ゆるゆるなキャラ。
概要
正式には「ゆるキャラ」とは、イラストレーターのみうらじゅんが命名したもので、それぞれの地方自治体がその地方の文化祭や名産祭などの催し物に登場させるマスコットキャラクターのことを指す。
ドラえもんやキティちゃんのように全国的に確固たる名前が流布しているキャラクターではなく、その地方でしか名前が知られていない「ゆるーいキャラクター」というのが命名の理由という。もともとはデザインや設定が雑でお世辞にも可愛いとはいえないキャラクターを指す言葉だった。ほかにも「肌が見えていない」「公式キャラクターである(個人で勝手に作ったものではない)」などの条件もある。
ゆるキャラという言葉は商標登録されているため「ご当地キャラ」と代替されるケースがあるが、ご当地キャラは、後述の萌えキャラやご当地ヒーロー、ご当地アイドルなどを含む幅広い用語であり、ゆるキャラのみを示す代名詞ではない。また、ある時期からはアニメや漫画、ドラマなどの登場人物でおっとり優しい、癒し系のような性格のキャラまでゆるキャラと呼ばれるケースが見られるようになってしまったため、未だ定義が一定しない。
見た目はゆるくてもアピールは決してゆるくないものや、見た目が幾分グロテスクかリアルでゆるさに乏しいものもゆるキャラとされることもあり、何をもってゆるキャラと呼ぶかは人によって判断が異なる。みうらじゅんが提唱した原義の「ゆるキャラ」には「あくまで郷土愛重視で無理に全国に知名度を広めようとしないがゆえに、自由な発想で生まれたキャラクター」という意味合いが強くあった。
ゆるキャラ栄枯盛衰
2000年代、ひこにゃんやくまモンの結果にインスパイヤされた各地の自治体はこぞってゆるキャラを乱造。ゆるキャラグランプリ(2020年を最後に終了)に代表される各地のゆるキャラ同士が修羅の如く知名度を競い合う、ゆるキャラ戦国時代とも呼ばれていた最盛期へ突入する。
過去には地方の祭りなどのパレードに必ずゆるキャラの着ぐるみが登場して愛嬌を振りまいていた時代があり、前述の彦根のひこにゃんなども、そのような活動の過程で知名度を高めた。
しかし粗製乱造によって物珍しさが無くなってしまい、大多数のゆるキャラが莫大な税金の無駄遣いを繰り返した結果、ゆるキャラと共に本来の「ゆるい」という言葉自体も失われていった。
2010年代に入ると、こうした不毛な戦いを続け、衰退していったゆるキャラに代わり、ご当地萌えキャラが台頭。採算の取れないゆるキャラを引退させて萌えキャラを推すか、失敗しても一定の収益が見込める萌えキャラとのコラボレーションでゆるキャラの存続を検討する企業や地方自治体が急増している。
このような状況の変化を受け、それまでゆるキャラと共に萌えキャラも抱えてきた「あわしまマリンパーク」のような施設や団体は、公式ウェブサイトの内容を萌えキャラ中心のデザインに作り変えるなどの対応を進めている。
ゆるキャラグランプリにはゆるキャラしか参加できず、一方、萌えキャラ関連の人気調査などでは萌えキャラ同士しか比較できないゆえに、ゆるキャラと萌えキャラを客観的に比較する手段は限られているが、少ないながらオンラインでも両者の人気差を知る方法は存在する。その一つがイメキャラブックと呼ばれる、株式会社ハンクルズが調査、集計するキャラクターの人気ランキングである。
当該ランキングには萌えキャラと共にゆるキャラも多数登録されている(むしろゆるキャラ戦国時代に乱造されたゆるキャラの方が圧倒的に多い)が、ゆうに4000を超えるキャラクター(内8~9割近くがゆるキャラ)が登録されていながら、上位には、登録キャラクターの総数に比して1割にも満たないはずの萌えキャラしかランクしていない。
これは決して当該ランキングのみの珍しい現象ではなく、当該結果を裏付けるように、日本ご当地キャラクター協会とも関わり深い、TINAMI株式会社が運営するご当地キャラカタログで、キャラクターリストの人気順ソートを試みても近い結果が得られる。
これらの統計からも分かる通り、今やキャラクター文化の変遷が示唆され、もはや人気上位にゆるキャラの影はほとんど見られない時代となった。
こうした背景には、理由の一つとしてゆるキャラの維持および運営に要する莫大な費用がある。一般的なゆるキャラの平均では、キャラクターが活動を通じて得る利益を差し引いた、税金によって補填される経費のみでも1体につき年間およそ2000万円に上り、ひこにゃんやくまモンの例では年間3000万円を超えると公表されている。
先を見通した京都府の学研都市では、当初からコスト面で圧倒的に有利なご当地萌えキャラ(京町セイカ)の採用を決定しており、功を奏した(ご当地キャラクター文化の変遷について詳しくは『ご当地萌えキャラ』の記事を参照)。果たしてゆるキャラの運命は…?
各地域別キャラクター
北海道
ゆきだるマン(札幌市)
ずーしーほっきー【北斗市】
東北
青森
秋田
岩手
宮城
山形
福島
関東
茨城
栃木
埼玉
いがまんちゃん(羽生市)
千葉
群馬
東京
ハーモニー君【東京都調布市・仙川商店街】
きゅんた【小田急バス】
神奈川
※えびなさんは5位落選キャラだが、あまりの見た目のインパクトで一時ネットで話題になった。
甲信越
山梨
長野
新潟
北陸(新潟以外)
石川
福井
富山
東海
静岡
岐阜
愛知
三重
関西
滋賀
大阪
いしきりん【大阪府東大阪市】
サカエル&みそさかい(サカエル・みそさかい)【大阪府堺市】
サカイタケルくん【大阪府堺市】
ハニワこうてい【大阪府八尾市】
泉南熊寺郎【大阪府泉南市】
イヌナキン【大阪府泉佐野市】
奈良
せんとくん【奈良県】
和歌山
京都
兵庫
中国
鳥取
島根
岡山
広島
山口
四国
徳島
すだちくん【徳島県】
トクシィ【徳島県徳島市】
うだつまる【徳島県美馬市】
ふじっこちゃん【徳島県石井町】
あわみちゃん【徳島県阿波市】
香川
うどん脳【香川県高松市】
ことちゃん【※ことでんグループ所属。企業枠】
愛媛
みきゃん【愛媛県】
バリィさん【愛媛県今治市】
高知
しんじょうくん【高知県須崎市】
九州
福岡
佐賀
長崎
熊本
大分
宮崎
鹿児島
イーサキング【鹿児島県伊佐市】
沖縄
海外
中国
フィンランド
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関連タグ
マスコット マスコットキャラクター 癒しキャラ ご当地キャラ
ラブコフ:『仮面ライダーリバイス』に登場する悪魔で、見た目が可愛いゆるキャラである。