概要
略称は「ソルサク」。
キャッチコピーは「超魔法バトルアクション、誕生。」「魔法で狩ろうぜ!」。
「真実のファンタジー」「犠牲と代償」をコンセプトに、巨大な魔物を倒すために自身や仲間を犠牲にして戦うアクションゲームである。プレイヤーが所持できる魔法には限度があるため、役割を分担して共闘することが重要な要素となっている。
2012年5月10日に開発が発表された。東京ゲームショウ2012でプレイアブル出展され、日本ゲーム大賞2012フューチャー部門を受賞した。
発売1週目にPS Vitaカード版が92,396本、"共闘"ダブルパックが22,050本、合計で実質13.6万本を売り上げた(ダウンロード版は集計外)。2014年3月6日に2作目「ソウルサクリファイスデルタ(SOUL SACRIFICE DELTA )」が2014年3月6日に発売された。
ストーリー
主人公
強大な魔法使いマーリンにとらわれた主人公は生贄にされるのを待っていた。目の前でまた一人男が生贄にされ、次は我が身と思っていたところに、その男が持っていた本が喋りかけてきた。
その本の名はリブロム。『喋る魔道書』である。
リブロムには『ある魔法使い』の日記がかかれており、その記録を追体験することで、同じ能力を得ることができるという。主人公は自らの運命を変えるためにリブロムに記された魔物と戦う。
ある魔法使い
物語は『ある魔法使い』が魔法使いとなる試験を受けているところから始まる。
秘密結社アヴァロンによる魔法使いの管理のため、魔法使いは試験を受けていた。
試験中の相棒はニミュエ。
当初はお互いいがみ合っていたが徐々に二人はその絆を深めていく。
しかし二人の間には悲しい試練が待っていた。
魔法使いの試験、最後の課題は『お互いの相棒を殺すこと』
そして、『ある魔法使い』はニミュエに勝利した。彼女を生贄にし右腕に取り込む。
このとき彼は知る由もなかった。『右腕の彼女』に永遠に悩まされ続けるとは。
登場人物
主人公
マーリンによって檻に閉じ込められている。彼自身は魔法の力を持っていないが、リブロムを読み進めることによりその力を得て、マーリンに戦いを挑む。見た目や性別は不明だが、「我が肖像」の記述によって自由に変更可能。
ある魔法使い
リブロムを作った人間。リブロム曰く「かつて実際に存在した魔法使い」だが名前は忘れられている。
かつてはマーリンの相棒であったが何らかの理由でマーリンは異形の姿に、そして『ある魔法使い』は死んだらしい。右腕にニミュエを宿してから途方もない殺戮衝動に駆られるようになり、それを解決するためにマーリンと供に『聖杯』を捜していた。
喋る魔道書、主人公に『ある魔法使い』の記録を追体験させる。
我がままで皮肉屋だがその一方で主人公に対して適切なアドバイスをくれる。
その正体は……。
劇中では世界を支配する不老不死の魔法使い。
リブロムの記述中では割と温厚な性格の様だが、時折右手に宿した生贄の魂に揺らがされることもある。彼は未来を予知することが出来るが、その代償として常人の何倍もの速さで老いていく。
魔物を生贄にすることで若さを保つことができる。『ある魔法使い』と供に聖杯を捜していた。
ニミュエ
『ある魔法使い』の元相棒。「アヴァロン」の試験の際に相棒だった。
最期は『ある魔法使い』に生贄にされるが、彼女の宿す殺戮衝動はその後、一生『ある魔法使い』を悩ませ続けることになる。その殺戮衝動は彼女の生い立ちに秘密があった……。
ちなみにファンからの愛称は『ニミュエたん』。
マーリンを追いかける女魔法使い。
その容姿をマーリンは「醜い老婆」、『ある魔法使い』は「ニミュエに似た美女」としている。
マーリンを執拗に追いかけては心中を迫ってくる。
ストーリーシナリオ「魔法使いの仲間」の「悪徳魔法使い」に登場。
金目の物に目がない太った男で『ある魔法使い』を詐欺にかけ無理矢理働かせる。いつ死ぬかもわからず人に嫌われる魔法使いにしては珍しいほど強欲である。しかしそれにはある信念があった。
妹(実のではなく自称)がいる。
ストーリーシナリオ「魔法使いの仲間」の「魔物の子供」に登場。
捨て子だった彼は魔物に拾われ育てられたが、その育ての母親に殺されかけ、逆に母を殺して魔法使いになった。戦いの後に胸をかきむしる癖がある。言葉を覚えたてのようなたどたどしいしゃべり方が特徴。
本人は「びょーきなんだ」と屈託のない様子だが、その感情の欠落ぶりは常軌を逸した印象を受ける。
ストーリーシナリオ「魔法使いの仲間」の「狼男の苦悩」に登場。
隻眼の魔法使いで、「ワーウルフ」という魔物を十年以上追いかけているが、一度もその姿を見たことはないという。なぜか彼の周りの人間が殺されるが、その正体は……。
ストーリーシナリオ「魔法使いの仲間」の「復讐の騎士」に登場。
大の魔法使い嫌いであるレデオ王の忠実な部下。『ある魔法使い』の力に惹かれ、勧誘する。
ガラハッド
「人と魔の狭間で」編に登場。半ば伝説として語られている存在であり、『魔物に最も近い魔法使い』とも呼ばれている。その異名に相応しい奇怪な姿で、何かに取り憑かれたかのように魔物達に挑み続けている。その胸中には自身の過去に対する深い悔恨が存在している。
ディンドラン
「汚れた血を持つ女」編に登場。急激に名前が知れ渡り始めている女性の魔法使い。彼女がここ最近で仕留めた魔物の数は、他の追随を許さない。そうした実績に加えて、その奇妙な癖も彼女のことを印象付ける大きな要因となっている。ソーマという麻薬を自身が“悪”と判断した人間に渡す事で魔物化させて殺害している。
「呪われた自己陶酔」編に登場。
「失われた歌声」編に登場。
「死神の憂鬱」編に登場。
劇中用語
魔法使い
認められた殺人者。世界を守るために魔物と戦っているが、彼らが殺している魔物は元人間であるために民から嫌われている。
少数民族のセルト人の末裔に現れる。
生贄か救済か
ゲームの中で何度も強いられる判断。
生贄にして自分の力にするか。救済してその命を救うのか。
