ギロリ(仮面ライダーギーツ)
ぎろり
概要
『仮面ライダーギーツ』の登場人物。
デザイアグランプリの参加者たちが集うデザイア神殿に常駐する謎のコンシェルジュ。デザイアグランプリ参加者の全体的なサポートを行う紳士的な人物。
穏やかな性格をしている一方、グランプリのルールを遵守する真面目な堅物でもある。
また、デザイアマネーを使ったサービスを提供したり、怪我した参加者に応急処置を施すこともある。
邂逅編までの動向
第1話「黎明F:ライダーへの招待状」
最終ミッションの中ひとりサロンでくつろぐ英寿に上記のセリフで問いかけるも、彼の絶対的な自信にあしらわれた。
第2話「邂逅I:宝探しと盗賊」
サロンでの休憩中険悪なムードになる道長と英寿へ、神殿での戦闘は即脱落扱いになるとしてやや厳しめに忠告。さすがの道長もあっさり引いたので事なきを得た。
第8話「邂逅Ⅶ:ニンジャと切り札」
重傷を負ってしまった景和を介抱しベッドで寝かせていた。割としっかりしていたことからその方面にも精通しているのかもしれない。
第9話「邂逅F:Wakeup!モンスター」
卵が真っ先に孵化した祢音にプロペラレイズバックルだと教えた。
その後孵化を焦る道長が生卵割りの要領で机に卵をぶつけ始めたので慌てて止めようとするも、卵はドリルレイズバックルへと無事に孵化した。
そのあとひとり黙々と卵の殻をトレーに回収していた。えらい。
この他にもルールにはやたらと詳しい面を覗かせる事が多く、何かを感じる視聴者も多かったのだが……。
その正体と以後の謀略
「浮世英寿…とくと見せてもらうぞ。お前が目指そうとしている世界の…その先を」
その正体は、デザイアグランプリのゲームマスターであったことが、第9話の終盤で明かされた。
第10話「謀略I:新時代のビート」
デザ神となり自分を含む運営側の人間と家族になった英寿の「父親」として振る舞うが、DGPを探ろうとしている彼を危険視し"排除"すべく謀略を巡らせるようになる。
その手始めにパンクジャックこと晴家ウィンを参加させ、英寿と組ませて陥れようとするものの(最初のバックルがよりにもよってブーストレイズバックルだったこともあり)英寿が単騎でその場を切り抜けてしまい失敗。
ウィンからも「簡単には退場しそうにない」と言われ、次なる謀略を考え出す。
第11話「謀略Ⅱ:ジャマトの迷宮」
ウィンに「何がなんでも彼を脱落させろ」と彼に命令する。
ツムリに「我々は常に中立の立場のはずでは…?」と苦言を呈されるが、それに対し「あの男は…勝ちすぎた」と返す。
迷宮謎解きゲームを遂行中のライダー達の前に、本来想定していないはずの強敵・ジャマトライダーが出現。これを見て「なぜ指示していない事が起きている……!?」と困惑。
直後ある人物に電話をかけるも、ジャマトの育成に陶酔している彼には聞く耳を持たれなかった。
そう。
DGP運営とジャマトは裏で繋がっていた…どころか、ジャマトは育てられていたのである。
しかし想定外のジャマトライダーがいてはゲーム進行が危うくなるため、彼は人数分のフィーバースロットレイズバックルを支給するのだった。
第12話「謀略Ⅲ:スロット☆フィーバー」
リタイア前の景和の記憶を思い出させた英寿に「勝手な行動は慎んでもらいたい、浮世英寿君」と彼を咎めるが、景和に直談判され、英寿にデザイアグランプリの秘密を勘ぐられそうになったため、一徹がエントリー権を引き渡す形で渋々景和をエントリーさせた。
第13話「謀略Ⅳ:ドライバーを奪還せよ!」
前回の一件で運営が英寿を故意に脱落させようとしているのがバレ、冒頭で問い詰められるもゲームマスターである事実を隠しているのではぐらかしており、ツムリから何故そこまで英寿を蹴落とそうとするのか問われると、『運営の秘密に近づこうとしている』と返答し、デザイアグランプリの存続を最優先事項とする発言をしている。
