前書き
Pixivではメディアミックス作品『ウマ娘プリティーダービー』に登場するウマ娘のヒシアケボノにしかタグが使われていないため親記事をヒシアケボノ(ウマ娘)にしているが、元となった競走馬のヒシアケボノからしてでかすぎるのである。
実際のヒシアケボノでかすぎ
なにせデビュー戦の馬体重が552kg。
そして、GⅠ「スプリンターズステークス」を制した際の体重が560Kg。
これはGⅠにおけるJRA史上最高馬体重勝利記録であり、現在でも破られていない。
日本競馬史上最重量だと565kg、重賞持ちの最重量では594kgがいるが、それと比べてもやはり実績も体重もでかすぎる。
ちなみにでかいことは良いのか悪いのかというと、その体重が全部筋肉で構成されているのであれば当然良いことである。筋肉ダルマが鈍重というのはあくまでイメージであり、実際はそのほとばしるパワーを全開に走れば物凄いスピードと破壊力を生み出す(そのパワーは筋肉の断面積に比例し、重量は体積に比例するので、あまりに極端な大型化をするとあるラインから急激に鈍重化するのは事実である)。故にヒシアケボノはGⅠレースに勝利している。
しかし、でかすぎるとその分パワーに振り回されることになってしまう。せっかく筋肉にモノを言わせてスピードを出し過ぎると曲がろうとする時にとてつもない遠心力がかかり、ものすごい大回りをしてしまうことになる。
これはF1レースなどでもシケインやコーナーで一気にスピードを落とすなどの弊害が生まれているものの、競馬であればさらに問題点は多い。なにしろ馬は生き物なのでブレーキを踏めば減速できるというワケでもないのでコーナーでの消耗がどうしても激しくなる。そして大幅減速、コーナーでのロスを取り戻そうにもその頃には他の馬が温存したスタミナを爆発させてゴールに到達してしまう。完全直線のレースがほとんどない日本においてでかすぎ馬の肩身はゴールゲートのように狭いのである。
また、でかすぎるとその分の体重をあの細い脚で支えることになる。そこに騎手の重量(斥量)で大体50kgくらいが加わる。レースを何本も出れば、一瞬の躓きで骨折→引退あるいは予後不良のリスクもでかくなっていく。
そして当然ながらでかくなる馬は食べる量も多い。そのため調教による仕上げの難易度が高く、うまく減量したり筋肉を仕上げてもその後の飼い葉食いで変に体重が増えてしまう調教師泣かせな馬が多くなるのである。
実際、ショーグン(600kg越え)を筆頭にヒシアケボノに匹敵、もしくは凌駕する馬体重のでかすぎ競走馬は幾頭もデビューしているのだが、GⅠレース勝利という記録を持つ馬はほとんどいない。
しかしヒシアケボノはGⅠ勝利という実績だけでなくそのでかすぎボディで30戦もして、脚の不調になったことがない超健康馬だった。そんな稼働数でレースに出れば圧倒的馬体重を見せつけ、そして走ればその圧倒的でかさという視覚情報をぶつけられた多くの競馬ファンは、つい口にしてしまうのであった。
ヒシアケボノでかすぎ
…と。
実際のレース映像(95年スプリンターズS)
ヒシアケボノがGⅠを勝ったレース。8番ヒシアケボノのサイズ感に注目(隣が特に小さいビコーペガサスなので余計に大きく見える)。
ウマ娘のヒシアケボノもでかすぎ
その身体的特徴が見逃されるはずもなく、ウマ娘のヒシアケボノにもしっかりと引き継がれた。
まず公開されているヒシアケボノの情報だが
- 学年:中等部
- 誕生日:2月27日 身長:180cm 体重:超大幅増 スリーサイズ:B99/W64/H88
と驚異的サイズ。特に身長180cmは段違いで次点のタイキシャトルの172cmにすら8cmの大差をつけている。身長の高いゴールドシップでも170cmであり、ともかくヒシアケボノはでかすぎるのである。
しかもこの驚異的サイズでもまだ中等部であるため、これから更に成長する可能性がある。
さらにCVの方も代表キャラにアイドルマスターシンデレラガールズの大女こと諸星きらり(186cm)を持つ松嵜麗が担当。絶対狙ったキャスティングだろう。
しかしこのヒシアケボノ、ゲーム版ウマ娘には2021年5月段階で未実装であった。
それなのにヒシアケボノのでかさが知れ渡っていた理由は、実装されているマヤノトップガンのウマ娘イベントシナリオで登場してその圧倒的身長差(ヒシアケボノの耳が画面から見切れる)を見せつけたことであった。ただしこの時点ではガチャで入手する必要のあるウマ娘のイベントということで注目度は限られていた。
