ベリオロスとは、カプコンの「モンスターハンター」シリーズに登場するモンスターである。
冷酷 冱てる辻風
不可侵の契 忘れたか
経帷子 幽天に舞い
裂帛 誅罰の息吹
(Riseの紹介ムービー)
概要
『モンハン3(トライ)』で初登場した飛竜種モンスターの一種。
通称「氷牙竜」。
極寒に適応した種であり、世界各地の寒冷地に生息が確認されている。
例外なく生息地域の生態系の上位に君臨している。
尻尾が異様に長い事も有り、全長は20m強。
体格的には同様に長大な尻尾を持つ飛竜種ナルガクルガと比べてもやや肉厚で、ティガレックスと比べても遜色無い。
雪原に溶け込む白銀の体と、発達した一対の牙が特徴で、背面は驚異的な強度を持ちながら驚く程軽い甲殻、腹部は飛竜種にしては珍しく分厚い体毛に覆われている。先端が二股に分かれている尻尾はその太さの割には柔軟に動くが、この尻尾も上面は甲殻に覆われており、見た目以上に高い強度を持つ。
氷原に佇むその姿は、伝説上の騎士を思わせるとされており、
一部ではその人物に因んで「迅速の騎士」や「零下の白騎士」等の異名で呼ばれている。
モデルは、絶滅動物のサーベルタイガーである。口内から大きくはみ出た犬歯の他、寒冷地に生息していた動物である事が、凍土に適応したベリオロスと共通する。
戦闘では雪を巻き上げたり、壁を利用する等、地の利を活かした戦法を取り、飛べない敵には低空飛行で襲い掛かる。天井の低い洞窟の中で飛行して相手を混乱させる等、知能の高さが窺える報告も多い。
その活動的な性質から非常に危険で、寒冷地ではベリオロスの脅威を第一に考えるべきだとされている。ハンターズギルドでもその危険性を特に警戒しており、一部のギルドでは、特に実力を評価されたハンターでなければ狩猟は許可されない。
最大の特徴である巨大な牙には鋸の様なギザギザの溝が付いており、
獲物の毛皮や甲殻を深々と穿ち、一撃で致命傷を与える恐るべき武器である。
そのまま獲物の肉を引き裂き、特に内臓を優先して食べるが、
これは極寒の地で活動するのに必要なエネルギーをより効率的に得る為である。
この牙は、繁殖期には雌に対するアピールにもなり、より形や長さに秀でた個体が有利らしい。
目は雪による反射や日照時間の長さに対応する為、
瞼を常に少し閉じた状態を保てる様になっており、それで光の量を調節しているらしい。
夜や洞窟内では視界を確保する為に瞼と瞳孔を全開にし、瞳孔に集めた光が反射する為、眼が爛々と光って見えるという。
体内には超低温の液体が溜まった「氷結袋」という内臓器官を持っており、
この液体は一瞬で周囲を氷結させる強力な冷気である。
その為、素材として取り扱う際は細心の注意が求められる。
液体はベリオロスが大きく息を吸い込んだ後に勢い良く吐き出されて、
口外に出た瞬間、大気中の水分と結合する事で、超低温の氷塊ブレスとなる。
ブレスは「氷結袋」の収縮と肺からの息が組み合わさる事で、強い螺旋状の気流を発生させて、着弾すると破片が冷気と共に竜巻状に舞い上がる特性を持っている。
逃げようとする獲物はこのブレスで氷漬けにして捕らえる。
竜巻ブレスの勢いはオサイズチを子分もろとも吹き飛ばし殺害しうるほど。
また、獲物に襲い掛かる際には、速度を得る為に高所からの滑空に移行して攻撃する場合が多い。全体重をかけた上で速度まで得た滑空攻撃は、草食種の中でも特に大型であるポポの巨体を一撃で宙に吹き飛ばす程の威力を誇り、熟練ハンターであろうとも喰らえば致命傷になりかねない。
全身の至る所に堅い棘状の鱗が生えており、爪は氷壁を容易く抉る程に鋭い。
これ等を氷原や壁に引っかける事で驚異的な瞬発力を生み、軽快かつ迅速に動きまわる事が出来る他、その硬度故に獲物を捉える為の武器としても利用している。
しかし、逆に言えばベリオロスの機動力はこの棘や爪があってこそのものである。特に翼に生える一際大きな棘に関しては、不安定な雪原や氷を確実に捉えるスパイクの役割を担っているので、これが砕けてしまうと自分の俊敏性を制御しきれなくなってしまい、飛びかかりなどの着地時に大きな隙ができるようになる為、翼の部位破壊は積極的に行っていきたい。
ティガレックスを初めとした原始的な四足歩行型飛竜にしては、珍しく翼も大きく発達しており、地上での移動に前脚を使う事に特化した飛竜種の中では、トップクラスの飛行能力を持っている。