ちなみにアヴァロンは救済を認めていないが、事実上黙認している。ただしやり過ぎると……
魔物
欲望により代償を払った人間のなれの果て。魔法使いが魔物になることも多い。
そのほとんどが聖杯に願いを聞き入れてもらったもの。
詳細は下記参照。
聖杯
魔法使い以外の人間が魔法を得るための存在。強い願いを持つ人間の前にのみ現れ、その人間の大事なものを生贄に捧げる事で願いを叶えるための魔法を与える。
ある意味ソルサク世界における「元凶」だが、その存在はあくまで中立。魔法を歪んだ意思で乱用し、結果として魔物に成り果てることは本人の問題であって、聖杯はそこに関与も誘導もしない無関係なものである。
基本的に願いには制限を設けてはおらず、生贄の規模や質によって決まる。
秘密結社アヴァロン
魔法使いを管理する秘密結社。
魔物を必ず生贄にすることを掟として公布しているが、救済は事実上黙認している。
しかしあまりにその行為が目立つと結社より使いが送られてきて始末される。
モンスター
モンスター(魔物)とは、己の欲望の赴くままに魔法を使い、その力に溺れて異形化した生物である。魔物には、人間が魔法を使い続けた結果異形化した「人型魔物」と、人間以外の生物が間接的に魔法の力を浴びて異形化した「下級魔物」が存在する。魔物は人間社会の脅威となるため、これを排除するのが魔法使いの宿命となっている。元となった生物よりも高い知能を得る場合もあれば、欲望のままに暴れるだけの低級な存在と成り果てることもある。またごく一部ではあるが、争いを好まない魔物の中には人間を育て、人としての条理を教えようとする者もいる。
聖杯の願いによって魔物となった者を取り込み、自身も魔物へと堕ちたパターンは「ドッペルゲンガー」、複数の魔物の魂が同時に発現し二体の魔物へと変化したパターンは「ジェミニ」と呼ばれる。
『デルタ』からは特定の攻撃時に一部の供物を無効化もしくは反射するようになり、特定の部位を破壊すればこの効果を無効化できる。
下級魔物
魔法使い特製の毒餌を喰らいながらも生き延び、魔力を得たネズミたちが一つに集まって生まれた魔物。
長い左腕による引っ掻きや身体を群れに分裂させる奇襲を行う。また仲間と連携することで一度に複数のゴブリンが分裂攻撃を仕掛けてくる。
下級モンスターの中で最も種類が多く、鉄柵や十字架を取り込んだ灰色の「墓柵ゴブリン」、背にいくつもの武器が刺さった褐色の「鋼刺ゴブリン」、財宝を取り込んだ金色の「金欲ゴブリン」、酒瓶や盃を取り込んだ紫色の「酒豪ゴブリン」、背にキノコを生やした緑色の「毒茸ゴブリン」、珊瑚を生やした青色の「珊瑚ゴブリン」、燃え盛る燭台を背から生やした赤色の「火焔ゴブリン」の7種類の亜種が存在する。
ゴブリンに対抗して魔力を取り込んでいったネコの魔物。魔力だけでは飽き足らず飼い主を含む人間をも襲うようになった。ブヨブヨに太った身体と大きな口を持ち、口からゲロ弾を吐き出してくる。
また瀕死になった小型モンスターを見つけると積極的に捕食して巨大化し、吸い込み攻撃を行うようになる。耐久力やカウンター動作と相まって下級モンスターの中では強敵。
緑色の体で毒を吐きだす「毒緑オーク」と、氷を吐きだす水色の「氷塊オーク」の2種類の亜種が存在する。
人間に憧れる故に、魔力を取り込み「自由に動き回りたい」という願いをかなえた樹木の魔物。足と知識を得た事と引き換えに死への恐怖に囚われるようになった。
自分からは攻撃せず、魔法使いを見かけると逃げ回る。ダメージを与えると木に化ける。
木に攻撃するか実を全て食べると再びコボルトになり、もう一度ダメージを与えると倒せる。
葉が茂ってる普通のコボルトに加え、花を咲かせた「花樹コボルト」、木の実を実らせた「木の実コボルト」、葉っぱの無い「葉無コボルト」の4種類の亜種が存在する。
「木の実コボルト」が持つ木の実は、体力回復、攻撃力・移動速度・全属性耐性アップなど様々な効果が存在する。
魔法使いの死骸を喰らって魔力を得たカラスの魔物。種の反映のために人間の真似をしており、下級のカラスたちが集めてきた光り物で自身を飾り付けている。常に空を飛んでいるため遠距離魔法がないと厄介な相手。
文献によれば、食欲には勝てないらしい。
王冠をかぶり体中を宝石や黄金で飾り立てた「成金グール」、翼を医療器具で飾り立て注射器を放つ「医者グール」、機械の部品を身に纏い放電能力を得た「電磁グール」の3種類が存在する。
魔力の影響を受けて、獲物を誘惑する術を得た蜘蛛の魔物。見た目は胴体部が真っ赤に熟れた果実になった蜘蛛で、元が蜘蛛なだけあって粘着性の糸を飛ばして捕縛してくる。
果実の部分を失ってしまい、代わりに腐った卵を身につけ毒を吐く障害物を設置する「腐卵ネクター」やランタンを代用し爆弾を設置してくる「蝋燭ネクター」の2種類の亜種が存在する。
叫び顔を浮かべた伸縮する風船のような頭を持つ植物の魔物。
全部で5色が存在し、攻撃されると頭部が大きく膨れ上がり、色に対応した属性を伴う大爆発を引き起こす。
他の下級魔物と違って雑魚ではなくトラップとして扱われる。
女性のような上半身と蜂の下半身を持つ、蜂の魔物。
自由と平等を求めた働き蜂が、魔力の残滓と結びつき、魔物と化した姿。
瞬間移動を繰り返しながら、攻撃を仕掛けてくる。
冷気を操る「幻氷フェアリー」と、雷を操る「電影フェアリー」の2種類の亜種が存在する。
腕へと変化した耳を持つウサギの魔物。
魔力を得たウサギが、最大の武器である耳を特化させて進化させ続けた結果、魔物へと姿を変えた。
姿を消す厄介な相手だが、心眼で姿を確認出来る。
それ以外でも、いる場所の空間が僅かながら歪んでいたり、赤く光る目だけは誤魔化せない為よく観察すれば発見できる。
耳を特化させ進化させた故、人型魔物が咆哮すると昏倒し姿を見せる。
炎を操る「火山ノーム」と、岩石を操る「岩窟ノーム」、アリスの無限魔宮にのみ出現する「不思議の国のノーム」の3種類の亜種が存在する。
沢山の財宝が入った宝箱に変化した殻を持つ、カタツムリの魔物。
退屈を持て余したカタツムリが、様々な事を考え続け、その答えを求め続けた結果、殻が財宝へと変化した。