しかしアルキメデルのデザイアグランプリの崩壊という目的と相反する事が明確となり、ジャマトライダーを誕生させるアルキメデルや、運営に不正が無いか監査するニラムが未実装のレイズバックルを転送する等、同じ運営側の人間の独断行動に振り回される事になる。
結果的に何度も辛酸を舐めさせられ、そして次回予告ではゲームを引っ掻き回す(ように見える)英寿に警戒心を通り越した強い怒りを募らせる発言をしていた。
第14話「謀略Ⅴ:怒りのグレア」
ウィンに対し、運営と繋がっていることがバレたペナルティとして「脱落しても記憶は保持される」という約束を反故にして通常参加者と同様に扱うことを告げるも、それが原因で離反されてしまう。
ウィンに啖呵を切られるも独断行動を良しとせず、その後戦闘していたギーツ及びパンクジャックの前に現れる。その手に掲げられていたのは······
「失望したぞ···パンクジャック」
英寿「お前もライダー!?」
本来ゲームマスターは勝敗を左右してはならないはずなのだが、ゲームマスター自身がデザイアグランプリに乱入するという掟破りの行動に出る。
その後は対抗して変身してきたウィンを圧倒し、「お前がその気ならこっちにも考えがある」と言いウィンを洗脳、英寿を遂に脱落させた。
第15話「謀略VI:仮面ライダーの資格」
ギーツ/英寿の排除に成功し、他の3人、特に道長を「デザ神」候補として期待していたが、ラフレシアフォートレスジャマトや強化されたルークジャマトに苦戦する3人に苛立ち、むやみに突撃して結果的に退場してしまった道長/バッファに対して、「バッファめ、勝ちを急ぎすぎだ!」と不満を爆発させていた。
その後、デザイアグランプリに復帰したギーツ/英寿が再参加を申し込むも、「無駄だ。お前に仮面ライダーの資格はない!」と一喝。しかし、ツムリから「あります。浮世英寿様には、仮面ライダーの資格があります!」と反論された。
実は、英寿は以前より「自分がリタイアによりDGPの記憶を失った場合」を想定しており、自室のポスター(や部屋のあちこち)に手がかりとなるメモを残すことで、記憶を失った状態でもある程度立ち回れるようにしていた。仮面ライダーに遭遇しコアIDに触れたことも偶然ではなく、全てメモによる指示通りだった。
さらに、最初に叶えた願い「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加できる世界」が有効である以上、逆説的に「英寿は生きている限り、その他のいかなる状況下であっても仮面ライダーたる資格を得られる」ため、英寿はギロリに対し反感を抱いていたツムリからギーツのコアIDとドライバーを受け取りゲームに復帰、道長が残したゾンビに加え、景和から拝借したマグナム、コマンド、ブーストを駆使してジャマトたちを一蹴し、城ジャマトをコマンドフォームで撃破した。だが、この事態をどうしても受け入れられないギロリはゲームマスター権限でこのゲームを無効化してしまい…。
余談
- 名前の由来はツムリと合わせて目の動作「ギロリと睨む」ではないかと思われる。上記の第2話での言動を考慮すると、参加者がルールを厳守しているかどうかを見守る「監視者」としての役割もあると思われているため、この名前はピッタリといえる。
- DGPの参戦者を選ぶ決定権はほぼ間違いなく彼が握っているものと思われる。また、3連続で道長をエントリーさせた他祢音をも途中参加させた辺り、(謀略を図る前から)最終戦まで生き残った者=英寿に勝てる見込みのある参加者を優先しているともとれる。もしかすると彼も、生きていればまた招待していたのかもしれない。
