クエスト・ドーパント
くえすとどーぱんと
「仲間を見捨てて逃げ回りなよ! 一人一人、それぞれ! 生々しい反応を見せてくれ!」
裏風都の構成員・コッパが「探索」の記憶を持つガイアメモリ(本人曰く「最高にレアなメモリ」)で変身したドーパント。
紋様が刻まれたコインもしくは、虫眼鏡のような丸く平たい巨大な頭部を持つ。更に装飾が施された特殊な左腕が特徴で、両足は上げ底ブーツのような形状となっているものの、それ等を取り除くと至って平凡な人間体型である。
下記にあるクエストメモリの特性を使い、ビゼル抜きで表と裏の風都を自由に行き来しており『街』の人間(特に秀夫)からは警戒されている。
飛行帽を被った男性で、翔太郎やフィリップが特に嫌う典型的な卑劣漢。
多くの人間や著名人を裏風都に攫い、使い魔達をけしかけて限界まで疲弊させ、最後は自分の手でいたぶり殺す「人間狩り」を遊び半分で繰り返していた、思想も何も無い快楽殺人鬼。
口を開けば他人を蔑むような軽薄な言動を繰り返し、一方的に持論を展開した後に「あれ? 俺だけ?」とおちょくりながら尋ねる等、徹底的に自分以外を舐め腐っている。
それは秀夫達幹部に対しても変わらず、当の上層部はその能力ゆえに重用していたものの、本心ではかなり煙たがっていた。
ハイドープかどうかは不明だが、生身で大人の男性を片腕のみで吹き飛ばしていた為、その可能性が高い。
生体コネクタは鼻筋に配されている。
左手はマーカーやペンキャップのように着脱が可能であり、腕断面から絞り出された糊のような液体を材料に魔獣(モンスター)の生成を可能とする。魔獣は、
・ステレオタイプな火星人のような人間大の個体
・巨大な口を備えた大玉のような個体
・コウモリの羽を生やしたクラゲのような個体
の3種類が確認されている。
一度に何十体もの使役が可能だが、生成するほどに自身の生命エネルギーを消費する為、乱用すれば本体の身体スペックが弱体化する欠点を抱えている。
後頭部からシャベル(あるいは道路標識)状の武器の生成が可能で、ダブルのハーフチェンジの中でも防御力に優れたサイクロンメタルと渡り合う様子から、見た目に反してフィジカルファイターでもある。
またクエストメモリには、ファンタジー系統のゲームや書物等々『ダンジョン』に関連する創作物も含まれているのか、前述の武器から作り出される電子情報で魔法陣を描いたり等と幻想的な能力を持つ。
更に厄介なのは、魔法陣をマーキングするだけで裏風都と自由に行き来できる空間転移能力を持つ他、物体同士にマーキングして空間を超越しての通信まで可能と、ロードやシザーズ等の空間を切り開けるメモリの中でも破格の利便性を誇る。
マーキングした機械による監視能力(本人からしてみれば観戦目的だろうが)に加え、ゲートとなる魔法陣さえ閉じて裏風都に逃げてしまえば追跡は不可能となる為、索敵・逃走能力に関しては間違いなく上位に位置すると思われる。
計画の最終段階に入ったため、あまり派手な動きはして欲しくない上層部の意向も馬耳東風で、いつも通り『ゲーム』と称してクイーン達を裏風都に閉じ込め「クリア条件のないデスゲーム」を強制し、メモリの力で作り出した魔獣をけしかける。
クイーンを主賓として招いたのは彼女が最近の最推しであり、「可愛くて食べちゃいたい」と宣うように「好きすぎるものほど自分の手で無茶苦茶にしたくなる」を起因とする身勝手極まりない理由であった。
その最中、派手に行動を起こした為に仮面ライダー達に自身のアジトや裏風都の繋がりがバレてしまうも、上記の能力から余裕の表情を見せており、今回の狩猟場とマーキングした魔法陣を展開し、ダブルとクイーンの相方であるエリザベスの前から逃走。
その後は狩りのクライマックスとなる『FINAL STAGE』で自らクイーン達を手にかけるべく出陣。
追い詰めた彼女達を嘲笑いながらトドメを刺そうとしたが、死角から放たれた一撃によろめき、武器を落としてしまう。
振り返った先にいたのは、獲物の価値がないと見下していたエリザベスの姿。
「え、え、また、お前……だとぉっ!? 何でまた……っ!?」
絶対不可侵の狩場に居ない筈の女がいる、そして彼女が飛ばしたのもファングメモリだった為に頭を負傷し、混乱が生じてしまう。
更にダブルが颯爽と登場したのも合わさって、遂に余裕が消え失せる。
「何故だ! 魔法陣は閉じたはずなのに!?」
動揺するクエスト・ドーパントだったが、ソウルサイドのフィリップは「君が入った魔法陣を使っただけ」と簡潔に答える。
実はダブルがスパイダーショックに貯めた空間転移粒子を噴出して魔法陣をハッキングし、シャットダウンを遅らせたのに加え、禄に確認もしなかったコッパ自身の慢心と油断も重なり、狩場への侵入を許してしまったのだ。
不意打ちによるダメージが抜けず、左頭部を抑えて膝を着く狩猟者気取りの悪党を追い詰めたダブルは、決め台詞を宣言しコッパ=クエスト・ドーパントをターゲットとした、正真正銘のラストゲームが幕を開けた。
qのゲームオーバー(ネタバレ注意!)
左腕から大量の魔獣を召喚し、ゲームの邪魔をするダブルを排除せんとけしかけるが、サイクロンジョーカーに瞬く間に全滅させられ、自らも強烈な回し蹴りを叩き込まれて追い込まれるコッパ。
「くぅぅぅぅっ! くそっ! 何で急に強くなりやがった!」
悔し気に吠える彼にフィリップが「魔獣召喚によるエネルギー消耗」のデメリットを解説する。本来なら使用している内に気付くはずなのだが、コッパは自分より弱い人間ばかり狙っていた為、クエストメモリが持つ欠点に気づけなかったのだ。
ボディサイドの翔太郎からも「クソゲームのツケが回った」と今までのミスや浅はかさを指摘され、自分が下に見られている耐え難い屈辱に身体を震わせながらも、開き直るように戦略的撤退を決断。
「だったらリセットするだけの話さ。何れ機を見て……再ゲームだっ!」
捨て台詞を吐きながら新しく展開した魔法陣の中へ入ろうとするが、それを読んでいたダブルのサイクロンサイドによる空気流でまともに杖を支えられなくなり、魔法陣の維持に失敗。
満足に動けない所にハングリー・ドーパント戦で編み出した新技『ジョーカースパイラル』が顔面を貫通し爆散、メモリブレイクされた。
「あらぁ……マジ……かよ……なんてみっともねぇ、ゲームオーバー……だ……」
その後は身柄を拘束され、裏風都側も元々彼に三行半を下していた為にそれを容認。
だが、メモリブレイクの後遺症や敗北のショックが酷く、警察の管理する医療施設には、廃人同然の痩せ細った姿でスケッチブックに無数の五芒星を描き続ける程に精神崩壊してしまった、ある意味死ぬより悲惨な末路を遂げた彼の姿があった。
結局、多くの悪党を仕留めてきた翔太郎達からすれば、名実共に能力が便利なだけの小物に過ぎず、裏風都内でも評価されていたのは「クエスト・ドーパントの力」だけで、コッパ本人には何のフォローもされていなかった。
端的に例えるなら「たまたまゲームのガチャで激レアチート装備を手に入れるも、それに胡座をかいて天狗になった本人のプレイスキルはゼロに等しかった」 だろうか。
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