コボルトと同様、こちらからは攻撃せず、ひたすら逃げ回るのみ。
ランダムで出現し、倒して生贄・救済する事で、多くの経験値を得られる。
銅色の「銅石オリハルコン」と、銀色の「銀塊オリハルコン」、金色で多くの財宝で飾られた「金剛オリハルコン」の3種類が存在する。
銅石、銀塊、金剛の順に得られる経験値が多くなる。
人型魔物
- 傲慢
クラーケンと同型の魔物。口から剣が生えた九匹の大蛇の集合体。
元々は貧しい地域に生まれた剣士。家族を養うために剣士となった。男は剣に対して類いまれな才能を持っており、いくつもの剣を同時に手足のように扱った。いつしかその武勲は戦場に知れ渡り、敵軍にとって恐怖の対象となった。敵軍は男の同僚を買収し、彼の飯に蛇毒を混ぜた。男は死の淵を彷徨った末に生還したが、かつての様には体が動かなくなった。彼の嘆きを聞き入れた聖杯によって男は九本の腕と剣を持つ化け物として生まれ変わった。
ワイバーンと同型の魔物。兜から翼が生えた女戦士。
元々は高名な騎士の一人娘。父が後を継ぐ男子を望んでいたことを知った彼女は騎士としての道を歩むが、やがて体力的に成人男性との戦いに限界を覚える。美しい姿を代償に人外の力を手に入れたものの、直後に父は戦死。天国の父に愛されたい一心で、武名を高め最強の戦士となることを誓う。
美しい姿を代償にしたと書かれているが、魔物化する前と比較すると、兜と足の形状、上半身に口ができた以外に目立った変化はなく、グロくて醜悪な外観が多い魔物の中では珍しく、元の姿が殆ど残っている(強いていうなら身長が高くなり少しいかつくなった程度だが、それでも女性としてはまだまだ美しい部類である)。このため、彼女が無意識のうちに本当に生贄に捧げたのは父の命ではないか?という考察もある。
DLCで追加。ベヒモスと同型の魔物。
騎士の背中に人面疽の様な腫瘍を持ち、それが巨人のように膨れ上がる。
元々はほら吹きの騎士。誠実で勇敢、確かな武勇を持った騎士であったが次第に傲慢な性格になってゆき、退役してからは誰も彼を慕わなくなっていた。それでも彼はかつての栄光が忘れられず、自分の武勇伝を語ることで周囲の気を惹こうと試みる。最初の内は人々もその武勇伝に魅了され彼を支持していたが、やがて飽きられ、焦った彼はほらを語るようになる。ある時「巨人と戦った」とほらを吹いていると周囲からそれを疑われ、武勇伝を実証すべく聖杯に願い巨人を出現させた。皮肉にも、それは自分の背中から生えており、自分自身が武勇伝に登場する醜い巨人と化してしまう結果となった。
DLCで追加。エルフの女王と同型の魔物。蝿のような頭を持ち、周囲に凶暴な蠅を使役している。
元々は貴族。高慢で、何もかもを臣下に任せる彼は生活すら部下がいなければ何もできない有り様であった。ある時没落し、周囲に誰もいなくなった後も貴族であり続けた彼は、当然のように死の淵に立つこととなる。そんな時現れた聖杯に願うと、新たな臣下である蝿が現れていることに気が付き、自らが蝿の王となったことを知るのであった。
『デルタ』から追加。ロバの口から犬、犬の口から猫、猫の口から鶏が飛び出し、体から幾つもの音楽器が突き出た姿をしている。
元々は元音楽隊の老人と彼を慕った動物たち。愚直なまでに音楽隊に従事した男だが、加齢と共に歌えなくなって除隊される。生きがいを無くした事で男はみるみると老け込み、ロバを息子と思い込むほどに耄碌し、彼の介護に辟易した家族は男を捨てた。仕事を忘れられない男はロバと共に民衆の前で歌い続けたが、それも飽きられていく。そんな彼の前に聖杯が現れたが、彼はすでに耳が聞こえていなかった。しかし、彼を慕っていたロバがその声を聞き、恩返しの為に自分を生贄にして「歌声」を彼に与えた。歌声を得た彼は新たな息子である犬を連れて歌う。それも飽きられて絶望する中、またしても聖杯が現れて息子である犬がその身を捧げる。聖杯の声を聴くのは息子の役目。次に猫、鶏が彼の恩返しの為にその身を捧げる。いつしかその姿は珍妙な音楽を奏でる魔物と化していた。
- 嫉妬
無数の眼球がついた三叉の槍に縋るようにして歩く単眼巨人。
元々は腕のいい鍛冶屋だった男。常にライバルの二番手に甘んじていることが我慢ならず、自己顕示欲のために片目を犠牲にして最強の槍を作り出すが、誰にも認められず、殺戮で武器の性能を証明しようとするモンスターへと成り果てた。
ちなみにヒュドラの元の姿の剣を作ったのはサイクロプスの元の姿である。
背中に廃墟を背負った巨大な人面首長竜。
この魔物との戦闘は、背中の廃墟から頭部を狙って進めることになる。
元々はある国の双子の王子の弟。全ての面で兄王子の方が優れていたため、弟王子は次第に兄への嫉妬を深めていき、やがて殺意衝動に変わっていく。
『飼っていた鰐を兄に仕向けたらどうなるだろうか?』、その願いを聞き入れた聖杯によって体が鰐と一体化し、城を背負うことが出来るほどの大きさに膨れ上がる。その化け物は、兄王子が出かけている隣国へと向かっていった。
「背中に敵や獲物がいるなら海に潜るか寝返り打てば一瞬だろうに」と突っ込んではいけない。
『デルタ』から追加。美女の下半身が百足のように伸び、幾つものガラスの足をしている。
元々はある城下町の三姉妹の三女。姉妹の美脚は舞踏会に招待されるほどに有名だったが、三女はいつも置いてけぼりだった。憤慨した三女は報復としてムカデの猛毒を次女の食事に混ぜ込む。寝込んだ次女の代わりにドレスを着こみ、仮面をつけて仮面舞踏会に出る。
舞踏会に慣れてきた彼女はいつしか男を弄ぶようになる。今度は長女にも同じ毒を仕込み、彼女のドレスを着て王子に近づくが、極度の脚好きの王子はその脚をなめた時に別人だと気付き、急いで彼女は逃げ出したが片方の靴が脱げてしまう。
その靴の犯人を捜して町に役人が溢れ、自分が捕まるのではと考えた彼女は自分の脚を砕き、現れた聖杯に長女の脚をもらい、今度こそ王子を魅了できると思って近づいたが同じく見抜かれ、その後も美脚の女性の脚を狙って襲い、その脚を付け替えるもまた見抜かれる。実のところ、王子は「脚好き」ではなく「脚の匂い」が好きなのである。