必要とあれば、所謂「ティガ骨格」の飛竜によく見られる「滑空」ではなく、リオス種を初めとした飛行に特化した進化を遂げた飛竜のように、翼を使った完全な「飛行」を行う事も可能で、さらにその状態から氷塊ブレスを放つ事もできる。
また、その飛行能力と高い跳躍力を活かして崖や氷壁の上まで登り、下を通る獲物や自分を追ってきた外敵に奇襲を仕掛ける事もある。ただし、飛行速度に関してはそこまで速い訳でも無い。
普段は雄と雌は別々の縄張りを治めているが、繁殖期になると雄が意図的に雌の縄張りに侵入して、雌に気に入られれば交尾に入る。この際に、雌に見初められるか否かの指標は前述した通りの牙の形相にあり、牙を失って間も無い雄が繁殖を成功させるのは極めて困難であるという。
その後は、妊娠した雌は洞窟などの安全な場所に身を隠して2~3頭の子供を産む。この際には体表を収縮させ熱を保つ事によって出産を確実にする事ができる。
その見た目といい動きといい、ナルガクルガが凍土の過酷な気候に対応したかのようであり、怒り状態時には目が赤くなるところも共通している。
実際に、ナルガクルガとは生物学的に近縁種にあたるとされている。
しかし、両者は全く異なる環境に適応した進化を遂げているので、生態や身体的特徴、能力については大きくかけ離れたた部分も多い。
甲殻は分厚さがありながらも非常に軽く、牙や棘はそのまま武器の刀身や防具用のスパイクとして加工できる。さらに腹部を覆う純白の毛皮は、衝撃の吸収率が非常に高くて、上空から氷原に叩きつけるように着地しても全くダメージを受けない程である。加えて手触りも非常に良いので、貴族からも人気が高い。
戦闘
外見や攻撃モーションこそナルガクルガの流用だが、氷属性のブレスを吐いてくる上に、飛行能力があるので、全体的な動きはナルガクルガとは全く異なる。
体格もナルガクルガよりもずっと大きいので、攻撃力も高めに設定されている。
尻尾の振り回しはその体格の大きさと、もっさりとした速度の為に、ナルガクルガの感覚で回避しようとするとまず被弾する。おまけに尻尾を切断していないと、攻撃を食らう度に氷やられになるなどかなり厄介である。
特筆すべき攻撃と言えば、やはり一部登場ムービーでも披露する滑空攻撃だろう。
他のモンスターとは異なり、エリア移動直後のベリオロスは高度上空で待機しつつ警戒状態に入るのだが、ここでハンターがエリアインすると、奇襲のような形で上空からハンター目掛けて高速で滑空し、着陸と同時に回転しながら大きくスライディングしてハンターを吹き飛ばすのである。武器をしまっていれば回避は充分に可能だが、武器を持ったままだと確実に被弾する。
ギギネブラもそうだが凍土のモンスターはいやらしい攻撃が全体的に多いようだ。
総じて「ナルガクルガのマイナーチェンジ」と侮っていると逆に狩猟されてしまうだろう。
しかし、普段はその俊敏な動きからナルガクルガ以上の難敵とも目されるのだが、翼の棘を破壊してしまうとスパイクが効かなくなり、各行動ごとに滑って隙だらけになる。
また、疲労時の弱体化も著しく、棘を破壊できるか否かで大きく狩猟の難易度が変化するモンスターである。最優先は腕の部位破壊と言えるだろう。
MHP3では、ナルガクルガが登場したせいなのか、連続飛びかかり攻撃が削除されている。
その代わりに、MHFのデュラガウアのようなタックル技が追加された。
MH3仕様のモーションは、その後MHF-Gに登場したヒュジキキへと受け継がれた。そして、なんとベリオロス自身も新たに4種目の遷悠種として、MHF-GのG9アップデートでデビューを果たしてしまった。
MH4からMHXまではメインシリーズではしばらく降板されていたが、MHXXで復活を果たす事になった。ちなみに発売前に展開された体験版では、全国ツアーでは中級クエストの、配信版では上級クエストの相手をそれぞれ務めている。
多くのベリオロスが、タイムアタックの為に乱獲された事だろう…。
MHWでは登場しなかったが、氷雪地帯を舞台としたMHW:Iで再登場。
今までのハードでは表現しきれなかった前脚のフサフサ感がよく分かる。
新フィールドの「渡りの凍て地」にも生息しており、バフバロやアンジャナフ亜種や、たまに飛来するレイギエナとの縄張り争いが実装されている。