- 謀略偏第1回戦からレイズバックルを参加者全員に与えたのも、英寿が敗退する確率を少しでも上げる為だったともとれる。その割には何故10倍近い基礎スペックを付与するブーストを渡したのかと疑問に思う視聴者もいたが、実はブーストフォームのギーツヘッドにはチート・不正行為検出機能が追加されていたことが公式サイトにて明かされており(タイクーンら他ライダー及びギーツのエントリーフォームではこの記述は無いためほぼ確実にバックルに紐付けられた機能である。しかし、今のところギーツのブーストフォームのヘッドにしかその記述はない)、このことからチームを組んだパンクジャックがその見た目から明らかに前回DGPのパンクジャックと同一の存在であり、運営と繋がっていると疑われることを不正行為が検出されないことで防ぐ目的があったと考えることができる(もっとも、検出機能がある事を英寿が把握していないと意味はないが)。また、それ抜きにしても強力なスペックを持つ代わりに必殺技を放つとどこかへ飛び去ってしまうというデメリットがあるため、継戦能力においては他のバックルに比較すると低く、相方が裏で繋がってるパンクジャックの為仲間の支援も望めない等、結構不利な状況ではあった。
- 演じる忍成氏は『劇場版 仮面ライダーウィザード inマジックランド』にてマヤ大王の役を演じている。また過去には「生き残りをかけた命がけのサバイバルゲーム」の元祖ともいえる作品である「バトルロワイアル」の映画版第2弾「バトルロワイアルⅡ」にも出演した経験がある。
- シリーズ構成を担当する高橋悠也氏が以前担当した二作で物語の根幹に関与している人物が変身していたことや演者の忍成氏が悪役に定評のある俳優であることから、「ギロリも仮面ライダーに変身して、後々主人公陣営と敵対するのではないか?」と一部のファンから予想されていた。
- 中には、早速変身後の仮面ライダーのデザインを予想するファンまでいた。
そして第14話の予告にて謎のカードのようなアイテムを持っていることが確認され、第14話にてついに仮面ライダーへと変身した。
- 14話あたりから、詰めが甘いと言わざるを得ない行動が増えてきている。
- ウィンを用済みとし、脱落したらIDコアを輸送せずデザイアグランプリの運営からクビにする手はずだった…が、わざわざ本人に向けてソレを言ってしまったせいで反旗を翻される(そもそも脱落したら記憶が消えるので黙っておけば離反されることも無かった)。
- 英寿には最初にデザ神になって叶えた願い「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加し続ける権利」があるにも拘わらず、直接殺害して脱落させるのではなく失格という形で排除してしまう。
- とはいえ15話冒頭で家族を引き続き演じつつその日のスケジュールを聞いてから(おそらく)ジャマトを差し向けた辺り、まず変身権限を奪い無力化した上で始末しようとしていた節もある。もっとも願いが途中参加でも有効なことに気づいて無かった辺り、やっぱり戦略ミスではあるのだが。
- 英寿には最初にデザ神になって叶えた願い「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加し続ける権利」があるにも拘わらず、直接殺害して脱落させるのではなく失格という形で排除してしまう。
- ちなみに景和の願いが『退場者の復活』であるため、どのみちDGPで死亡退場させても景和がデザ神になると復活が確定する事になる。ただもし退場していた間に英寿が死んでしまった場合、どういう判定になるのかはわからないが。
大丈夫なんだろうか、このゲームマスター…。
ネタバレ注意!