それに気づかない彼女は王子が気にいるであろう脚を用意するために自分の下半身をムカデに取り換え、より美しく見せるためにガラス細工の脚を付けたが、王子はそれに怯えて逃げ出した。
『デルタ』から登場。白雪姫と同型の魔物。
元々は男運の無い女。交際している男は女を財布代わりにしか考えていない絵に書いたような屑だった。しかし、彼女はそんな屑な人間を愛おしく感じる人間だった。彼の為に蝋燭を売り続け、いつしか帰る場所がある人間を妬ましく思い、恋人と幸せに暮らす幻覚を求めて放火し始める。放火の現場を抑えられた彼女は牢屋に入れられ、取り調べを受けるが、彼女の証言にあった男性は町には存在しない人物であり、彼女の家には男性を象った蝋燭だけが残っており、男は女の妄想が生み出した産物だった。その事実を受け入れられ無い彼女の前に聖杯が現れ、男の存在を証明するために自分の頭を蝋燭にした。燃え上がる炎の中に、脳内の恋人の姿が現れる。女は見せて回る。炎が生み出す幻覚を。周囲に妄想の火の粉をまき散らしながら。
元ネタは『マッチ売りの少女』だが元になった同話の原作者の人間性の方が化け物とは言ってはいけない。
オマケにこれにも似ていると皮肉を言われている。むしろフォルムとしてはこちらだが。
- 強欲
全身各所が金塊と化している異形の巨鳥。
前足に金塊を抱えており、戦闘中に落とすと何よりも優先して拾おうとする。
元々は領民に重い税を課していた貴族。
獣・人・鳥を三体一組で象った金の像を寵愛しており、像を隠そうとした妻を厳しく罰して死なせるほどの偏愛ぶりだった。そして欲に憑りつかれ、寵愛した金の像と一体化した魔物となってしまった。
そのため救済しても金の延べ棒を背中に背負っている。
『デルタ』のトレーラーアニメに元の姿の男性が登場しており、その身体がグリフォンへと変貌していく姿も描かれている。
金銭欲・食欲などの様々な欲望に負けた人間の典型例。ドロドロした欲望の対象の塊であり、財宝が形作る「金欲型」と食物が形作る「食欲型」がある。
肉体そのもの以外に代償として捧げられるものを持たない人間が変異するため、頻繁に見られる。
さらなる欲望を叶えるために、より多くの人間を取り込もうとする。
ちなみにダメージを受けた時に出る台詞があまりにも某そげぶの人にしか見えないため「右腕が暴走した」だの「聖杯に右腕を捧げた」だのと散々な事を言われている(仮に魔物化したらどっちになるのかは謎だが)。
また、作中には登場しないが、文献によれば「性欲型」のスライムも存在するようだ。
頭部は馬だが、複眼や横開きの顎などには昆虫的な要素が含まれている。
昆虫的な要素は、刺された虻の影響によるもの。
元々は国王の側近。強い野心を秘めており、領主になるためにあらゆる障害を排除してきたが、イカロス牧場に多くの兵を投入して死なせてしまったために責任を取らされそうになり、逃げた末にイカロス牧場にたどり着いた。その場所で聖杯に逃げるための翼を欲し、代償として生物としての形を捨てて化け物になった。以来、その化け物は領主になる願いを糧に領土を我が物顔で飛び続けている。
皮膜でできた巨大な翼のような耳が生えた蝙蝠人間。
その姿や背景は飛竜というより、吸血鬼や悪魔を思わせる。
元々は暗殺者。男は聴覚が異常に優れており、彼も自身を「蝙蝠」と重ねていた。
主人の依頼をこなし続けてきたが、ある時同業者の奇襲によって瀕死に陥り、聖杯によって窮地を脱した。男はこれが主人の差し金であることを知った上で舞い戻り、主人の命令を聞き続けた。やがて主人が病で死ぬと男は屋敷を飛び去った。
その姿は人とも蝙蝠ともつかない化け物だった。
DLCで追加。捩れて輪になった鎧の中に、輪入道のように人面が浮かび上がった魔物。
元々は科学者。今で言うモーターを発案し、それを応用すれば馬の無い馬車ができると思い立つも人々からは一笑に付され、そんな人々を見返すために実験を重ねた。しかし成果は上がらず、やがて彼の実験は狂気に落ち、ついには自分に雷を打たせた。当然男は重傷を負ったが、その際に現れた聖杯に願うことで雷を自在に操る魂だけの姿を得た。
その後は強度の高い車輪を得るべく自身の身体を車輪とし、車輪の魔物と化した。
DLCで追加。ドワーフと同型の魔物。靴に入った3体の魔物の集合体。
元々は高名な靴職人の3人の息子。息子に技術を継承するつもりであった父に認められるべく、3人は常に競い合っていた。
中でも焦った末っ子が探求の果てに見出した物、それが「知能の高い動物の皮で作る靴」であった。最も知能が高い動物は何か、それを考えた末、彼は人間を材料にすることを思い付く。逡巡する彼の前に聖杯が現れると、迷うことなく彼は2人の兄を生贄に捧げた。
だが、それは兄達も同じだった。結局、3人とも靴の魔物になってしまい、呆れた父に勘当されてしまう。
その後はただ父に認められたいがために、3人で手を取り合って人間を狩っている。
ちなみにこのレプラコーンを始め複数人1組の魔物は倒しても誰か1人しか仲間にならず残りは死んでしまう。
『デルタ』から登場。獅子の鎧に蛇の盾、山羊の槍を持った魔物。
元々は戦士の息子。ある事情によって戦士の道を閉ざした男は、自身の息子にその願いを託そうとしており、息子もまたその願いをかなえようとしていた。理由は過去の事故にあった。馬車に轢かれそうになった息子を助けた時に父親は足に怪我を負ったのだ。自分のせいで夢を絶たれてしまったと、息子は罪悪感を感じ続けていたのだ。
しかし、父に劣らない素質はあっても、虫すらも殺せない「優しさ」が息子にあった。
父親は息子を鍛え上げるために心を鬼にし、命を奪う覚悟を植え付けるために息子に試練を与えた。初めに山羊を殺させて死骸から槍を作り、次に蛇を殺させて死骸から盾を作った。
死に慣れ始めた息子を戦士として完成させるために今度はライオンを放った。
息子はライオンよりもそんな父の神経に恐怖した。
しかし、息子は覚悟を決めてライオンを殺し、その死骸は鎧となった。
