概要
着ぐるみは様々な種類があるが総合的な特徴は、人間の全身を覆い隠すひとつひとつがオーダーメイドとなる特殊な衣装である。
実際の着ぐるみは価格は1体につき30~200万円(着ぐるみパジャマでは5,000~15,000円)という高額なもので、加えて消臭洗濯などの衛生的な対策や、ボサボサになってしまった外見のケア、さらに運搬にも気を遣う必要がある手間のかかる衣装である。
着ぐるみはデザイン画に基づいた外見重視で作られるため総じて着心地や通気性、視野は悪く、演者は過酷な状況で与えられたキャラクターを演じ、動き回らねばならない。この着ぐるみ演者に求められる演技は生身の状態の人間のそれとは大きく異なり、基本的には無声かつ大げさな動きをする必要がある。これらは「中に人が入っていると悟られてはならない」ことと、着ぐるみが演者の表情を隠す分厚い衣装であるため「微細な動きでは何も伝わらない」ことに由来する。
また使用後の着ぐるみはきちんと清掃をしなければ、演者の汗が付着することによる異臭が発生し、害虫のダニや臭い菌なども発生する可能性がある。着ぐるみは対人イベントでの使用が主であることからも、清潔さを保つことは肝要である。
着ぐるみは1990年代までは個人所有はされず、劇団やメディアなどの団体で所有する演劇業務用の備品であったが、2000年代以降、単純に着ぐるみが好きという愛好家やアマチュア演者による個人所有の着ぐるみが増加し、アマチュア着ぐるみだけのコスプレイベント等も見られるようになる。
また美術作品のひとつとして着ぐるみを自作するクリエイターも多々おり、その中には個人所有を希望するものの自作ができない愛好家のために、コミッション(委託制作)を請け負う者や個人歓迎の企業もいるので興味があればググってみよう。
ある程度の厚みと気密性があるため、冬の季節には防寒着としても代用できるメリットがあるが、このような用途で利用する場合は被災時などの緊急時である。
着ぐるみの種類
一口に着ぐるみと言ってもさまざまなタイプがあり、このタグはその広義範疇に入るすべての規格の着ぐるみイラストにつけられる。また現実には存在しえない構造の着ぐるみにもつけられる。
顔出し系
コントで使うようなものや、着ぐるみパジャマ(部屋着)など。着ぐるみタグがつくものでは圧倒的に多い。
シャレ系のパーティ衣装である。
イギリスを中心に日本のメーカーの着ぐるみパジャマが広まったことから、英語圏でも特にこのタイプの着ぐるみを指してkigurumiもしくはkiguと表記されている。(日本的な文化として後述の美少女系もkigurumiに含まれている場合もある)
ケモノ系(Fursuit/ふかもこ系/毛モノ)
フェイクファーで作られた、動物やケモノキャラを表現した着ぐるみで、一般に「着ぐるみ」と呼ばれて思い浮かぶもの。ケモノ系着ぐるみを個人所有し、イベント等で活動する人のことをケモナーと区別するために「キグルマー」と呼ぶこともある。ケモノ系のうち商業的なものを、マスコットやゆるキャラと呼ぶ。
ケモノ系着ぐるみは、もともとはアメリカのfursuit文化を輸入したものであったが、多くのクリエイターの手を経るにつれ徐々にジャパナイズ)がされ、現在では元祖fursuitとは趣向の違う、目が大きく口が小さめのアニメっぽい表情のキャラクター、もしくは動物をリアルさを残しつつデフォルメ再現したキャラクターが目立つようになった。
キグルマーはケモナーと混同されがちであるが、キグルマーはケモナーであるとは限らない。キグルマーは「ケモノになりたい人」、ケモナーは「ケモノが好きな人」であり、キグルマーはどちらかといえばTF(transfur)系、つまりは変身好きである。女の子(男の子)になりたい人と、女の子(男の子)が好きな人の差といえば分かりやすい。
ケモノ系着ぐるみのトレンド
それなりに人口が多いコスプレ界隈の一種であるが、極めて特殊なことに、それぞれ独自デザインがされたオリジナルキャラクターが大多数を占める。対して版権キャラはごくごく少数派で全体の1%程度とみられる。版権キャラはポケモンやデジモン、マイリトルポニー、スターフォックスなどのキャラクターが散見される。
