プロフィール
名前 | メロディーレーン |
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欧字表記 | Melody Lane |
性別 | 牝 |
毛色 | 鹿毛 |
誕生日 | 2016年2月12日 |
父 | オルフェーヴル |
母 | メーヴェ |
母父 | Motivator(モティヴェーター) |
馬主 | 岡田牧雄(LEX PRO) |
生産 | 岡田スタッド(北海道新ひだか町) |
厩舎 | 森田直行(栗東) |
主戦騎手 | 岩田望来 |
戦績 | 29戦4勝 |
獲得賞金 | 7366万8000円 |
馬名は椿の品種名。白地の花びらに赤い差し色が入る、八重咲きの椿である。
父は2011年のクラシック三冠などGⅠ6勝にして、三冠馬随一の暴れん坊オルフェーヴル。
母メーヴェはオルフェと同い年。イギリス出身の外国産馬で日本で現役を送り、22戦5勝でオープンまで進んでいる。
母父モティヴェーターは2005年の英エプソムダービー勝ち馬であり、さらにその父(母父父)は1999年の凱旋門賞をエルコンドルパサーを破って制覇したモンジューである。
半弟に菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念を制したタイトルホルダー(2018年生、父ドゥラメンテ)がいる。
母メーヴェは非常に受胎しにくい体質なのか不受胎5回以上死産1回と繁殖牝馬としてはもとより生物としても難儀な馬生を送っており、メーヴェの子は現在この2頭だけである。が、2022年、ついにベンバトルとの子を受胎した。
経歴
2016年生まれ。父にオルフェーヴル、母にメーヴェを持つ牝馬。
芝・ダート双方で活躍馬を輩出しているオルフェーヴルの血を引き、そのスタミナから注目を受けている。
それより何より話題となったのがその馬体の小ささである。父オルフェーヴルや祖父ステイゴールドは、やや小柄ながらよくある馬体の競走馬であった。
ところがメロディーレーンは、競走馬の平均体重470kgを大きく下回って最小時330kgの超小柄な馬である。
(ただ、父オルフェーヴルの全兄ドリームジャーニーは2006年の朝日杯FSで416kgという牡馬の最軽量GⅠ制覇を達成しており、馬体が小さくとも十分に競走馬として戦える血統背景は持っていたと言える。)
ここまで小さいとパワーが足りず斤量(騎手、馬具に重りを合わせた負担重量・ハンデ)の影響もモロに響いてくるようになり、殆どの競走馬は1勝もできないまま、下手をするとデビューすらままならないまま一生を終えるのだが、そんな中10戦目にしてようやく中央で勝ち星を挙げ、菊花賞で掲示板に入るなどの活躍が大きな反響を呼び、重賞未勝利の競走馬としては異例の人気を誇る。
出生
2016年2月12日、北海道新ひだか町の岡田スタッドで誕生。母メーヴェにとっては初産であったが、出産間近でも腹袋がさして大きくならずにいたため、「小さめの仔が生まれるのだろう」とは予測されていた。(馬の初産が小さめに生まれることはままあり、例えばドリームジャーニーも初仔である。)
ところが、あっという間の安産で生まれた牝馬は予想を超えて小さかった。生誕直後のサラブレッドの体重は平均で50~60kgであるが、しかしこの「メーヴェの2016」は20kgもなかったのではないかという。詳しく計ってはいないため本当は何kgあったかは不明だが、それでも人間が一人で持てたほど軽かったらしい。
競走馬どうこう以前に、このまま立ち上がれず産後直死を迎えるのでは……。牧場関係者が心配する中、生まれ落ちた小さな仔馬は元気に立ち上がり、その後の診察でも小さいこと以外馬体は健康そのものであった。
父オルフェーヴルも小さく生まれ、幼駒時の集団生活ではいじめを受けた時期もある。しかしメロディーレーンは相変わらず小さくはあったものの、中期育成拠点のえりも分場という2~3割の馬は一度挫折するという過酷な放牧地でも挫折しない等同期たちに体力で劣ることもなく、出生地岡田スタッド代表の岡田牧雄が代表となり共有馬主システム「LEX PRO」より母メーヴェを共有していた馬主限定で募集。満口にはならなかったが競走馬デビューの準備を進めることとなった。
この時メーヴェの共有を回避したものの後の活躍から心残りにしていた山田弘氏(後のタイトルホルダーの馬主)も誘われたがあまりの馬体の小ささに「ちょっと、当歳じゃなくて1歳馬見せてよ」「これは競走馬にならないですよ」と回避。後に「自分の見る目のなさにガッカリ」と語っている。
2018年(2歳)
2018年、栗東トレーニングセンター・森田直行厩舎に入厩。