父親は、仕上げに取り掛かる事にした。「人を殺す練習」として「自分を殺させよう」とした。
嫌がる息子に武具を括りつけ、感情を殺させようとした。
そして、その瞬間に聖杯が現れ、父の告白によって絶望した息子は「感情」を捧げた。
結果、感情を失った息子は父親の思う「理想の戦士」へと生まれ変わった。
『デルタ』から登場。シンデレラと同型の魔物。
元々はある女戦士。生まれつき体格がよく、力が強かった女は傭兵として名を挙げた。
積み上げた戦果と名誉の代償として失うものも多かった。彼女は女の幸せを求めていたが、それを諦めていた。偶々遭遇した魔物に対し、周囲の制止も聞かずに彼女は立ち向かった。
結果、強力な一撃を食らって谷底に落ちたが、同じく谷底に落ちていた魔法使いが彼女を助けた。
周囲は魔物だらけ、不安を解消させるために会話が始まった。
日に日に衰弱していく彼女を勇気付けるため、彼女の願いを叶えようと男が言った。
助け出された後に女は男に手紙を送った、いつの日かまた会おうと。
しかし、手紙の内容はいつも同じ、会えない分だけ彼女の中に妄想が膨れ上がった。
そして、ある手紙を境に期待が裏切られたと知った彼女の前に聖杯が現れた。彼女は子供を望み、自分を袖にした魔法使いに突き付けてやるつもりだった。
しかし、彼女が破り去った手紙にはある真相が掛かれていたのだ。
実は彼女を助けた魔法使いは既に死んでいるのだ。自分の傷を後回しにして彼女を治療し、
救援に来た仲間に「彼女を幸せに」と残していたのだった。
ちなみに救済しても勝手に意思を継いで魔法使いとして戦う様になるし、生贄にしたら思いは踏みにじられるという彼女を愛した魔法使いにとっては物凄く報われない展開となっている。
- 憤怒
体から帆船のマストや舳先、内臓が変異した触手が生えている怪物。
元々はある貿易商船の船長。何よりも愛する船を海賊に奪われた彼は、軍船の乗組員として戦果を挙げ、やがて因縁の海賊を追い詰めるも致命傷を負う。
聖杯に願い、船長は怪物となって海賊たちを殲滅するが、戦闘のあおりを受けて船は沈没。
以降は愛船を再現し取り戻したい一心で、海を彷徨い犠牲者の肉塊を取り込んでいる。
胸に槍が刺さった三つ首の獣人。二足歩行と四足歩行を使い分けて攻撃してくる。
元々は男性の衛兵で、二匹の愛犬とともに故郷を守っていた。
伝染病から逃れるために住民が故郷を離れていったため、住民をその場にとどめようと暴力に走った。
その結果、住民により槍で刺されるが、住民の命を代償にし、愛犬を取り込んだ結果ケルベロスとなった。
無印のパッケージに描かれておりコラボの際は共演先の作品に出張するなど、モンハンでいうリオレウスのような看板魔物という扱いである。また、グロテスクではあるがそのポジションということもあってあまり嫌悪感を感じさせず、むしろ作品内の魔物としては割とかっこいいデザインである。
角のある真っ二つに割れた鉄仮面を装着した魔物。
腕にはミイラを柄の代わりに据えた巨大な斧を持っている。
元々はある領主が小間使いに手を出して生まれた娘。
その出生を隠すために醜い鉄仮面を被せられ、母と離ればなれとなる。
やがて母親は領主の正妻の虐待によって狂ってしまい、再会した娘は領主と正妻に復讐を誓う。聖杯に代償を払い、娘は鉄仮面の化け物に、母親は捻じ曲がった巨大な斧へと変化した。娘はその斧を手に領主と正妻に復讐を果たし、今は幸せな家族を狙って各地をさまよい続けている。
ちなみにこの壮絶すぎる過去からか、救済してもサンクチュアリではなくグリムに所属してしまう。
DLCで追加。ワイバーンと同型の魔物。両翼が目の様な器官に置き換わっている。
元々は盲目の青年。
自分の容姿に自信が無い娘に介抱されており、彼女の献身にいつしか愛情を抱くようになる。
その甲斐あってわずかに光を取り戻しそうになるも、「自分の醜い姿を見られたくない」という理由で娘が毒を盛り、再び視力を失うこととなった。
その後は聖杯に願い、娘を犠牲として魔物化したが、バジリスクが流す毒はこの時に受けた物が影響している。
欲望満点の他の無印のDLC連中とは違い、とにかく悲惨な過去とあまり強くない所が涙を誘っている。
『デルタ』から追加。巨大な一つ目を持ち、七人の小人に支えられている。
元々はとある国の王女。王女はとても目が美しく、自己顕示欲の強い母親はそれを妬み、彼女を子供と言うよりも鏡としか見なくなった。成長した娘の存在が母親の自尊心を傷つけ、娘の目に映る姿が自尊心を満たした。そんな王妃の前に聖杯が現れ、娘を鏡にするという母親としても人間としても最低な願いを叶えて貰う。
鏡になった事を知らずに育った娘は成人を境に疑問を抱き、再び現れた聖杯に片目を代償に鏡を作る魔法を得た。その魔法で真実を知り、母親に本当の姿を見せつける事で殺害する。
『デルタ』から追加。ブレーメンの音楽隊と同型の魔物。
元々はネズミが友達だった男。彼は両親の愛を一切知らず、親戚の虐待を一身に受けて育った。友達を作る事ができず、自分を差別しないネズミと仲良くなった。いつしかネズミ達の意思が分かるようになり、男の意思を伝える事で芸もできるようになった。そんな彼の元に子供たちが集まるようになり、一層芸に力を注いだ。
だが、ある日村の子供の一人が姿を消し、大人たちは彼を犯人だと決めつけて彼が留守の間にネズミ達を惨殺した。それを嘆く男の前に聖杯が現れ、微かに息があったネズミと一つになり、魔物と化した。
彼はその力で村人へ復讐しようとはせず、いなくなった子供を探索し、その嗅覚で子供を見つけたが、その子供は死んでおり、匂いから犯人が誰なのかも分かった。犯人はその子供にいじめられていた子で、いじめに耐えかねて反抗を試みた結果、打ち所が悪く相手は死んだというのが真相だった。
男はその子を糾弾しようとは思わず、代わりに自分が罪を被る事でその子を救済する道を選んだ。その後、彼は人さらいの狂人を演じ続けた。虐げられた者への愛と救済を胸に秘めて。
……とエピソードから分かる通り、かなりの善人である。
