「許さんッ!!」
「創世王は、俺が殺す!」
「怪人がこの世界から居なくなれば、それで十分だろ」
概要
仮面ライダーBLACKSUNの主人公。原典である『仮面ライダーBLACK』の南光太郎にあたる人物。現代での年齢は60代。
幼い頃に秋月信彦と共にキングストーンの片割れを埋め込まれ、黒いバッタ怪人となった中年(初老ぐらい)の男。服装は黒のロングコートとVネックの薄手の黒のロングシャツ、黒のボトムスと色は違うが黒の指ぬきグローブを着用するなど全身黒ずくめ。
怪人に変身する際は腰に変身ベルトが出現し、全身が包み込まれるように変身する。
普段は廃バスを住処に借金の取り立てや暗殺と言った汚れ仕事で食い扶持を繋いでおり歴代ライダーの中では異色の経歴の持ち主である(それまでは何らかの職業に就いていたり学生や無職者?が多かったため)。
服装に違わぬ暗く重い雰囲気を携え、優しさを垣間見せながらも心を強く閉ざしたような物言いをする。かつては『五流護六』の一員だったが、現在は離反している。その時の事が現在も尾を引き、暗い性格につながっているようだ。
過去の出来事から左脚を悪くしており投薬が欠かせない。
また怪人の食べ物であるヒートヘブンを一切摂取しておらず、その為か一向に脚が治らず人間と同じく歳を取っている。
ある日、いつもの通り暗殺を請け負うが、ターゲットであった和泉葵がキングストーンを持っていた事から暗殺をためらい、更に成り行きでクモ怪人から葵を守った事から交流が始まる。
護流五無との争いで養母を亡くし、行く宛を失った葵と共同生活を送る中で、かつての優しさを取り戻していくが……
孤独な男の壮絶な生き様
この先は『仮面ライダーBLACK SUN』のネタバレを含みますので、十分にお気を付けてお読みください。
葵との共同生活が始まってからは、キングストーンを狙う護流五無が差し向ける刺客を返り討ちにしながら、葵に戦い方を教える生活をしていた。
そんななか、葵がニックに攫われてしまった事を小松俊介から知らされ、信彦と共に、葵が囚われた場所である、かつて怪人たちが生活していた村へ急行する。
その場で襲ってきたカマキリ怪人と交戦するが、カマキリ怪人は葵が怪人にされてしまった姿であった。
「よくも葵を……怪人に……!! 許さんッ!!」
「変……身ッ!!!」
葵を怪人にしたビルゲニアへの怒りから、仮面ライダーに変身。
創世王の後継者たる世紀王ブラックサンとしての力を完全に覚醒させ、ビルゲニアを圧倒。世紀王ブラックブレードでビルゲニアの左腕を切断して追い詰めるも、寸でのところでビシュムの妨害を受け、その際に葵も再び連れ去られてしまう。
その後に囚われた葵を助けるべく護流五無本部に乗り込み、葵と合流。その場で葵の持ち去ったキングストーンを追ってきたダロムと戦闘、撃退した後は創世王と対峙する。
死闘の末に創世王の心臓をもぎ取るも、自身も左足を切断されてしまったが、コウモリ怪人の協力もあって、足を持ったまま脱出に成功する。
ノミ怪人の拠点で治療中に、人間への憎しみにより仮面ライダーになった信彦が現れ、「怪人だけの世界の為に一緒に来い」と誘われるが、それを拒んだ為対立。左足を無くしてしまったハンデもあり、彼は信彦に敗北。しかし、クジラ・ノミ・コウモリがキングストーンを投げ渡して気を逸らしている間に撤退に成功する。
その後クジラ怪人が深海から持ってきた命のエキスを浴びた事で、左足も接合され復活。
それでも起き上がることもままならない満身創痍な状態であったが、最後の戦いに赴く為、これまで50年間忌避してきたヒートヘブンを食べ、更なる力を得る。
完全復活した光太郎はバトルホッパーを駆り、護流五無本部地下にある創世王の亡骸のもとまで向かい、そこで待ちかまえていた信彦との最終決戦に挑む。
格闘戦から始まり、剣戟、念力やライダーキック、お互いの持てる力と意志の全てをかけた決闘は、光太郎のライダーパンチによって決着する。
信彦と最後に語り合い、自身のキングストーンを託して息絶えた信彦の亡骸を抱きかかえるなか、既に心臓のみとなっても鼓動を続ける創世王が迫ってくる。今度こそ決着を付ける為に創世王の心臓を貫くが、その瞬間激しい光が光太郎を包み込む……
孤独に戦い続けた男の、その最期
実は創世王を完全に打倒するには、サタンサーベルが必要だった。
それが存在せず、2つのキングストーンと世紀王である光太郎自身の肉体が揃っていた結果、図らずも光太郎は創世王を継承してしまい、自分の意志とは関係なく、ヒートヘブンの原料となる体液を搾取され続けるだけの存在に成り果ててしまう。
