水木しげるの漫画作品『墓場鬼太郎』・『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する準主役的キャラクター(それ以外の作品にも登場する)。
表記揺れとしては他に“ネズミ男”など。
概要
- 大塚周夫(TVアニメ1・2期、墓場鬼太郎、その他初代準拠のキャスティング)
- 富山敬(TVアニメ3期)
- 千葉繁(TVアニメ4期)
- 高木渉(TVアニメ5期)
- 古川登志夫(TVアニメ6期)
- 大塚明夫(妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活)
- 野沢那智(ゲーム「異聞妖怪奇譚」)
- 矢尾一樹(パチスロ「ブラック鬼太郎の野望」)
主人公・鬼太郎の悪友。人間とネズミの妖怪との間に生まれた半妖怪。通称は「ビビビのねずみ男」(この異名が由来なのか、5期では金の匂いを嗅ぎつけるとヒゲがビビビと振動する)。
汚い衣(マント)を身に纏い、それが「ほぼ唯一の財産」的に言及される。
- 金儲けに執着しやすいため、懐にはそろばんを携行している場合も多い。
金に限らず食い物と女と名誉にも目が無く、それらを得るためなら平気で裏切る。
- 金の匂いのするところに出没してペテンを働く事もしばしばで、「善悪の中間に位置するトリックスター」でもある。
身長は160cm で体重は49kg。年齢は約360歳(300歳~400歳とも言われる)。
初登場時はドラキュラ四世に仕えており、伴われて帰国するまでハンガリーで暮らしていて、目玉おやじの存在も知らなかった。
- 本人曰く「ウィーンで長く暮らしていた」らしく、少なくとも鬼太郎の誕生以前に海外へ出ていた事が示唆される。
自称「怪奇大学不潔学科卒の怪奇愛好家」で「『なまけ学』を修め博士号を取得」。
- 時折哲学者的な一面も見せる。
一部の作品では純粋な妖怪として描かれる。
- 「ねずみしか生息しないはずの島に、突然変異で産まれた人間とされる説」があり、その時は産まれた時からねずみに囲まれていたとされ「どのように妖怪仲間になっていったかは今後の研究を待たねばならない」とある。
- 「鬼太郎地獄編」で、この世とあの世の境に住む「ねずみ男族」の1人で本名は「ペケペケ」と判明。「ペケペケ」とは水木御大に所縁のあるニューギニアのトライ族の現地語で、「大便」の意味である。家族もいる事実が判った。同族の言及によれば、ペケペケは約300年前に、本来の世界から人間界に迷い込んできたらしい。しかし、それ以前の出自について本名も含めてねずみ男は覚えていなかった(迷い込んだ先の人間界が「ねずみしか生息しないはずの島」だったのではないか?とする説もある)。
- これまでに家族としては、母・マミと妹・ねずみ女が確認されている。故に父親が人間の可能性もあるが、前述のように作品により設定に相違があって明言はされていない。
欲望に忠実な性格のねずみ男は、水木御大の大のお気に入りのキャラクターであり、御大は「ねずみ男の存在によって物語が勧善懲悪にならず、主に正義一貫となった鬼太郎とバランスが取れて物語が安定できた」としている。
その生き方に心酔するファンも多い。
容姿
他の鬼太郎ファミリーの多くにも共通するが、貸本版を含め初期と現在では容姿に差が見られる。
ねずみ男の場合、貸本版時代ではもっと鼠然とした風貌であり、毛髪も今よりは多かった。
ネズミの様なヒゲを生やしているが、原作の初期には一時期ヒゲが生えていない描写もあった。
初登場時から不潔で汚い衣(マント)を纏っており、原作では黄土色(黄色)、アニメでは同じか灰色や青系(濃紺)など作品ごとに異なる。
- 貸本版初登場時は、後ろ姿で衣の腰部分の切れ端がシルエットで鼠の尻尾のようにも描かれていたコマがあった。
変身型妖怪ではないので、前歯とヒゲがねずみっぽい特徴を見せる以外は人間とほぼ同じ容姿で、猫娘や狼男のような形態変化はせず、常に二本足で動く。原作・アニメ共に作品ごとに多少のバラつきはあるが、耳は普通の人間より多少尖った感じに描かれている。
その風貌から「インド乞食」と呼ばれた場面もある。また、黄色いマントから「インド系の僧侶」とも勘違いされる。
能力
半妖怪であるため戦闘となると、あまり活躍できない。
弱いわけではなく、他の妖怪からも呆れられるほど強靭な生命力を持ち、透明になったり妖力を放射したり体の形を変えたりなど、妖怪らしい特殊な能力は持ち合わせている。妖力の放射も、アニメ4期にて後の話の方が改善されてると思わしい描写がある。
とはいえ、戦力として数えにくいので、周囲からは低く見積もられる扱いが多い。
不潔さ
数十年単位でしか風呂には入らない不潔さ。それに伴う様々な技を使う。
更に悪食で滅多に歯を磨かないため、吐息1つで10m先のハエを落としてしまう程の口臭を放出できる。口臭は妖力を注ぎ込んでより強烈になる。口臭攻撃は別名「臭気銃」とも呼んでおり、人間からは「毒ガス以上だ!」と、失神する程の強烈な臭さを恐れられる時もあるほど。相手に匂いを直接注入する場合もある。強豪妖怪相手でも威力を発揮し、それなしでは勝てないケースも何度かあった。「タン壺地獄」なるタンを吐き出す技も使え、たんたん坊の劣化攻撃のような威力を発揮する。こちらは普段使わないが咄嗟にできる。
その体内には強力なメタンガスが充満しており、熟成された最後っ屁はロケットのごとく強烈。引火すれば「屁子力」と呼ばれるほどの爆発を引き起こす。その威力には妖怪も怯む 。屁もねずみ男の妖力次第で妖怪を気絶させることまで可能。人間なら下手をすれば心肺停止を起こしかねないぐらいである。尿も強力な武器として機能する。なお、妖怪千物語では、おならの勢いと可燃性を利用したつるべ火との合体技を披露。スカラベの集合体であるミイラ男を焼き尽くしてみせた。
5期では夜道怪との戦いのために、猫娘に100年前の食べ物をたくさん食べさせられ、バズーカ砲のごとく構えられて激臭オナラをお見舞いした(夜道怪もトラウマになったようで、事件後にオナラが暴発した際は鬼太郎たちと共に猛ダッシュで逃げた)。
