バドレックス
ばどれっくす
「カ ムカンムル!」
『ヨはバドレックス。豊穣の王と呼ばれし者』
基礎データ
概要
DLC第2弾『冠の雪原』におけるキーキャラクターで、過去にガラル地方一帯を統べていたと伝承で語り継がれる「豊穣の王」。
鹿の様な顔立ちにエゾユキウサギを思わせる体格をしており、冠のような巨大な緑色の球体を頭上に戴せている他、小さな球体が連なった数珠のような首飾りを身に着けている。
華奢で小柄な見た目だが、立ち振る舞いは優雅で威厳に満ちている。また小柄といっても脚は非常に細長く、頭部が大きい為、全体的な身長は割と高め。
その異名の通り土地に実りを与える力を持つほか、広大な森とそこに住む生物を一瞬で別の場所に移し替えたり、過去・現在・未来の出来事すべてを見通す力をも持っていたという。
かつてはその能力で、隕石の襲来から森の生き物を救ったともいわれている。
また、戦う時は一切の容赦を掛けないが、それが終わると敵の傷まで癒しに行くという素晴らしい慈愛の持ち主でもある。
名前の由来は恐らく、"bud"(英:蕾)+"rex"(羅:王)。つまり蕾王という意味である。
身に着けている冠や首飾りは良く見ると植物の蕾であり、また分類が「キングポケモン」である事や、先述の実りを与える能力からも、まさしく「蕾の王」の名にふさわしいポケモンであると言えよう。
「冠の雪原」ではシナリオの序盤から登場。
カンムリ雪原のフリーズ村にある木彫りの像を修復するとプレイヤーの前に現れ、村のやや外れの広間へと誘い込み、力比べとばかりに勝負を仕掛けてくる。
バトル後、主人公を認めたのか何かをお願いするかのように語りかけてくるが、異国の言語のような鳴き声で何を言っているかよくわからず、そこにたまたま居合わせたピオニーの体を乗っ取って通訳させる事になった。
このようにサイコパワーで人間の肉体を借りることで極めて流暢な会話が可能。
条件付きとは言え、流暢に人語を話せるポケモンはゲーム作品において非常に珍しく、バドレックス以外だとデバイス入りのロトムぐらいである。
かつては「豊穣の王」として人間からも崇められていたが、その信仰心も歴史と共に風化し、力も徐々に失われ、愛馬にも愛想を尽かされ逃げられてしまった……とのこと。そこで、悠久の時を経た現在で自分のことを覚えている人がいるか確かめてほしいと主人公に依頼するのだった。
以降もシナリオ中ではたびたびピオニーの体を乗っ取り、主人公に語り掛けてくる(ピオニー自身は憑依されている間の事は覚えておらず、「何故か外で寝てしまっている」と思い込んでいる)。
紆余曲折を経て、カンムリ神殿にて愛馬を「キズナのタヅナ」の力で再び制御することに成功。
かつての力と威厳にあふれた姿を取り戻し、主人公の力を認め、捕獲戦となる(ただし、プレイヤーが殿堂入りをしていないと、捕獲戦を行うことは出来ない)。
「ヨ(余)」という一人称を使い荘厳な口調で話すが、立ち振る舞いは至って穏やかで、人間の技術の進歩に感心するなど、孤高または凶暴な者が多い伝説ポケモンの中でも友好度はトップクラスに高い。
その親しみやすさと隠しきれないポンコツ臭、端々で見せる可愛らしさから、一部からは「(自分の認識度を調べてほしいと頼んできたことから)エゴサポケモン」などと評されつつも、「バドレックス様」「バド様」「陛下」の愛称で呼ばれ愛されている。
しっかりとした会話には第三者による通訳が必要なため、捕獲後に会話ができなくなるのが非常に残念である。
ゲーム上の特徴
種族値 | HP | 攻撃 | 防御 | 特攻 | 特防 | 素早さ | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
バドレックス | 100 | 80 | 80 | 80 | 80 | 80 | 500 |
特性だけは「きんちょうかん」とそれなりに強いのだが、草・エスパーの複合タイプは弱点が多く、強力とは言い難い。せいぜい粉系の変化技や「やどりぎのタネ」が効かない程度。しかも、タイプと数値だけを見れば、セレビィの完全劣化である。
習得技も草・エスパー・ノーマルで固まっているため通りが悪く、ラインナップもイマイチ。
バドレックス単体として見ると、伝説のポケモンとしてはあまりにも悲惨な性能である。パワーダウンしているとはいえ、ここまで情けない伝説ポケモンがいまだかつていただろうか……
