この時に修好通商条約を締結した。メキシコは日本と非常に良好な社会・経済関係を享受しており、日本の投資の主要な中心地となっている。日本はメキシコの工業・自動車・技術・製造部門に多額の投資を実施しており、2005年4月に経済連携協定を発効させた。

スペイン

1836年12月に外交関係を樹立し、1939年4月にフランシスコ・フランコが権力を掌握した事で一時断交した。1977年3月に回復し、それ以来緊密で温かい外交関係を共有している。

2019年3月にロペス・オブラドール大統領は旧宗主国のスペインに対し、侵略から植民地時代における人権侵害などについて謝罪するよう求めた。ロペスオブラドール大統領は「和解を進める為」とするが、スペイン政府は反発しており、今後は両国関係の悪化が懸念される。

ロシア連邦

1890年12月に外交関係を樹立し、1930年1月にイデオロギーの相違を理由に一時断交した。1942年11月に回復し、1968年5月に文化的及び科学的協力に関する協定を締結した。

2015年12月にロシアとメキシコは外交関係樹立125周年を記念し、セルゲイ・ラブロフとクラウディア・ルイス・マシュー外相が祝電を交換した。ルイス・マシュー外相はこの記念日は両国間に存在する強固な友好関係の一例であると書簡で保証し、両国関係を強化する為の共同作業の重要性を強調した。更に両国間の100年以上の外交関係を示す文書・絵画・祝祭の展示を通じて、歴史的な繋がりを記念する様々なイベントを設立する事に同意した。

2022年3月にロペス・オブラドール大統領はロシアに対する如何なる経済制裁にも参加しないと発表し、ロシアの国営メディアの海外検閲を批判した。

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