6期では武器として使わなかったが、ネコ娘たちがバックベアードに操られた際は彼の放屁によって大逆転することができた。
着ている衣も不潔さから強烈な悪臭が染みついており、相手を気絶させる武器になる。
全身に未知の皮膚病菌を有し、皮膚から落ちた粉に触れると爛れる。
人間界で行動する際は、体臭と不潔さから煙たがられる場面も多い。
しかし、プライドが高いため「インキンタムシ」や「ノウマクエン」となど呼ばれたりすると、怒り出す事態も少なくない。
なお、アニメでは不潔描写が控えめにされており、期によっては皮膚病を患っていなかったり、近年では悪臭を放つ描写自体がほとんど描かれないのもしばしばある。
時代が進むにつれて、人間相手の商売も増えて大規模になっているためか、ビジネスのために衛生面にも気を使うようになりつつあるのかも知れない。
もっとも、描写が少なくなっただけで、カビが生えたり、悪臭で犬に吠えられるなどの描写がある話も存在するので、不潔設定がナーフされた訳では無い。アニメ6期でねずみ男の体に魂が入り込んだネコ娘が、あまりの不潔さに拒絶し、シャワーを浴びて身嗜みを整えていた。
風呂嫌いだが温泉は別で、鬼太郎たちと入る場面も多い。
格闘
「ビビビ/ビビビビン」なる効果音が出る強烈なビンタを放つ場面も多く、その奇妙な威力を認められている。これがビビビのねずみ男と自称する由来の1つともなっている。
砂かけ婆も、同様のビンタが多い。このビンタの表現自体は水木作品全体で共通した表現であり、水木御大が召集された軍隊時代の辛いビンタの連日体験から来ている(その延長で「ビビビの貧乏」などと、長い貧乏生活を象徴する際にも使われていた)。
ビンタとは別に3期の劇場版『激突!!異次元妖怪の大反乱』では、ある悲しみと怒りから一騎当千のごとき優れた格闘能力を示していた。
臓器
心臓に毛が生えており、通常の人間の5倍ほどのサイズで強靭。それだけ生命力も強い。
歯や胃腸もとても丈夫で、腐ったものを食べても全く問題ない。基本的に好き嫌いはない(5期では食えるのは3年前の食べ物までで、それ以上は流石に腹を壊すという設定だった)。
反面、高級食材は胃に合わなくて逆に腹を壊すという設定がついたこともある(泡銭でリッチな生活を満喫する描写が増えたアニメ版では、その設定はない)。
舌が5枚もあるため、考える必要もなく嘘がつける。非常に弁舌が立つのも特技の1つで、このおかげで妖怪の世界でも生き延びることができている。口の巧さは時に仲間を騙し、時に人間との交渉事に威力を発揮する。詐欺師としても超一流。
脳の一部に「夢見る機能」が異常に発達していて、「目前に何か素晴らしい事が待ち受けてる」と夢想する感覚になりやすいため、その応用で新たなビジネスを発掘するなどの才能も持ち、人間の社会に対する適応力は並の妖怪より遥かに上。情報収集力にも優れ、自分を売り出すアピールも図々しいくらい強引で、悪人だろうと徹底的に利用する図太さがある。悪行を除けば、感性や常識も問題なく、一時的にでも社会でそれなりに成功している場面が少なくない。目玉の親父は「鬼太郎にもねずみ男のような"ずるさ"かあれば……」と呟いたこともある。
半妖怪ゆえの耐性
半妖怪であるため妖怪的な能力が弱いが、逆に妖怪と人間のハーフだからこそ体現できる耐性がある。
妖力を吸い盗られても人間の力が残るため行動不能にされない、妖怪を吸引して行動不能にする岩を動かす、妖怪を弾く結界を通れる等がある。
ねずみ語
通常のねずみと会話でき、協力を得られる。
ねずみに妖力を注入して操る術も持っている。
その他
衣を拡げたパラシュートや、鬼太郎のように大量の空気を取り込みクッションにもなる。
6期では、逃走時に着ているマントごと、全身を器用に変形させる特殊能力も披露した。
鬼太郎の髪の毛針のようにヒゲを毛針として飛ばしたりもあるが、これは鬼太郎のチャンチャンコを着ていたためである。5期では金儲けの「匂い」にヒゲが鬼太郎の妖気アンテナの如く「ビビビ」と反応させる場面が頻繁で、これも「ビビビのねずみ男」と自称する由来の1つとされた(6期ではヒゲの反応は見られないが、金儲けの「匂い」に「ビビビ」と口ずさむシーンはある)。
他には、敵に食べられても体内にある「ネズミの繁殖力」のおかげで戻ってこられる、全身を溶かされても目玉おやじのように両方の目玉だけで生存する、肉体をスライム状に変化させる、など。
血液には若返り効果があり、効能を知ったヤクザのビジネスに利用させられかけた(ヤクザたちはねずみ男のオナラ攻撃で全滅した)。
また、6期では当時の社会の情勢に合わせてバイトテロによる炎上での報復、マスコミに情報を売って社会的抹殺、SNSで成りすましを行って自分の悪事の隠蔽などを行っている。
性格
目玉の親父「おいねずみ男、おまえ敵なのか味方なのか」
ねずみ男「いまは味方だ」
目玉の親父「そんなふまじめな妖怪ってあるかね」
厄介な問題ばかり起こすトラブルメーカー。
小悪党で金儲けにはドライな行動も躊躇わないが、その反面で涙もろく情に流されやすい心境を見せるシーンも多く、捻れた性格の中に義理人情に厚い一面を持ち合わせ、鬼太郎親子やその仲間達からは呆れられつつも憎めない存在となっている。
一方、ゲゲゲの森で暮らす以前は「半妖怪である」が為に、人間と妖怪の両方から蔑まれた哀しい過去を持ち、鬼太郎たちの仲間となってからも理不尽な目に遭う事態が時折ある。こういった経緯の為か、鬼太郎ファミリーのメンバーの中では「妖怪に対しても非常に優しい人間がいれば、人間よりもずっと醜い心を持った妖怪だっている」、「人間であろうが妖怪であろうが悪い奴は悪い」という冷たい現実を誰よりも冷静に理解しており、人間に非があるとはいえやり過ぎた行動に出た妖怪を擁護しようとする鬼太郎ファミリーの甘い対応に、冷めた目で見る事もある。
愛情薄い環境にいる為か、女性に対しては意外なほどの純情振りを発揮する。
