※本項目は『ダンボール戦機』シリーズに関する重大なネタバレが含まれております
概要
初出はシリーズ三作目『ダンボール戦機WARS』より。
作中における2000年代初頭にサマリア共和国で発足したとされる国際テロ組織【要出典】
当初は現地を中心に活動していた小規模なものだったが、次第に勢力を拡大し、それに伴い行動範囲も広がっていった。
作中の世界各国で爆破テロや拉致事件等を引き起こしており、一般人からも「凶悪なテロリスト集団」と認知されている。
その理念は「世界中の戦争や紛争の根絶」というものだが、目的の為ならば武力行使も辞さない等手段を選ばず、非人道的行為も平然と行う極めて危険な組織である。
理念についても一見すると平和希求を目的としているような印象を与えるが、構成員のセレディ(後述)の述懐によればワールドセイバーを指導者とした世界であることを前提とした代物であり、本質的な目的は「現行社会における支配者の成り代わり」であり、平和には縁遠い存在である。
その軍事力、LBXに関する技術力は『W』のLBX管理機構「オメガダイン」をも上回るものであり、各国から様々な技術を盗用する事によって、下手な軍事兵器よりも遥かに危険な力を持ったLBXを生み出している。
作中での動向
『ダンボール戦機WARS』
中核メンバーとして登場したのはセレディ・クライスラー。
ゲーム版、アニメ版共に台詞等に違いはあるが、設定的な差異は無い。
各仮想国から生徒を引き抜いた新仮想国「エゼルダーム」の担当教師として神威大門統合学園へ赴任し、一連の事件の元凶となった。
作中にて初めてワールドセイバーが言及されたのは終盤(アニメ版では第30話)。
セレディが自身の所属をワールドセイバーであることを主人公の瀬名アラタへ告げたことで、本編内の事件にも大きく関わりを見せる。
セカンドワールド内で活動するバンデットの正体を学園長ら運営側でも突き止められなかった点や、セカンドワールドを堂々と批判するセレディが追放されなかったことから、ワールドセイバーに賛同した工作員が運営側に居るであろうことをムラクが推測している。
その目標はセカンドワールド中枢部「ロストエリア」に存在する管理コンピューター「グランドマスター」に内包された情報チップ「アンダーバランス」の奪取。
このチップに記録されたERP加盟国の機密情報を入手し、世界各国のコントロール力の獲得を狙っており、これに伴うセカンドワールドを用いた代理戦争システム「ERP」の破壊を目的としている。
セカンドワールドを「世界平和の名の下に、世界の矛盾を一部の支配者の為に温存したまやかし」と定義し、「セカンドワールドとそれを支配する者達から、人々を解放する戦いを始める」と嘯くセレディらワールドセイバーはロストエリアへの侵攻を開始。
空中要塞ドル・ガルーダを使った一次侵攻は各仮想国による世界連合によって阻まれメンバーも拘束されるに至ったが、セレディに呼び出されたワールドセイバー別動隊の潜水艦が神威島へ到着。島内を武力制圧する。
その後はセレディ主導の下でセカンドワールドを24時間稼働化し、「ウォータイム=子供染みた疑似戦争にリアリティを与える」という名目で、LBXのロストに連動してコントロールポッドに毒ガスが噴霧され、本当に戦死する(そのコントロールポッドは文字通りプレイヤーの棺桶となる)仕掛けを施し、その様を世界各国へ配信するという暴挙に及んだ。
しかしながら、最終的にセレディはアラタに敗北。
また、仕掛けられていた毒ガスも構成員だった綾部によって催眠ガスにすり替えられており、他の構成員も全員拘束されたことで生徒の死者はゼロ。
これにより神威島にいたワールドセイバーのメンバーはほぼ全員逮捕され、後に「神威島事件」と呼ばれる一連の騒動は終息を迎えた。
『LBX烈伝』
ホビージャパンによる連載企画『LBX烈伝』に敵組織として引き続き登場。
セレディの逮捕後も組織は壊滅しておらず、クリスターイングラムの神谷重工開発室から強奪したエンペラーM5を利用しA国の市街地で堂々と戦闘を行う、救急搬送された大空ヒロを拉致し洗脳処置を施す等、その活動における過激さは全く衰えていない模様。
更には特殊能力者「オーバーロード」に対応したLBXとして、ドットブラスライザーから技術盗用+強化改造し、そこへディ・エゼルディの技術を応用し開発したディ・レギウディアを使用するなど、技術的な発展が垣間見られる。
『特典小説』