本作では一転して、デザイアグランプリの奪還を目的に邁進するゲームマスターとしての側面が強くなっている。
突如コラスなる人物がデザイア神殿に姿を現しツムリを人質に取ったため、ツムリの生命を守るべくヴィジョンドライバーを渡すものの、コラスはドライバーの指紋認証を書き換え、ゲームマスターとしての地位を強奪。そして、ツムリを洗脳して小悪魔ツムリに変貌させた上にデザイアカードに「デザイアグランプリが消滅した世界」と書いたことでデザイアグランプリが消滅。コラスによってそれに取って代わるデザイアロワイヤルが開催される事態となってしまう。そして、ギロリは「用済み」と言わんばかりに部屋に幽閉されていた。
しかし、事態を察知した英寿の手によって解放され、「デザイアグランプリの奪還」という共通の利害のもと一時的に和解した。その後、五十嵐一輝とバイスにデザイアドライバーと仮面ライダーリバイIDコア、仮面ライダーバイスIDコアを授けた。
自身はコラスと結託していた轟栄一の邸宅に赴き、栄一の私物の刀で攻撃してきたコラスに対抗すべく自身も栄一の私物の刀で応戦。
戦闘の途中、コラスが隠し持っていた銃で撃たれるという事態に陥ったものの、コラスが勝利を確信してヴィジョンドライバーを持ち出した一瞬の隙を突きドライバーを奪還、見事勝利を収めた。その後、認証を戻して仮面ライダーグレアに変身する形でデザイアロワイヤルを消滅させ、デザイアグランプリへと戻した。そして、破滅の門建設を進めていた轟戒真/仮面ライダーシーカーを止めるべく、「仮面ライダーシーカーの討伐」を目的とする「シカゲーム」を緊急開催した。
そして、ギーツとリバイスがシーカーを倒したことでミッションクリアとなり、何とかデザイアグランプリの奪還を成功させることができた。
しかし、この一件で英寿の強さの秘密に確信を持つこととなり、自身の推測をニラムに明かしていた。(詳しくは、浮世英寿参照。)
このエピソードにてギロリのデザイアグランプリに関して「デザ神とは世界を救った英雄のこと」「その栄誉を称え、理想の世界を与える」と自身の信念を語り、破滅を望むコラスに対しては「ゲームマスターの資格はない」と真っ向から否定していた。
余談(ネタバレ込み)
- コラスとの決闘の際にマスクを装着しているが、これはアクション代役のアクターとの交代の際に違和感がないように設けられたもの。しかし、池田氏と忍成氏のアクションが現場で思いのほか高評価だったこともあり、代役なしのアクションとなった。
暴虐を尽くしたゲームマスターの末路
- 第16話「謀略IR:キツネ狩り」
ギーツ/英寿の存在を許さないギロリは、敗者復活戦「キツネ狩り」と称して彼の排除を画策。「ヒュプノレイ」を装着させたプレイヤーライダー(恐らくデザグラ側のスタッフ兵士)を「猟犬」として送り込み、「最終ゲーム」として景和と祢音にデザ神に就任してもらう代わりに、「狩人」として追い詰めたギーツを排除させようとした。
英寿の「くだらない」願いのために自分の願いを棄ててはならない、と景和を焚きつけたうえでコマンドツインバックルを与えて揺さぶりをかける一方、洗脳させておいたパンクジャックをギーツと戦わせた末、ヒュプノレイを時限爆弾としてウィンを頭から自爆させギーツと心中させようとするという、もはや擁護のしようがないほどの凶行に走ってしまう。(しかも、それがギーツの抵抗で失敗したその直後に「パンクジャックめ、最期まで役立たずだったか。」と吐き捨てる始末。これはさすがに…。)
そして、ライダー同士を戦わせる理由を「世界を守るためにギーツに代わる救世主が必要であり、そのための試練である」とツムリに主張した。
その後、ギーツとタイクーンが戦闘している隙に自らギーツを粛清しようとグレアに変身し攻撃を試むも、それを事前に予測していたタイクーンのコマンドツインビクトリーで相殺され、更には祢音が父親である鞍馬光聖を通じて「ゲームプロデューサー」であるニラムに告発したことで、彼女とともに現れたニラムに攻撃の瞬間を見られてしまう。結果、ゲームマスターの座を剥奪されることを宣言され、逆に窮地へ追い込まれてしまい、その際に英寿の願いを公然と「くだらない」と一蹴した。
