前文
和中蒼一郎は戦闘中などに四字熟語や諺などを発することがある。
名家出身ながら何か訳ありでヤクザになったが、変わらず博識である事を窺わせるセリフである。
これまでに和中が発した四字熟語
- 有口無行、吠える犬は噛みつかぬ……
有口無行(ゆうこうむこう)…口先ばかりで行動が伴わないこと。「有言不実行」「弱い犬ほどよく吠える」
- 天涯比隣、遠く離れていても君らのことを思っていたぞ。
天涯比隣(てんがいひりん)…遠い所にいても心は常に通っていること。「天涯比隣の若し」
- 積土成山、小さな努力が大きな目標を達成するんだ。
- 積土成山、華太は決して天才ではないが、積み重ねの賜物だ。
積土成山(せきどせいざん)…努力を積み重ねれば、いつか大きなことを成し遂げることができること。「塵も積もれば山となる」「点滴穿石」「聚蚊成雷」「愚公移山」
- これは海内無双の伊集院さん、一体、何の用で?
海内無双(かいだいむそう)…この世に並ぶものがないほどすぐれていること。類義語に「国士無双」「天下無双」
- 虎擲竜挐。旦那…次は本気です…… 絶対にかわせない。
- 虎擲竜挐。旦那…次は本気の斬撃です…… 目では追うことすら不可能!
- 虎擲竜挐。これから打つのはその血反吐の末に得た技だ。絶対にかわせない、目で追うことすら不可能。
虎擲竜挐(こてきりゅうだ)…強い者同士が戦うこと。「こてきりょうだ」とも読む。「龍虎相撃つ」「竜攘虎搏」「竜騰虎闘」
- 大海撈針。海の底に落ちた一本の針を拾い上げるようなものだ。
大海撈針(たいかいろうしん)…非常に困難で不可能に近いことの例え。「干草の山から針を探す」「砂漠の中から砂金を探す」
- 悪事千里……貴様どちらの腕でカタギを殴った?
悪事千里(あくじせんり)…悪い噂や悪い評判はすぐに遠くまで知れ渡ること。「悪事千里を走る」
- 天網恢恢、ウチのシマで悪事は許さん。お前は目を光らせておけ。
- 天網恢々! 外道は手足を没収じゃあああ!
- 天網恢々。どんな些細な違和感も見逃すな。何かを感じたら、俺に連絡しろ。
- 天網恢々。貴様を斬り捨て、天羽組はこの和中蒼一郎が守る。
天網恢々(てんもうかいかい)…天が張った網は広く、目が粗いようだが、悪人・悪事は決して逃がさないこと。「天網恢々疎にして漏らさず」
- 刮目相待、いつもお前を見ている。道外れた瞬間、必ず殺す。
刮目相待(かつもくそうたい)…人の著しい進歩や成長を待ち望むこと。今までとは違う見方をして、相手のことを見直すこと。対義語に「呉下の阿蒙」
- 不倶戴天の敵。到底生かしてはおけん。
不倶戴天(ふぐたいてん)…同じ天の下に同時には居れないものの例え。転じて生かしてはおけない程憎い相手。「倶に天を戴かず」
- 庖丁解牛、何人もの命を刈り取ってきただけはある。
庖丁解牛(ほうていかいぎゅう)…熟練者の見事な腕前のこと。
- 朝三暮四、卑劣な思考は剣を鈍らせる。
朝三暮四(ちょうさんぼし)…目先の違いにとらわれて、結局は同じ結果であることを理解しないこと。類義語に「五十歩百歩」「目くそ鼻くそを笑う」
- 引縄批根、テメェら全員薄切り豚肉じゃあぁぁ!
引縄批根(いんじょうへいこん)…協力して他を全て排除すること。または、裏切った相手に報復して恨みを晴らすこと。
- 不惜身命。この和中、命にかけて全うします。
不惜身命(ふしゃくしんみょう)…仏道を極める為には己の命も惜しまない事。転じて目的の為ならば死をも厭わぬ決意。
- 背信棄義。汗をかく量が証拠。貴様は道義に背いた。
背信棄義(はいしんきぎ)…信義に背き、道義を捨てること。信用と道義を守らないこと。「信に背き義を棄つ」
- 悪逆無道。それは何の金か答えろ。
- 大逆無道。全員ダルマじゃテメェらは!