墓場鬼太郎ではガマ令嬢に対して「初めて女性に魅力を感じた」と発言してラブレターをしたためた(逃げられたが)。フランスの大学を卒業した才女、カロリーヌに惚れた際には「彼女にふさわしい男になろう」とお化け大学の講習会に出席している。アニメ6期では犬山まなに一方的に入れあげるあまりストーカーと化した他、自分を騙して金を奪った妖子のために体を張った。
3期劇場版ではヒロインのカロリーヌ(”墓場”のカロリーヌとは同名の別キャラクター)とは純粋な心の交流を持ったが、2人の想いは陰謀の犠牲となってしまう。
シリーズ中で結婚したシーンも何度かあるが、妖子のケースを含め大抵はろくな目に遭っていない。4期での小池小百合とのけつこん(本人筆)は純愛と呼べるものだったが、隠されていたある事情により悲劇に終わってしまった。
好みのタイプではない相手に懸想されてしまう場面がしばしばあり、魔女(ねずみ男の臭いも好き)、骨女(嗅覚があるのか不明)、夜刀神の分身・大蛇女などに好意を寄せられてはげんなりしている。
また、ねずみ系の(半)妖怪であるため当然ながら猫は大嫌いであり、4期でマンモスフラワーに変化してしまった際は、「一度で良いから思いっきり猫(猫娘)の頭を引っ叩いてみたかった」とこぼしていた。
鬼太郎親子と一緒にゲイバーを嗜んだ場面もある。
悪い面
金と女に弱く欲望に溺れ易い。悪玉妖怪の口車に乗せられたり金が絡んだりすると容易く鬼太郎たちを裏切る。怪奇趣味が高じて封印された妖怪を蘇らせたり、鬼太郎を奈落の底へ突き落としたり、敵妖怪と共謀するなど、しょっちゅうである(シリーズによっては、鬼太郎が敵妖怪を倒すことも計算して裏切って金を得ることも)。
しかし、鬼太郎は腐れ縁なのもあってか、常に軽い折檻で許してしまう。他の妖怪仲間達からの評価も良くないが、彼が自業自得の事態に陥っても鬼太郎だけは彼を見放さずに助けようとする。ねずみ男が悪さをした時の仕置き役は主に猫娘が担っており、鬼太郎も彼女に任せている。
実は目玉のおやじ以外の全ファミリーに対して、殺害に近い経験がある。目玉おやじも、初対面時に天ぷらにされてドラキュラに食わされている。
- 鬼太郎 →殺害をもくろみ死刑にさせる。この時、鬼太郎は妻メリーの胎内に宿って復活した。
- 鬼太郎ファミリー→当時ファミリーでなかった猫娘以外は、対西洋妖怪戦にて、催眠術で操られていたのでねずみ男の意志では全く無かったのだが、結果的に取らされた裏切り行為のせいで、当時の鬼太郎親子以外の全員が初登場にもかかわらず死亡した。その後、全員何事もなく復活再登場してレギュラーとなる。
- 猫娘 →『続ゲゲゲの鬼太郎』では「鬼太郎(親子)と同棲する権利」を巡ってお互いに始末を企て、ねずみ男は猫娘の策略で警察に逮捕されたが、同時に猫娘も罠にはめて悪魔の生贄にさせてしまう。ただし、猫娘が悪魔に明確に殺された描写はなく、その後の彼女の生死は不明なまま終わっている。ねずみ男も釈放される描写は無いが、これ以降も普通に登場し続けた。また、しばらく後に生贄の罠に嵌ったのとは別個体の猫娘も登場した。
3期では、裏切るつもりがなかったが、天童夢子のために良かれと思ってやったことが、事件を起こしたり、事件の悪化を招いたことがしばしばあった(特に震々事件)。
また、自分の商売のために手長足長を援護しようとしたが、封印の石をそうとは知らないで手長足長に渡してしまい、手長足長の封印に貢献してしまった。
良い面
家族愛に弱く、死神に自身の兄だと偽られた時もあっさり信じてしまい、鬼太郎抹殺に加担させられる。小池小百合との結婚時や、むじなが化けた弟と暮らした際は心を入れ替え真面目に働くが、騙されたり悲劇に終わってしまう。あかなめや白うねりとの同居時も責任感を持った。見越し入道の息子を拾った時には、ねずみ男の「親心」が見せた叱責により親の見越し入道を改心させている。
天涯孤独の身の上や、半妖怪ゆえ蔑まれてきた経歴から「家族」に対して憧れている節もあり、その気持ちを「むじな」に利用されてしまう場合もある。この話は1期、3期、4期と多くアニメ化されているが、その結末は方向性の違いゆえかそれぞれ大きく異なる。
- 1期ではそれほど感動的な演出はされておらず、ねずみ男を騙したむじなは正体を表すとさっさと逃げてしまっている。更にむじなが子供たちから騙し取ったお年玉の弁償までさせられてしまった。事件後、落ち込んでるねずみ男に鬼太郎が「むじなに仕返ししてやろうか?」と持ちかけるが、ねずみ男は「あいつは俺の事を兄さんと呼んでくれたからと許してしまう。そして僅かな間でも弟ができて幸せだった、弟は金じゃ買えないんだからざまあみろってんだ」と強がって、1人寂しく立ち去って行った。
- 3期ではねずみ男は最後まで真相を知らないまま、むじなを懲らしめた鬼太郎の頼みで、むじなは弟を演じたまま「また旅に出る」として、笑顔で見送るねずみ男と別れた。だがその後、死神の回で「むじなが弟だと言って近づいてきて酷い目に遭った」と答えてた事様子から、どうやら偽物だと気付いていた模様。
- 4期ではその気持ちを利用して踏みにじったむじなに激怒し「天涯孤独の身内に化けるだなんて……兄さんだと!? 弟だと!? 信じてしまったじゃねえかよ!!」と泣きながら殴り続けた(4期のむじなはねずみ男の人情を利用して妖怪アパートに潜り込んで、住民である妖怪を折りたたみ入道の餌にするなど歴代で一番悪質な事をしていたため、ねずみ男の怒りは大きかったと思われる)。その後、村祭りの出店を開いていてる時に、仲の良い人間の子供の兄弟の姿から、むじなを思い出し「どうせならもっと長く騙して欲しかったぜ」と呟いていた。
むじながねずみ男の弟と偽って化けていた時のマントは、別の水木作品にてねずみ男が登場する際に時折着用している場面があった。
また、3期の「地獄編」では、鬼太郎の母親岩子の偽者が現れたように、ねずみ男の母親マミの偽者が現れた。
普段は呆れられつつ、鬼太郎親子に猫娘や砂かけ婆たち仲間妖怪も含めて、有事の際は身を挺して素直に助けに行くほどの関係で、裏切っては依存するの腐れ縁的な仲である。