多くのプレイヤーが「ヒシアケボノでかすぎ」と叫ぶことになったのはカレンチャン実装に伴ったレジェンドレースというイベントの開催時。
ついにヒシアケボノがレース場に顔を出した。
そしてレジェンドレースを始めるとヒシアケボノはだいたい2・3番人気に入るため、ゲートにみっちり入ってる様子でまず「でかすぎ」と思わせる。
更に走り始めると短距離先行で突っ込んでくるため終盤の直線では他ウマ娘のバ群から顔を飛び出すほどのデカさを何度も見ることになる…と、育成ストーリー実装前からそのデカすぎる存在感を見せつけた。
この大きさがなかなかの曲者であり、彼女の後ろに付いてしまうとたとえパワーSSのウマ娘であっても圧倒的体躯とパワーでブロックが崩せず、そのまま3着以下に落とされるという恐怖が存在する。逆もしかりであり、容赦なくヒシアケボノのでかすぎる壁に阻まれ入着すらできなくなるという悲劇が発生する。
また、ホーム画面ではいろんなウマ娘と立ち話をしていることがあるが、そこでも「遠近感が狂う」ともっぱらの評判である。
ちなみに体重についてひた隠しにしたり計測に出向かないウマ娘が多い中、「体重:超大幅増」という情報を臆面も無く公表しているヒシアケボノの個性は強烈である。この超大増量は恐らくレース間で30kgも増えていたりした史実のヒシアケボノの重量遷移が元ネタであろう。
そして2021年9月、実装された……のだが登場して早々話題を掻っ攫うことになった。
固有スキル発動の時に巨大化するという斜め上をいくものだったからである。
固有は岩を砕く、地面を砕く、錨を振るう、紅茶を飲む、魚釣りなど固有を発動した当人のイメージなどがそのまま出される事が多いがこちらは予測不可能だったようだ。
Twitterなどではスキル発動時のスクリーンショットなどに「その日人類は思い出した」などのキャプションが付けられてしまっていたりする(これに関しては、彼女の固有二つ名が超大型ウマ娘であることも一因か)。
アニメでもヒシアケボノでかすぎ
アニメ『うまゆる』では屋外シーン(かつ空が映るシチュエーション)限定でほぼ毎回ヒシアケボノがカメオ出演するのだが、人間サイズを通り越し東京スカイツリー級の巨大娘と化しての登場。セリフもなく、背景に溶け込んでしまっているためなのかわからないが、どういうわけか出演ウマ娘からは最後まで一切突っ込まれることはなかった。
余談
現代で我々が見られる巨漢の馬と言えば帯広ばんえい競馬を賑わせる「ばん馬」がおり、ヒシアケボノのでかさをばん馬に例える人もそれなりいる。
しかし、ばん馬は体重800-1200kgくらいであるため、このヒシアケボノの最高出走重量でもばん馬の最低体重には遠く及ばない。
というか600kg越えがデフォのショーグン、海外牝馬のゼニヤッタ(推定540kg以上でデビューから19連勝、北米GIを13勝したアメリカの女傑)すらこのばん馬の最低体重に届かない。
「重種馬」にあたるばん馬の前では「軽種馬」であるサラブレッド同士の大小など誤差の範疇なのだ。
要するに、「ばん馬でかすぎ」
ウマ娘化する日は来るのだろうか…?
また、漫画『シンデレラグレイ』に登場する海外ウマ娘たちの中にはヒシアケボノ以上に大柄・高身長な娘がおり、その中でも一際大柄なミシェルマイベイビーは195㎝でガチガチの筋肉質な体格をしている。
ただしこれは実際のサイズを反映したものではなく、それらの海外ウマ娘の元ネタの馬はせいぜい500kgくらいである(おかけで一部では「デカくて筋肉質な女が作者の性癖」と言われている)。
小さいサラブレッド
対照的に極めて小さな競走馬としてオルフェーヴル産駒のメロディーレーンという馬がいる。
こちらは牝馬ではあるが、340kg前後と桁外れに小さく、デビュー当時より話題となっていた。
なお、JRAGⅠ史上最小馬体重勝利記録はグレード制導入以前も含めるとカネヒムロ(1971年優駿牝馬・384kg)、導入以後はスエヒロジョウオー(1992年阪神3歳S・390kg)、牡馬に限るとメロディーレーンの叔父にあたるドリームジャーニー(2006年朝日杯FS・416kg)がそれぞれ保持している。
現実的な小型馬のボーダーがこのくらいであることを踏まえればどれほど小さいかわかるだろう。
関連タグでかすぎ
外部リンク
メロディーレーンちっちゃすぎ (対義語)