エスコンフィールドHOKKAIDO
えすこんふぃーるどほっかいどう
所在地は北海道北広島市Fビレッジ1番地。きたひろしま総合運動公園の敷地内にあるボールパークエリア「北海道ボールパークFビレッジ」の一部を構成するスタジアムであり、屋根開閉式の屋内型ドーム球場風の野球場。
日本プロ野球機構(NPB)のパシフィック・リーグに所属する北海道日本ハムファイターズの一軍本拠地として、2023年シーズンより使用を開始した。日本ハム系列の「株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント」(FSE)が所有・運営しており、ファイターズにとっては前身の東映フライヤーズ時代(1953年〜1961年)に使用していた駒澤野球場以来61年ぶりとなる、他球団の本拠地の間借りや借地ではない、自社または系列会社保有の本拠地球場である。
日本の不動産会社である「株式会社日本エスコン」とネーミングライツ(命名権)契約が交わされ、『エスコンフィールドHOKKAIDO』の愛称が使われている。略称は「エスコンフィールド」や「エスコンF」など。英語表記は「ES CON FIELD HOKKAIDO」。
NPBへの球場登録名では、「エスコンフィールドHOKKAIDO」(アルファベット部分が全角表記)となっているが、本記事の記事名はニュースなど各種媒体で用いられている「エスコンフィールドHOKKAIDO」(アルファベット部分が半角表記)を採用している。表記揺れとしては「エスコンフィールド北海道」など。なお、他球場とは異なり、命名権に基づかない正式名称はNPBには登録されていない。
2004年シーズンより札幌ドームを本拠地として使用していた日本ハム球団であったが、ドーム施設自体は第三セクター会社である「株式会社札幌ドーム」が運営。日本ハム球団は「株式会社札幌ドーム」へ使用料を支払う形で主催試合を行い、また施設内の広告や売店での収入は全て札幌市側へ帰属するために日本ハム球団は収益がなかなか得られない状態が続いていた。
さらにはサッカー・Jリーグのチームであるコンサドーレ札幌(北海道コンサドーレ札幌)の本拠地と併用されているため、「サッカー用としても使っている座席が野球観戦に向いていない」「ファウルグラウンドが広く臨場感に欠ける上に、ファウルフライが増え打者が不利になる」「グラウンドがクッション性のない巻取り式の人工芝のため選手が故障するリスクが上がる」など設備側の問題があり、日本ハム球団は(公共施設の運営を民間企業などに委託する)指定管理者制度の採用を提案するも、札幌市側は拒否。
結局日本ハム球団は「自前の球場を建設して本拠地を移転する」ことを決め、札幌市の隣の北広島市からの誘致を受けた。
北広島市が提示した広大な敷地を使って、野球観戦だけでなく(試合がない日でも)買い物・食事・レジャーが楽しめるボールパーク『北海道ボールパークFビレッジ』として、総工費600億をかけて建設。球場のほうは冬季に備えて開閉式屋根が設けられ、グラウンドも天然芝を採用、外野側の壁が大きなガラス張りになっている。
また命名権を取得した先述の「日本エスコン」は球場に隣接する形でマンションを建てて、このマンションの購入者に10年間の球場フリーパスを特典として与えた。
フィールド
左翼が97m、中堅が122m、右翼が99mと左右非対称の形状であり、両翼から中堅にかけての膨らみが少なく、外野のフェンスラインが直線のみで構成されている。
また、ホームベースからバックネットまでの距離が15mと短く、ファウルゾーンが著しく狭い(後述)。さらに、外野フェンスも大部分が2.8mと低くなっている。
ファイターズは長らく札幌市と札幌ドームとの契約条件が枷となり、選手に満足な年俸を払うことが出来ず、毎年シーズンオフになるとFAで有力選手を手放さざるを得ない状態が続いていたが、本球場の完成によって収益が大幅に増加し、選手の残留交渉・補強面でも改善があったとされる。
一方、怪我しやすい芝の問題が解決した矢先、今度は選手たちが天然芝に慣れずエラーが続出しているのではないかという分析があり、このせいもあってか移設初年度の2023年は2年連続の最下位に沈んでいる。これを受けて、一軍監督を務める新庄剛志は2023年の秋季キャンプを専用のキャンプ地ではなくエスコンフィールドで行うという異例の対策に乗り出している。
2023年9月23日の北海道日本ハムファイターズ対オリックス・バファローズ戦では、8回裏・無死満塁の場面で清宮幸太郎が放った打球(ファウルボール)が「FIGHTERS LIVE FIELD」に飛び込んだ際、解説者の今成亮太が放送席に座ったまま打球をグラブで捕るという珍事が発生した。
2024年5月15日の北海道日本ハムファイターズ対埼玉西武ライオンズ戦にて、郡司裕也選手(日本ハム)が隅田知一郎投手(西武)から放った4号2ラン本塁打が右翼ブルペンに設置されていたカメラを直撃して破壊するという珍事が発生した。郡司曰く「ベンチに戻ると『あれ30万円だぞ』とイジられた」とのこと。この壊れたカメラは同年6月28日までスタジアムツアーで見ることができ、郡司のサインと「私が壊しました。ごめんなさい」という直筆文が書かれていた。なお、カメラの修理費は球団が負担したとのことで、球団社長からも「なんぼでも(ホームラン打って)壊してください」とコメントが出た。
ファウルゾーンについて
2022年11月。本球場のグラウンドの構造が、公認野球規則が定める「ホームベースからバックネット側のファウルゾーンの広さ」に関する規定を満たしていないことが報じられた。