- 大逆無道。奴らの罪は命を以て償う他ありません。
悪逆無道(あくぎゃくむどう)/大逆無道(たいぎゃくむどう)…どちらも人の道に背いた愚か者を罵る言葉。「鬼畜外道」「極悪非道」
- 馬牛襟裾。掟も守れぬ人間は獣と同じ! 死んどけぇ!
馬牛襟裾(ばぎゅうきんきょ)…無教養、礼儀知らずなものを罵る言葉。襟裾は「えり」と「すそ」、転じて衣服を着ること。馬や牛が人の衣服を着たようなものという意から。
- 紅灯緑酒。この国は初めてだ。
紅灯緑酒(こうとうりょくしゅ)…明かりとおいしい酒。転じて娯楽とそれに耽溺する事。緑酒紅灯(りょくしゅこうとう)とも。類義語に「酒池肉林」
- 怪誕不経。悪いが上を見させてもらう。
- 怪誕不経……目を見ればわかる。貴様らはウチの野田を刺した事に関与している
怪誕不経(かいたんふけい)…出鱈目で怪しく、道理に合わぬ様。「譎詭不経」「奇々怪々」「荒唐無稽」
- 椎心泣血……下衆共が……
- 一足一刀の間合いにいる限りッ! この和中蒼一郎が抑えられるかぁッ!!
一足一刀(いっそくいっとう)…剣道において互いの剣先が10センチメートル程度交錯する程度の距離。この距離なら一歩歩けば竹刀が相手の有効部に命中する。
- 抑強扶弱。安心しろ……君たちはもう自由だ。
抑強扶弱(よくきょうふじゃく)…横暴な強者を抑え、善良な弱者を助ける事。「強きを挫き、弱きを助ける」
- 旱天慈雨。当分はウチの誰かが常に付く。心配しなくていい。
旱天慈雨(かんてんじう)…日照り続きのときに降る、恵みの雨。 転じて、待ち望んでいた物事の実現、困っているときに差し伸べられる救いの手。「干天(かんてん)の慈雨」「地獄に仏」
- 含沙射影。街に汚ねぇものをばらまく下郎が。
含沙射影(がんしゃせきえい)…陰険な方法で人に危害を加えること。含沙とは中国に生息するイサゴ虫のことで、この虫が吐いた砂を影にぶつけられるとその人は高熱を発して死んでしまうという迷信が存在する。
- 怒髪衝天。奴を細切れにすることをお約束いたします。
- 怒髪衝天。顔も見せぬ下衆が。必ず見つけ出し、地獄に落とす……
- 怒髪衝天。俺達の家族を奪った貴様らに、生きる資格などあろう筈がない。
怒髪衝天(どはつしょうてん)…髪が逆立つほどの激しい怒り。「怒髪天を衝く」
- 張眉怒目。テメエら輪切りじゃああ!
張眉怒目(ちょうびどもく)…眉を吊り上げ、目を見開いたような激しい怒り。上記の怒髪衝天に意味は近い。
- 大信不約。この背中、頼れるならば幾らでも頼れ。
大信不約(たいしんふやく)…約束をしなければ守られないようなことは、本当の信頼関係とはいえないということ。または、信義のない約束は、約束としての意味を持たないということ。
- 獅子搏兎。5秒やろう。この世に別れを告げろ。
獅子搏兎(ししはくと)…獅子が兎を狩る時も全力を尽くす様に、些細な事や簡単な事でも全力で取り組む事。「オーバーキル」
- 困知勉行。諦めの悪い凡人が積み重ねた今……それが俺だ!
- 困知勉行。努力が足りんのだ。
困知勉行(こんちべんこう)…苦労しながらも学び、努力を積み重ねて物事を実際に行うこと。「苦学力行」「蛍雪の功」「蛍窓雪案」
- 一罰百戒。ここらで灸をすえるか。
一罰百戒(いちばつひゃっかい)…見せしめに一人の罪人を罰することで、他への戒めにすること。1に対して100倍返しという訳では無い。
阿鼻叫喚(あびきょうかん)…非常な辛苦の中で号泣し、救いを求めること。阿鼻も叫喚も共に八大地獄の一つ。阿鼻地獄は八大地獄の8番目に当たり、最も強烈な責め苦を受ける場所であり、その責め苦の度合いはそれまでの7つの地獄における責め苦さえも天国じみた幸福と称される程。叫喚地獄は4番目に当たり、灼熱の責め苦で咎人が泣き叫ぶ。
地獄絵図…地獄のように極めて惨い状況を意味する。阿鼻叫喚の類義語である。
- 浅学非才。才なく訓練も受けぬ者。何万発撃とうがこの和中にはカスリもしない
浅学非才(せんがくひさい)…台詞の通り才能もなくそれを補う学問、知識も無い者のこと。大抵は自身について謙遜するときに使う。
- 因果覿面! テメェは断面晒しとけえええ!