デビューに向けた調教の時期でも馬体重が300kg強しかなかったが、食欲は旺盛であったため、一時期デビューに向けたビルドアップを目指し、調教を止めて食トレを実施。結果、400kg程度まで馬多重を増やしたが(それでも軽いが、このくらいの牝馬は割といる)、ただの太っただけの体になってしまったという。
これではいかんと調教を再開すると、馬体重は元通りに減少。彼女にとっては、この軽さが自分に合っているらしい。
10月に迎えたデビュー戦の馬体重はわずか336kg。デカすぎと言われるGⅠ馬ヒシアケボノが580kg、それを越えるJRA最重量の600kg超という馬体を持つショーグンと比べると、6割にも満たぬ体躯しかない。結果は17頭中16番人気で10着に終わった。
2019年(3歳)
その後もなかなか勝利には届かなかったが、長距離適性を見込まれて2000m以上のレースを辛抱強く走る内に徐々に成績も上向き、2019年6月の10戦目で9馬身差の圧勝でようやく初勝利を遂げる。この時は340kgで、1972年にジャンヌダルクが記録したJRA最小馬体重勝利記録(350kg)を47年振りに更新した。
1走挟んだ後、自身の最小馬体重勝利記録を338kgに、さらに芝2600mのJRAレコードも更新する2勝目を挙げる。(後者はのちに別の馬に更新されている)
ここに至り陣営も菊花賞を意識し、200万円を払って追加登録を行い、抽選を潜り抜けて菊花賞に出走。12番人気ながら上がり最速タイの脚で追い込み、勝ち馬のワールドプレミアからわずか0.4秒差の5着と大健闘した。牝馬の菊花賞出走は2009年ポルカマズルカ以来10年ぶりで、1984年のグレード制導入以降史上3頭目、掲示板入りは1995年ダンスパートナー以来24年ぶりの事だった。
2020年(4歳)
翌2020年は日経新春杯・阪神大賞典・天皇賞(春)など重賞に出走したがさすがに壁は厚く、9着・5着・11着に終わった。なお昨年の菊花賞と、2020年天皇賞(春)出走時の馬体重340kgも、GⅠ最軽量出走記録である。その後は自己条件に戻って1走後、半年間休養する。
2021年(5歳)
2021年1月、復帰初戦の小倉競馬場の2勝クラス「海の中道特別」で久しぶりの勝利。この時は346kgで、特別競走の最軽量勝利記録を更新。またひとつ最軽量タイトルを増やした。
天皇賞(春)、宝塚記念11着を含む5戦後、4ヶ月の休養を経て10月31日の「古都ステークス」(3勝クラス・阪神芝3000m)で復帰。
354kgと(彼女としては)過去最高馬体重にビルドアップして臨んだメロディーレーンは、3番手先行でレースを進める。最終直線では持ち前の末脚で逃げるタイセイモナークを捉えきり、1馬身差の勝利。見事にオープン入りを果たした。
牝馬としては97年嵐山Sのアドマイヤラピス以来24年ぶりとなるJRA芝3000m以上のレースでの勝利でもあった。
奇しくも一週間前には、全く同じコースで2歳下の半弟であるタイトルホルダーが菊花賞を制しており、GⅠ馬の姉になったばかり。同じコースで見事勝利をつかんだ。
次走は有馬記念。収得賞金では特別登録17頭中最下位タイだったが、ファン投票(24位、登録馬中9番手)により、優先出走権を獲得。同レースにはタイトルホルダーも登録しており(ファン投票3位)、姉弟対決が実現することとなった。有馬記念のきょうだい同時出走は、第60回(2015年)のマリアライト・リアファル以来の事例である。
結果としては15着に終わるも(タイトルホルダーは5着)、出走馬体重352kgは有馬記念史上最軽量記録であった。
2022年(6歳)
2022年2月、ダイヤモンドステークスに346kgで出走するも勝負所で伸びを欠き13着に終わった。
5月、天皇賞(春)に3年連続となる出走(352kg)。2度目の姉弟対決となり、弟が7馬身差の逃げ切り圧勝を決める中、自身も中団前目に付けて2年連続11着だった着順を9着と上げた。同時出走したきょうだい馬が中央GⅠを勝利するのは94年ジャパンカップをマーベラスクラウン(半兄グランドフロティラ)が制して以来、28年ぶり2回目の事だった。
- 2022年天皇賞(春)では、オルフェーヴル産駒の一頭シルヴァーソニックがスタート直後いきなり鞍上の川田将雅騎手を落馬させてしまい、カラ馬のまま逃げるタイトルホルダーを追い続けそのまま2番目に入線するという珍事が起こった(カラ馬であるためシルヴァーソニックは失格)。そしてゴール後、外ラチに向かって走っていったシルヴァーソニックは、そのまま外ラチに激突して外ラチの向こう側に転倒し、同父同期のメロディーレーンが心配そうに見守る(ように見える)姿が話題になった。
(※イメージです。)
6月、ファン投票17位で優先出走権を獲得し、3度目のグランプリとなる宝塚記念に出走(354kg)。フルゲート(1頭競走除外)の好メンバーが揃い、道中ハイペースとなって13着となったが、2戦連続3度目の共演となった弟がコースレコードでGⅠ連勝を決めた。