鬼太郎とは親友として趣味を共にするシーンもあり、5期では鬼太郎が猫娘に恋愛映画に連行されるのを避けて、ねずみ男と妖怪昆虫の採集に行く場合もあった。5期映画では、神の目すら欺き咄嗟の判断で鬼太郎を救い出すなど機転が利き、世界を救う立役者にもなった。
原作の「不思議な家」にて人間を調べている事件の黒幕たる存在から「理想的な心を持つ人間」と評されており、善悪込みで“人間の本質を示す存在”である実態が示唆されている。
猫娘との関係
猫系妖怪が天敵だが、猫娘とは原作とアニメで多少関係性が異なる。
原作『続ゲゲゲの鬼太郎』では決闘しあう仲であったものの、アニメの方では普段こそお互い疎ましく思いながらも、割合に仲は良く、所謂喧嘩友達としてフラグに近いものを立てるシーンも複数回あった。猫娘が「ねずみ男のことは自分が1番解ってる」と発言したり、窮鼠戦にてねずみ男が自らの命と引き換えに猫娘を見逃すように嘆願したシーンもある。
もちろん力関係は圧倒的に猫娘が上位であり、何かとやらかすねずみ男を折檻する役割も彼女がほぼ独占しているため、成敗される関係が普通である。しかし、4期などでは引っ掻かれたお返しにと、口臭で猫娘に逆襲する場面もあった(体格の差や不意打ちもあってかねずみ男が猫娘を拘束する場面もある。猫娘の体格がねずみ男以上になったアニメ6期ではそういうシーンはない)。3期で枕返しの夢見術を受けた際は、お互いが増殖した相手の大群から追い返られて逃げ回る夢にうなされていた。
外部作品への登場
上記の通り水木御大のお気に入りのキャラクターであり、ねずみ男単独で登場する短編作品も多数存在する。
作中で「ねずみ男」と名乗って「鬼太郎」本編との繋がりが示唆される作品もあるが、大半は本来の設定の枠を越えた要素が付け加えられる扱いが多い。
役柄を変えて登場する際は忍者、仙人、錬金術師、政治家、大国主の使い、果ては神として登場した作品もあり、名前も異なる時がある(例として、フランスの腰巻デザイナー・「カルダン」など)。
「ねずみ男」としても、幸福観察学会会長、百歳教教祖、易者、よろづ実験会社、ニセ陰陽師、オナラ真理教尊師など頻繁に肩書きを変えて現れる。また、「鬼太郎」本編との繋がりが示唆される作品でも、登場する作者の水木御大や周辺の実在の人物たちと様々な騒動を巻き起こす扱いが多い。
- 時代設定も「鬼太郎」本編で語られた年齢約360歳よりも昔(江戸時代以前)が舞台だったりする場合もある。着ているマントのデザインも作品で微妙に異なっている時があり、「鬼太郎」の初期で一部見られたようにヒゲが生えていない時もある。ねずみ男の顔に似た人間が登場し、性格や役割も似ている短編作品まで多数ある。
- 史伝でもある「コミック昭和史」や「神秘家列伝」などでは、鬼太郎ファミリーが狂言回し的に登場するが、中でもねずみ男はメインとして「話がなめらかにゆきかねる時は俺が案内役なのだ」と、作者である水木御大と交代で時に御大とも会話しながら進行を務めている(本来の設定と違い礼儀正しく案内する場合もある)。南方熊楠の生涯を描いた「猫楠」では、「ねずみ猫」というねずみ男の顔をした猫も登場し、熊楠や飼い猫の猫楠と絡む描写もある。
映像作品のねずみ男
アニメ
1期の第2話で初登場以降、4期までは鬼太郎や目玉親父と同様に殆どのエピソードに登場していたが、5期以降は登場しない回が増えていく。
1・2期
1期の2話から登場し、以降は全話において何らかの出番があった。また、1期は登場してても活躍しない話が初期は多かったが、番組が続くにつれて2期の片鱗が見えるようなあくどい商売に手を付けるようになる。
2期は完全に全話登場となって主役級な活躍回も頻繁となっており、時には鬼太郎よりも目立ち、話を動かす回も多かった。
2期までは原作並かそれ以上に鬼太郎を容赦なく裏切ることが多い。また、2期からは、猫娘が登場したことで折檻のパターンにも幅が生まれた。また、この頃は猫娘との関係はそこまで悪くない回もあり、腐れ縁的関係となっている。
衣装の色は2期では青っぽいねずみ色、墓場では原作同様に黄色だった(児童書などで2期のねずみ男の衣が黄色だったことはある)。原作同様に不潔だが1期では控えめで、全身の皮膚病は作画都合で省略されていた。2期で不潔さはパワーアップする反面、皮膚病の描写は省略され続けた。
目玉おやじから一貫して煙たがられる一方、鬼太郎からは比較的大事に扱われている。1期の初期は手厳しい対応を取られることも多かったが、回を重ねるごとに悪友として描かれることが多くなった。
特に2期では殺されかけても軽い折檻で許したり笑い飛ばしている。また、シリーズを通してどんなに酷い時でも一時的な絶交などで済ませている。
半妖怪として原作より多少妖気の感度が鈍い面も描かれ、それゆえに助かった事例もあれば、利用され痛い目を見たこともある。「音痴なので、音波系の攻撃は通用しない」と自称するが、実際は逃げ隠れしているので真偽は不明。生命力の強さは原作同様強靭である。
声を演じた大塚周夫は、「半妖怪という人間にも妖怪にもなれず、どこにもいけない世界で生き続けたことで人格が荒み、やけっぱちな性格になっていった」と解釈し、原作者の水木しげるにアドリブを入れたいと相談すると快諾され、自由に演じたという。人間的な性格のねずみ男は大塚のお気に入りで、インタビューで話し始めるとなかなか止まらなかった。
時々オネエ言葉になるのも、きつめのセリフに何とか柔らかい印象を与えようと考えた大塚の工夫によるものとのこと。ただし原作でも稀に「おっとっと、逃げちゃいやよ」などとオネエ言葉に近い台詞を話している。
戦いにおいて役に立つことはほとんどなかったが、1・2期のねずみ男は口臭だけを武器にしていたことも特徴。恐らく自主規制と思われるが、後の世になって放屁が解禁されたという興味深い例とも言える。
3期
2期同様に全話登場で、しかも目玉おやじが1期同様に「幽霊電車」回だけ未登場などの出番的に控えめな事例も幾つかあったため、全体的に従来より彼の方が目立っている。
相変わらず狡猾だが、鬼太郎たちとの仲間意識も強かった。ネコ娘との腐れ縁的関係も変わっていない。
