- イネ科の商用植物。種子をパンや麺類などの食品の材料とする。この項で説明。
- アニメ「ソウルテイカー」およびそのスピンオフ作品「ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて」の登場キャラクター。→中原小麦
- ゲーム「フラワーナイトガール」に登場する花騎士。1をモチーフとした人物でもある。→コムギ(花騎士)
植物・食糧の小麦
小麦は比較的冷涼かつ乾燥した気候下でよく育つ植物である。したがって降雨の多い東南アジアやアマゾン、ギニア湾岸ではほとんど栽培されず、雨の少ないヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ、中国北部などで栽培が多い。
日本における歴史
日本の本州以南では秋まきで梅雨入り前に刈り取る冬小麦が主流で、稲作の裏作としてよく栽培されていた。
種子を刈り取り、脱穀、製粉して各種の食の用途に充てる。種子が崩れやすく、籾殻を取ると粒が割れてしまう。このため製粉しないで食べられることはまずない(麦飯にするのは大麦である)。
「小麦」の名は粒の小ささによるものではなく、製粉技術が普及していなかった古代においては、粒のまま利用できない小麦は大麦より有用性が低いと考えられていたことによる(室町時代頃までは砕けた小麦の粒を何度もふるいにかけて小麦粉を取りだしており、うどんやそうめんは大変ぜいたくなものだった)。日本において小麦が重視されるようになったのは、水車などによる製粉技術が一般化し粉食文化が庶民にまで広がった江戸時代のことである。
小麦の旬
お米の旬が秋であるのと同様に、小麦にも旬があり、それは初夏である。
麦秋という言葉もあり、夏の季語になっている。
夏至の時期には中国では小麦で作った麺やまんじゅうを食する習わしがある。日本では農作業の繁忙期のためか夏至独自の食べ物はほかの季節と違って見当たらないが、それでも地域によっては小麦で作った料理を食べる風習を散発的に見ることができる。
健康との関わり
最近では小麦自体に含まれているグルテンという植物性タンパク質が肥満便秘や統合失調症、あるいはグルテン運動失調などを引き起こすという主張がある。しかし、グルテンの摂取を避ける「グルテンフリー」はグルテン感受性がある人には有効であるが、すべての人に効果があるわけではない。グルテンの摂取により様々な消化器症状を引き起こす「セリアック病」という自己免疫疾患があり、小麦ほどではないがグルテンを含む大麦・ライ麦などの摂取も避けなければならない。
参政党は「グルテンには発がん性がある。癌を患った人は例外なく大量に小麦を摂取している。欧米人は古くから小麦粉を食べていたのでグルテンの毒性に耐性があるが、小麦とはメリケン粉、つまりアメリカから来た粉なので、戦前の日本には存在しなかった」などと主張しているが、「グルテンの発がん性」はセリアック病患者のみに当てはまることである。また、「小麦粉は戦前の日本には存在しなかった」なる認識は上述の通り日本にも古くから小麦粉食文化があったので明らかな誤りである。
中医学では「小麦(しょうばく)」で生薬の一つとされ、熱感の除去や、喉の渇きを止め、精神不安を取り除くとされている。ただし、これは粉にする前の粒の事を指している。
小麦で作るもの
- パン、クレープ、ピザ、ビスケット
- ケーキ、カステラ、マフィン、パイ
- うどん、そうめん、中華麺、冷麦、蕎麦(二八そばの繋ぎなど)、パスタ(デュラム種を使用)
- 麩、まんじゅう、揚げ物の衣
- カレー/シチューのルー、ホワイト(ベシャメル)ソース
- ビール(一部。発泡酒に類するものもある)、醤油、麦みそ