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腹腹時計

はらはらとけい

腹腹時計は昭和49年3月、日本にて発行された爆弾の製造法やゲリラ戦法などを記した教程本である。
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この書籍三菱重工爆破事件(三菱重工業東京本社ビル出入り口付近に列車転覆用に使用する予定だった時限爆弾が仕掛けられ社内にいた人や通りがかりの一般人など死者8名、負傷376名を出したテロ)などの連続企業爆破事件(このほか三井物産本社屋、大成建設本社、鹿島建設資材置場、間組本社ビルおよび成江戸川作業所、オリエンタルメタル社・韓国産業経済研究所に対する爆弾を用いた一連のテロ)を起こした日本の極左グループである東アジア反日武装戦線の狼班(この団体の当初からの実行グループ)が地下出版(通常の書籍流通に乗せず、特殊ルート、おそらくは新左翼系出版物を扱う書店の仕入れルートを通し流通させたと思われる)したものであり、組織の思想、武器の作成法、線当方などが記述されているとされる。
 またこの冊子はそれまで用いられていた球根栽培法栄養分析表薔薇の詩などにかわり、テロリストのための教本となったといわれている。

概要

 この書籍は東アジア反日武装戦線が、自らの思想等を広く社会に知らしめる冊子の発行を計画し、実行したものであり、この団体が掲げる反日思想の概要などが記され、また爆弾の製造方法とその仕掛け方、ゲリラ戦の方法まで詳細に解説されていたといわれる。
 この本の発行により狼班は「大地の牙」「さそり」のメンバーを獲得したものの、この本の冒頭での主張の内容や活字(タイプライターは機種や個体それぞれ、文字に特徴が存在する)がこの団体が出した犯行声明文と一致した事により、メンバーの身元を公安警察に割り出され組織は壊滅したといわれる。

出版事情等

 この書籍の出版に当たっては昭和48年秋に購入された和文タイプライターがこの計画の実現に利用され、この団体のリーダー格であった大道寺将司(後に逮捕され、死刑判決が確定しているも共犯者逃亡中のため執行されていない)が執筆した文章を、メンバー外の協力者(一斉検挙の際逮捕されなかったが自殺)がタイプライターで文字を打ち込み、大道寺の高校時代の先輩が勤務する印刷会社にて印刷された。
 この冊子の販売価格は100円であったといわれ、オリジナル印刷版の裏表紙には、印刷会社が「挿絵」として金芝河(大韓民国詩人、当時朴正煕政権に反対していた)の反戦無断掲載発禁処分となった「創造1972年4月号」の表紙が挿入されていたといわれる。
 流通に関してはおそらく薔薇の詩などと同じように新左翼系出版物を扱う書店にて購入可能であったと思われる(いくらなんでも通信販売直販ではないだろう)。

冊子の内容

 この冊子には大きく分けて3つの中身があり、主とした内容は東アジア反日武装戦線のしそうであり、これは反日亡国論(それまでの左翼に見られる第二次世界大戦以前や明治時代以降ではなく、歴史をはるかに遡って日本国の建国や日本民族による歴史そのものを否定し日本国を滅亡させるべきであるという考え)やアイヌ革命論(新左翼活動家の間で「疎外された窮民こそが革命の主体となりえる」という考えが広まり、当時そう思われていたアイヌにこの考えを適用したもの)などの説明、および潜伏法、ならびに爆弾の製造法が図解で掲載されていたとされる。
 この本の内容のうち爆弾製造については「中学生程度の化学知識があれば誰でもつくれる」と図解入りで説明しており、材料の買い方の指南まできちんとフォローしているらしい。
 また、昭和46年前後に日本赤軍等の過激派をあぶりだす為に捜査当局が市民に協力を求めた「過激派の見破り方五章」(単身又は夫婦だけのはずなのに多数の人が出入りしている昼間でもカーテンを閉めて部屋の中が見えないようにしている部屋の出入りの際周囲を異常に気にしている早朝深夜など人目が無くなってから外出している空家・空き部屋から音がしたり、明かりが漏れたりしている部屋の中から薬品の臭いや金属音が聞こえるレンタカー等を使ってひっそりと引っ越しをすることさら近隣の住民と接しないようにしているなど、福岡県警サイトより引用、ただし句読点は省いた、のため当時のそれと異なる可能性あり)の裏をかく方法も掲載され、一般市民から怪しまれないようにする心得を記述していたとされる。
 なお報道によれば次のような「心得」を記述していたらしく、これらはこの団体のメンバーが実践したことでもあったといわれる。
居住地において極端な秘密主義、閉鎖主義はかえって墓穴を掘る。必要最低限の挨拶をし、規則正しい日常生活をしているようにみせる。
左翼的ないきがりを一切捨てる。
家族との関係をことさら断つ必要はない。
「合法的左翼」は口も尻も軽いので信用できないから関係をもつな。
 この冊子に記述された内容の「唯一」とおもわれる欠点は「証拠隠滅」を指南しなかった事ではないかといわれており、現にメンバーは警視庁公安部に監視されていたが、「大地の牙」が実行したオリエンタルメタル社・韓産研爆破事件の直後、彼らのアジトから出されたゴミより「書き損じの犯行声明文」と「封筒」を発見された事が一網打尽のきっかけになったという。