ロリコン趣味となり、天童ユメコに迫ってカッコ付けたがる事が増えた。
前作を踏襲し衣装は青みがかったグレー。初めて全身の皮膚病が描かれる。目の形が丸く描かれており原作や他シリーズとは顔つきの雰囲気が異なる。後の4期では同作のスタッフが作画監督を担当した際、その片鱗が見られる回が存在する。
ただしよく鬼太郎の家に転がり込んでいた前シリーズと比べると本作では自分で住まいを持っていることが多くなり、以降におけるねずみ男の生活観の基礎を構築している。
鬼太郎からの折檻が容赦なかったため悪事に手を出しにくくなっている。しかし、鬼太郎が寝込んだ際は看病するなどの優しさも見せた。このためか鬼太郎もねずみ男が根は決して悪い奴ではないということを口にしたこともある。
1期で自称していた「音痴なので、音波系の攻撃が通用しない」と言う能力も本作では実証されている。
3期映画4期「ゲゲゲの鬼太郎 激突!!異次元妖怪の大反乱」では準主人公と言っても良い活躍を見せ、カロリーヌとの絆が描かれた場面は語り草である。
声を演じた富山敬は台本通りにきっちりこなすことで知られているが、ねずみ男では珍しくアドリブを多く入れたという。
4期
従来同様に主役級で殆ど毎回登場だが、中盤で2話だけ例外的な未登場回(49話と59話)があった。また、登場しても顔見せ程度の回もあり、過去のシリーズより出番的には控えめになった。前作とは逆に再び本作より全話登場となった目玉おやじの方が目立っている。
アニメーションでは初めて衣装の色が原作と同じ黄色となった。全体的なデザインや表情も一番原作に近く、全身の皮膚病も前作より目立つ。
気付かれず瞬時に人前に現れるなどの、妖怪として神出鬼没さは健在。時折女装化傾向が出る。
相変わらず汚い商売や詐欺まがいの行為で生計を立てている。やはり最後には失敗して大損するので、多額の借金を抱えており、借金取りに追い回される姿も見受けられる(9話では鬼太郎を勝手に借金返済の保証人にしていた。鬼太郎に迫った借金取りは目玉おやじに驚いて逃走した)。
しかし、自作の妖怪シール販売で得た金にて鬼太郎に夕食をごちそうしたり、弁当の配達をしたりと時折真っ当な商売や仕事も行って、一時的に金回りが良くなる事もある。後半では比較的真面目にバイトをして生計を立てる事の方が増え、バイト先で妖怪事件に遭遇して鬼太郎に助けを求める傾向が多くなった。
鬼太郎との距離は総じてこれまで以上に離れており、仲良しとして描かれる場面はかなり少なかった。とはいえねずみ男が気まぐれにラーメンを奢ったり、逆にねずみ男がマンモスフラワーに寄生された時は、鬼太郎が必死になって救おうとするなど、ややドライながらも腐れ縁的な関係となっている。
敵妖怪と共謀して鬼太郎に手を組むように迫って拒絶されるのはシリーズ恒例だが、11話「毛羽毛現とがしゃどくろ」では人間側に非があったため事情を知った鬼太郎がねずみ男の誘いに乗り、(鬼太郎なりに)比較的穏便な方法で人間を懲らしめた(一応、毛羽毛現の封印を解いたのはねずみ男だが、毛羽毛現と和解したためお咎めなし)。
弟ができて喜んだり、結婚を報告した時は鬼太郎も喜んで祝っている。
ねこ娘との天敵に近い関係もこれまで通りで、4期ではねこ娘の容姿が幼いこともあって、大の男が自分より小さい女の子にタジタジになるというコミカルな外見となった。一方で一部の回ではねこ娘が荒れた生活をするねずみ男を気遣ったり、金の為とはいえ必死に汗を流す姿を馬鹿にする金持ち令嬢に激怒した事もある等、腐れ縁なりに絆を育む描写もあった(夜叉に魂を食われて死亡した時、彼女だけは悲しんでいた)。
一方、鬼太郎ファミリーとの関係はシリーズでも非常に険悪となっており、このシリーズから『ゲゲゲの鬼太郎』を視聴した者達から見れば「鬼太郎ファミリー+1人(ねずみ男)」にさえ見えてしまう程。ねずみ男の方は羽振りが良かった際に食事を奢ったり、結婚が決まれば式の招待状を送ったりもする等、他の妖怪達に比べれば親しみや気を許す様子も見せている。
しかし、鬼太郎ファミリー側…特に目玉おやじや砂掛け婆、子泣き爺等からは蛇蝎の如く嫌われており、第3話でねずみ男が夜叉に魂を食われた際には砂掛け婆と子泣き爺からは全く哀しまれないばかりか嫌味を言われ、更に少しでも生き返る素振りがあれば「今更生き返られても面倒なだけ」と言われた挙句に遺体を勝手に火葬されてしまう等、あんまりな扱いを受けている。その後も、鬼太郎ファミリー等を中心に親睦会が行われる事になってもねずみ男だけは仲間外れにされる(流石に妖怪ならば誰でも参加が許される「運動会」では、主義に反する為か誘われたが)のが半ば恒例になっており、逆に誘われても他の鬼太郎ファミリーのメンバーからは嫌味交じりの事しか言われない等、ねずみ男の行動に問題があるとはいえ、時として「鬼太郎ファミリーの方が少し冷淡過ぎるのではないか」と思わせる描写があった。
欲深いが、時に困ってる人を見過ごせない人情深さは歴代同様。孤独や人生観に踏み込んだエピソードも豊富で、4期の1年目ではねずみ男がメインの回=人情話であることが多い。金持ちの娘から「金のためならなんだってする」と嫌味を言われた際には、「その通り。金のためだったらなんだって我慢する。大したことじゃねえ。慣れちまってる!……でなきゃ、俺ぁ生きていけねえ。他に方法を知らねえんだ! でも……俺はこれでも必死に生きている!」と悔しささえ滲ませて語っており、自身の出自に関して苦しんでいる。また、自らの行いにも内心後ろめたさを抱いていた様で、マンモスフラワーに寄生され助かる見込みが無いと思った際は、鬼太郎親子に謝罪しつつ自ら死を受け入れようとしている等、差別を受け続け孤独に生きていた人生に嫌気がさしていた様子も見せている。
24話では跡継ぎに悩む寺の娘を真剣に愛した結果、なんと本人の表現では「けつこん」して住職になっている。尤もその後には過酷な現実が待っていたのだが…。