確かに多くの参加者が書いた理想の世界はどれも欲に塗れており、ゲームマスターのギロリからすれば彼らは愚かで自分勝手な連中に見えただろう。そんな中で今回の英寿の願いは「自分がDGPのスタッフになっている世界」。どんな手段を使ってでもDGPの存続を第一とするギロリの目に、この願いは「奇妙」にして「危険」な「叶える価値の無いもの」に映ったかもしれない。
しかし……。
タイクーン「どんな願いだって、命を懸けて戦う限り立派な願いなんだ…それをくだらないなんて言うあんたが許せない!あんたは、みんなの思いを踏みにじったんだ!」
戦いを通して成長した景和に正論をぶつけられてしまい、感情の制御が効かなくなり激昂。自棄になってプレイヤーを「強制退場」させるべく、襲い掛かった。
最初こそグレアの高いスペックもあり互角以上に戦っていたが、自棄になっていたうえに3対1の数的不利な状況を打開できるはずもなく徐々に押され始め、最終的はナーゴのタクティカルファイアとタイクーンのタクティカルレイジングを防いでいる隙に叩き込まれたギーツのコマンドツインビクトリーによるライダーキックで吹き飛ばされ敗北。
それでも往生際悪く抵抗するものの、最後は「これ以上、大切なプレイヤーを傷つけられては困る」と割って入ったニラムのプロデューサー権限(指パッチン)によってグレアの変身を強制解除させられた後、「ルール違反」の罪で強制的に消滅させられた。
「ジャマトは今も成長し続けている!私が仕切らないで、あいつらとどう対抗するって言うんだ!」
消滅する寸前にそう言いながらニラムに向かってパンチしようとするも、既に実体が消えかかっているため当たらず、「あなたの代わりはいくらでもいる」と容赦なく切り捨てられたことで、悔しさと無念の入り混じった表情を見せながらドライバーを残して消え失せたのだった。
明確な生死は不明であるが、公式では「更迭」とされており単純に未来に強制送還された可能性も否めない。
その後
後任としてチラミが充てられたが、彼からは「硬派すぎた」「全員が世界平和のハッピーエンドだけを願って観ているわけじゃない」などとこき下ろされたほか、ジットは恐らく彼のことを意識し「自分は世界平和に興味はない」と豪語したりする形で触れられている。
ギーツⅨ初変身時に英寿は「俺は忘れない…この世界の全てを!」と主張。その際の回想にギロリとツムリとの家族としての思い出もあり、彼なりに思う所もあったようだ。
さらなる余談
本編ではゲームマスターであることを利用して暴虐を尽くして自業自得の末路を迎えた···ように見えたが、MOVIEバトルロワイヤルでの発言(ネタバレ注意)を見たりプレイヤーに正体発覚前までは何かしら手助けをしたりと好意的な一面もあったことから根は良い人物だった可能性もあり、英寿にデザグラのスタッフになられて下手に真実を暴かれたり好き勝手されるのを防ぐため焦ってなりふり構わず英寿を落とそうとしたところが彼の失敗点と言える。
英寿をゲームマスター権限でごり押しにも近いやり方で排除しようとせず、力強く警告・諌めるなどして諦めさせていればギロリも好印象なままでいられたかもしれない(英寿の性格上、簡単に諦めるようには思えないが)。公式でも「卵の殻を片付けていた紳士なギロリさんはどこへ…」と言及されている。
また、前述もしたがここまでの行動のせいで一部ファンの間ではアホ説すら立てられ始めた。
- ウィンを手駒として扱った挙げ句雑な切り捨て方(記憶保持を反故にしたこと)をしたら当然裏切られる可能性もあったこと
- 英寿を脱落させても「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参戦できる世界」という願いがあるため(英寿を殺しでもしなければ)どのみち英寿が再参戦確定でギロリにとっては絶望的であること
