概要
本作品の巻末には、ギャグ満載の本編とは一線を画したシリアスな世界観の嘘予告が付けられるのがお約束となっている。
これは作者のお遊びに過ぎないが、Twitterなどで小出しにされる深く練られた世界観の設定などが話題となっており、「実は本編のある地点を分岐点として、吸血鬼と人間が対立した世界線なのではないか」という考察がファンの間で出始めている。
第297死では1885年のイギリスにおいて、反人間派の急先鋒ガブリエラが吸血鬼の王を洗脳し、ロンドンへの大侵攻を計画していた事が明らかとなった。
この計画はそもそも吸血鬼の王に人間への害意が無く、加えてガブリエラの洗脳が一切効いていなかったために、未遂に終わっている。しかしもし仮に吸血鬼の王が人間に対して害意を持ち、ロンドンへの大侵攻が計画通り行われていた場合、吸血鬼と人間の対立は根深いものとなり、2つの種族が共存する社会は訪れなかった可能性が非常に高い。
イカレポンチ達の織りなす騒がしくも平和な日々は、偶然の積み重ねによって奇跡的に生み出された世界線かもしれないのだ。
悪意の男:何もかも歯車が回りだしたね。いや、ずっと昔から回っていたのかもしれないね。1885年のあの日から?あるいは、もっと──。私かい?私はね、したいことをするだけ、行きたいところへ行くだけさ。アハハ、ご覧、素晴らしい夜が広がっているよ!
世界観
「聞けよ人間ども。貴様らは未来永劫吸血鬼の家畜である」
時は西暦20XX年、人類史の黄昏。
吸血鬼に支配された土地は「夜」となり、陽と人類の叡智が届かぬ、闇と神秘の世界に変わる。
「夜」に世界の7割が食われ、人類の多くは吸血鬼の毒牙を受け、自我なき家畜へと変わった。
吸血鬼への抵抗を続ける人間の戦線は日々後退し続けている。
これは夜に抗う戦線の一つ、白夜都市・新横浜の物語――
(作者Twitterより)
キャラクターの設定
人間サイド(ダンピール含む)
性格や身体能力などの基本設定は本編と変わらないが、人類の支配を目論む吸血鬼達と本気の殺し合いをしている。新横浜で対吸血鬼戦線を維持する退治人(ハンター)の1人。
行方不明となった兄を探している様だが、その事については多くを語らない。
吸血鬼との戦闘で一度死亡するものの、ドラルクの心臓を得、その塵を身に纏う事で復活を果たした。以後はドラルクと運命共同体とも言える間柄となり、竜大公との最後の戦いに挑むために倫敦へと向かう。
吸血鬼対策課(通称・吸対)所属のドラルクの監視役。交流の中で彼と打ち解けていくが、その身に『クルースニク(吸血鬼殺し)』の力を宿している。例え自身を犠牲にしてでも、吸血鬼を滅ぼす力を持っているのならそれを使おうと決意を固めている。
人間の父と吸血鬼の母との間に産まれたダンピール。ある事件以来、親友だったロナルドに対して憎しみを抱いていたが、その後和解する。
もう二度とロナルドを憎まず、憎む様な出来事を決して起こさせはしないと考えている。
“鉄の左手”の異名を持つ退治人。厳つい見かけに反して気弱でお人好しだが、戦闘では羅刹の如き戦いを見せる。ロナルドの最も親しい戦友の1人。
退治人の1人。毎日命懸けで吸血鬼と戦う理由について訊かれた際、「強いて言うなら、この町とあいつらが好きだから」だと話している。
とある吸血鬼を従える謎の女性。こちらでは本編とは違った意味で好き勝手しているのか、「まあいつ死んだっていいけど、その日までは楽しく生きたい。奴らを破滅させながら!」と話している。
半田の父。人間でありながら反人類組織『ヴァーミリオン』の首領を務める。
息子の桃に対しては「吸血鬼からも人間からも君達を守りたい」として、自分の側に来る様に説得を続けている。
VRC所長。吸血鬼だけでなく人類も実験対象として見る冷徹な男。吸血鬼化を遅らせる薬剤、ワクチンなど、人間が吸血鬼に対抗する手段の確立に大きく関わっている。