ただし、それらはバドレックス単体での話で、愛馬に跨る事で真の力が発揮される。
やはり先述の『蕾の王』の名の通り、本来の力を取り戻した形態に開花させてやることが重要なのだろう。
こらそこ、馬+鹿とか言わない。伝説ポケモンの中にはもっと鹿っぽいやつも居るし。
ちなみにバドレックスと愛馬がボックスにそれぞれ2体以上いたとしても、乗馬が可能なバドレックスは1体のみである。別のフォルムを使いたい場合は一旦合体を解除し、改めてキズナのタズナを使う必要がある。
なお、フォルムチェンジしてもしなくても禁止級であり、公式大会では使用出来ない。
またシーズン8からは他の禁止級同様に参加出来るようになった……が、1体しかない枠を種族値が禁止級にしては低いバドレックスに割くトレーナーはほぼいない。
しかし愛馬に跨ってならそれぞれ高い戦闘力を誇るため、共に採用率は高順位に位置している。
また、バドレックスはダイマックスすると通常の赤ではなく青い光を纏う。
他のダイマックスポケモンの頭上に現れる雲のような印も青い(現れていないように見えるが、画面に見えていないだけで、技を放つときにそれを確認できる)。
ストーリー中ではダイマックスする機会がなく、特に説明もされていないので理由は不明だが、通常ダイマックスポケモンが纏う赤い光が要因であるガラル粒子と同じ色であることを考えると、バドレックスは何らかの理由によりガラル粒子の力を借りずに自力でダイマックスしている(その結果、他のポケモンと違う色で光る)のでは?と考察されている。
第9世代
次世代にも続投、今作の目玉要素のテラスタルは耐久に難があるバドレックスのタイプを上書きできシナジーは高いが相変わらず単体で使われることは皆無。2つのフォルムチェンジはお互いピーキーな耐性であり、こちらもテラスタルとの相性は良好と言える。
番外作品
『ポケモンマスターズ』
なんとダンデ(21シーズン)のバディとして『はくばじょうのすがた』で登場。
本編ではピオニーの体を乗っ取って会話していたが、こちらではピオニー同様に色黒で大柄な男であるドリバルに乗っ取っていた。
余談
バドレックスのように流暢に話せないだけで、言葉を話したり人間と意思疎通ができるポケモン自体は本編でも幾つかいる。
例えば『ブラック・ホワイト』のイベントではバックパッカーに化けたゾロアークが人の言葉を話す他、『サン・ムーン』ではカプ・コケコがカタコトながらもテレパシーで語りかけてくる場面がある。
『赤・緑・青・ピカチュウ』及びそのリメイク作品におけるゆうれいも、一方的にとは言え「立ち去れ」という拒絶の意思を人間に伝えることには成功している。
アニメや映画、本編外のゲーム等の外部作品では更に多く、代表的なものだとミュウツーやルカリオ辺りが該当する。
今作のストーリーは隕石と共に降り立ち「ブラックナイト」を引き起こした伝説のポケモンムゲンダイナが中心となっているが、バドレックスもそこかしこにムゲンダイナとの因縁を匂わせる描写が存在する。
まず、バドレックスの図鑑説明からは森と生物を一瞬で動かし、隕石から守ったと記されているが、その隕石が二万年前に落ちてきたムゲンダイナの隕石であり、移転した森が現在のカンムリ雪原なのではないかと云われている。
またカンムリ雪原に点在する石碑には大昔の人々とバドレックスの出会いが記されているのだが、その中に『手を 広げると それ(バドレックス)は 恐れたので みな 拳を 握り 接した』と記されている箇所がある。
これだけだと意味を理解しにくいが、ムゲンダイマックスしたムゲンダイナがまるで巨大な掌のごとき姿をしていた事を鑑みると、バドレックスは(ザシアン・ザマゼンタと同時期かは不明だが)ブラックナイト発生時にムゲンダイナと交戦し、負傷したのだと考えられる(上記の青いダイマックスも自らの力でムゲンダイナに対抗した結果なのかもしれない)。
元ネタはブリテンのアーサー王、有角の豊穣神ケルヌンノスに加え、ダーナ神族の最高神ダグザが複合していると推測される。
ダグザは「騎手にして偉大なる父」の異名を持つ最高神ながら世俗的な面も持ち、自分の評判を気にするバドレックスに通じるところがある。頭の大きなつぼみはトレードマークである魔法の大釜に似ている。
木彫り像のバドレックスは、その後なんと一般販売されることになった。忠実に再現されたその何とも言えないクオリティは、ある意味一見の価値あり。