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徴兵制の編集履歴

2016-12-30 22:24:29 バージョン

徴兵制

ちょうへいせい

国家が国民に兵役の義務を課す制度。

概要

詳細はや時代においても異なるが、フランス革命以降の近代国家では国民に国防の義務が課せられ、一定年齢に達した男子に数年以内の兵役義務が課せられる制度が設けられた。


現代では、女子も対象となる国もある。また、アメリカコスタリカのように平時には行わないが有事の際には行えることを規定している国もある。


指定の年齢になると徴兵検査が行われ、病気の者など兵役に著しく適さない者などを省いて合格した者が採用される、というシステムを取ることが多い。このため第二次世界大戦以前の日本や近年の韓国などでは仮病を使うなどの「徴兵逃れ」も度々横行した逸話が多く、特に韓国では芸能人や有名人の子弟が徴兵逃れを行ったとしてバッシングを受けることも時折あり、K-POP男性グループのファンの間ではメンバーが兵役で一時離脱する事がよく話題になる。


若い戦力(特に歩兵)を大量に確保できるのが軍事的なメリット。

第一次世界大戦第二次世界大戦は短期間に大量の人員を必要としたため、徴兵により大量の兵士を調達する必要があった。しかしWW2後は兵器の高度な発達や戦術の変化により高度な専門知識が求められるようになってきており、歩兵であっても高度な専門教育を施す必要もあり、2、3年程度と任期が短い徴兵では十分に教育しきれないデメリットが目立つようになった。

(パートタイム軍人とも呼ばれるアメリカの州兵、そのフルタイム勤務の州兵でさえ装備や専門知識が陸軍等に劣るため、限定的な戦場でしか運用できない)

さらに徴兵制では経費もかかる(訓練や装備、設備の費用に加え、一部の自称識者の言うようなただ働きではないために兵役中は給料は払う必要がある)上教官となる曹〜尉クラスの人手も取られ、経費の問題から薄給にすると士気の低下から不祥事を起こしやすくなりさらに経費を浪費してしまう。このため徴兵制ではなく志願制のみとし、士気の高い者を「プロの軍人」に育成する事に特化する方が効率的であるとの見方も大きい。


そういうわけで、アメリカ合衆国フランスなど多くの国では徴兵制は廃止、もしくは停止(有事のみの徴兵に移行)された。


アメリカ合衆国ではベトナム戦争以降、連邦軍では徴兵制は廃止されたが、冷戦期の1980年代にSelective Service System(選抜徴兵登録制度、通称SSS)を再開、現在も維持されている。

SSSは旅行や留学などの短期間滞在者を除き市民や永住権保持者(国外在住者や二重国籍取得者も含む)、不法滞在者の18歳から26歳の男子にはSSSへの登録義務が課せられており、大統領及び議会が国の緊急事態である、もしくは戦時に軍の拡大が必要であるとなった場合に登録リストから徴兵が可能であるとしている。

未登録の場合は5年以下の禁固か25万ドル以下の罰金のどちらかもしくは両方を科される可能性があり、政府機関への就職が不可能となり、政府の奨学金を受けることが出来なくなる。更に永住権や市民権を失う可能性もある。

ちなみに州兵では志願制となっており、勤務に関しては州や階級等の立場により異なり、フルタイム勤務もあればパートタイム勤務もあり、普段は一般企業で働いているという兵もいる。


ドイツでは、第二次世界大戦の記憶から軍人を嫌う風潮が強く、当初は兵士を確保するための手段として徴兵が始まったのだが、兵役と病院・福祉施設での奉仕活動が選べるようにもなっていた。その結果兵役は実質的に福祉施設が若者に奉仕活動をさせるための制度に変質し、徴兵制度が廃止できない状態になっていたが、経済的負担が無視できないものになり、2011年に徴兵が停止された。今後の安全保障体制の変化によっては再開の可能性があるものの、事実上の廃止として扱われている。台湾中華民国)も徴兵廃止の方針を打ち出している。


一方で、いったん廃止した徴兵制を復活させる動きも見られる。その理由は各国それぞれであるが、軍事大国ロシアの周辺諸国への脅威が高まっていることが背景にある。


ウクライナでは2013年に志願制へ移行する大統領令に署名したが、2014年のロシアによるクリミア半島への侵攻・占領により徴兵制が再開している。また、徴兵扱いではないものの国民の治安部隊への動員も行なっている。


リトアニアでは2008年に廃止したが、ウクライナ情勢の悪化を受けて2015年に5年間限定で徴兵制を復活している。徴兵制を廃止していた期間も有事の際には国民を民兵組織に動員してゲリラ戦術を行い侵略に対応する制度を取っている。


さらに、スウェーデンでは2010年に一般徴兵制を廃止していたのが、それから数年を経るうちに下士官・予備役の不足が予想以上に進んだことと、ロシアの脅威の高まりから同国の社民党政権は徴兵制復活の議論を進めている。


徴兵免除の基準も国により大きく異なる。多くの免除条件が設定され実際に兵役を務めるのは同世代の若者の1割にも満たないベトナムのように緩いところから、問答無用で徴兵され拒否者には罰則が設けられている国もある。後者の1つ韓国では、兵役拒否者には実刑が科せられ、多くの良心的兵役拒否者(宗教上・思想信条上の理由から兵役を拒否する人々)が刑務所に入れられている。


