「……オマエモ…カ…」
「……オマエモ…アソコノ住人カ……?」
概要
"飢え"の記憶を宿す「ハングリー」のガイアメモリで変身したドーパント。風都きってのグルメ商店街「イブクロ横丁」に出没し、パティシエを餓死に追い込んでいる。
既にガイアメモリの毒素が回っているのか、それとも適合率が良くないのか言動がぎこちなく、イブクロ横丁にいる人間を無差別に襲うなど不気味な雰囲気を纏っている。
仮面を貼り付けたような不気味な顔を持ち、両腕や下腹部は異常に膨らんでいるが両足だけは細いなどもあり、まるで伝承の餓鬼を思わせる(実際クリーチャーデザイン担当の寺田氏によれば「目も口もないのでカラダ全体が口になってしまってる様な」とのこと)。普段は閉じているが背中含めて多数の目を持つ。
また、上半身と下半身は分離されており、腹部分は歯抜けした巨大な口のようになっている。更に下半身には人形のような小人が存在する。
能力
半径100m圏内の人物に、無差別に凄まじい飢餓感を催させる。ドーパントと目が合ってしまった対象にはより強烈に能力が作用し、数瞬のうちに餓死に追い込まれる(翔太郎曰く「オイルタンクに穴が開いたバイクみたいにいきなり動けなくなった」「空腹とかのレベルじゃなく活力がゼロだ」)。その際腹部をくり抜かれたようなイメージが生じるが、あくまで異能を視覚化させたものに過ぎず実際に穴が空くわけではない。
ただし、即座に餓死するわけではなく、描写から考察するにマキシマムドライブのような強力な攻撃を叩き込むか、効果範囲外まで移動するか(あるいはその両方)で解除が可能と思われる。
ただし、その場合でも被害者は体がしばらく普通の食べ物を受け付けなくなるため、回復するまで起き上がることさえできない状態に追い込まれてしまう。
総合すると、生きてる限り避けようのない強力なデバフである『飢え』を広範囲に引き起こし、そこから派生した一撃必殺の攻撃を目を合わせるという初見殺しかつ簡単な条件で発動が可能な難敵である。
余談
15巻末のクリーチャーデザインによると腹の中の小人については「本体というよりは欲望を常に探している自分みたいな奴」とのこと。
関連タグ
グラニュート:同じく腹部に巨大な口がある後輩のライダー怪人。こちらは怪人態が本来の姿で人間に擬態する個体も居る。
この先ネタバレ注意!!
ハングリーメモリの所持者はイブクロ横丁にあるケーキ屋「甘塔」の店長・森川一清。
ガイアメモリに前々から興味があったらしく、こっそり持っていた事実が判明した。
しかし。
「違う!僕は怪物じゃない!……はずだ。はずなんだ!」
厨房で取り抑えられた森川はフィリップ達に必死に弁明し、慌てて「手付かずのままだ」と隠し場所を開けるも……そこはもぬけの空。
混乱する彼に『声』が応える。
『ココダ』
『……オマエモカ?』
『オマエモココノ住人カ?コノ人間ノヨウニ満タサレナイノカ?ダッタラ……』
『オレト同ジダ……!』
今回の真犯人はハングリーメモリそのもの。
かつて森川はイブクロ横丁が衰退の危機に陥った際メモリに手を出し、ハングリーの能力で道行く人間を腹ペコにして大量の客引きを行った。
だが、メモリの使用は上記の1回だけで人々は横丁の良さを知り、客が来るようになったのもあり、森川は「もう二度と使う事も無い」と金庫に封印していた……はずだった。
しかしガイアメモリの性質上、古い歴史から存在する「飢え」の記憶は、変身者とは異なる意思を持つほどの邪念が存在しており、一度森川という適合者に使用されてそれが励起。
結果、ズーの様な専用機でもない普通のメモリでありながら、自ら喋り飛び回る自立行動型ガイアメモリへと自己進化を果たし、森川の意識と体を支配して凶行に及んでいたのだ。
正体を明かすや否や、再度森川を操って自分を使わせると、ドーパントへと変身。
顔にある眼を開眼させてファングジョーカーに変身したWを飢えさせて善戦するも、エクストリームへ変身したことで形勢が逆転。
能力を半減されただけでなく、プリズムメモリのマキシマムドライブで発動した閃光の直視により目が使えなくなり、ダブルエクストリームの直撃を受け、胴体内部の小人ごと叩き潰され敗北する。
森川は2人の探偵に感謝を述べ、お決まりのセリフを告げられたハングリーメモリはうめき声を上げて砕け散り、沈黙した。
余談2
本作含め今までも意思を持つ変身アイテムや、変身アイテムに体を乗っ取られたライダーや怪人は珍しくなかったが、通常のアイテムが勝手にそのような存在に進化した事例は初めてであり、読者に衝撃を与えた。
なおその性質からロード・ドーパントの暴走を悪化させる性質があり裏風都側も危険視していた。
ネタバレ込みの関連タグ
仮面ライダーコア:意思を持った変身アイテムが別の変身アイテムを用いて変身した存在と、ハングリー・ドーパント以上に異様なケースと化したダークライダー。
エターナルメモリ、T2ジョーカーメモリ:ハングリーと同じく意志を持っているかのような挙動を見せたガイアメモリ。
後者は劇場版で適合者のところへ尋常じゃない形で惹かれ合ったのみだが。
???(ネタバレ注意):『W』の前作とのコラボ映画に登場したドーパント。変身者は森川一清と同様、ガイアメモリに意識と体を支配されていた。無理矢理変身させるような描写からハングリーと同じく意志を持つまで進化していた可能性がある。