- タイクーンを通じて英寿を抹殺しようとし景和をデザ神にしようと目論んだが、万が一英寿を本当に殺して景和がデザ神になったところで景和の「退場した人達が蘇った世界」という願いで即英寿が復活する可能性があったのでほとんど意味がない
- そもそもデザイアグランプリなんかで世界を救えると本気で思っているのがまずおかしい(これは英寿や景和にも言えることだが…)···と言いたいが、裏を返せばエンターテインメント用の造られたヒーローであっても、その中から真の意味でヒーローとなる仮面ライダーが現れる、と信じていたのかもしれない。
あるいは、こうした度重なる失策や数々の強引な手法を見るに、根が真面目であるがゆえに謀略や駆け引きなどを本来苦手としており、英寿を前に焦ってそれを無理にやろうとしていたのかもしれない(後述の『ギーツエクストラ』に登場した際も、「従わなければ力ずくで従わせるのみ」と、そんな人格が垣間見える台詞を発している)。
いずれにせよ、「コントロールが効かなくなるとは……彼らとの接触が原因か」とニラムも言っていた通り、たった一人の脱落のためだけになりふり構わず悪に走った彼の行為は擁護のしようがないものであるため、英寿達やニラム、視聴者からも呆れられても仕方がないといえる。
こうしてギロリは退場してしまったが、ファンの間ではメタ的な理由として「忍成氏が相棒でのゲスト出演、日本テレビ系列で2023年1月~3月に放送される土曜ドラマ『大病院占拠』に赤鬼役で出演するため、スケジュールの都合でしばらく出演できなくなったからではないか?」と推測されている。脚本担当の高橋悠也も、それを考慮した上で年内で退場する予定を当初から考えており、その退場もデザイアグランプリの内情を紐解いていく過程で必要であったと思ったとのこと。これまでの前例から、「もしかしたら、また復活するんじゃない?」といった再登場を期待する声もチラホラあるが、ギロリ退場後の忍成氏のスケジュールはかなりひっきりなしに仕事が舞い込んで来ており、現在はNHK大河ドラマ『どうする家康』に大谷吉継役で出演しているため、復活の可能性はかなり低いと思われていた…。
なお、公式から「歩くトラブルメーカー」と称されるほどの大失態を犯しているチラミや、ろくでもないゲームを開催して世界を混沌に陥れようとしたコラス、世界平和に微塵も興味がないバッドエンド請負人のジットなどと比べれば、「世界を守るためのゲーム」を行っていた彼は至極真っ当な運営をしていたと言える。
英寿の排除も、このまま勝ち続けた場合「ギーツの不敗神話」がいずれ「どうせまたギーツが勝って終わりの出来レースだろ」という反応に変わり、マンネリ化と観客離れを引き起こしてデザイアグランプリの存続を脅かす恐れがあるからだった。
また、上記の通りジャマトの進化に対してDGP運営の誰よりも速く気付き対処しようとしている。
結果的に暴走してしまったとはいえ、裏方に徹して本人なりに真面目にデザイアグランプリを進行していたギロリは、(英寿の排除にさえ執着しなければ)ゲームマスターとしてはまだまともな部類だったのではないかと視聴者から再評価され始めている。
実際、彼のやり方を「硬派すぎる」と評し躊躇うことなく素顔を晒していたチラミは、それが遠因となりヴィジョンドライバーを奪われただけでなく変身に必要な指紋すらもコピーされてしまうなどの大失態を犯していたが、マスクと手袋で徹底的に正体を隠していたギロリなら簡単にドライバーを奪われることはなかったかもしれない。
その後も本編が進む度に、曲者揃いの運営幹部と対比する形でギロリの評価は少しずつ上がっており、いつしかファンの間では「ギーツに固執さえしなければ運営として有能な男」として認識されるようにもなっている。
加えて前述の劇場版や後述の外伝における言動から、世界平和を望む志やデザイアグランプリに対する信念は本物であることがうかがえ、倫理観がズレている者の多い未来人の中では寧ろ異端とも言える価値観の持ち主だったと見て良いだろう。