経済的徴兵制

一部の評論家などからは志願制であっても「経済的徴兵制」と言われることがある。

現代のアメリカ連邦軍では、恩典として教育の支援や技能の取得等があり、退役後にも奨学金の支給、市民権の取得、就職支援等が行なわれる為、貧困層が軍隊に集まるように見えるということからこのようなことが言われている。

もっともこのような厚生福利で人を呼び込むのは軍隊に限らず民間企業でも珍しくはない。

また先進国では貧困層程安価なジャンクフード等でかえって肥満かつ不健康になりやすい面があり、ドイツ等では徴兵制を行なっていた頃であっても肥満で不適合になる者が多い。貧困層以外でも肥満は問題となっており、アメリカや現在のドイツでも肥満により志願者の半分以上が採用基準に満たないという事も起きている。米軍兵士の割合では貧困層と言われるヒスパニック系や黒人系より中流層と言われる白人系の方が遥かに多く、更に派兵先での負傷率も白人系が圧倒的に多い。また保険制度の関係による高額な医療費などで貧困層程医療を受けられず不健康になる者が多く、採用基準に満たなくなることが多い。

また先進国ほど貧困層が十分な運動が出来ない環境になりやすく、軍人に必要な運動能力に関しても「体力もカネで買う」といった状態になってくる。

教育支援は勤務しながらの通信教育であれば殆どを負担してもらうことも出来るが、将校等の上を目指すには大学卒等の高学歴が必要という事もあって支援を行なっており、恩典ではあるものの人を集めるための餌を主として補助を行なっているわけではない。(ちなみに大学進学に関しては非常にお金がかかる(同程度の学歴の大学であれば学費のみで年約600万円以上)ため、一般的な中流家庭では奨学金があっても通うのは金銭的に非常に難しい)


日本でも士官学校に相当する防衛大学校防衛医科大学校等は学費がかからないため反自衛隊の思想側からは採用案内のDMが来ることすら「経済的徴兵」等と呼ばれたりするが、実際は両校とも偏差値が高いため、幼い頃から塾に通える裕福な家庭の子中心の私立有名進学校出身者が多い。特に防衛医科大学校では一般私立大の医学部の学費が高額であることから安価に医師資格を獲得でき国立大とも併願できるとして志望者が多く、合格者数の最も多い学校は中高一貫私立の巣鴨高校久留米大附設であり、公立出身は偏差値70以上クラスの地域トップ校からですら多くても1年に5人受かれば良いほうである。それ以外の自衛官採用枠でも昔は人がなかなか集まらず時にはゴロツキのような者も入った時代もあったが、近年は不景気による就職難や民間企業の待遇の悪化からの公務員指向の高まりから志願者が増え、一方で予算上の採用枠も縮まったため貧困層は昔に比べれば格段に入り辛くなっている。


なお、意図的に不景気にすることにより軍隊に人が集まりやすくするといった珍説というか陰謀論があるが、不合理である。不景気となれば国の税収が減って予算が厳しくなり軍事費も削られるため、軍に人を集めるために不景気とする意味が無いのである。


現代の日本では...?

日本の自衛隊は、その当初から志願制であり、徴兵制度が設定されたことは無い。現在の陸上自衛隊では曹士(下士官兵)の高齢化が問題になっているが、徴兵は違憲であるとする政府の公式見解があるうえ、上記のデメリットもあるため、徴兵制の導入によりこれを解消しようという意見はほとんど聞かれない。徴兵制を主張する者は「国防意識の醸成」という教育的意味をしばしば強調しているが、徴兵の時期が大学在学や就職の時期とかぶるために、高等教育への悪影響や若い時期の職務経験に空白ができる問題なども指摘されている。


また、戦闘により兵士が死傷して不足となった際に若者を徴兵して兵士として戦地に送り込む等といった憶測が流れることがあるが、徴兵は平時から訓練して民間人に軍務経験者を多く確保しておくからこそ意味があるのであり、兵士不足となってから素人を送り込んだところで何の意味もない。戦時に招集されるのは新兵ではなく、軍隊在籍経験がある予備役(現在の日本の場合は予備自衛官)である。徴兵制のメリットは有事に大量の予備役を確保できるところにあるのである。今のところ防衛省では徴兵の検討こそされていないが、有事の際は船員やトラック運転手などとして勤務している予備自衛官を招集し、諸外国に比べ貧弱な予備自衛官の層を補おうという方向にあり、予備自衛官雇用企業給付金などにより予備自衛官の確保につとめている。


近年徴兵制復活に向かう国が増えている事から「日本も徴兵制がくるのでは」という意見もあるが、日本は周辺を海洋に囲まれているため敵国と陸続きの諸国よりも航空・海上での防衛(船舶や航空機の運用等プロのスキル必須)が重要になってくるなど事情も異なっている。


なお日本でも保守系の有名人の中には「若者の根性を叩き直すため」等として徴兵制の意義を主張する者も見かけられるが、自衛隊は託児所や矯正施設ではありません


徴兵制を施行中の主な国家

現在も徴兵制を行っている国の多くは隣国や近隣国などと紛争の火種を抱えていることが殆どで現在進行形で陸続きの隣国と紛争中の国も複数あり、そのために歩兵の確保というメリットを未だ取っている。

しかし中には徴兵制の形はとっていても、除外される条件が多く実質的に徴兵と言えない国や将来志願制移行を検討している国もある。

一方でロシアを中心とした情勢悪化を受けて、東欧諸国を中心に徴兵制の復活を検討する国が増えており、徴兵制の意義を見直す動きも出てきている情勢である。


男女とも

男子のみ

変則的な徴兵

非常時にのみ


関連タグ

軍事 徴用 予備役

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