因果覿面(いんがてきめん)…悪いことをした報いがすぐにあらわれること。「因果歴然」「積悪の報い」
- 一刻千金。その不良共に奴らのアジトを聞けばいいわけだな?
一刻千金(いっこくせんきん)…春の夜の様に楽しい時間がすぐに過ぎて行くのを惜しむ気持ち。転じて僅かな時間でも金千両の価値があるという事。「時は金なり」
- 夜郎自大。己の器を知らぬ者が…この世界で長生きできるかぁぁ!
夜郎自大(やろうじだい)…己の力量を弁えず、狭い世界で自惚れた者。「井の中の蛙、大海を知らず」
- 悪因悪果。貴様らは二度と集まるな
悪因悪果(あくいんあっか)…悪い行いは悪い結果となって必ず行った者に帰ってくるという事。類義語に「因果応報」。対義語に「善因善果」
- 英雄欺人。この袈裟斬り、もう一度受けれるものなら受けてみろぉ!
英雄欺人(えいゆうぎじん)…卓抜した能力をもつ人は、その優れた謀で、普通の人が思いもよらない手段や行動をとるものであるということ。「英雄、人を欺く」
- 金科玉条。他人のシマに土足で踏み入る下郎は、全て斬り捨てる
金科玉条(きんかぎょくじょう)…大切な法律のごとく、己が絶対の拠り所としている思想や信条を指す。
- 小心翼々。ごちゃごちゃとよくしゃべる……
小心翼々(しょうしんよくよく)…気が小さく、臆病な様。
- 志操堅固。お前の言葉からは揺るがぬ意志が感じられた。
志操堅固(しそうけんご)…何があっても曲がることのない強い思想や志を指す。
- 勇往邁進。ここからは別行動だ。その心意気で目的を果たすといい。
勇往邁進(ゆうおうまいしん)…周囲の状況などには脇目も振らず、目的に向かって前進すること。似たような意味を持つ「猪突猛進」に比べてポジティブな表現で使われる。
- 志大才疎。この和中蒼一郎がもっと強ければ……
志大才疎(しだいさいそ)…大きな目標や高い理想を持ちつつも、それに見合う才能、力量が無いこと。
- 神色自若。落ち着け飯豊、大事があっても平然といられるよう鍛錬を重ねろ。
神色自若(しんしょくじじゃく)…大事が起こっても動揺せず、落ち着いている様。「泰然自若」
- 横行闊歩。ここをどこだと思っている下郎が…
横行闊歩(おうこうかっぽ)…我が物顔で勝手気ままに振る舞うこと。「跳梁跋扈」
- 桜花爛漫。この下で飲む酒なら何でも美味いかもしれんな。
桜花爛漫(おうからんまん)…桜の花が満開で見事に咲き誇っている様を指す言葉。
- つまらん、日本酒を一升瓶で飲むがいい。呑花臥酒。
呑花臥酒(どんかがしゅ)…花を愛で、酒を飲む。春の行楽を尽くすこと。
- 疾風勁草……ノコノコとこの地に入ってきた事を末代まで後悔させましょう。
疾風勁草(しっぷうけいそう)…激しい風が吹いた時にこそ丈夫な草が見分けられる様に、逆境や不運にある時程、その人の強さがわかるという例え。転じて、意志や思想が堅固な人間の事。
- 痴心妄想。何度も同じ手が通用すると思うな。
痴心妄想(ちしんもうそう)…愚かな気持ちと実現できないような想像をすること。
- 報恩謝徳。恩返しのつもりだ。かかってくるがいい。
報恩謝徳(ほうおんしゃとく)…受けた恩や徳に感謝し、報いる事。
- そうか、出藍之誉……先人の背中を見て立派に育て。
出藍之誉(しゅつらんのほまれ)…弟子が師匠よりも強く立派に育ち師匠を超える存在になる事。またはその評判。転じて元になったものより、其処から生まれたものの方が優れている事。「青は藍より出でて藍より青し」
- 悪木盗泉。先代の意向を無視し、恩人を裏切るとは……地獄で後悔するがいい。
