「子供に夢はいらない。どうせ大人になるまでに、人形やおもちゃのように夢も捨ててしまうのさ」
「ほれ見ろ!大人は敵だ!大人はいつでも子供の邪魔をする!夢も自由も全部、大人は子供から奪ってゆく!」
概要
第8話「ハロウィンの夜に」(1996年10月26日放送、脚本:右田昌万、監督:岡田寧、特技監督:村石宏實)に登場。
毎年ハロウィンの夜になると、世界のどこかに出現する生命体で、強力な磁場を作ってブラックホールのように空間を歪め、次元を移動することができる。口が青く発光しているのが特徴的。よく見ると尻尾も生えており、左手が鋭い刃状になっている。
鳴き声は過去の怪獣のどれとも一致せず、何かが輝くような不思議なものとなっている。
魔女に扮して現れ、食べた者に悪夢を見せる飴を子供に配り、それを食べた子供達をオルゴールの音色で巨大なジャック・オ・ランタン型のアジトに連れ去り、夢を食べて廃人にしてしまう。
夢を奪われ、廃人化した子供は「夢の墓場」という公園のような場所に捨てられる。
なお、子供ばかりを狙う理由については、本人曰く「大人の夢とは『欲望』であり、腐っていて食べられたものじゃないから」らしい。
異次元魔女としては箒での飛行や空間転移などの能力を使っている。
今年のハロウィンでは日本のKM209地区に出現。大はしゃぎで飴をもらいに来たマドカ・ダイゴをすげなく断るも、鏡に姿が映っていないことを怪しまれたため、アジトに捕らえる(なお、この時にGUTSは現地のムードに合わせて仮装をしていた。ちなみにダイゴはジャック・オ・ランタン、レナは猫、ムナカタはフランケン、ホリイは吸血鬼、シンジョウは人狼の格好である)。
ダイゴをカプセルに閉じ込めてスパークレンスとガッツハイパーガンを没収し、再び町へ出て子供をさらおうとするも、レナ隊員が子供に件の飴を分けてもらったせいでオルゴールの音に操られかけたことからGUTSに存在が露呈。シンジョウ隊員に銃撃され、ダイゴにも脱出されてしまう。
逃げようとしたが、ウルトラマンティガに止められたため巨大化してティガと戦闘。
マトリックス避けで回し蹴りをかわす、次元を移動して背後に回り込む、分身するなど、変幻自在に立ち回ってティガを苦戦させたが、タイマーフラッシュで分身を消され、空中に放り投げられると、ウルトラフィックスで動きを止められたところにゼペリオン光線を受けて消滅した。
ギランボの死後、オーロラが現れ、そこから降り注いだ光の粒子により子供たちは夢を取り戻すことができた。
酩酊!怪獣酒場2nd
第10話で登場。魔女のような格好をしていて、老人のような口調で話す。
子供の夢を食べる旅をしているが、最近のイヤに大人びた子供の夢は表舞台に出たがらない職業ばかり目指すので、淡白な味をしていると語る。エンタメ系の中でも突出して多かったのだが、将来の夢が「ユーチューバー」であり、子供達がユーチューバーを目指す様を嘆くうるまの「意識高そうな話」を聞いても全く頭に入って来ず、最終的にいいね稼ぎをする為に動画配信を行き着いたというオチに対し、「それをユーチューバーと呼ぶのでは…?」と至極まっとうなツッコミを行った。
ダークルギエルに対し、どこか見覚えのある素振りを見せていたが、夜道でそれを思い出しかけた際にスパークドールズに変えられてしまった。
ULTRAMANSUIT ANOTHER UNIVERSE
8U-英雄-編_Episode_26/27『ブギーマンの夜 前編・後編』(ストーリー:長谷川圭一)に登場。
今作ではハロウィンの魔女ではなく、カリフォルニア州の各地で子供をさらう妖怪ブギーマンとして登場する。
ブギーマンとしての姿は麻のフードを被った死体のような不気味な姿をしており、鎌やハサミ、鉈といったいかにもホラー映画の殺人鬼が持っていそうな武器で武装している。
クローゼットから出現しては子供を次々に攫っており、ZEROこと次郎にゼロスラッガーで腕を持って行かれると、黒い森で蠢く害虫塗れの死者の軍勢の幻覚を見せて恐慌を起こしたが、TAROの火炎弾で葬られる。
その後、サンタモニカの遊園地内のホラーハウスにあるアジトへ攻め入ってきたJACK、ZEROと対峙。戦闘に際して複数体が集合して巨大化、鎌や鉈に可変する腕で子供達が付近にいるためにうまく戦えないULTRAMANたちを苦しめたが、駆けつけた科特隊米国支部の即応隊「W.I.N.R」のスカイハンターに掴まれ、蜘蛛の巣に捕えていた子供達が光太郎の炎で解放されてしまう。
最期はJACKの投擲したゼロランスで動きを止められ、トドメにTAROの火炎攻撃を顔面に食らって消し炭となった。
どうやらこの一件には特殊空間を操るダークゴーネが一枚噛んでいるようであり、レーテなる物体に恐怖の感情を集めるために行った行為であるようだが…。
立体化
『ウルトラ怪獣シリーズ』からは販売されていないが、『ティガモンスター超全集』、『ジオラマセット』(バンダイ)、劇中では対決すらしなかったパワータイプとのセットで『ウルトラマンティガ対決セット』(ユタカ)といった具合に立体化の機会がそれなりにある。
余談
モチーフはハサミ。丸い角が持ち手になっているといえばわかりやすいか。
また、戦闘時には月がジャック・オ・ランタンの顔が映っている可愛らしい演出が取られている。
放送当時はまだハロウィンが現在ほどメジャーな行事ではなく、ムナカタ副隊長は「いずれクリスマスのように日本中に定着するかもしれない」と語っている。……まさか「変態仮装行列」などと揶揄される有様になろうとは、さすがのGUTSも予想できなかっただろうが。
声を担当する藤波京子は、同じ円谷プロの特撮番組、『チビラくん』にてママゴンの声を担当していた。
実は本作は『少子高齢化』をテーマにした作品になる予定で、200歳から300歳の者しかいない世界で子供達がこき使われるという作風で完成段階に入っていたが、「それを見た子供達がお年寄りを大事にしようと思うのか?」という監督の一存で作り直しになった。そしてハロウィンと夢をテーマにした子供達が楽しめる作風になった…が、ギランボのセリフから別ベクトルでの黒さが滲み出ている辺り、さすがは円谷プロ作品と言った所か。
毎年子供達の夢を食しては夢の墓場に捨てていたわけだが、第8話開始以前の子供達が親元に帰れたか、生活に再び適応出来たかは不明である。バラナイトメアのような事になっていないといいのだが。
作中BGMは『10人のインディアン』が使われており、聴き続けていると不安な気分になってくる事請け合い。一般的には明るい曲として認知されているが、実はこちらの原曲もネイティブアメリカンの子供が次々といなくなっていくという恐ろしい曲。子供を連れ去るギランボにぴったりの曲なのかもしれない。
同話では当時子役だった入野自由氏が出演しており、後のウルトラシリーズでは「超時空の決戦」で主演を演じ、更にはジャンナインの声を演じる事になる。
尚「ウルトラマンワールド ウルトラ戦士VSバルタン星人」では瞬間移動と分身能力がバルタン星人に似ていると言う事で紹介された。