そのスピードは変わらないどころか、ワールド以降のモーションのシームレス化によって滑らかに攻撃に移るため、体感の攻撃速度はさらに上昇している。
これまでは滑空攻撃が最大の大技だったが、新たに大きく体をのけぞらせるような予備動作の後、素早く飛び上がって真上から牙を叩きつけるように急降下する大技を習得している。予備動作は分かりやすく攻撃後の隙も大きいが、その分威力は非常に高く、拘束攻撃のようにしばらく動けなくなってしまう。
また、スパイク代わりの棘を破壊すると滑るのは変わらないが、滑った勢いで少し遠ざかるようになった。これにより、隙がやや少なくなってしまっている。
登場するのは序盤最後、中盤への入り口というべきタイミング。この時点のモンスターとしては火力、スピードともにかなりの高水準。ワールドにおけるアンジャナフにも似た、序盤の壁と呼ぶべき存在である。これまで上位防具のまま戦ってきた場合、この辺りから露骨に防御力が厳しくなってくるため、苦戦するようならば防具を新調してみるのも手だろう。
MHRiseでも続投。
新フィールドである寒冷群島に生息している。
今作では大型モンスターの危険度が1〜10とかなり細分化されているのだが、ベリオロスの危険度はリオレイアやトビカガチらと同じ5。ナルガクルガをはじめとしたメインモンスター達(全員危険度6以上)よりも格下と位置付けられたほか、アンジャナフ(危険度6)とは完全にランクが逆転されてしまった。
MHSTでも参戦。
フィールドで遭遇できるのは終盤の方だが、主要人物の1人であるアユリアのオトモンとして"ヒョウガ"と名付けられた個体が登場する。
亜種
MHP3にて登場した、ベリオロスの亜種。通称「風牙竜」。
詳細はリンク先を参照。
特殊個体
MHW:Iにて登場した「氷刃佩くベリオロス」。
詳細はリンク先を参照。
ベリオ装備
スタミナ強化系や当然ながら氷属性のスキルが付く。ハンマーやランスにはもってこいであり、作れる武器はどれも優秀である。
キリンがいないという事態が一時騒然となったが、やはりカプコンは紳士であった。
キリン装備に酷似した姿は当然の如く大人気で、女性の装備はネブラ装備やナルガ装備と肩を並べるエロ装備となっている(ただしキリンより露出は抑え目)。
キリン装備↑ ↑ベリオ装備
G級装備では打って変わって王道な白騎士風というカッコ良さ&美しさ路線となっている。
加えて男性装備の方も、キリンとは違って格好いい。本当にカプコンGJと言わざるを得ない。
この為に、今現在多くのベリオロスが乱獲されている事だろう…
テーマ曲
ベリオロスのテーマ曲は、「零下の白騎士」。
緊張感を与えるイントロから、徐々に激しさを併せたサビへとなり、プレイヤーの間でもかなりの人気を誇る。同時に凍土フィールドでの狩猟曲でもあるため、ギギネブラ等との戦闘でもこの曲が使われる。特に極めて不気味で、かつ狩猟環境が不安定なクエストでの乱入が多いギギネブラ戦では、一転して恐怖心を煽る曲に聞こえてくる。対峙するモンスターによって、イメージが一変する不思議な曲となっている。
余談
- ベリオロスの犬歯はサーベルタイガーとは違って目の下に生えている。これでは歯根が埋まるスペースが殆どない。何か歯を支える別の仕組みがあるのかもしれない。
- ネット上では、顔がヴォルデモートに似ているとされている。比較して見ると、半分瞼を閉じた時の顔がそっくりである。
- 「迅速の騎士」の異名で呼ばれているが、MHXX上位では「白い(白き)悪魔」という呼称が使われている。寒冷地におけるその戦闘力と機動力は、悪魔と呼んでもいいだろう。
- MHW以前は他のティガ骨格のモンスターと比較して前脚が短く、更に前脚が体のほぼ真下に生えているという、ジンオウガを初めとした牙竜種に近い骨格構造であった。MHW:Iで再登場して以降は前脚が長く横に突き出した形になり、他のティガ骨格に近くなっている。
- メインシリーズに登場する四足歩行の大型飛竜種は、いずれも鳴き声が高いのに対して、ベリオロスだけは低くドスのきいた声色である。
- 何かと公式に優遇されがちなモンスターで、メインシリーズにおいて扱いが特殊なモンスターを除けば唯一亜種と特殊個体が両方存在するモンスターである。