と、ここまでが4期のねずみ男の有名な概要。しかし実はあまり知られていないが、4期において人情的な描写をされているのは1年目が主。2年目以降は同情的に描きすぎたことを省みてか、どちらかと言えば救いようのないお調子者として描かれることが増えている。例えば迷子になった「百目の子」をたまたま拾った際、親元に届けようとするどころか「金儲けに利用できないか」ということしか考えていなかった。
ただし、妖怪王ぬらりひょんとの戦いでは終始鬼太郎側だった。
声を演じた千葉繁は、お得意のアドリブで狡猾ながらも間抜けで憎めないキャラ付けに一層の拍車をかけた。
5期
作中の基本的な位置付けは従来と変わらないが、映像作品では唯一「妖怪」として扱われた作品。初の主役回となる2話で砂かけ婆と子泣き爺から「半分人間、半分妖怪、悪いところは人間似」と言われた以外は、終始他の妖怪と変わらず扱われていた(これすらもねずみ男の性根を語った台詞であり、出自の話ではない)。デザインは4期にかなり近いが、ひげが少し太いのが特徴。
本作より1クールに1~2話の割合で未登場の話も増え、登場及び活躍する頻度は歴代一控えめ。全体的な出番も本作で初めて完全に全話登場となった猫娘より少なくなった。特に最終クールは連続して未登場回を食らうなど、存在感がやや薄れていた。
妖怪横丁では煙たがれながらも心底疎まれない程度に受け入れられており、彼の性格のねじれの要因である「人間にも妖怪にも受け入れられず居場所がない」と言う状況はかなり緩和されている。
こういった背景があるために、狡賢な素振りはかなり影を潜め、朗らかで友情や人情に厚いキャラづけになっている。
一方で金のために人間の魂を平気で妖怪に売り渡すなど、悪巧みぶりは健在。しばしば仲間を裏切るくせも変わっていないが、裏切りの際も義侠心に心が揺れ動く描写が見られる。
- 骨女いわく、昔はもっとクールで悪どかったそうであり、本人も「あの頃は良かったなぁ」と語るなど、昔は歴代ねずみ男同様ドライな性格だったのが、年月を経て性格が穏やかになっていったと思われる描写がある。
ネコ娘との腐れ縁関係は相変わらずだが、彼女がねずみ男と鬼太郎が長年の親友である事を羨んでもいるため、天敵関係でもあるが一方的にライバル視もされており、「アンタが羨ましいよ」と言われた事も。
従来同様に不潔ではあるが、2期以来再び皮膚病を患わなくなった(初期の設定画では控えめに描かれてもいたが、決定稿の段階で消されている)。風呂に入り清潔な身なりになることも歴代より多くなり、体臭対策にオーデコロンを使用するが、猫娘は品の無い臭いとして逃げ出した。本作でも女装を披露している。
歴代と比較して鬼太郎との仲はある意味もっとも良好で、気苦労の多い鬼太郎が唯一気を遣わず付き合える相手として描かれている。ネコ娘と知り合う前からの腐れ縁で、昔は一緒に当てもなく出かけたり、羽振りのいい時は鬼太郎に高級品を振る舞ったりしていたという(ねずみ男の破産後は鬼太郎がお茶漬けを奢って慰めたらしい)。
お互いに必要な存在として見ているため、鬼太郎側もはっきり「友達だ」とねずみ男の前で言い切っている。そのため、鬼太郎は悪事に対する相応の報いを受けさせる一方、「最低な奴だけど地獄に行く程じゃないさ」とし、自業自得であっても絶命の危機に陥った際は命懸けで救い出す。また、敵に付いても途中で改心すれば、他の仲間から非難されていても許している。その理由を鬼太郎はずる賢くても心の底には人情的な面があるため、自分達の仲間で居られる(要約)としている。
あまりにも鬼太郎からの信用があり、いろいろと互いに理解している深い関係から、ネコ娘に嫉妬されたこともある。
ねずみ男の方も、鬼太郎の存在があるからこそ自分がこの世界で生きていけるということを自覚しているため、逆に鬼太郎が死の危機に瀕すると身を挺して行動する。また、鬼太郎に庇われてただ逃げ出すのではなく、何らかのフォローやバックアップを行ったりすることも多い。裏切って目玉おやじをピンチに陥れたのにもかかわらず思わず鬼太郎を応援している回すらある。
さらに鬼太郎が無実の罪で重罪に問われそうになった時には、持ち前のしたたかさと要領の良さをフルに発揮して、殆ど詰みだった裁判をひっくり返す大活躍を見せた。また、裁判の際には「鬼太郎が人間にも妖怪にも公平である」と裁判長(大天狗)に説いている。さらにしばしば自分を更生させようとする黒鴉が、自身の醜い出生を知って自棄になっていた際も、あえて悪ぶって本音を引き出そうとするなど、自身の性悪な生き様は自覚しつつも節々で仲間のために働く。
他にも、火取り魔事件の際には損得抜きで鬼太郎救出と火取り魔封印に貢献、大百足退治後に御影石が壊れてしまい追加報酬が得られなくなった時は黙ってぬりかべ家族に自分の儲け分を渡した。過去にはオベベ沼で悪さしていたかわうそを「寂しかったからイタズラしていた」と看破しており、鬼太郎に彼のことを許してあげるように進言、彼が妖怪横町に住めるきっかけを作ったことも(そのこともあってか、かわうそからはなんだかんだいって慕われている。流石にチーに従って横丁の妖怪たちを反物にして絶滅させた時は見限ったが)。
しばしばねずみ男にしては良い人過ぎると言われるが、先の通り目玉おやじを誘拐してあわやという事態に陥れたり、人間が最悪死ぬかもしれないという事態すら厭わず利用して大儲けしようとしたり(実際に死んだ例はないが)、最悪鬼太郎を本気で倒そうとするなど、あくどい面はしっかり持っているため、決して根っからの善人であるとも言い難い。
声を演じた高木渉は、4期でムジナが化けた“偽ねずみ男”も好演。また、初代ねずみ男である大塚周夫に面と向かってねずみ男を演じることを報告し、「自由に演じなさい」と言われたのにもかかわらず、後日軽いダメ出しを受けたことを大塚の没後に笑い話として報告していた。後に大塚が演じた白山坊と掛け合いを演じたことが印象深かったため、6期ではプロデューサーに「白山坊を演じたい」と嘆願し、実現した。
6期
2話から登場。従来通り主役級ポジションで、活躍頻度的には4期以前の毎回登場に近くなったが、一方で前作の5期同様に未登場回もある。