次走は母メーヴェも制した9月の丹頂ステークス(札幌・オープン・芝2600m)から、12月のステイヤーズステークスを目標にする。
特徴・戦法
周囲より明らかに小さい馬体が一番のトレードマークだが、顔にはノーザンテーストに似た左側面に偏った派手な大作(額から鼻まで通る大きな白斑)があり、左前脚以外の3本の脚先が白い「三白」である。
左目のみ白目が見える「輪眼」で、父系からしっかり受け継いでいる。
長距離を得意とするステイヤータイプの馬には、メジロマックイーン・ゴールドシップ・キタサンブラックのように大きな馬体に大容量の燃料タンクを詰め込んだスタミナ無双タイプと、ライスシャワーやマヤノトップガンのように小さめの馬体と走りの軽さでスタミナを温存する低燃費タイプに大きく分けられるが、メロディーレーンは後者の極端な例といえる。
馬格の小ささから馬群に揉まれたり競り合い・接触などのコンタクトには極端に弱いため、基本戦法は馬混みを避けて後方待機からの、直線での末脚一気勝負である。(2021年頃からは前目につける事も多くなっている)必然的に走法は細かく脚を動かすピッチ走法となり、直線でわっせわっせと脚を動かして先頭を目指す姿は人気ポイントのひとつ。
馬体の軽さを利して、脚元が沈みやすい重馬場への対応力もある。
左回りで結果が出ておらず、苦手な模様。
軽さに加え、オルフェーヴルの頑丈さも継いでいるのか大きな怪我もなく、中一週のローテーションもこなしている。
人気
重賞未勝利ながらJRAから「GⅠ馬にも匹敵するほどのアイドルホース」と紹介されるなど非常に高い人気を集めている。
調教師が管理する専用instagramアカウントのフォロワーは3万人を超え、ぬいぐるみやカレンダーなど厩舎独自のグッズも展開されている。
2021年に実施された京都競馬場主催の「アイドルホースオーディション」では1人1回10頭投票のSTEP1で2位に1000票差をつけて1位、上位10頭の中から1日1回1頭の最終STEP2ではヨシオにかわされるも2位に入り、アイドルホースぬいぐるみが製作された。
2022年には現役でありながら放牧中にファンと触れ合う「レーンちゃんに会えるツアー」も実施された。
故郷である北海道新ひだか町にある「静内エクリプスホテル」の名馬コンセプトルームプランの第5弾に現役馬では初となるメロディーレーンが選ばれた。ホテルには母と弟と共に写った巨大タペストリーも展示されている。
余談
父がオルフェーヴル(祖父がステイゴールド)と聞くと心配されるのがその気性であり、一部では父譲りとも書かれることがあるが、実際はあの家系でありながら身体に見合って大人しくて人懐っこく、厩舎スタッフから「ペットみたい」と言われるほどである。ただし、パドックではイレ込む(テンションが上がる)癖があり、よくヘッドバンギングを披露している。
好きな食べ物は青草とニンジンで嫌いな食べ物は配合飼料、燕麦。飼い葉はゆっくりと時間をかけて食べる。
調教師の森田直行はメロディーレーンを「娘のようなもの」と溺愛しており、長期放牧中に会いに行った際には200mほど先から「レーンちゃ~ん!」と走っていったという。
父の三冠達成の瞬間を実況し、父の大ファンでも知られる関西テレビアナウンサーの岡安譲は、メロディーレーンも推しと公言しており、GⅠの中継で「全国〇〇人のインスタフォロワーの皆さんお待たせしました」「今日もかわいいメロディーレーン」「私の夢…というか願いはメロディーレーンの無事完走です」等と実況したり、Youtubeでレース前の取材やメロディーレーンだけを追った実況を行ったりしている。
父の相棒である池添謙一は2021年の天皇賞(春)で一度だけ騎乗しているが、馬場入場後に頭を撫でたり、Twitterで「めちゃんこ可愛かった、白毛やったらリアル版マキバオーやん」とコメントを残したりとメロメロだった。
よくメロディーレーンと比較される最重量馬ショーグンは、引退後阪神競馬場で誘導馬として勤務しており、そのどデカい馬格で来場者を楽しませている。よってメロディーレーンが阪神のレースに出走する時は、パドックで2頭が並ぶ姿を見られることがある。別の品種の馬じゃないのかというくらいの体格差である。
ファンからは愛着を込めて「ポニー」とあだ名されることもあるが、あまりに身体が小さすぎて実際に馬服などを着せる際にポニーサイズが検討された程であるとか。実際はポニーの定義から外れているが、割とポニーに近い体格ではある。
育成時代スタッフから「バウバウちゃん」と呼ばれていたというが由来は不明。
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