だが、最期は再会した葵に、僅かに残った自我で「コロシテ……クレ……」と介錯を頼み、彼女にサタンサーベルの破片で刺されて灰化しながら死亡した。
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彼の戦いは最期まで報われなかったものの、「……もう泣かないで」と願う葵の頭を撫で、安らかな表情を浮かべて散っていった。
余談
演者の西島氏は今作が仮面ライダーシリーズ初出演となる。
また今作のコンセプトデザインである樋口真嗣が監督を務める『シン・ウルトラマン』で禍特対専従班班長田村君男を演じている。
仮面ライダー響鬼以来となる主人公がおっさんライダーではあるが、響鬼の年齢は31歳、光太郎の実年齢が60歳のため響鬼から見れば29歳上のおっさん。そのため二者は親子ぐらい違う(ただし現実世界の時間経過に合わせるなら、響鬼は2022年時点で48歳という計算になり二者は12歳差、一回りほど違う計算になるが、それでもやはり響鬼の感覚では年が離れたおっさんであろう)
1話から変身していたものは実は【仮面ライダー】ではなく【怪人】としてであり、彼が本格的に仮面ライダーとして変身したのは5話と、ライダー史上初登場が非常に遅い仮面ライダーという異色の存在である。
関連タグ
山本大介 - 仮面ライダーアマゾンの主人公。元祖有機的な改造人間(バイオボーグ)でありグロテスクな技を使うライダーの先駆け。また機械的な要素が一切ない元祖ワイルド系のライダーである。
麻生勝 - 『仮面ライダーZO』の主人公で年齢は彼の方が若いが醸し出す雰囲気、一見無口でぶっきら棒だが心優しい性格、周囲の人間に年の離れた未成年者がいる、感情が高ぶると咆哮(ほうこう)しながら変身するなど共通点が多い。また劇中であまり名前を呼ばれない点でも似ている。ただし一歩間違えればこうなるとされる
仮面ライダー真 - 同じバッタ怪人であり脊髄ぶっこ抜きをした者繋がり。共通点は上記の麻生と一部一致している。またシン自体も没案ではパワーアップする案もあり悍ましい怪物の姿から徐々に誰もが知ってそうなヒーローの姿になっていくという流れも想定されていた。そういった要素を本作が上手く継承したとも言える。
仮面ライダーギルス - 上記のキャラの血を受け継ぐライダー。
木野薫/アナザーアギト - 上記に同じく。服装や雰囲気および木野のキャラクター性や雰囲気が南光太郎と似ている。またアナザーアギトの姿がリアルな造形をしたバッタ怪人という点でも似通っている。
リョウ - 脊髄ぶっこ抜きをした者繋がり2。有機的な改造人間と完全な機械という違いはあるが、人間態の雰囲気やパーソナル面で似通った部分がある。
次狼/ガルル - 『仮面ライダーキバ』の登場人物。おっさんライダー繋がりかつ性格や醸し出す雰囲気及び咆哮しながら変身する者繋がり。また仮面ライダーブラックサンの姿はガルルと非常に似ている
水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガ - 咆哮しながら変身する点が共通。また両者共に生物的なフォルムの変身フォームがある。
乾巧 - 一見クールで冷徹そうな印象だが内面には熱い物を持っている、劇中で境遇が似た数々の怪人達(元人間)と戦う、怪人態が存在する点などが類似している。
本郷猛 - 自分と似たような境遇の怪人と戦った経験のある者繋がり。
筑波洋 - 上記に同じく
村雨良 - 上記に同じく。親友ポジのキャラが主人公にとっては倒すべき存在という共通点あり
五代雄介 - 上記に同じく。こちらの作品も怪人が有機的なクリーチャーかつ本作ほどではないがグロ描写がある。最大の宿敵がある意味で自分と似たような存在。
沖一也/仮面ライダースーパー1- 自分がなり得たかもしれないifの存在と戦った。なお敵組織に主人公と限りなく近い外見と性能の怪人がいる。
仮面ライダーV3 - 実写版では披露してないが、すがやみつる氏によるコミカライズ版でV3がカメバズーカの口の中にV3パンチを命中させ内臓を取り出すというエグい事をやっている。
仮面ライダーX - コミカライズ版でマッハアキレスが水圧の高い深海から無理矢理浮上したため、クモ怪人と同じような目に遭っている。
改造人間哀歌 - 昭和ライダーをモチーフにした特撮映画。こちらも長きに渡る戦いで心身が衰えた改造人間が主人公であり、親子ほど年が離れたヒロインと交流する点も共通している。
草加雅人/仮面ライダーカイザ - 当然の事ながら死因は全く異なるが物語の終わり頃、灰になって死亡した哀しき人物繋がり。