概要
岐阜県南東部において旧国鉄特定地方交通線を転換した1路線(明知線)を運営する第三セクター鉄道会社で、1985年設立。
「お婆ちゃんが乗り遅れたのでバックして戻る」「線路上に犬が居たので止まる」など、地方鉄道らしい逸話も残っている。
愛称は「明鉄(あけてつ)」。
運行形態
2017年4月現在、平日14往復、土曜・休日13往復の列車が運行されている。
急行「大正ロマン号」
2011年3月12日より、月曜日運休(ただし休日は運行)で1日1往復運行されている。
明智駅すぐの「日本大正村」が、2011年の「大正100年」を記念したイベントに連動して、これまで多数運行されてきたイベント列車を統合する形で設定。
運行間隔の拡大を防ぐため一般車も連結され、一般車乗車時は急行券不要だが、明智行き(下り)のみ食堂車を連結しており、利用には乗車5日前の15時までに予約が必要(予約状況により連結無し)。
車内で出される料理は、時期によって異なる。
またJTB時刻表では、昭和初期までの「食堂車」マークが用意されている(「和食堂車」のデザイン。通常はナイフとフォークを交差させたもので、「和食堂車」が別立てだったときは「洋食堂車」のデザインであった)。
後述の車両の欄のとおり、ロングシート車をこの「食堂車」に仕立てる。これは通常サイズのクロスシート車(シートピッチがせいぜい1500mm程度)では食卓(向かい合いで奥行きが700mm程度は要る)に十分なスペースが割けないのに対し、会議用に使うようなテーブルを前後方向に2列置いて真ん中を配膳用の通路に使うほうが融通が利くため。
快速
2012年3月17日より、平日の恵那行き(上り)1本が設定されている。
明知線どころか、ケーブルカーを除く日本No.1とNo.2の勾配駅である飯沼駅と野志駅は通過する。
車両
現役
アケチ1形の置き換え車両で1997年登場。10-14の5両が製造されたが、現在は102に置き換えられた12以外の4両が在籍。11-13はセミクロスシートで製造されたが、11・13がロングシート化改造を受けたため、すべての車両がロングシートである。
アケチ6形の置き換え車両で2017年登場。ブレーキがこれまでと全く異なる電気指令式(これまではSME3管式直通ブレーキ)になり読み替え装置もない。結果アケチ10形とは併結できないため、単独運用が組まれている。2018年までに2両(101・102)在籍。101号はアケチ1~6に準じた塗装だが、102号は配色を逆転させてベース色が朱となっている。
引退済
開業時に導入されたレールバスで、座席はセミクロスシート。
軽量化のため、エアコンはあえて装備していなかった。
アケチ10形の導入で1999年に引退し、現在は2両が山岡駅と阿木駅に倉庫として利用されており、2016年7月15日より、山岡駅の車両はカフェに改装された。
1989年に導入された増備車で、座席はロングシート。この車両より、エアコンがついた。
アケチ10形導入後は予備車となっていたが、アケチ101形の導入により2017年に引退。処遇は不明である。
なお引退直前の2017年3月13日には、臨時列車ながら明知鉄道初の特急が運行された。
現役・引退済み共、抑速ブレーキとしてトルクコンバータ状の装置内の油の撹拌抵抗を用いたリターダを装備する。急坂が随所に存在する線形のためで、登攀は30km/h台と思しきノロノロ運転に対し、下坂はそれをもちいてなお制限速度ギリギリの高速で降りていく。
国鉄時代は転換直前までキハ52が用いられていた。こちらにはリターダなどない。
保存車両
- C12 244
国鉄明知線時代に使用されていた蒸気機関車。
長らく近隣の小学校に保存されていたが、2013年に里帰り。圧縮空気で走行し、明智駅にて不定期で乗車体験を行っている。
急勾配の条件は勿論昔も今も同じで、旅客列車も蒸気運転だった時代、学校をサボった高校生が駅間で客車によじ登り逃走ということすらあった。登攀時には歩く程度の超低速を強いられたためである。
なお明知線には、2019年を目処にしたSL復活運転が予定されている。
国鉄→JR貨物で使用された車掌車。C12形乗車体験の客車として使用されている。
駅一覧
かつては恵那市・中津川市・旧恵那郡南部の3町(岩村・山岡・明智)にまたがっていたが、当該3町が前の恵那市と新設合併したため、現在駅は全て恵那市・中津川市のみに所在する。
●:停車、|:通過、↓:通過(矢印方向のみ運行)
駅番号 | 駅名 | 急行「大正ロマン号」 | 快速 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 明智 | ● | ● | 車両基地設置駅、国鉄時は「明知駅」 |
2 | 野志 | | | ↓ | 転換後開業、日本第2位の勾配駅 |
3 | 山岡 | ● | ● | |
4 | 花白温泉 | ● | ● | 「花白駅」から2011年に改称 |
5 | 岩村 | ● | ● | 交換可能駅 |
6 | 極楽 | ● | ● | 転換後開業 プラットホーム資材は八草駅からの転用 |
7 | 飯羽間 | | | ● | |
8 | 阿木 | ● | ● | 中津川市所在 |
9 | 飯沼 | | | ↓ | 転換後開業、日本第1位の勾配駅 中津川市所在 |
10 | 東野 | | | ● | |
11 | 恵那 | ● | ● | JR東海中央本線乗り換え |
関連タグ
腕木式信号機:2004年まで稼働していた。