🌶️概要
実は細長く非常に強い辛味を持ち、熟すると赤い色が鮮やかで、生食も可能だが、ほとんどは乾燥させて香辛料・彩りとして用いられる。未熟で緑色の青唐辛子も利用される。
葉も食用となり、葉付きで出荷されるものを「葉唐辛子」と呼ぶ。
英語では「チリペッパー(chili pepper)」(単に「チリ」とも)。
※ピーマンやパプリカなどと、植物の種としては同一であり、Wikipediaでは、野菜としては「唐辛子」、植物種としては「トウガラシ」の項を設けている。
カプサイシン
唐辛子の辛味成分「カプサイシン」はわさびやからしの辛味成分「アリルイソチオシアネート」同様に痛覚神経を刺激して辛味を感じさせるが、揮発性が高い「アリルイソチオシアネート」の辛味が一瞬なのに対し、「カプサイシン」は後を引く。
なお、胡椒の辛味成分「ピペリン」は感覚神経の温度受容体を活性化させて辛味を発生させる。
口や鼻にある痛覚受容体は「カプサイシン」で痛みを伴う刺激を受けた際、傷ついたと錯覚して脳に警告を発し、涙が出る。
また、脳に運ばれた「カプサイシン」はアドレナリンの分泌を活発にさせ、発汗と動悸を促すため、ダイエットに効果があるとされる。
ただし、多量に摂取し続けると胃炎や食道炎、味覚障害を引き起こす原因になる。
鳥類はカプサイシンに辛さを感じることがない。トウガラシの辛さは種を食べる哺乳類の小動物を避け、丸のみする鳥類にのみ食べてもらい、糞とともに分布を拡げるための進化と考えられる。
別名
- 胡椒とは別の植物だが、渡来当初に「南蛮胡椒」と呼ばれていたため、「トウガラシ」の意で「コショウ」という言葉を使うこともある(柚子胡椒など)。
- 英語名のchili pepperの「pepper」も胡椒を代表とする辛いスパイスを示す語で、ピーマンはgreen pepper、青唐辛子はgreen hot pepper、パプリカはbell pepperとなる。
- トウガラシの「トウ」を省略した「カラシ」も使われるが(辛子明太子など)、辛子とも別の植物である。
余談
- 原産地は南アメリカ大陸で、大航海時代にヨーロッパに渡り、戦国時代の南蛮貿易により日本に伝来した。
- 名前の頭に「唐」(=中国)が付いているが、漠然とした「海外」の意である。
- メキシコ、タイ、ブータン、インド、インドネシア、韓国、四川省、湖南省など辛い料理の好まれる地域で盛んに使用される。
- 韓国(朝鮮半島)へ伝来したのは1600年前後のことで、日本との交易で伝わったという説や、豊臣秀吉の朝鮮出兵で持ち込まれたという説がある。当初は料理には使われていなかったようで、キムチに入れる例が出てくるのは18世紀のことである。その頃は糸状にして使われており、20世紀に入ってから粉状で使うのが主流になった。
- 韓国では、形や大きさが陰茎(おちんちん)に似ているとみなされている。このことから、唐辛子を意味する「コチュ」という言葉は「おちんちん」という意味でも用いられており、さらには、陰茎がついている「男の子」や「男性」を表すこともある。また、男の子の赤ちゃんが生まれたときには、陰茎を象徴する唐辛子を縄で挟んで戸口に飾ることで近所の人々にそれを伝えるという風習がある(女の子のときは炭を飾る)。
- ピーマンやパプリカもトウガラシだが辛くない品種である。ピーマンは「甘トウガラシ」とも呼ばれる。ハンガリー料理ではパプリカを多用する。
- 防虫効果があり、畑に害虫よけに植えたり、果肉を煮た液をスプレーしたりする。コクゾウムシが蔓延るのを防ぐるため米櫃に入れる事もある。
- 島唐辛子やプリッキーヌーはキダチトウガラシの品種でトウガラシとは別種である。
- ハバネロはキネンセの品種でトウガラシとは別種である。
- 観賞用のトウガラシの品種も多く、様々な実の色、葉の色を楽しめる。
関連イラスト
関連タグ
香辛料 調味料 スパイス 野菜 材料 一味唐辛子 七味唐辛子 タバスコ 豆板醤 ラー油 辛味 辛い コチュジャン ペペロンチーノ コーレーグス
表記揺れ
唐辛子の品種
ピーマン パプリカ ししとう(獅子唐、シシトウ) 鷹の爪 青唐辛子 ハラペーニョ ハバネロ ブート・ジョロキア