データ
別名: | 宇宙浮遊物体 |
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出身地: | 宇宙 |
概要
『ウルトラマンデッカー』に登場する地球外生命体。
同作のスーパーヴィランにあたる。
現在では母機と思われる巨大宇宙球体キングスフィア、そしてキングスフィアから生み出される精強宇宙球体スフィアソルジャーの二種類が確認されており、これらを纏めて『スフィア』と総称している。
さらに、詳細は不明だが、暗黒惑星グランスフィアに相当する本体とも言うべき更に巨大な個体も存在している模様。
『ウルトラマントリガー』本編でのメガロゾーアとの戦いから9年、そして『エピソードZ』での事件で怪獣災害が途切れてから7年の時が過ぎ、人類が本格的に宇宙進出に乗り出そうとした矢先に突如として出現。
まず火星のレッドシティを襲撃、その後地球にも襲来し、日本のみならずオーストラリアのシドニー・フランスのパリ・エジプトのギザなどでバリアを発し(バリアを展開する描写こそなかったが、アメリカのニューヨークにも出現している)地球全体を覆い宇宙から孤立させるが、その正体や目的については謎に包まれている。なお、作中では宇宙との通信が遮断されたとする一方で、地球内での通信は問題なく行われているが、これはスフィア達がバリアに同化し活動を停止していたためと思われる。実際、後述のスフィア合成獣が攻撃を仕掛けた際は、一時的ではあるものの通信障害が発生している。
かつて『ウルトラマンダイナ』に登場した宇宙球体スフィア同様、他の物体や生命体(※細胞片だけでも可)に寄生してスフィア合成獣を生み出す能力を有している。
さらに、合成獣とは別に複数のスフィアソルジャー同士が融合することで怪獣形態・精強融合獣スフィアザウルスを生み出すことも可能。
この他、『ダイナ』のスフィアが作中でやらなかった人間の同化・吸収を積極的に行っており、スフィアソルジャーは直接人間を取り込んでいる(一度取り込まれてしまったアスミ・カナタは強い精神力によって跳ね除け、更にデッカーの力も手にした事で難を逃れたが、一時は自分の名前どころか、自分が何なのかも分からなくなりかけており、この事から取り込んだ人間の記憶や自我を奪いながら徐々に同化するようである)。その恐ろしさは(単体といえど)あの異次元人ヤプールすらも抵抗できないまま容易く記憶や自我を取り込まれ、狂ったように笑うことしかできなくなってしまった。
また、捕らえたケンゴからは「記憶だけ」を写し、取り込むといった芸当も行っていた。
上述にある通り、怪獣の召喚や地球全体をバリアで覆うなどの能力から見て、『ダイナ』に登場したスフィアよりもずっと強力な存在だと思われる。加えて、単にスフィア合成獣を生み出して破壊活動を行うだけだった『ダイナ』のスフィアに対して、こちらは電磁パルスを発して人類側の無人操縦兵器を無力化させて対抗手段を封じてきたり、バリアの完成を妨害されないよう予めスフィアザウルスを投下して時間稼ぎをしたりと、狡猾で極めて知能的な行動が目立つのも特筆すべき点である。その後のスフィアゴモラを始めとするスフィア合成獣も同様に電磁パルスを使っている。
その脅威度は未知数だが、少なくとも規模は闇の三巨人を遙かに上回っているらしく、現在のケンゴことトリガーは火星でスフィアと戦っている。
火星ではバリアを覆わず攻撃を続けており、宇宙に出ていた人々は火星に避難した為、火星組である元GUTS-SELECTメンバーは1年間トリガーとともに徹底抗戦を行っていた。またスフィアという名前は地球で名付けられたため、火星では「あの物体」などの呼称を使用している。
またかつてシズマ財団とTPUが宇宙開発のための前線基地として設立し、今や役割を終えたTPU月面基地を自分達の巣として大量に巣食っており、さらに自らの「器」にするべく基地周辺にギャラクトロンMK2などのメカの残骸を集めていた。
なお、第1話~第2話までの1年間、スフィア達はバリアに同化し一時的に活動を停止していたが、スフィアの襲来は休眠状態にあった怪獣達の本能(警戒心)を呼び覚まし、過去の話になりつつあった怪獣災害を再び引き起こすこととなってしまった。怪獣たちが出現するようになったのは、スフィアを脅威として認識し、これを排除しようとしていたかららしい。
また、スフィアザウルスが地中のエネルギーを吸収していたことと関係しているかは不明だが、第4話に登場した温泉街:ユノハナ町ではスフィアが地球にシールドを張って以降、水脈の流れが変わってしまい、かつては豊富に湧き出ていた温泉が殆ど湧き出て来なくなってしまったことが語られている。
