この記事は、現在放送中の特撮番組『ウルトラマンアーク』のネタバレが含まれています!!!
リン「ワームホールを通過したエネルギー体って…!」
シュウ「きっとあの怪獣です……!」
スイード「野暮なヤツらだ。仲間がせっかく幸せな夢を見てたというのに。だろ?ユウマ?」
DATA
概要
『ウルトラマンアーク』第24話「舞い降りる夢幻」、第25話(最終話)「走れ、ユウマ!」に登場。
オニキス/ゼ・ズーゲート解放のためにゼ・ズーが送り込んだ刺客の一体であり、肩書きこそ異なるが宇宙獣と同類の存在。
後述の活躍の経緯から立ち位置は前座であるものの、本作のラスボスを務める怪獣の内の一体である。
外見
アルマジロの甲羅のようなひび割れた黄土色の肌と、頭部が体の中心にあるずんぐりとした奇怪な体型が特徴で、上半身の部分がタコの胴体のように肥大化している。
イノシシのような牙と髭が生えたブタかコウモリに似た顔をしており、両目には十字型の瞳を持つ。
顔の横からは、頭部にあるものとは別にロップイヤーを彷彿とさせる長く垂れ下がった巨大な耳・翼耳(よくじ)が生えている。
体の横からは、イカの触腕を思わせる第二の腕・触手腕を生やしている。
胸部には青く光る水晶体のような器官「ギルバクリスタル」があり、それを抱えるように腕が生えており、さながら水晶玉を持った占い師や魔術師を思わせる。
能力
その異名の通り、夢を操る能力を持っている。
翼耳には攻撃用のグロテスクな赤い触手が複数隠されており、それを伸ばし先端を発光させて強力な「夢幻光線」を発射し、対象を強制的に眠らせて夢を見させることができる。
夢の世界では全てがギルバグの思うがままであり、対象にとって親しい人物や都合の良い世界を生み出して誘惑したり、夢の中のものを操って身動きをとれなくしたりと優位に立ち回る。
胸部のギルバクリスタルを発光させて高周波の電磁波を出し、体の周囲に強力なドーム状のバリア「ギルバドームバリヤー」を展開する。
このバリアは単純な防御目的の他、相手をバリア内に閉じ込めて動きを封じてしまうこともできる。
また、このバリアを展開した状態で行動することも可能であり、そのまま移動すればバリアを張られた周囲を壊滅させてしまうといった、攻撃と防御も同時に行える厄介な能力である。
一方で、夢を操っている時は現実世界のギルバグ自身も眠った状態で動くことが出来ないため、バリアはそれを補うためのものと思われる。また、バリアが展開されているのは地上だけであり、地下道を経由してバリア内に侵入するは可能。さらにバリア発生源のギルバクリスタルが常時露出している状態のため、そこを攻撃されるとバリアも自ずと解除してしまう弱点も持つ。
戦闘能力も高く、触手腕から触手を伸縮させて直接殴ったり、カッター状に放つ光輪「ギルバグサークルカッター」を放つ。
ビオルノには「強敵」と称されており、上記の厄介かつ特異な能力から、実戦と精神攻撃の両方に長けた強豪怪獣と言える。
活躍
第24話「舞い降りる夢幻」
ゼ・ズーゲートを解放すべく、トリゲロスとの戦いの直後に、ワームホールからスイードと共に襲来。
瓦礫の中に埋もれていたユウマに、夢を操る能力で「K-DAYから今までの16年間の出来事は、全て幼いユウマの想像力が生み出した幻だった」とアークに語らせる夢を見せ、夢の中でアークに別れを告げるように唆し、アークとユウマの繋がりを断ち切らせることでゲートの制御を失わせ解放させようと目論むが、シュウの呼び声により間一髪のところで現実に引き戻されたため失敗。
そこで次は直接アーク/ユウマを抹殺すべくスイードと共に姿を現し、ユウマを追跡し始めるが、途中でユピー(もといその電子頭脳を借りたビオルノ)の助力によって見失う。
その後、防衛隊の攻撃をギルバドームバリヤーを展開してものともせずにユウマの居るSKIP星元市分所に向かって進行するが、そこにアークが出現。自身のドームバリヤーにアークを閉じ込める形で戦闘を開始する。
しかし、ゼ・ズーがゲートを介してアークの肉体に汚染物質を送り込んでいたことで、アークは既に満身創痍の状態であり、オニキス…もといギャラクシーアーマーの制御すらままならないまで疲弊し切っていた。
一方的に追い詰められていくアークは、アークファイナライズで早々に決着を付けようとするも、ギルバグは翼耳から伸ばした触手で夢幻光線を浴びせ、アークを強制的に眠らせて戦闘不能に陥らせるのだった…。
スイード「良い夢を……」
第25話(最終話)「走れ、ユウマ!」
ユウマは夢を見ていた。両親が生きているままに世界が平和になり、平穏な日々を過ごす夢を。K-DAY当日、両親が死ぬことがなく無事であった夢を……。
しかしユウマにはこれが夢であることはわかっていた。そしてその夢の中でも、スイードや夢の中の両親は「お前が望めば夢は現実に(=現実は夢に)なる。」と誘惑し、「さよなら アーク」と言わせ、絆を断ち切ろうと唆してくる。