- 色欲
エルフの女王
背中から翼が生えた四本腕の女。タンポポの綿毛を思わせるエルフを従えている。
元々はある崖から落ちた女性とそこにいたタンポポ。彼女は子宝に恵まれず、いつも子供をほしがっていた。その願いが、谷底で子孫を増やせずにいたタンポポと合わさり、エルフを生み出した。彼女はエルフを我が子のように可愛がり、母親として、女王として幸せな日々を送った。
やがてエルフの力で翼が生え、崖の上の世界に戻ると、やはり人間の子供がほしいと考え、以来人間の子供を見つけてはさらい続けている。
サイクロプスと同型の魔物である、女性の顔をした巨人。無数の口がついた杖を携えており、杖を強化させるときに口から音符が出てくる。
幼馴染の男性に裏切られた女性が自身の歌声をささげた結果、魔物化した。
無印では童話の要素はまだなかったが、この経緯からすると人魚姫もモデルかもしれない。
DLCで追加した無印では待望の2体目の毒属性弱点魔物。
拷問具のような棘付き鎧に身を包み、鎖につないだ己の生首を振り回して戦う戦士。
元々は変質的な趣向を持つ騎士。痛みを求めて戦場に繰り出しており、気味悪がった敵から恐れられていた。さらなる痛みを願った際に聖杯に出会い、不死の身体を得て自身の首を斬り落とした。永遠の快楽を得ているためか生首は歪んだ笑みを浮かべている。
DLCで追加。デュラハンと同型の魔物。
元々はとある騎士に恋をした女性。騎士の助けになるために聖杯に願い、生命力の宿る血を手に入れた。騎士の傷を癒すために、自らを拷問して常に血を流している。
結局騎士は死んでしまい、女の首は胴体から離れた。
ちなみに、神話のモンスターや童話の主人公がモチーフの魔物がほとんどな中で、こいつだけ唯一拷問器具がモチーフである。
DLCで追加。夢を操るキャンバスのような魔物。
元々は売れない画家。納得する絵しか描かず、家族にも愛想を尽かされた貧乏画家であったが、絵に対する拘りだけは捨てなかった。そんなある日、卑猥な夢を見た彼はそれを絵にすることを思い付く。しかし、自身の拘りが邪魔してなかなか完成が見えない。そこで画家は現れた聖杯に願い、自分のイメージを絵の具に絵を描く術を得た。だが、それもやがては飽きられると、今度は鑑賞者を取り込む絵画の魔物と化した。
攻撃属性が非常に多く、盾の属性を吟味しないと苦戦を強いられることになる。
『デルタ』から追加。ワイバーンと同型の魔物。
元々は変態的な趣味を持つ王様。公明正大な王様で、民衆からとても慕われていた。そんな王が統治する城下町で、「王冠と分厚いローブ」を身に纏った男が女性に対して裸体を見せつける事件が起きた。その人物は王に似ていたが、民衆は彼の評判を下げるための工作に違いないと考え、事件後も威風堂々としていた王を支持した。その態度を崩さなかったのは当然、その犯人は王なのだから。王自身はその行為に罪悪感を覚えていたが、その行為が癖になってしまい、何度も変態行為を繰り返した。行為を繰り返すたびに民衆の支持が集まった。
そして彼は、ある行為を境にこの衝動が「本当の自分を知ってほしい」というものである事に気づいた。そんな彼の前に聖杯が現れて彼の願いを叶え、以降彼は「丸見え」の怪物になった王を直視できる人間、本当の自分を見てくれる肝の据わった人間を探している。
二つ名が「昂る変態王」であり、見た目も皮膚が透明化して内臓が見えている程度で、その半ばくだらなすぎる経緯もあって醜悪さや嫌悪感が薄れる魔物となっており、平成の日本の少年マンガに登場するスケベなギャグキャラのようなキャラクター性で親しみすら感じさせる……かもしれない。
『デルタ』から追加。巨大なカエルに人間が座った姿をしている魔物。
カエルの舌が拘束された女性になっている。
元々は汗っかきな王様。その体質のせいで女性と縁がなかった(と自分では思っていた)王だが、自分と同じく大量の汗をかく女中に恋をする。女意を決した王が彼女に好意を伝えるも、片思いの人物がいると伝えられ、王は彼女を励まして告白するように促したが恋は実らなかった。汗っかきと言う理由で断られた事を知った王はその男を拷問に掛けて殺してしまう。それを知った彼女は嘆き、本来の姿であるカエルに戻ってしまう。カエルは助けてもらった恩を返そうとして人間になったのだ。その姿に感銘を受けた王はより愛情を深めたが、カエルはそれを怖がり逃げてしまう。それ以降も王はカエルに付き纏う。そんな王の前に聖杯が現れ、カエルを人間にしてほしい、自分がカエルになればいいと彼の願いを叶え続けた。王は気づいていない。自身の愛情表現がどれだけ歪なのかを、それは魔物に成り果てた姿よりも恐ろしいものである事を。
ちなみに依頼は家族がしているのだがこの「家族」が「王が生贄にささげた配下の家族」か「カエルの家族」かは不明。
救済しても懲りないので生贄にした方が世界のためになる気がしてしまう。
『デルタ』から追加。カエルの王様と同型の魔物。巨大な亀の首が拘束された男性の姿で、甲羅の上にウサギの被り物をした女性が座っている。
元々はサディズトの女性とマゾヒストな男性。女は男の泣き顔を見るのが好きだった。ウサギの被り物を被り、酒場で男を誘い、調教する事で金を貢がせていた。そんな彼女のうわさを聞いた貴族の男が現れ、これまでと同様にいたぶったが、貴族故に弱みを見せられない男はその行為を喜んだ。いつしか、そんな彼を癒してあげられるのは自分だと気付いた彼女は本気で彼を愛した。行為は更にエスカレートし、女は男に亀の甲羅を着せ、行動に難儀する男を見て「世界一のノロマ」とあざけるようになった。その後、行為が思いつかなくなった彼女の前に聖杯が現れる。願った彼女は自殺し、男性を放置すると言う究極の愛を見せた。男はその愛に答える為、亀のような姿に変貌した。本体は男の方であり、背中の女は幻覚であるため、倒しても変態男が出てくるだけである。
ちなみに某仮面ライダーのオマージュなのか、前述のベルゼバブとの同時討伐ミッションが存在する(この魔物の元の姿と某ライダーのベルゼバブの演者の境遇は非常に似ている)。