今は人類の味方だが、今後もそうであるかは分からない。
殲滅機関オータム所属の謎の男。
『全ての吸血鬼に杭を』という信念の下、太陽と昼を取り戻し若い世代に無事に渡す事を、自分達の最後の役目だと考えている。
ゴウセツの娘。人間と吸血鬼が手を取り合える可能性が必ずどこかにある筈だと信じ続けている。
辻斬りナギリを追い続ける青年。辻斬りは必ず自分が倒すと固く心に誓っている。
ダンピールの青年。「不謹慎だけどさ、吸血鬼と退治人の戦いなんてさ、取材したいじゃない?」として、所持しているスケッチブックに絵を描いている。
- コバル
サテツの弟。たった1人の兄を大切に思っており、もうこれ以上戦って欲しくないと願っている。
本編と同様に退治人の活躍をカメラに収めているが、『緊急事態こそ冷静な事実と、勇気づけられる記事を』という考えの下、町の復興状況や危険区域の変化も記事にしている。
こちらでも多様な仕事をこなしているのか、「ハハッ、今日も仕事が多くてありがたいねぇ。俺の仕事が多いってことは世間的にはあんまり良くない状態だがね」と零している。
本編と同様に、優れた狙撃の腕を活かして吸血鬼と戦っている。
吸血鬼サイド
本編同様、軽く小突かれただけで死ぬ“最弱の吸血鬼”。「最後の真祖」を名乗り人類との協力を申し出る。ロナルドが一度死亡した際、彼の心臓となり塵をその身に纏わせる事で、彼を復活させる事に成功した。
自身の祖父であり、人類の敵でもある竜大公との戦いに向けて、相棒と共に倫敦を目指す。
ドラルクが人間と打ち解けるために一役も二役も買っている愛らしいアルマジロ。丸まりの防御で主人を助けている。
巨大な盾を操る謎の騎士。ドラルクに召喚され彼に従う。世界の全てを敵に回しても、彼を守る事を誓っている。
素の性格は純朴な様で、人間に対しても思いやり深く、少しお茶目な一面も覗かせる。
人間に友好的な吸血鬼。普段はシェルターの植物園を管理している。朗らかな性格のムードメーカーだが、血族が全滅している。
自らの血を刃に変える力と、不死身の肉体を持つ吸血鬼。無差別に人間を襲うが、吸血鬼達の勢力に与する訳でもない模様。元人間。
催眠能力によって、相手の「秘密」を暴く事を至上の享楽とする吸血鬼。外見は穏やかな紳士で、ダンピールの力を以てしても人間と見分ける事は難しい。
吸血鬼三兄弟の次兄。人間を意のままに操る催眠術を使う。『吸血鬼は人類の支配者として君臨すべき』との考えを持ち、大勢の人間を下僕にして従えている。
吸血鬼を裏切った兄に、激しい怒りと執着を向ける。
吸血鬼三兄弟の長兄で空間を操る結界術士。深層心理に「刷り込み」を行える催眠術の使い手でもあり、こちらの方が本領との事。
人間の支配に否定的で、ある少女と出会った事により本格的に吸血鬼を裏切り、第三勢力になる。
吸血鬼三兄弟の末弟。死霊使いの吸血鬼だが、本当は幻覚を見せるだけの微弱な催眠能力しか持たない。
吸血鬼の社会には特に興味がなく、ただ2人の兄と静かに暮らしたい。吸血鬼も人間も、死んでしまえば皆同じだと思っている。
タビコと行動を共にしているが、別に人間の味方という訳ではなく、タビコの行く末を見届けるのが目的の模様。
人間と対立する吸血鬼の1人。
隻眼の少年とも少女とつかない存在。吸血鬼を殺すために作り出され、それ以外の自我など持たない筈だったが、ロナルドとの出会いを経てからは彼を守るためにその力を振るう。
竜大公の円卓の末席を得た吸血鬼。
自分達に残されているのは鏖殺の道しかない現状に苦しみ、「私はあの時どうすればよかったのだ」と後悔し続けている。
本編とは異なり人間に対して全く容赦がなく、自我のある人間を見付けるや否や吹雪で凍らせている。
ラスボス。人類に対し黒き怒りと絶望を抱く吸血鬼の王。