書名の由来

 当初は『都市ゲリラ兵士読本VOL1』というそのままな書名にしようとしたが、『球根栽培法』(1940年代後半より1950年代前半に出された火炎瓶闘争など日本共産党の武装方針について示した秘密出版物の名称、正式には『内外評論』という機関誌。この書籍が出るまでは武装闘争の指針として利用されたといわれる)のような意表をついた隠語の方が良いのではないかという意見が出たために、当初の『兵士読本VOL1』を副題として、別の主題をつける事となった。主題については、本の内容に時限装置についての記述が存在するため時計に因んだ名称にする事になり、最終的に現在の『腹腹時計』に決定した。
 なお「腹腹」の由来は、「爆弾でハラハラドキドキする」意味と朝鮮語の文法の「ハラ体」(本や雑誌などで不特定の対象を聞き手や読み手とし、相手を高めるのでも低めるのでもなく、中和していることを表すために設けられた文体)の両方の意味を含んでいるとされる。

罪状等

 なお、この本の出版そのものは日本国憲法で保障された「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。(第21条)」により認められており、出版自体を差し止めたり罪に問うことはできず、捜査当局は爆発物取締罰則第4条「第一条ノ罪(治安ヲ妨ケ又ハ人ノ身体財産ヲ害セントスルノ目的ヲ以テ爆発物ヲ使用シタル者及ヒ人ヲシテ之ヲ使用セシメタル者ハ死刑又ハ無期若クハ七年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス)ヲ犯サントシテ脅迫教唆煽動ニ止ル者及ヒ共謀ニ止ル者ハ三年以上十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」によりこの団体を検挙した。

冊子が与えた影響

 この団体の反日思想そのものについては、アナキズムに近く、特にそうではない(例えばマルクス主義や毛沢東主義のような)新左翼内部においては批判が少なくなかった。
 この冊子の爆弾製造技術の部分は、他党派の活動家でもこの冊子が教本とされ、左翼のみならず右翼民族派の活動家の間でも広まった。
 例えば昭和60年5月に発生した三重教職員組合および日教組本部に小包爆弾が送られ、前者で女性職員の髪を焼く事件が発生し、実行犯として検挙された島根県の右翼団体からこの冊子が押収されている。

腹腹時計が登場する作品

バトルロワイアル - 爆弾制作のシーンで、テキストとして本書を使用している。
魔法少女まどか☆マギカ - ハノカゲによる漫画版にて、暁美ほむらが、ネットで「腹腹時計」の名を冠したウェブサイトを見ながら爆弾を作っているシーンがある。アニメ版の第10話でも、第0稿から決定稿までの脚本段階では「腹腹時計オンライン」というウェブサイト名が設定されていたものの、実際の放送では「爆弾の作り方」というそのままなウェブサイト名に変更された。これらの劇中での描写・仮設定の文章から転じたのか、pixivにおいては以下のイメージパロディイラストが描かれた。

ほむほむ時計
ほむほむ時計


関連タグ

軍事 政治 テロ 右翼 左翼 ゲリラ
球根栽培法 - 日本共産党の武装闘争方針について示した地下出版物
薔薇の詩 - 1968年に地下出版された爆弾製作法が記された本

外部リンク

wikipedia:同項目

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