ポジションとしては相変わらずのコウモリ野郎だが、本作では彼以上に愚かな登場人物(特に人間)が多数蔓延り、それを解決する立場にあるはずの鬼太郎が結構未熟である為、相対的に達観した年長者としての面を見せることも多い。
服の色が3期までのようなグレーに回帰したが、顔つき自体は前作に近い。不潔さが目立つシーンは減少しているが、従来より控えめながらも4期以来で皮膚病が描かれるようになり、全身が妖怪カビの塊と化した事まである。
時代の流れに合わせ、報酬計算は電卓となったほか、画面の割れたスマートフォンを愛用している。
戦闘能力は歴代に比べて低く、戦闘には基本的に参加しない。お得意の悪臭攻撃も、衝撃を受けて発生した体臭で居合わせた者が咳き込むなど、自身の意志より不可抗力的に発してしまう事が多い。
ヤクザ系の人間から凶器で脅された時も、ビビって何も出来なくなるほど臆病で非力な面を見せる。13話で見せた鬼太郎への助力も、車を使って敵に突撃するというものだった。しかし、34話で窮地に陥った鬼太郎たちを救うために放った一撃は、凄まじい威力を見せ付けた。
その一方では、追跡から逃れるために体を自在に変形させる能力や、気付かれず瞬時に人前に現れたり、室内で天井に張り付いても姿を人間たちに気づかれないなど、妖怪としての神出鬼没さも随所に見せている。
4期同様、半妖怪出自故に人間からも妖怪からもつま弾きにされながら生きてきた自分の立場を憂う発言をしており、仲間がいる鬼太郎に鬱憤をぶつけた場面もある。
- この時ばかりは猫娘も複雑な表情で黙っていた。
戦闘能力が低い代わりに毒舌家ぶりや皮肉屋ぶりは強烈で、事件が起こるたびにその的をついた発言をすることが多い。13話では安易かつ無責任な情報を拡散し合ってお互い釣られる人間たちの愚かさに「他人の口車が本当に真実かどうかは全く考えねぇ挙げ句、フェイクな噂を撒き散らす片棒担ぎ」と嘯いていた。また、人間の死体を平気で取り扱ったり、ヤクザや殺人犯などの犯罪者とも頻繁に取引をするなど、裏社会に精通していると見受けられる描写があるが、その一方で年金不正受給のために、母親の遺体を売ろうとした男には「世も末だねえ」と皮肉っている。
戦争については非常に強い嫌悪感を顕にすることも今期での彼の特徴(なお、演じた古川氏は実際に戦争で兄を失っている。)。
20話において、太平洋戦争を「本当、嫌な時代だったぜ」と語り、慰霊碑に真っ先に手を合わせるなど、国内外かは定かではないが、太平洋戦争を肌で感じてきたと思われる発言や行動も見られる。
戦争について本人はそれ以上語らなかったが、葬られずにいた戦没者の遺骨を、供養もせずに遺棄しようとしていた森林伐採業者には「国を守る為に戦ってきたご先祖様を捨てようというのか」と強い憤りを見せた。
玉藻前の策略で世界大戦になりかけた際は、鬼太郎が戦っていることを知り、総理邸に乗り込んで「鬼太郎が何とかしてくれるから待て!」と大暴れして、戦争が起こるのを阻止するという快挙を成した。
ぬらりひょん編では人間によって鬼太郎が銃殺されてしまい悪堕ちしてしまうが後に正気に戻り、復活してバックベアード爆弾と戦う鬼太郎のために得意の弁舌で人間と妖怪の心を1つにして鬼太郎を応援し、バックベアード爆弾撃破に貢献する。
商才に関しては従来以上の規模のビジネスを興す事が多いが、結局いつものように破綻したり、仮想通貨などの投資で大損しては借金取りにしょっちゅう追われている。儲けた際は必ず豪遊するのがお約束。
狡猾でドライな性格を垣間見せる場面も多く、欲深い人間や騙されやすい妖怪を平気で利用する描写もある反面、迫害される立場の人間を犠牲にするにはためらう一面も見せる。
また名無し編クライマックスの序盤では、妖怪ポストに鬼太郎ファミリーへのファンレターが届いた際には、それを利用しようとするどころか他のファミリーのメンバーに苦言を呈していた。しかし論破されてしまい、去り際に「絶対痛い目を見るからな」と忠告する。そしてその通り、鬼太郎達は最大の危機に直面する事に…
『地獄の四将編』からは、金儲けがてらにスキャンダルをマスコミに売り渡すなどして、相手を社会的に抹殺すると、ある意味えげつない方法を取る様になった。大概は事態の悪化に繋がるが、64話の人間サイドの悪役・鬼久保一家に対し、辰川翔子に暴言を浴びせて暴力を振るった映像をマスコミに売り渡して成敗した場面には、視聴者から思わず称賛の声が上がった。
- 似た方法でバイトテロによる炎上攻撃も行うが、こちらはねずみ男にもデメリットがあるため、ほとぼりが冷めるまで身を隠す羽目になっている。
鬼太郎に対しては金儲けに誘いたがったり、人間から鬼太郎が暴力を振るわれた際は慌てて心配したりなど、懐っこい様子を見せている。絶交宣言した直後でも、有事の時は鬼太郎が救助に駆け付け、ねずみ男も鬼太郎の窮地を身を呈して庇うなど、互いの友情は厚い。
名無しとの決戦において、追い詰められ、頼りとする父も亡くした(と思い込んだ)鬼太郎が自分を見失いかけた時には、涙ながらに気合を入れて立ち直らせた(この展開はシリーズ構成の大野木寛曰く、演じた古川登志夫の演技に触発されてのこととしている)。
- 鬼太郎も石動零に対して「ねずみ男の存在を許せる自分でありたい」と言い放ち、最終決戦では海外に亡命しようとしたねずみ男に「お前が生きていてくれれば嬉しいよ」と語るなど、5期と同等あるいはそれ以上に彼らの関係性が特に深く掘り下げて描写された。
もしもこの友情が無ければ、クライマックスは一年目、二年目共に間違いなく詰んでいただろう。二年目では事態悪化の一因にもなってしまったが…
恒例の鬼太郎を裏切る描写も激減しており、鬼太郎ファミリーに対しては一緒に団欒したりと親しく、ファミリーも歴代と比較するとねずみ男への態度はかなり軟化している。
ねこ娘とは天敵関係で、悪事を働くたびに怒られたりお仕置きされたり、よく口げんかもするが、仲は険悪なわけではなく、状況によってはお互い心配し合っている。
しかし、鬼太郎ファミリー以外やそれに親しい人間や妖怪以外には種族問わず基本的に無関心な態度を取る場面が多く、悪事は働いていなくても、お金にならない相手はあっさり見限るなどの冷徹さも目立つ。