それだけではなく地球に滞在していた宇宙人もバリアによって母星に帰れなくなってしまった(スフィア難民)。
そして、『ウルトラマンサーガ』でバット星人がした様に、別勢力から逆に利用される事態も起きており、前作『ウルトラマントリガー』で敗北した「超古代の闇」が邪神メガロゾーアを基となったカルミラごとスフィアの力によって再生・復活させている。
襲来の真相
その正体は、現代の地球から数百年後、さらなる宇宙へ進出した人類が遭遇する生命体。「宇宙の摂理」とも語られている。
数百年後の人類は、多くの宇宙人やもう一人のウルトラマンと協力し、彼らと戦っているという。
スフィアの目的は、進んだ文明のある惑星や強い力を持った生物(要は怪獣)を呑み込み、自らの一部とすることにある。
惑星をバリアで囲むのはその第1段階に過ぎず、投下された怪獣形態のスフィアザウルスが惑星のエネルギーを十分に吸収するとバリアが収縮を始め、やがては更に巨大な本体が現れ、惑星を飲み込んでしまう。
アガムスの故郷であるバズド星もスフィアのバリアに覆われ、危機的な状況にあるといい、その原因となったのは地球人と出会ったからだとも(地球と交流したことで文明が発達した可能性がある)。
アガムスは故郷やレリアを奪った原因が地球にあると考え、たとえ目的を果たしても歴史は変わらず、新たな未来が生まれるだけである事を知りながら、復讐の為にスフィアを連れて未来からやって来たのである。
なお、なぜ進んだ文明を持つ惑星を吸収しようとしているのか、『ダイナ』に登場したスフィアと何か関係があるのか、これらについては現時点では詳細が語られておらず不明。
『ダイナ』との比較
『ダイナ』のスフィアは"宇宙球体"という別名であったのに対して、『デッカー』版は"宇宙浮遊物体"という異なる別名が与えられている。
また、『ダイナ』のスフィアの大半が無機物に融合して合成獣を生み出しており、怪獣に寄生して誕生したのが後半に登場したネオガイガレードしかいなかったのに対し、『デッカー』版は序盤から怪獣に寄生して合成獣を作り出している上に、倒された怪獣の細胞片から肉体を再現してみせる、合成獣とは別に自ら怪獣を生み出せるなど異なる点も多い(その点ではむしろカオスヘッダーに近いかもしれない)。
侵略率について
『ダイナ』と『デッカー』は背景事情の違いから、第1話時点でのスフィアの侵略率や被害状況が異なる。
背景事情を絡めて解説すると次の通りである。
ダイナの場合
宇宙開発時代に突入したが、予算は削減されるどころか寧ろ軍拡が進んでおり、この時点でもガッツウイングシリーズやガッツイーグルなどメカニックは潤沢。
第1話時点で前作ウルトラマンのティガが消滅した後であったが、新生防衛チームの整備もある程度済んでいる状態な上に、攻撃を仕掛けた火星でウルトラマンダイナが登場したこともあり、第1話時点での被害が火星だけで済むという比較的好条件でのスタート。
スフィアが地球を主戦場にしたのは、第2話と第35話、第36話のみであり、双胴型が登場したのが第44話といった具合に、戦力を逐次投入する状態であった。
第2話以降は、人類を警戒してか、第35話まで、一切現れず鳴りを潜めてさえいた。
デッカーの場合
『ダイナ』とは違い、前作ウルトラマンであるトリガーは尚も健在ではあったが、宇宙開発時代に突入し、さらにエタニティコアの安定化およびライラーのような暗躍者がいなくなったことにより、7年間怪獣災害が発生せず、それにより防衛費が削減。
おまけに元々メカニックの数が少なく、主要なTPUメンバーは宇宙へ進出してしまっていた為に新生防衛チームの再編成も充分でないなどの悪条件が揃っており、さらにはメカニックの無人操縦移行はジャミングが使えるスフィアに付け入る恰好の隙を与えることになってしまい、地球と火星の双方が大打撃受け、防衛チームの再建と再編成に1年を要してしまった。
しかも第1話時点でスフィア側が地球と火星の同時二正面攻撃をとった上に、地球に関してはスフィアソルジャーとキングスフィア、スフィアザウルスで組織した部隊を5方面から侵攻してきた。
このためデッカーが覚醒するも、スフィアザウルスとの戦いで体力を消耗し、トリガーやトリガーダークも地球にいなかったため(少なくとも前者は第7話での描写を見る限り火星を守って戦っていたと思われるが、後者の行方は現時点では不明のまま)、地球を覆うスフィアのバリアによる封鎖を食い止めきれなかったという最悪の形でのスタートとなった。