- 怠惰
生きる事さえ面倒臭くなった、ものぐさな天才狩人の末路。
馬車と合体し高速で動き回るが、これも自分で動くのが面倒だから。
無印では最強クラスの魔法を落とすためプレイヤーから狩られまくっていた。
ちやほやされることを嫌い石ころと化した美少年の末路。ある日道端を通りかかった女性に恋をしてしまい、元の姿に戻ろうとするも、長らく石ころとして過ごしたせいで元の自分を思い出せなくなり、目や鼻がバラバラについた石の魔物と化した。
ジャック・オ・ランタンと同型の魔物だが、二倍大きい体躯を持つ。
岩の身体で強烈な突進をぶちかましてくる。が、突進を盾で受け止めると気絶して逆に隙だらけになるというコミカルな姿も見せる。
ちなみに無印ではDLCでデュラハンが来るまで唯一の毒属性弱点魔物だが、逆に言えばこいつしか毒属性弱点がいなかったため他の属性で纏めて狩られていた。
ネコの様に自由になる事を聖杯に望んだ結果ネコの姿と化した王子。
無印ではとにかく強く、プレイヤーからは家出しただけというよりも魔法使いをケガさせ過ぎて討伐依頼に載ったと噂されている。
ちなみに怠惰なケットシーと聞いて関節技を掛けたくなった人もいるだろうが残念ながらこのゲームに関節技は無い。
怠け者の3兄弟の末路。
ケンタウロス以来2匹目の怠惰らしい魔物にしてシンデレラ以来4匹目の毒属性弱点魔物(実際には弱点はそれぞれ違うのだが)でもある。
それなりに裕福な家庭で好きなだけ食べて暮らしていたため3人とも豚のように太っていた。父親が亡くなると、彼らの身を案じた母親に追い出されるも、逆恨みしながら兵役試験に応募する。
その過程で現れた聖杯に願い、長男は鎧に、次男は盾となり、騎士となるはずの三男に託したが、三男は強い武器を望んだら何故か自分が武器になってしまったらしい。
以後、体裁だけは整え、外観が鎧と盾と武器を装備した戦士に見えるようにした。
しかし、装備品その物となった彼らに、肝心の中身は存在しない。
それを証明するかのように、鎧の隙間から、藁で構成された人型が確認できる。
あまり注目されないが、元ネタの童話でも、兄の豚二匹は怠け者という設定がある。家の材料を藁や木にしたのも簡単にできるためだったが、それが原因でオオカミに家を壊され食べられてしまった。
なお、それぞれ武器や鎧としてはちゃんと機能してはいるため、結局仕事してるというのは言わないお約束。
- 暴食
グリフォンと同型の魔物。丸々と太った醜い人面鳥。腹には穴が開いているため、吸いこんで喰った獲物はここからすぐに吐き出される。
元々は失恋のたびにやけ食いする癖があった肥満体の女貴族。ある露天商に恋をして、会うたびに大量の果物を購入していた。
露天商が姿を消したとき、彼女は聖杯に願って空を飛び遠くへ会いに行けるようになった。露天商を見た彼女は気がついた。
自分は恋をしていたのではなく、その露天商を食べてしまいたいと思っていた事に。
DLCで追加。背中からリンゴの木が生えた四つん這いの樹木の魔物。振り落とされたリンゴは個別に襲いかかってくる。
元々は林檎好きの青年。幼い頃から病的なまでに林檎を好み、やがて家計と両親の精神を圧迫する程にまでなり、実家から勘当を受ける。
すぐさま好物の林檎が食べられなくなることに気が付き、絶望と後悔の最中、聖杯に願って背中に林檎を生やした。
DLCで追加。ミノタウロスと同型の魔物。巨大な鎌を持ち、コック帽を被っている。
元々はある王族の専属の料理人。一度食べた物を二度と口にしたがらない肥えた舌を持った王を満足させるべく努力を重ねていたが、不注意で食材の取り扱いを誤り食中毒を起こしたことで死罪に処される。
最後のチャンスとして王を満足させる料理を作る条件を出されるも思い付かず、聖杯に願うことで自分の舌を利用したタンスープを作り上げ恩赦を得た。彼女の作る料理は王に我を忘れさせる危険な美味らしい。
DLCで追加。肩車状態で行動する、酒樽から手足が生えた三人の小人。
元々は3人の炭鉱夫。魔物としては珍しく、複数人の願いが合わさっている。
酒浸りの炭鉱夫であったが仕事をクビになり、やがて好物の酒も飲めなくなり死に瀕した際に聖杯が現れた。
聖杯に酒が飲みたいと願い、自分の体から自身の肉体を酒とする術を得たが、その度に体が縮んでいき、それでは自分の身が持たないために巨大な酒樽を作り他の人間を取り込み酒に変える魔物と化した。
『デルタ』から追加。フィールド上のお菓子の家を移動するクリームに塗れた、二体一組の巨大な蝗の魔物。
元々は口減らしの為に捨てられた兄妹。
両親に捨てられ、幸せな思い出を思い浮かべながら衰弱していく兄妹の前に聖杯が現れ、飢えをしのぐために自分たちの身体をお菓子にした兄妹は両親の飢えを癒そうと戻るが、両親は人の身で無くなった兄妹を拒絶する。拒絶された兄妹に飢餓の原因となった蝗が集り、自身を必要としてくれる蝗に兄妹はその身を捧げる。
体のほぼ全てが喰われ、意識が途切れる直前にまたしても聖杯が現れ、蝗と家族になりたいという願いを叶える。新しい家族と帰る場所を得た二人は迷い込んだ旅人をお菓子に変えて貪る魔物と化した。
余談だが、フンパーディンク作のオペラ版「ヘンゼルとグレーテル」に登場する魔女も、捕まえた子供をお菓子に変えて食べるという設定になっている。
- 生欲
ガーゴイルと同型の魔物。武防具の残骸が大きな塊となっており、外見は「カボチャ」のように丸い。
元々はロムルス帝国と魔法使いの戦いの際、戦場に漂う魔力の影響で人間として死ぬことができなかった兵士たち。
祖国のために己の死すら乗り越えようとする気概をもったその魂が、戦地に充満する魔力の残滓と結びついて生まれた魔物。
老婆の顔を持つ、全身が炎に包まれた巨大な蛾。
元々は一人寂しい人生を過ごした女性。自身の人生を嘆き、自暴自棄になって炎に身を投じたが、聖杯によって灰の中から若返って蘇った。
それから今までの分を取り戻すように彼女は人生を謳歌した。
しかし若返りの効果は長くは続かず、度々炎の中で新生を繰り返す。いつしか絶えず新生し続けるようになり、常に炎を纏った姿になった。