- この落差は、その出自から孤独で他人を信用できないねずみ男にとって、むしろ鬼太郎ファミリーとまなこそが例外的な「身内」であるため。特にまなの場合は、紆余曲折ありながらも、人間の中ではただ1人信じられる相手となっている。
当初はまなに対しても基本的に無関心であったが、餓死寸前の状況から彼女にパンを貰い助けられて、一度だけ惚れ込んだ描写がある(貰ったパンを大事にするあまりカビさせるほどだった)。この時まなの優しさを自分への好意と勘違いしてしまい、本人なりには恩返しのつもりだったが、不器用にストーカー紛いの行動となって空回りしてしまった。
結局、まなには「知り合い」としか思われていない現実にショックを受け熱が冷めたのか、その後は特に友好的な態度を取らなかったが、4クール目のEDでは彼女を鬼太郎ファミリーとほぼ同列に認識しているような描写がある。事実、最終回では人間への憎しみに駆られながらも「まなを殺すことなんてできない」と涙をこぼした。妖怪大裁判で鬼太郎を罠に嵌めた際も「たかが500年。妖怪にとっちゃ大した時間じゃ……」と悪びれなかったが、まなの「妖怪にとっての500年と人間にとっての500年は、違うもん」という言葉に折れて真実を証言している。
一度美女・石山妖子とは結婚にまで至ったこともあったが、彼女の正体は結婚詐欺を生業とする妖怪・石妖で、ねずみ男は有り金を全部奪われ、更に結婚式の費用のために良からぬ筋から借金をしたために、過酷な取り立てに追い詰められる羽目となった。
それでも石妖を嫌いになれず最後まで庇っていたのは、高価な結婚指輪が持ち去られなかったため、彼女を信じようと思ったからである。
- 石妖にもねずみ男に対し、何か思うところがあった様子が描写されている。詳細はリンク先を参照。
声を演じる古川登志夫は「5期の時にもねずみ男役でオーディションを受けたが、落選していた」と語っており(その後蒼坊主役で準レギュラーになった)、念願のねずみ男を演じられる事態に喜びを表している。
墓場
大塚が黄色い衣装のねずみ男を演じた唯一の作品。大塚が演じるねずみ男で強烈なオナラ描写シーンを演じたのは本作のみ。また、原作にもあった皮膚からの粉だけでなく、フケにも相手を気絶させる効果を発揮していた。
原作初期のイメージのため、頭頂部で盛り上がったようなガウンの部分のデザインはない。
怪奇愛好家である設定が強調されており、不気味な目にあってもよほど自身に危害が加えられない限り、平然としている度胸強さを見せている。
また、本作では原作初期にいて「お化け大学卒」を自称する設定を盛り込みつつ、後にそれが嘘だったと判明する形で、前後で噛み合わない学歴を融合している。
大塚周夫はそれまでにも例外的な作品でねずみ男を演じる機会があったが、映像化作品としては久しぶりだった。このためねずみ男役のオファーが来た時は非常に喜んでいたとされる。
映画妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活
妖怪ウォッチとゲゲゲの鬼太郎とのコラボでゲスト出演。
衣の色は2期に近いが、袖は従来のようにダボダボではなく窄まっており、顔立ちは6期に近い。
今作でねずみ男を演じた大塚明夫は、1・2期でねずみ男を演じた大塚周夫の息子でもある。父の演技について「ここまで立体的に作り込まれた芝居は滅多にない」と絶賛し「自分もいつか演じてみたい」と思っていたほど(周夫健在の頃、関係のないところでモノマネを披露した過去もある)。
妖怪に殺されかけた友人を救う手段を求めて、ゲゲゲの森に来た主人公を警戒し、鬼太郎の護衛のために鬼太郎ファミリーらと一緒に取り囲む。しかし彼らが鬼太郎をほとんど知らない実態に気付くと、唐突に「自分が鬼太郎である」と嘘を吐いて小金をせしめようとしたので「鬼太郎ってセコイ」と呆れられた。
すぐに本物の鬼太郎が背後から現れ咎めに来たが、その下駄を過剰に怖がっていた。
コナミゲーム版
『ゲゲゲの鬼太郎 異聞用怪奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎 逆襲!妖魔大血戦』
『ゲゲゲの鬼太郎 危機一髪!妖怪列島』
原作のビジュアルをそのまま用いている。衣の色も黄色である。鬼太郎は呼び捨ての他にも「鬼太郎ちゃん(鬼太ちゃん)」「鬼太公」などと色んな呼び方している。口調は作品によって異なるが、主にべらんめぇ口調である。原作に近いため、鬼太郎やそれ以外の扱いに対しては遠慮がない。人間を平気で生贄として差し出すなどして、罪悪感を感じている風な口振りだけを装うなど、独特の倫理観も持ち合わせていた。
それぞれのゲームごとに扱いや性格は異なるが、総じてへそ曲がりな立ち回りとなっている。『異聞用怪奇譚』では正式な仲間として中々加入しなかったり(時には敵に回ったり)、『逆襲!妖魔大血戦』ではランダムで効果が変わる(たまに何もしない)などしている。
モデル
香山滋の小説で、鼠の住む島で鼠になる人間の話が、キャラクターのネタ元だとされる。奇しくも、香山原作のゴジラが大海獣の前身であり、鬼太郎自身も大海獣になった。
ねずみ男のモデルとなった人物は、水木御大の貸本漫画家仲間の梅田栄太郎。「コミック昭和史」「マンガ水木しげる伝」「東西奇ッ怪紳士録」などでの説明では「金儲けのアイディアを色々考えるが、あまり成功しなかった人物で、その金に対する不可解な熱意と行動力を見て、ねずみ男のモデルは『これだ!』と思ったとたん、ねずみ男は色々活きだした」と評している。
ちなみに梅田は、漫画を諦めた後に印刷業で成功を収めた。
関連イラスト
出典
「鬼太郎大百科」
外部リンク
関連タグ
ねずみ:モデルになった動物からは「弱い」と評されながらも、強く生きていく強かさを受け継いでいる。
鼠色:ある意味、彼を象徴する色。黒と白その中間に位置するのが彼であると断言しても良いかも知れない。
野原ひろし:「クレヨンしんちゃんの47都道府県なるほど地図帳」にてねずみ男役を務めた。