概要
企画当初は、かのマジンガーZを大魔神我のタイトルで、当時の若手・中堅アニメーターが中心となってリメイクするOVA作品として企画され、1986年夏の段階で脚本は決定稿まで既に完成していたが、その後諸事情により制作中止となってしまった。
その代用として、すでに提出されていた大魔神我のアイデアを元に制作されたのが破邪大星ダンガイオーと本作である。
大魔神我で予定されていたスーパーロボット特有の派手で荒唐無稽な面はダンガイオーに、志向していたハードなドラマは本作にと、互いに分割する形で受け継がれた。
また、ダンガイオーがマジンガーZ、ゲッターロボなどの往年のスーパーロボットアニメをオマージュしているのに対し、鋼の鬼はゴジラ、ガメラなどの怪獣映画をオマージュしている。
その為、悪の道に堕ちた親友を主人公が助けようとする姿を『サンダ対ガイラ』のサンダ、ガイラ兄弟に例えるファンも居る。
その意味では、進撃の巨人のような『怪獣アニメの元祖』とも取れる。
あらすじ
絶海の孤島に設立された軍事複合研究施設サンサーラ。
島で発見された粒子・マルーダクオークを応用したマルーダビーム実験の直後に空を裂いて謎の物体が現れる。
観測用の潜水艇に搭乗していた主人公のタクヤと、その親友ハルカは、危険にもかかわらずその物体の一部を回収するよう、上司ガルンに命令される。
物体の一部を採取する事に成功はしたものの、ハルカは大怪我を負い、タクヤは研究所を去ってしまう。
それから3年後、ハルカからの救いを求める手紙を受け取ったタクヤは、再びサンサーラに向かう。
しかし、当のハルカは手紙を送った記憶がなく、タクヤの恋人であるリーズも「ハルカの様子がおかしい」と告げる。
その夜、島の裏側にあった施設に巨大な影が姿を現す。
それこそ、マルーダクオークによってこの世界に呼び出された大魔獣だった!
登場人物
タクヤ・クルーズ
CV:古川登志夫
本作の主人公。3年前の事件で左眉に負った傷と、「DANGER」と書かれたジャンパーが特徴。
同僚であるハルカやリーズだけでなく、他の部署の所属と思われるキムとも友好関係を築いている姿から、気のいい性格の好青年と思われるが、自分が研究所を出る原因となったガルンに対しては激しい怒りを見せる。
ハルカを救うべく、再び研究所に訪れ、3年前に現れた大魔獣・鋼の操縦者となる。
尚、本作でフルネームが判明しているのはタクヤ、ガルン、リーズのみである。
ハルカ
CV:井上和彦
タクヤの親友。タクヤに助けを求める手紙を出し、タクヤが研究所に戻るきっかけとなった。
事件から三年の間、ガルンと共にマルーダクオークの実験に着手しており、最初に現れた鋼に続く二体目の大魔獣・怒鬼の呼び出しに成功する。
が、怒鬼の持つ破壊の意思に侵され、徐々に正気を失いつつあり、普段こそ優しい性格だが、怒鬼の支配下にある時にはどこぞの冥王のような人格に変貌する。
リーズ・モルン
CV:荘真由美
タクヤの彼女。研究所の駐留軍に所属している。
本来ならヒロインの立ち位置なのだろうが、この作品のヒロインの立ち位置はハルカのため極めて影が薄い。
ルイ
CV:玉川紗己子
ハルカの彼女。褐色肌が特徴。
リーズ共々、変貌したハルカを心配しており、ハルカの謎を追うタクヤの手助けをする。
尚、タロットカードの占いにはまっており、ハルカのしている研究について占ったのだが……
ガルン・ハイエッツ
CV:阪脩
タクヤ達の上司。すべての元凶。
事件の3年後研究所の新所長となっており、ハルカと共にマルーダクオークの研究に取り組んでいる。
当然っちゃ当然だが、最後はむごたらしい死にかたを迎える。ざまぁ
キム
CV:記述が無いため不明
島の裏側にある施設の職員。タクヤとも親交があった。
名前のある人物では大魔獣最初の被害者でもある。
用語説明
マルーダクオーク
クシニー島で発見された新粒子。劇中では『マルーダ粒子』とも呼ばれる。
次元粒子とも呼ぶべき性質を持っており、ビームとして発射すれば異次元への穴の開閉が可能で、鋼、怒鬼の両大魔獣はここを通って現れた。
次元転移砲
当初兵器として開発されていたマルーダビーム砲を、異次元への穴を開く為の物として改造した物。