キャラクターの種族分類としてはイヌ科が最も多く、その中でもオオカミが高い比率を占め、次いでキツネやイヌが並ぶ。その他にネコ科、ウサギ、水棲系、クマ科、鳥系、ヒヅメ系、竜系などがいるが、いずれも少数派である。キャラクターの性別比率はオス:メスが9:1である。つまるところ、キャラクター全体の1/3程度はイヌ科のオスといえる。
専門用語
- フルスーツ:全身を覆う標準的な着ぐるみ(いわゆるフル装備で、気密性が高い、そして加えて暑いそ、汗臭い)
- ハーフスーツ:ヘッドとケモ手足だけをつける簡易的な着ぐるみ(気密性がもっとも低い)
- アンコ:キャラとしての体型を作るための詰めもの
- インナー:演者が着ぐるみの下に着るスポーツインナー
フルスーツはアンコの量に比例して通気性が悪くなる。夏場、無風、日差しの強い場所では熱中症が発症しやすく注意が必要で、演者は体調がいまだ健全である状態で水分補給や休憩をとることが推奨される。また、オプションとしてフルスーツにおいては夏場では冷却ファンを搭載したものを使用し、それに対応した着ぐるみの内部に取り付けたりする熱中症対策もしている。
ちなみに着ぐるみの足部分については靴とほぼ素材が同じらしいが、子供やピュアな大人の事を考えてか、犬などの動物なら手だけでなく足にも肉球加工が凝っているものではそんなのが施されていたりする。
美少女系(Kigurumi/ドーラー系/人形系)
美少女萌えキャラを表現した着ぐるみ。主として肌色(肌色は様々でホワイト、日焼け色、ブラックなど)の全身タイツに、通常のコスプレ衣装、FRP製のお面を被ったタイプである。2.5次元とも呼ばれ、日本で愛好家が多い。(キャラの設定に合わせてキャラの特徴となる固有キャラ専用のタイツには黶や入れ墨も油性ペンや特注加工などでちゃんと加えている事も)
公式のものではプリキュアやセーラームーンのショーで使われる着ぐるみが該当するが、これらは「ショーブツ」と呼ばれ、アマチュアの個人所有物とは区別される。また美少女系といえど男性キャラクターも存在する(例:名探偵コナンの江戸川コナンなど)。ショーブツはショーやバラエティ番組に出演する際、着ぐるみの動きに合わせてそのキャラを担当する声優が声を当てて、あたかもアニメとほぼ同じ雰囲気を再現させる演出もよく見られる。
実際の美少女系着ぐるみに使われる肌タイツは伸縮性のある布地であるが、フィクションであるイラスト(着ぐる絵)や小説においてはよりフェティッシュにラバー製やシリコン製の肌タイツ、お面と肌タイツが分離できず着脱が困難な着ぐるみ、特殊なギミックがついたもの等が見られる。
AVやSMではコスプレよりさらにマニアックな衣装(露出が多め)として使用されている。
特撮系
スーツアクションを行う、ヒーローや怪獣等のスーツ。
怪獣や怪人はまだしも、ヒーロースーツを着ぐるみと呼ぶべきかどうかは意見が分かれる。
怪獣系
日本ではウルトラシリーズを筆頭に、人体の構造を大きく逸脱した形状のものが進化した。影響は特撮系以外にまで及び、ディズニーとピューロランドの着ぐるみを比べると顕著である。
変身ヒーロー系
アマチュアでは仮面ライダーや戦隊ヒーローのスーツのレプリカを作り、コスプレイベントに参加する姿が見られる。コスプレ界隈ではこれらは「ガワコス」と呼ばれており、上記のケモノ系、美少女系着ぐるみとは区別されている。
琉神マブヤーではもっとも顔出しタイプで顕著とされるのは敵として悪の軍団マジムンのハブデービルがいる。
問題
着ぐるみには上述のようにニチアサ作品といった子供向け作品モチーフのものが含まれる。
児童向けキャラクターのガワを被り、そうした作品が好きな子供に接近・接触しようとする成人が現われる事になった。
かねてより各所で事例が報告され注意喚起されてきた経緯があり、2023年8月にはプリキュアシリーズの権利元である東映アニメーションから、公式と見紛う扮装による「非公式グリーティング活動(営業活動、一般の方へのお声掛けや接触行為)」を公共の場で行わないよう声明を出した(プリキュアの着ぐるみで子どもに声かけや接触、東映が注意喚起「非公式グリーティング活動はお慎みを」)。