悪木盗泉(あくぼくとうせん)…例え高潔な人格者であろうと、悪い木の陰で休息を取ったり、「盗泉」という悪しき泉の水を飲めば悪に染まってしまうので、高潔でありたければそういったものには決して近づくなという教え。転じて如何に困窮していようとも、悪事に身を染めぬように戒める教え。「渇しても盗泉の水を飲まず」
- 朋友有信。野田の兄貴、命運を共にしましょう。
朋友有信(ほうゆうゆうしん)…互いの信頼が友人同士では最も大切であるという事。
- 挟山超海。何とかなればいいな……
挟山超海(きょうざんちょうかい)…山を脇に挟み抱え、その状態で海を飛び越えるが如き、実現不可能な事柄。もしくはその例え。
- 軽挙妄動……いい加減にしろ……下郎が……
軽挙妄動(けいきょもうどう)…軽はずみな行動。またはそれをするさま。
- はい、有備無患。日々の手入れは未来の礎でございます故。
有備無患(ゆうびむかん)…日々の準備あれば、万が一でも慌てふためく事はないという事。読み下して、「備え有れば患(うれ)いなし」。同義語に「転ばぬ先の杖」
- 勇気凛凛。やるからには最善を尽くすのみ。
勇気凛凛(ゆうきりんりん)…失敗などを顧みず、勇敢に物事に立ち向かっていくさま。
- 鮮美透涼。お注ぎ致します。
鮮美透涼(せんびとうりょう)…美しく透き通っている様子。
- 因果応報。この街に下郎は要らん。
因果応報(いんがおうほう)…自らの行いがそれに基づいた結果となって還ってくる事。主に悪行に基づく悪い結果に言う。「悪因悪化」
- 安穏無事。いい年末だ。
安穏無事(あんのんぶじ)…何事もなく、世の中や暮らしが穏やかで安らかなさま。
- お祖母様が言っていた不撓不屈の精神が俺の胸に有れば、極みに手が届く!
不撓不屈(ふとうふくつ)…如何なる困難があろうとも、決して諦めない事。
- 鳳凰には天下泰平の意味もある。
天下泰平(てんかたいへい)…世の中が平和な状態で安定していて、穏やかな状態の事。または、心配事もなくのびのびとしている状態。
これまでに和中が発した諺
- いつまでも、あると思うな親と腕ぇぇ!!
実際は「いつまでもあると思うな親と金」。頼りにできる親はいつまでも生きているわけではなく、金は使ってしまえばそれまでで、湧いて出てくるものではない。どちらもいつかは消え去ってしまうもの。つまり「独立心を育み、倹約を心掛けよ」という戒め。
- 堪忍袋の緒と……アキレス腱が切れた!!
堪忍袋とは怒りを堪えて許す心の広さを袋に例えたものであり、我慢できない怒りに震え上がることを堪忍袋の緒が切れるという。
- 青天の霹靂です。
青天の霹靂…突然の知らせに驚くこと。
- 金で仲間を作ると失敗する、仲間で金を作ろうとすると成功する。
金(きん)だけの付き合いなら尽きたらそれで終了だが、金(目標)を立てて仲間を集って協力し合うと成功する。
- 口車に乗ったお前はダルマ!
口車に乗せられる…言いくるめられて騙される。
- 無くして初めて気付く……親と腕の大切さぁぁーッ!!
実際は「無くして初めて気付く、親と金の大切さ」。親も金もそうだが、人間、特定のものがある時はそれのありがたみを感じないが、なくなると急にそのありがたみを痛感するもの。
- 家貧しくして孝子現る。
家が貧乏だと親を助けようとする孝行な子の善行がはっきり人に知られる。 苦境に陥った時、誠実な人間が表面にあらわれる。松崎の娘の話を聞いた時の一言。
- いえ、井の中の蛙大海を知らず。餓鬼故に驕っていただけです。
井の中の蛙大海を知らず…狭い世界に囚われ、広い視野で物を見られないこと。