このバリアはトリガーにも破れず(状況的にはグリッタートリガーでも破れなかった可能性もあり、闇の巨人の力でも難しい様子)、ヒジリ・アキトがトリガーをスフィアのエネルギーに擬態して、地球を封鎖するバリアを透過する方策を用意するまで火星で戦い続ける道を選ぶ他なかった。
なお宇宙では火星以外も襲撃されていたらしく、1年経った現在は宇宙開拓組も火星に集合。定期的に襲来するスフィアの防衛にあたっている。
地球以外の星ではスフィアソルジャーが襲撃する程度で、バリアを張るといった大規模行動を実施していないため、本命は地球のみで他星には牽制するに留めている状況と思われる。(火星は開拓が進んだばかりという事もあったと思われる)
地球では、怪獣達が警戒して活動を再開した上に、スフィアによって地球怪獣がスフィア合成獣にさせられ、より脅威が増えていく。
こうして比較してみると侵略率に大幅な差がある事がわかる。スフィアが第1話の時点で本気で侵略しにかかるとどうなっていたかを表したIFが『デッカー』版と言えるのかもしれない…。
未来における可能性
ダイナ版のスフィア、デッカー版のスフィアで状況は違うものの共通する点としては人類の未来に関する敵という点が挙げられる。
ダイナ及び前作のティガの舞台のネオフロンティアスペースは人類の戦争や環境破壊などが解決されており、「ティガ」劇中では武装強化やクリッターの殲滅などにも疑問が出されるなど「旧時代の過ちは繰り返さない」という風潮が強く存在しており、「ダイナ」の時代ではネオフロンティア時代におけるTPCの武装強化のジレンマや怪獣脅威の対策などで物語後半からティガ劇中でも指摘されていた「人類が旧時代に逆行している」という面が強調されるようになった。
最終回で明かされたスフィアの「全ての生命が一つの意志で統一されれば平和になる」という目的は、ある意味「ダイナ」の人類が未来の閉塞感を解決する為同じ道を辿っても不思議ではない人類の未来の可能性の一つでありスーパーGUTSはスフィアの同化を否定し失敗を恐れず前に進み続けるというテーマが描かれている。
一方デッカー版は本当に未来からやってきた存在であり、現代未来共々人類や他宇宙人に災厄を齎しており存在自体が未来へ閉塞感を齎す存在でありアガムスが母星の運命の歴史を変える為に現代にやってきてスフィアを持ち込みそれを止める為にカナタの子孫のデッカーが行動を起こすなど「未来世代の過ち」という面が強調され、未来時代の視点における「今を変える為に過去を変える」というダイナとは真逆の経路になっている。
また「ダイナ」が武装強化や人間の過去の過ちなど難解なテーマを抱えていたのに対し、「デッカー」は個々の人物の因縁が絡み目的のために利用するなど前作「ティガ」と「トリガー」の展開の違いも大きく表れている。
余談
見ての通り、モチーフは『ダイナ』に登場した宇宙球体スフィア。前作『トリガー』のヴィランはあくまでも『ウルトラマンティガ』劇場版に登場した闇の勢力のオマージュで名前も異なる別人であったのに対して、スフィアは名前も容姿もほぼそのままである。
『ダイナ』のスフィアは当初『ウルトラマンG』のゴーデスを意識して途中退場とする予定だったところ、方針変更で結果的に番組を通しての敵となった経緯があり、『デッカー』のスフィアは最初から番組を通しての敵であることが『ダイナ』との相違点とも言える。
関連タグ
ゲッター線:こちらも器となるロボットを得た事のある者繋がり。『新ゲッターロボ』の作中にて、ゲッター線の発見者にしてゲッターロボの開発者である早乙女博士が言及している。但しゲッター線の場合は基本的に人類を脅かそうとしているケースは少なく(作品によっては侵略者勢力によって用いられている)、それによって動くゲッターも人類を守る守護神となるのが多い。そしてその皇帝にしてゲットマシン一つが惑星サイズのゲッターに至っては、アーク時代のゲッターチームの一人にして恐竜帝国の王位継承権を持つ者の一人・カムイ・ショウに、テレビアニメ版アークの12話(のアニメオリジナルシーン)にて「化け物などという言葉は生ぬるい。奴等は星を喰らい宇宙を滅ぼす。その行動の根幹にある原理は今より未来、宇宙に進出した地球人類を守るというだけの極めて単純な法則だ」と言わしめており、スフィアとはある意味真逆な存在でもある。しかしこちらも未来世界の宇宙人が被害を受けてゲッター及びエンペラーを危険な存在と見なし、その根本から断とうとして刺客となる者達のきっかけや、本国からの多くの軍勢などを送っていた。また、先の『新ゲッターロボ』の終盤でも、ゲッターやゲッター線が様々な種族の脅威となり、それを断つべく鬼や四天王と言った刺客が送り込まれている。