概要
ウルトラマンシリーズ45周年記念作品第1弾。
前作『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で鮮烈なデビューを果たしたウルトラマンゼロの次なる活躍を描く物語であり、ウルトラ戦士たちが住む宇宙とは別の宇宙を舞台にした壮大なスペースオペラとして制作された。
後のウルトラシリーズで多用されることになる多次元宇宙・マルチバースの設定が初めて明言された作品でもあり、いわゆる「レベル2マルチバース」が「超空間に様々な宇宙が泡のように浮いている」という鮮烈なビジュアルで描写された。他にも「惑星エスメラルダを鷲掴みにするように覆い隠すマレブランデス」「宙域を埋め尽くす無数の宇宙戦艦」「宇宙空間に渦巻くスペースニトロメタンの海」など、CGを駆使した美しい映像描写が多数見られる。
ナレーターは『ウルトラQ』や『ウルトラマン』(初期)でおなじみの石坂浩二が務めた。
祝日に公開されるのは『ウルトラマンコスモスTHE_FIRST_CONTACT』以来9年ぶりである。
あらすじ
ある日、光の国に謎の飛行物体が襲来。内部からは3体のダークロプスが放出されたが、ウルトラマンゼロが父・セブンと協力してこれを退けた。
調査の結果、回収されたダークロプスの残骸から別の宇宙へと続くマイナスエネルギーの波動が検出される。光の国の科学力を以てしても、別宇宙へ転移させられる人員はわずか一人。孤立無援の戦いを強いられる危険な任務に、ゼロは自ら志願し飛び立ってゆく。
マルチバースを飛び越えた先に辿り着いた別宇宙・アナザースペースで、ゼロはレギオノイドに襲われた惑星アヌーの兄弟・ランとナオを助ける。瀕死のランを救うため彼と一体化したゼロは、ナオからアナザースペースを侵略する強大な軍事国家・ベリアル銀河帝国の存在を聞かされる。それは、ゼロがかつて倒したはずの宿敵・ウルトラマンベリアル改めカイザーベリアルが築き上げたものであった。
ベリアル銀河帝国に故郷を滅ぼされ逃げ延びた惑星エスメラルダの第二王女・エメラナ姫との出会いを通じ、アナザースペースの人々の苦しい現状を知ったゼロは、銀河帝国を倒すため、宇宙を救うと言い伝えられるバラージの盾を求めてナオ・エメラナと共に旅に出る。
アナザースペースの戦士たちとの邂逅、銀河帝国軍との熾烈な戦いを経て、ついに宿敵・ベリアルと対峙するゼロ。アナザースペースの平和を取り戻すため、ゼロとベリアルの壮絶な決戦が始まる。
登場人物
ウルトラ戦士
本作の主人公。
セブンからウルトラゼロブレスレットを授かり、アナザースペースへと向かう。
アナザースペースの戦士達
ゼロが旅の中で出会う勇者たち。
後にゼロと共にあらゆる宇宙の平和を守る新たな宇宙警備隊・ウルティメイトフォースゼロとして活動することになる。
何か違う?
←主要人物
惑星アヌーの開拓民の青年。ナオからは「アニキ」と慕われる心優しい熱血漢。
ナオの窮地を救った際に致命傷を負い、自分達の前に現れたゼロに憑依される。
ランの弟で、父から託されたバラージの盾のかけらを持っている。
幼いながらも父直伝の「アヌー空手」なる拳法を習得しており、ベリアル軍との決戦ではジャンボットと共にダークゴーネと戦った。
ちなみに、ベリアルの息子と瓜二つの容姿をしているが、関係は不明。
本作のヒロインで惑星エスメラルダの第二王女。
ベリアル軍襲撃に際し、ミラーナイトによって一人ジャンバードに転送されて脱出。アヌーの地下で隠遁生活を送っていたところ、ラン・ナオ兄弟と出会う。
その他アナザースペースの協力者
炎の海賊
ベリアル軍に抵抗する正義の宇宙海賊で、グレンファイヤーが用心棒を務めていた。
船長はガル・ギル・グルの三兄弟で、他にも構成員が多数存在する。
ちなみにガル役の平泉成氏は、過去に『ウルトラマンタロウ』第36話、『ウルトラマンレオ』第46話、『ウルトラマンガイア』にて千葉参謀、『ウルトラマンメビウス』にてバン・テツロウ、『ウルトラマンR/B』にて熊城松雄を演じている。
二次元の民
鏡の星に暮らす人々で、劇中では声だけの出演。
ベリアルウィルスに侵されたミラーナイトを保護していた。
声を担当したのはかつてミラーマンこと鏡京太郎役を演じた石田信之氏。
ベリアル銀河帝国
前作において怪獣墓場におけるウルトラマンゼロとの死闘の末、アナザースペースへとやって来た(迷い込んだ)ウルトラマンベリアルが築き上げた一大帝国。
余談
この映画に出てくる「惑星エスメラルダ」は、円谷作品の『スターウルフ』の第2話で宇宙港のアナウンスのセリフで名前だけ登場している。同じ星なのかは不明。
撮影が行われていたスタジオのすぐ隣のスタジオでは電人ザボーガーが撮影されていた。
ナオを演じた濱田龍臣は、この6年7カ月後に放送開始された『ウルトラマンジード』で主人公の朝倉リク(ウルトラマンジード)役を演じることになった。しかも、映画に出演した際は敵であったベリアルの息子という何とも因縁深い間柄になっている(当時の雑誌でも「まさに運命的なキャスティング」と紹介されていた)。また、エメラナを演じた土屋太鳳から主人公に起用されたことに驚いた様子でコメントが寄せられていた。ちなみに本作の映画公開の7年後の12月23日は偶然にも、『ジード』最終回が放送されており、ベリアルとの最終決戦でもあった。
劇場版『つなぐぜ!願い!!』では、ナオとリクの外見が瓜二つであることに絡めた小ネタがあり、クライマックスで、ジャンボットに頼まれたリクが「ジャンファイト!」のポーズを取るというシーンがある。
『ウルトラマンジード』に登場する小説家:伏井出ケイのデビュー作:「コズモクロニクル」は、この『超決戦!ベリアル銀河帝国』で起きたことを含めてベリアルを主人公に据えることで事実を歪めて書いたものとなっている。ここでは、ベリアルは“勇者アガム”、宿敵であるゼロは“輝きの騎士ゾーラ”という存在に置き換えられている。
ちなみにYouTubeの公式配信では「伏井出ケイの小説は、既に映画化までされているよ!」とか「この映画では、伏井出ケイの原作で悪役だったゼロが主人公なんだ」などの文面で本作が宣伝されている。原作……?
『ウルトラマンネクサス』の主人公・孤門一輝を演じた川久保拓司は、本作の映画を鑑賞した事をブログで語っている。
当初はダークロプス軍団とウルトラ戦士の戦いをゴモラとアントラーが見守る未公開シーンがあった。
エメラナを演じた土屋太鳳の弟・土屋神葉はウルトラマンゼロを演じた宮野真守が声優を志したきっかけであり、その為なのか同じ劇団ひまわり所属になっている。
アナザースペース出身の戦士達はM78星雲の光の国のウルトラ戦士とは違うということを示すために、目が伺いにくいデザインとなっている。原典と比較すると、目の有無ではっきりとわかる。