公認野球規則では、試合を行う競技場の構造についての記述があり、当時は規則2.01において「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレーの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18.288m)以上を必要とする」と明記されていた。しかし、本球場は本塁(ホームベース)からバックストップ(バックネット)側のフェンスまでの距離が約15mと狭く設計されており、これが同規則に反していると問題視されたわけである。
ちなみに、2022年時点での12球団の本拠地球場における本塁とバックネットの距離は以下の通りで、いずれも前述の基準を満たしている(ここでは命名権による名称は2022年時点のものを記載する)。
- 24.5m:札幌ドーム
- 23.8m:横浜スタジアム
- 19.6m:明治神宮野球場
- 19.0m:千葉マリンスタジアム(ZOZOマリンスタジアム)
- 18.4m:西武ドーム(ベルーナドーム)、阪神甲子園球場
- 18.3m:宮城球場(楽天生命パーク宮城)、東京ドーム、ナゴヤドーム(バンテリンドーム ナゴヤ)、大阪ドーム(京セラドーム大阪)、福岡ドーム(福岡PayPayドーム)、広島市民球場(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)
このような問題が発生した理由として考えられるのは、アメリカと日本における野球規則の「言葉の違い」である。
今回問題とされた部分は、MLBなどアメリカのベースボールで用いられる公式規則『Official Baseball Rules』(原文)では以下のように記載されている。
「It is recommended that the distance from home base to the backstop, and from the base lines to the nearest fence, stand or other obstruction on foul territory shall be 60 feet or more.」
これを忠実に日本語に翻訳すると、以下のようになる。
「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレーの妨げになる施設までの距離は、60フィート以上が推奨される」
日本の『公認野球規則』は基本的にアメリカの『Official Baseball Rules』を翻訳したものであるが、ここに決定的な違いが存在する。英語の「recommended」は日本語では「推奨される」という意味であり、アメリカでは必要条件ではないのだ。
これに対して、『公認野球規則』では「必要とする」と記載されており、日本では必要条件であると解釈される。つまり、本球場の設計はアメリカの『Official Baseball Rules』を前提としたものであればセーフだが、日本の『公認野球規則』を前提としたものであればアウトというわけである。
MLBでは「60フィート以上」を満たしている球場は30球団のうち2球場のみで、その大半が16m以下になっている。最短のカウフマン・スタジアム(カンザスシティ・ロイヤルズの本拠地)に至っては12.7mしかない。2020年に開場したグローブライフ・フィールド(テキサス・レンジャーズの本拠地)も42フィート(12.8m)である。
本球場はHKSと大林組グループが設計と建設を担当(建設には岩田地崎建設も参加)したが、このうちHKSはアメリカのテキサス州ダラスに本社がある会社で、前述したグローブライフ・フィールドを含むMLBの本拠地球場の設計も手掛けている。HKSがアメリカと日本の規約の違いに気付かなかった、もしくは確認が不十分なままアメリカの規約を基に設計してしまった可能性が高い。
結局、2023年シーズン終了後に改修の話が出たものの、野球振興のための基金設立という形で、狭いファウルゾーンのまま長期的な使用が認められた。その後、NPBのファウルゾーンの規約がMLBのものと異なっていたことが問題視され、2023年オフにファウルゾーンについての規約が「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18.288メートル)以上を推奨する。」とMLBと同じ表現に改定されたことで、規約違反状態からは解消された。
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エスコンフィールド初探訪記
読者諸兄諸姉の皆様、初めましての方は初めまして。そうでない方は毎度ご贔屓を賜りまして誠にありがとうございます。ふさ千明でございます。 長らくお待たせしているところにアップするのが観戦記に続いて旅行記で大変申し訳ありません。 今回書かせていただいたのは4月15日に初訪問したエスコンフィールドHOKKAIDOの探訪記です。本文中にも書きましたが、今回は試合に集中していなかったので観戦記ではなく探訪記とさせていただきました。とてもいい球場だったので応援の意味を込めて、また球場に遠征する方の一助になればと思い、あまり時間も取れない中ではありますがどうにかこうにか書き上げました。 小説のほうですが、艦これの期間限定海域が最終海域まで来ましたのであと一歩です。突破しましたら余暇時間を集中的に執筆に振り向けますのでどうか今しばらくお待ちください。 最後に。毎度拙い作品ではございますが、読者の皆様に少しでも楽しんでいただけましたら幸いこれに勝るものはありません。今後ともどうか宜しくお願い致します。5,083文字pixiv小説作品