本編の後日談が描かれた、ダンボール戦機ウォーズDVD-BOX2に付属する特典小説『神威島奇譚』の作中にて、「セレディの日記」と思われる記録情報の一部が描かれた。
シリーズ第1作は2050年が舞台となっているが、この情報によればセレディがワールドセイバーに初めて接触したのは2018年であり、この時点で既に活動状態にあった模様。
また、年代時期こそ不明ではあるが、セレディの身体に用いられていたオプティマの技術は、第1作の敵組織であるイノベーター側からの接触による供与であったことが判明した。
この際、記録では「新しい技術」と記載されており、セレディが自らの身体で試すことにした旨が綴られている。
この繋がりから、月光丸を始めとするイノベーターの高性能LBXの開発には、神谷重工のLBX開発技術だけでなくワールドセイバーの軍事技術も利用されていたのかもしれない(オプティマの技術と交換条件で軍事技術を教えてもらった可能性がある)。
また、作中では本編の神威島事件におけるセレディの所業が原因となり、また別の事件が起こってしまった。
9巻と10巻に付属する特典小説『矜持』(上巻・下巻)では、セレディの命によって磯貝財閥に潜入した綾部がゲンドウやセレディとの関わりから心変わりに至る様が描かれ、ワールドセイバーの時事的な情報が一部判明した。
シリーズ二作目にあたるダンボール戦機Wで描かれた事件当時のワールドセイバーは「今は雌伏の時」というセレディの判断の下で活動を控えていた模様。
ディテクターやミゼルの存在は彼らにとっても脅威であり、また事件の背後にあったオメガダインの目論見が成功していた場合、ワールドセイバーは敗北を喫していたであろうこと、更にこの一連の事件はワールドセイバーのLBXに対する見方を決定づけたことが語られている。
各都市機能を麻痺させ支配下に置く、艦隊を壊滅させる等の威力を見せつけたLBXはワールドセイバーにとって「希望の未来を齎すもの」などではなく、「脅威的な兵器」として認識されたとのことである。
『装甲娘』
『W』から分岐したパラレルワールドを描いたソーシャルゲーム「装甲娘-ミゼレムクライシス-」のシーズン2第9章『世界を変えていく者たち』にて、LBCSを開発する人類に対し疑念を抱いたミゼルの残留データのコアプログラムに手を加え、拡散と収束を繰り返えさせた結果ブラックミゼルを生み出した元凶とされている。
また、正史にフィードバックされる内容かは不明だが、山野博士が『W』本編でディテクターとして暗躍していた際に、ワールドセイバーが秘匿回線でアポイントメントを取っていた事が判明している。
作中にて登場した構成員
戦力
余談
ワールドセイバーの行動と理念は第一作に登場するレックスこと檜山蓮が世界に伝えようとしていたメッセージ(当該記事を参照)に大きく反するものであり、彼が海道義光を暗殺した後に知った「世界に蔓延る多くの歪み」の中に、管理戦争以外にもワールドセイバーが含まれていた可能性も有り得る。
直接的な被害こそミゼルが引き起こした「ミゼル事変(ミゼルクライシス)」の方が上だが、プログラムであるミゼルと違い、純粋な人間でありながら非人道的極まる作中での所業により、シリーズ中でも最凶最悪の敵として評するファンも少なくない。
また、ワールドセイバーが初めて言及されたアニメ『WARS』第30話では、ユノの解説に合わせ実際のテロ事件の様子と見られる写真が描写された。
・大規模な爆発に巻き込まれ壊滅したと思しき建物や自動車、逃げ回る人々
・ビルの上層部が爆発し黒煙を上げる光景を見つめる女性二人
・ワールドセイバーの関わっている事件が報道されている新聞
中学生でも知っている認知度であることから、これらの被害は氷山の一角でしかなく、活動期間の長さも含め、相当な数の犠牲を出している可能性も考えられる。
世界連合との戦いにて「子供染みた疑似戦争にリアリティを与える」との名目で毒ガスの仕掛けを生徒達のコントロールポッドに施していたが、自陣のコントロールポッドには一切仕掛けていないので、やっていたのは概ね一方的な虐殺であり、その名目は詭弁と判断されてもなんら遜色は無い。
セレディの「教え」を聴いた神威大門統合学園の生徒の中にも、風陣カイトの様な貧困家庭に育ったなどの理由でワールドセイバーのイデオロギーに賛同し入隊する者が少なからず生じており、アラタも「セレディとワールドセイバーの方法論は認められないとしつつも、その主張には首肯できるところもある」として、学園での戦いを終えた彼が「考える旅」に出るきっかけとなった。