ガングリフォン
がんぐりふぉん
セガサターンの発売から1年程にもかかわらず、ハードの機能を限界まで使用した華麗なグラフィックとゲーム性、更に近未来(2015年~)を舞台にしたリアルな世界設定などで、根強いファンを獲得した。
臨場感溢れるオープニングムービーは逸品。
21世紀初頭。
エネルギー危機、人口爆発、食糧危機などで豊かな大地は失われ、地域紛争は激化していた。
世界は『アジア太平洋共同体(APC)』、『汎ヨーロッパ連合(PEU)』
『アメリカ自由貿易機構(AFTA)』、『アフリカ統一機構(OAU)※』に分割され、激化する紛争により日本国憲法第9条を盾に派兵を拒み続けた日本も周辺諸国の圧力により遂に派兵を余儀なくされる。
そこで日本政府は苦肉の策として『日本外人部隊』を設立。
更に新型機である12式装甲歩行戦闘車を装備し、ユーラシア地域の戦争に参加していく。
※アフリカ統一機構は実在した組織であるが、現在はアフリカ連合に発展改組されている。
プレイヤーはHIGH-MACS(ハイマックス)と呼ばれる歩行兵器(12式装甲歩行戦闘車)のパイロットとしてユーラシア大陸の紛争地域を転戦していく。
このHIGH-MACSは前後左右の歩行の他にローラーダッシュによる高速移動や上半身の旋回、ジャンプによる滑空など三次元的な動作が可能。
それに加え、射撃や暗視装置の為のボタンも割り振られていて操作は複雑になっており、サターンのコントローラーボタン全てを使用する事になる。
また、戦闘の合間に弾薬の補給や応急修理も可能で、味方の輸送ヘリコプターのそばに隣接する事で行われる(反面その間は無防備になる)。
また、シナリオはAPC、PEU間の戦争がメインであるが、非常に刹那的であり、いくらミッションをクリアし敵を殲滅しても、次のミッションでは戦局が悪化している。
(シベリア鉄道による輸送網を破壊するミッションで、列車を破壊しクリアとなっても、次のミッションでは敵輸送作戦は成功しており、自軍が不利になっている)
これは、プレイヤーがあくまで一人の兵士として戦争に参加している為であり、SF作品のようなヒーロー的なものではないが、非常にリアリティがある。
(なお、最終的にはアメリカの率いるAFTAの乱入により、両陣営共倒れとなる)
本作ではAWGS(装甲歩行砲システム)やその発展型であるHIGH-MACSなどのロボット兵器に加え、戦車や攻撃ヘリコプターなどの実在する兵器(の改良型もしくは後継機)も登場する。
AWGSは二足ないしは多脚歩行による不整地突破能力に優れた兵器であるが、平地での機動性に劣っている。
HIGH-MACSは脚部ローラーによる高速移動に加え、ジャンプによる滑空、更には輸送機からの空挺任務にも対応可能な兵器である。
オープニングムービーでもC-17輸送機から颯爽と現れてはPEU軍の部隊を圧倒し、頭上の攻撃ヘリコプターをジャンプによる攻撃で撃墜し圧倒的な性能を見せ付けたが、草原などの平地では戦車が依然有利であったり、航空機の攻撃に弱いなどの弱点もある為、(ゲームでも攻撃ヘリコプターは厄介な存在)従来兵器からの更新はあまり進んでいない。
都市伝説的な話ではあるが、本作はミリタリー色が強く、リアルな世界設定である為か自衛隊内での評判が良かったらしく、(特に陸自)駐屯地の売店にサターンとセットで売られていたとかいないとか。
また、オープニングで90式戦車改(本シリーズに登場する90式の架空の派生型で、増加装甲の追加や主砲の長砲身化などの改修を行ったもの)2個小隊がレオパルト3(PEU軍が運用する架空の第4世代主力戦車。名称から察する通りドイツ製で、140mm滑腔砲という大火力とコンパクトな砲塔が特徴)相手に手も足も出せずフルボッコにされ、PEU軍兵士に「90式はブリキ缶だぜ」と嘲笑されるシーンでは機甲科の戦車乗りがへそを曲げたり、憂さ晴らしとして味方のはずの中国軍を撃ったりしていたらしい…(ぶっちゃけ、本作の中国製兵器はザコ性能なので、防衛目標以外は居ても居なくてもいいのだが…)。
そもそもゲーム内の説明文でも、90式戦車(改でない通常型)は装甲防御力が弱いとされているが、それ自体が風評被害である。
リアルな世界設定が話題だった本作だが、実際のリアルがどうなったかといえば…2022年、本当にロシアがウクライナを侵攻し、未来を予見したと言われるようになった。
なお本作では、2015年2月23日にウクライナへ侵攻しているロシアだが、現実では2014年の時点でクリミア半島を併合しており、この時もファンの間では噂になっていた。そして2022年のウクライナ侵攻だが、こちらは開戦日とされる日付が2月24日である。
ただし勢力図や戦況は大きく異なっており、作中では敵である国も大半はウクライナ側を支持し、ロシア側はほぼ孤立している。そのため、作中では敵車両であるレオパルト2をはじめとした西側戦車等も、ウクライナ側に供与されている。
なおレオパルト3は計画自体はあるものの、作中で制式化された年である2010年以降も登場していない(逆に90式の後継である10式戦車が制式化)、代わりにKF51パンターというラインメタルが独自開発している戦車が登場しており、こちらは130㎜砲で無人砲塔案も存在する。ちなみにガングリフォンでのパンターは、AWGSの名前として登場する。
中国は2010年代頃から急成長しており、軍隊も近代化して作中の様なザコではなくなっている。
日本は流石に作中のような「日本外人部隊」の派遣はないものの、義勇兵としてウクライナの外人部隊に加わっている日本人も多数居り、さらに日本政府からは防弾チョッキや車両が供与されている。
上記ではやられ役の90式改であるが、現実の日本では砲の威力等を向上させつつも、90式よりさらに小型軽量な10式が開発されている(余談だが90式改の改修は2009年から実施されており、年代も見た目も10式に近いが、コンセプトは真逆)。なおガングリフォン世界での10式は、ティーガーをライセンス生産した10式装甲歩行戦闘車を指す。
ガングリフォンⅠ
ガングリフォンⅡ
ガングリフォン・ブレイズ
・grape氏による個人製作のガングリフォン。
だが、上記の前作の設定がそのまま使用されている模様でナンバリングタイトルとしても遜色の無い程に高い完成度を持つ。
(尚、XBOX用ソフトとして2004年12月16日にテクモより発売された『ガングリフォン・アライドストライク』は設定、世界観が変更された為にナンバリングには含まない)
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実はガングリフォンシリーズはアライドストライク以外全て所有しております。賛否両論のブレイズ(PS2)についても、補給システムの変更にさえ目をつぶれば非常によく出来たゲームであり、ガングリフォンの世界に十分通じるものであると断言できます。 アライドストライク(X箱)については触ったこともないのでなんとも言えませんが、メカデザインが致命的であること、バグの多発などでかなりチープな印象を受けました。ブレイズもアライドストライクも開発元であるゲームアーツ以外の会社が関与した作品ですが、アレンジセンスがモロに影響した例であると言わざるを得ません。唯一の救いはアライドストライクがガングリフォンの正史扱いではないということ。まぁ、あの出来栄えでは公式化されたら暴動起きますね、絶対・・・・・・。12,612文字pixiv小説作品