怒鬼を呼び出しに成功するものの、その際に怒鬼と一体化してしまった。
どこぞのチートロボットのアレに似ている気もしないでもない。
大魔獣
マルーダ粒子によって開けられたワームホールからやってきた異次元の存在。
詳細は語られていないが、巨大なエネルギーや人間の搭乗によって、ただの塊から巨大ロボットの姿に進化する。
ハルカは「破壊の意思」と称した。
尚、本作に搭乗した鋼と怒鬼には互いに引き合う性質があり、「2体は戦う運命にある」らしい。
鋼(はがね)
3年前の事件の時に現れた最初の大魔獣。
長らくクシニー島沖の海底に放置されていたが、タクヤが潜水艇共々同化する事で覚醒。大津波を立てて上陸し、怒鬼と激闘を繰り広げる。
3年間放置されていた為に、十分にエネルギーを補給していた怒鬼と比較して飛び道具が無い、パワーが劣る等々の性能差が生じてしまっている。
武器は格闘の他、両肩にあるムチがあるが、怒鬼には通用せず引きちぎられてしまっている。
また、赤いボディの一本角で大張正巳によって描かれた機体の点から、スーパーロボット大戦OGのアルトアイゼンと比較する(あるいは深紅の生物的なフォルムを備えたマシンから、同OGのペルゼイン・リヒカイトを彷彿させる)ファンも少なくない。
怒鬼(どき)
事件の後、次元転移砲によって現れた二体目の大魔獣。ヒロイックな鋼とは対照的に、禍々しい姿をしている。
当初は巨大な顔のような姿だったが、ハルカの同化が進むに連れてどんどん姿を変えていった。
次元転移砲と一体化している為凄まじいパワーを誇り、エネルギーバリアやビーム砲など、武装も豊富。
更に背中にはブラックホールのような異次元の穴を背負っており、一度はそこに鋼を吸いこんでしまった。
また、怒鬼と同化したハルカの性格が変貌したが、これが怒鬼の意思なのか、同化による副作用なのかは不明。
主題歌
挿入歌「BURNING EYES」
作詞 大津あきら
歌 J-WARK
EDテーマ「JUST BECAUSE」
作詞 杉田裕
歌 J-WARK
JUST BECAUSEの今ならお前を愛する事も憎む事もできるだろうという歌詞は、タクヤのハルカに対するメッセージとも取れる。
スタッフ
企画 尾形英夫
原案、脚本 会川昇
監督 平野俊弘
キャラクターデザイン 恩田尚之
メカニックデザイン、特技監督 大畑晃一
美術監督 荒井和浩
撮影監督 玉川芳行
録音監督 斯波重治
音楽 川崎真弘
余談
本作には初期プロットを元に会川昇の手によって執筆された小説版が存在し、登場人物の大半が日本人名に書き換えられている他、展開や設定が一部事なっている。
また、OVA版のラストが救いようのない流れなのに対し、小説版は若干希望を感じさせる終わり方になっている。
自己進化を繰り返す怒鬼だが、ハルカを演じた井上和彦氏は、エイジャの赤石によって究極生命体に進化した柱の男や進化するガンダムの設計者であり最初のパイロット等、進化のキーワードのあるキャラクターを演じる事が多々ある。
ドキドキ!プリキュアのキャラクターの黒化や、濃いネタを扱った怒鬼怒鬼プリキュアのタグが存在するが、本作で怒鬼に乗ったハルカはなんと次回作で敵組織のボスになってしまった。
漫画BASTARD!!-暗黒の破壊神の連載中に開催されたキャラクターコスチューム募集企画において、登場人物のニンジャマスターガラの鎧として顔面以外ほぼそのまま鋼のアイデアが採用されてしまった。
作者の萩原一至はそれを知りつつ結果発表イラストを描いている。
関連イラスト
スパロボにも参戦していない都合上、投稿されているイラストも少ない。
まさかの展開
2023年1月15日、グッドスマイルカンパニーのMODEROIDブランドからプラモデル化される事が発表された。
この日に発表されただけでもブラックサレナやゴライオン、ダイ・ガードなどのスパロボ参戦作品のプラモデル化もだが、それ以上に装甲悪鬼村正やデモンベインなどの予想斜め上なラインナップに加え、鋼のプラモデル化が発表されたのである。
関連タグ
破邪大星ダンガイオー 冥王計画ゼオライマー 戦え!!イクサー1(本作と合わせて四大平野ロボットアニメと呼ばれる)