だが、そこにもう一人の父・飛世テツヤ…否、アークの中に想いとして秘められていた本来の飛世テツヤが現れて阻止される。これまで語りかけてきたギルバグが作り出していたテツヤが消えるとともに、邪魔されたことに激怒したかのようにギルバグが現れ、咆哮をあげた。
そして、アークでもあるテツヤはユウマにただ一言こう言った。
テツヤ「走れ!ユウマ!走るんだ!!」
その言葉を受け取り、再び奮起したユウマは夢の中でアークに変身し、ギルバグに立ち向かう。しかし、夢を自在に操るギルバグに別空間の市街地に飛ばされて子どものような笑い声をあげるビル群に拘束されて身動きを封じられ、そのまま一方的に攻撃されてアークは苦戦を強いられてしまう。
一方、現実世界ではSKIP一同が胸部のギルバクリスタルがバリアの発生源となっていることを突き止め、バリアの無い地下道からバリアの中に侵入したシュウによってオニキシウム粒子を増幅したオニキシウムレーザーをギルバクリスタルに撃ち込まれたことでダメージを受け、ギルバグが目覚めると同時にギルバドームバリヤーが消滅。防衛隊もバリアが消えたタイミングで反撃に出た。
そして、現実世界で攻撃されたことで夢の世界でもギルバグが怯み、アークにチャンスが生まれる。そして、想像力が全てを…現実や未来までも変えられる夢の世界でユウマが想像力を解き放ち、ギャラクシーアーマーから漏れ出すオニキスの汚染物質由来の邪悪な黒い光を吸収し、新たに美しい純白の光…『ミラクルアークキューブ』を生み出す。ミラクルアークキューブをアークギャラクサーに装填し、ギャラクサーオーバー・ザ・トップを発射し、夢の中からギルバグを撃破することに成功。爆散すると同時に飛び散っていった光は、壊滅状態となっていた星元市を元通りにしていき、アークも全快で夢から目覚めた。こうしてギルバグは撃破されたのだが…
スイード「しぶとい奴だ…。だが、いくら足掻いても、お前に勝ち目はない。オニキス無き今、私自らがゼ・ズーゲートとなる…!」
そう言い放つと、スイードが星人態に変身。本当の最後の戦いが始まるのだった……。
余談
- モチーフは、夢を食べる幻獣として知られる貘(バク)と思われる。
- ソフビはウルトラ怪獣シリーズで2024年12月21日に発売。値段は税込990円と、現行サイズの中ではかなりお高め。
- 本作におけるラスボス怪獣の一体であるギルバグだが、不気味さこそあれど顔を中心にゆるキャラのような雰囲気も合わさり、端的にはラスボスらしからぬ見た目であったため、この怪獣がラスボスだと明かされた時は、多くの視聴者から驚きの声が上がった。
- その一方で「最終回で厳つい第2形態になるのではないか?」と憶測する声もあった。
- しかし、ギルバグのフィギュアは『ウルトラ怪獣アドバンス』規格で発売されていない時点で、既に形態変化がないと暗示されてもいたため、上記の『形態変化説』に懐疑的だったファンも一定数はいた(そして、その通りになった)。
- その一方で「最終回で厳つい第2形態になるのではないか?」と憶測する声もあった。
- 『アーク』が『帰ってきたウルトラマン』の要素を持っている点を考えると、ジャックが地球で初めて戦った怪獣であるタッコングに近い体型をしている。
- 実質的なラスボス怪獣の1体ではあるものの、立ち位置的には平成シリーズや新世代シリーズ初期でよくあった〈全ての元凶〉〈諸悪の根源〉ではなく、昭和シリーズで多かった「ウルトラマンが最後に戦った怪獣」「敵が送り込んだ最強の怪獣」などの意味合いの方が強い。これは前作のラスボスであるヴァラロンとも共通する。また、撃破後に真のラスボスとしてスイードの星人態が登場している為、実際には前座的な立ち位置なのもあって、人によってはラスボスよりは中ボスに該当するかもしれない。
- 尚、主役ウルトラマンとの初戦でウルトラマン側が満身創痍だったラスボスは、前々作のマザースフィアザウルスから3年連続となる。
- また、近年のラスボスは第23話(最終回の2話前)で初登場する扱いが多かった中、第24話(=最終回の直前)で初登場したラスボスは『ウルトラマンZ』のデストルドス以来である。
- ウルトラマンシリーズのラスボスで形態変化がなかったのは、『ウルトラマンタイガ』のウーラー以来でもあると同時に、実際には前座だったのもウーラー以来である(尤も、ウーラーはギルバグのように使役されてはおらず黒幕に誘導されたなどの差異はあるのだが)。
関連項目
- インキュラス、ナイトファング:夢に纏わる能力を持つウルトラ怪獣繋がり。
- パンドン:同じくラスボス怪獣の一体で、弱った状態のウルトラマンを一方的に追い詰めた点も共通している。
- サメクジラ:こちらもラスボス怪獣の一体。主人より先に倒された点が共通している。