この事例の現場となった国営ひたち海浜公園では8月9日に「コスプレ衣装を着用した撮影での他の一般客への声かけや接触」「顔が確認できない被り物や特殊メイク、覆面、フルフェイスの着用」を禁じる利用規約が追加されている(東映とプリキュア公式が“非公式な営業活動”へ注意喚起 公式と誤認させるようなきぐるみ活動が物議)。
pixivでの傾向
ほとんどは着ぐるみをテーマにした「イラスト」であるが、中には自作した着ぐるみをイラスト化したものではなく、そのまま実写の写真を投稿するユーザーもいる。
ただ、pixiv利用規約では、写真投稿できるのは「アナログ作品等」といった曖昧な表現がなされており、投稿に躊躇するユーザーも多いと思われている。
着ぐるみに限らず、粘土などの立体アート作品の写真投稿は、ペースこそ遅いが増えているため、利用規約の文章改定が待たれる。だったらいっそのこと、運営に問い合わせしてご要望を出せばその可能性が出てきそうな気がするのだが…。
現時点で上記を踏まえて何ができるのかと言うアドバイスをするなら、着ぐるみの設定資料にある完成イメージのイラストを投稿向けに編集してそれを投稿するなら運営に投稿は認められるし、それかいっそのこと完成した着ぐるみを模写してイラスト化してそれを投稿する他に正規な手段はないだろう。
関連項目
関連イラスト
関連タグ
主なもの
服 特殊衣類 かぶりもの コスチューム 中の人(別名は魂、宿主、精霊)
ガワ 着ぐるみ使い回し スーツアクター ヒーローショー チャックを開けないでください 呪いの着ぐるみ 人をダメにする着ぐるみ
こいつで抜かないでください チャック(ファスナー) 背中にチャックが付いてるよ 見てはいけないもの 着ぐるみパジャマ 機ぐるみ ぬいぐるみ マスコット 頭、取らないでください 中身は見ちゃダメ 中の人はいないよ ※中に人は入っていません。
別名・表記ゆれ
着ぐるみ?…文字通りのコレは着ぐるみなのか何なのかが曖昧である
キグルミ … 用途が異なるらしい
スウツ … 言うなれば着ぐるみスーツとほぼ一緒。着ぐるみのフルスーツの一種ではあるが、ラバーやゴムなどで全身を覆うようなツルツルした素材でできているものを示す。例によってケモナー多数。ラバースーツ(ゴム製の全身タイツ)の一種。
着ぐるみを着用しているキャラクター(一時的な着用含む)
ゴン太くん ドアラ ひこにゃん リラックマ(着ぐるみ?) くまモン トラッキー トラミ(阪神タイガース) B・B ミクダヨー XXハンター きしゅう君 きいちゃん マイナちゃん ムック ガチャピン ねばーる君 コロン(カムライトライブ) ワンワン(いないいないばあっ!)
ゆるキャラ あにゃまる探偵キルミンずぅ(キルミン) きグルみっく★V3 ミッシェル(バンドリ) ユナ(くまクマ熊ベアー) 布仏本音 のほほんさん ぐるみん(アニポケ) 草野(セキレイ)
着ぐるみ七変化アルク ヴァンガ郎 きぐるみ防衛隊 ミント・ブラマンシュ 森の小屋のゆゆしき着ぐるみ(きららファンタジアの作家クエスト) キグルミ・マイスタ(漫画)
市原仁奈 ゼノやよい バラエティーアニマル 目が笑ってない着ぐるみたち(ポテ豆氏) ぴょんたろう パンプキング おかあさんといっしょ いないないばぁ
ポケモンごっこ かいじゅうマニア ミミッキュ着ぐるみシリーズ
キグルミキノコQ-Bit(同人ゲームサークルクラシックショコラ)
芸能人
- 石橋貴明:とんねるず。仮面ノリダーの展開中「日本一の着ぐるみ師」を自称した。
- 鳴海清隆:スパイラル~推理の絆~の登場人物。着ぐるみが趣味。シリーズ外伝「スパイラル・アライヴ」では全力で着まくる。
- 出川哲朗:大!天才てれびくんのドラマにて着ぐるみ回があった。
- 新庄剛志 深川麻衣 舘ひろし:マイナンバーのキャンペーンにてマイナちゃんの着ぐるみを着用した。こちらは着ぐる絵なんかではなく、着ぐる画である。
- 鬼龍院翔:ガチュピンチャレンジにてガチャピン(?)を象ったハーフスーツの着ぐるみを着用していた。
- 久川綾