「飛んで火にいる夏の虫」という諺があるが、この虫も蛾のことであり、「炎の中に飛び込む」というのも、元ネタの不死鳥と共通している。もっとも、この魔物の場合は生前に継がされた家業のせいで蛾と一緒に過ごしていたため。
ケンタウロスと同型の魔物。全身を鎧に包み、武装馬車と一体化した半人半馬。額からは氷の矢が角のように生えている。
元々は王の側近。仕えていた先代の王が急死し、後継者もいなかったため彼が王の座に就いた。
男は誇らしげに思う一方、どこかで恐怖を抱え込んでいた。王の死は暗殺によるもので、実行犯は彼であったからだ。
そして他人との接触を恐れて甲冑に身を隠すようになったがそれでも恐怖は消えず、隙間の無い完璧な鎧を鍛冶屋に注文し続けた。
他人を拒絶し続けて男は自滅の道を辿っていたが、ある時現れた聖杯によって隙間の無い完全な魔法の鎧を得た。しかし、今度は魔法による暗殺を恐れるようになり、側近に魔法で攻撃するように命令した。
その結果、鎧は魔法すらも通さないことが証明されたが、不安がないことが更なる不安につながった。
ガーゴイルと同型の魔物。
こちらもジャック・オ・ランタンと同型の魔物だが、ガーゴイルと同様、二倍大きい体躯を持つ。
外観はガーゴイルとほぼ同じだが、こちらは氷で構成されており、鎧の手足となっている。
元々はとある騎士団。領主から「冬を撃退しろ」という無茶な命令を下されたが、それでも逆らう事ができなかった。
冬の寒さに耐えしのげば冬は恐れを成して逃げてゆくのではと考え、冬の寒さに打ち勝つために自分達が寒さになってしまった。
氷の魔物なのに、何故か発言が熱血。
DLCで追加。色鮮やかなローブを身に纏い、腹部には裂けた口がある。
元々は娼婦。感染症にかかり醜く朽ちる自分に耐えられず、自身の永遠に揺るがない美しさを聖杯に願ったが、それは即ち肉体という概念からの解放であり、魂だけの存在と化した彼女は誰にも認識されない皮肉な結末を迎えた。
しかしそれでも彼女の欲求は衰えておらず、周囲に見せびらかすためにステンドグラスを布状に変化させ纏うことで輝くローブを手に入れている。
『デルタ』から追加。頭部がトカゲの形をした魔法使い型の魔物。
元々は「エリクサー」と呼ばれる禁術に手を出して失敗した成れの果て。
禁術を行う代価として「自我」を要求されるが、挑戦した者は皆完全に自我を捨て去る事ができず失敗してしまうらしい。
半端に自我を捨てたことで魔物と化した彼らはリザードマンと呼ばれた。
エリクサーについて書かれた書物の行方は不明だが、リザードマンが生まれ続けているということはどこかで誰かに読まれているのだろう。
他の魔物とは異なり救済は不可能であり、生贄にしかできない。
逆に救済すると復活して戦闘継続となってしまう。
『デルタ』から追加。ワイバーンと同型の魔物。
吸血鬼や悪魔を思わせる姿のワイバーンに対し、こちらは比較的ドラゴンその物という姿。
醜悪な外観が多い魔物の中では普通の竜人といった感じでカッコいい外観であり、ユーザーからも好評。
禁術「エリクサー」に失敗したリザードマンが、体内へオリハルコンを取り込み続けた魔物。
自然界から採取できる鉱物とは一線を画した「生物鉱物」を生み出すオリハルコンを取り込む事で死から遠ざけようとし、一方のオリハルコンは肥大化した自我を入れられる殻としてリザードマンを選ぶという一種の共生関係の魔物である。
ちなみにセリフのせいで彼を思い出した人もちらほら。
『デルタ』から追加。狼のような黒い鎧を纏い、腹部から別の頭部が飛び出した姿をしている。
元々は装備で相手を威嚇してきた騎士と永遠のレッドフード。戦争で手傷を負った騎士は逃げ込んだ小屋に住む老婆を脅して食料を得ようとしたが、老婆は奇妙なくらい騎士をもてなした。
居候して数日後、今までにないくらい豪勢な食事が出され、男はそれを平らげた。しかし、残されていた一通の手紙を見た騎士は老婆が自分の母親である事、その食事は自分の身体を使ったものである事を知り、自らの腹を掻っ捌いた。それこそが老婆の、「レッドフード」の目的である事も知らず。
本性を現したレッドフードは男の身体を乗っ取った。
無印のケルベロスと並んで『デルタ』の看板魔物である。
『デルタ』から追加。インキュバスと同型の魔物。
元々はアリスと言う名の魔法使い。彼女は「ワンダーランド」と呼ばれる土地の発見を目標としていたが、魔法使いとしての寿命である「ドッペルゲンガー」が近づいている事を悟っていた。
彼女が「ワンダーランド」にこだわるのは、ワンダーランドが彼女の娘が変貌したものであったため。
探す合間にもう一つの目的である「後継者」を作るため、後世に「グリモア」と呼ばれる禁術を生み出し、自身を「アリスの洞窟」と呼ばれる魔法使いを育成する場所になるように聖杯に願った。
禁術によって世界中に娘を投影したにもかかわらず誰もが娘の存在を否定したのは、娘が生贄で吸収した記憶の存在でしかなかったからだ。その事も知らずに彼女は魔法使いの育成に力を注ぎ続ける。
- その他
ケルベロスと同型の魔物。外見は完全な人狼であり、ガウェインが十年間にわたって追い続けている。
何人もの魔法使いを倒してきた指折り付きの魔物であるが、その行動はなぜかガウェインの周囲にしか及ばない。
ある女魔法使いの仮説によってワーウルフとはガウェイン自身であることが判明する。
しかし、元々は仮説を立てた女魔法使いが魔物から受けた傷によって魔物に変化する症状を持つ病気のようなものであり、彼女と関わりを持つガウェインが代わりに受け取ったために彼にその症状が現れただけである。
作中では二体登場する。
『デルタ』から追加。巨大な馬に魔法使いが乗った姿をした魔物。
元々は初代ペンドラゴン。並外れた知識欲を持つ彼は、全知全能の力を求めて生贄行為を繰り返し、禁術を含めてあらゆる魔法を持つ魔物へと変じた。
アヴァロンによって一度は退けられ、東方の世界へと姿を消したが近年再び姿を現した。他の魔物と違い、倒してもその場から姿を消すだけである。