なお、英寿の「俺がデザイアグランプリの運営になっている世界」という願いを「くだらない」と一蹴したことについてだが、創世の女神の真実を知って改めて聞くと180°意味が変わる。
もし創世の女神の真実を知っていたと仮定すると「こんな願いで女神の力を使うのか=人々の幸せを消費してしまうのか」と嘆きが詰まっているようにもとれてしまう(仮に知らなかったとしても、今後の展開の暗示をしているかのよう)。
事実、真相を知った景和も似て非なる言い回しで英寿に怒りをぶつけていた。
ギーツエクストラでは
黎明編(第1話)前後での様子が描かれた。
ウィンをはじめとした新規デザグラスタッフ達を集め、「研修」の名目でその過酷な裏側を見せつけ、あるいは体験させた。
グランプリの各ミッションは相応に過酷であるため、事の重大さ、及び運営に携わる者の責任の大きさを認識させるためだろうとは思われるが……。
時が経ち黎明編の最終戦が開始され、サロンのコンシェルジュとしてゲームの状況を見ていたが、勝者が決定した直後に真島一樹率いるDGPスタッフらがくすねたライダーコアIDで願いを叶えようと謀反を起こす。
しかし、スタッフ内部に不穏な動きがあることを察していた彼は逆に裏切らないであろうと見込んでいたウィンに事前に用意していたコアIDを渡し仮面ライダーパンクジャックに変身させ、自らもゲームマスターとして制裁するため仮面ライダーグレアに変身。
DGPスタッフの警備隊ライダーを、ヒュプノレイによるリモートコントロールにより強制鎮圧した。
その後、デザ神になった浮世英寿を警戒するようにウィンに指示。本編へと繋がることとなる。
そして…
英寿 「………おかえり。」
「きっと ここへ帰ってくると思っていたよ。」
「"父さん"。」
「世界平和」を志すゲームマスター、帰還(第48話以降のネタバレ注意!)
- 第48話「創世Ⅹ:ツムリの鎮魂歌」
「……運営に抗うとは、相変わらず大胆不敵な男だな。」
創世編の終盤、DGPのエグゼクティブプロデューサー・スエルが仕掛けた「終幕のデザイアグランプリ」の開始に伴い、脱落・逃走するプレイヤーを粛清する目的で「ゲームマスター」が全世界へ大量に投入される。その中にはなんと「更迭」されたはずのギロリも混じっており、ゲームマスターとしてまさかの再登場を果たすこととなった(どうやらスエルの指揮のもと駆り出されたらしい)。
しかし、彼は一部のVIPのみの需要に応えて世界を破滅へと導こうとするスエルのやり方に賛同せず、かつて英寿とツムリとともに生活していた民家を訪れ、そこでひと足早くやってきていた2人とも再会を果たした。
その後、英寿達に世界の命運を託す覚悟を決め、彼を創世の間に案内する。世界の破滅を望むVIPのみを優遇し、「世界を守るためのゲーム」であるはずだった自身のDGPとは程遠いやり方を行うスエルに対し、
「デザイアグランプリはいつから一部のVIPのみを楽しませるコンテンツになったのだ!」
と激しく抗議。
スエルからは「全ての原因はギーツだ」と返され、かつてはギロリ自身も英寿=ギーツを目の敵にしていたという指摘を受けるものの、
「しかし彼は今、世界平和に貢献しようとしている!彼こそが、我々が求めていた"仮面ライダー"のあるべき姿ではないのか!」
と、かつてあれだけ険悪な仲であった英寿を自分が求めていた仮面ライダーであると認め、自身より圧倒的に立場が上であるスエルに対して運営のあるべき姿を説いたのだった。
- 第49話(最終話) 「黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!」
そして、最終話にて神となった英寿によってスエルが倒され「誰もが幸せになれる世界」に英寿が世界を創り変えたことで、存在基盤を失ったDGP運営が消滅し始める。ゲームマスターたる自らも消滅するとすでに悟っていたのか狼狽える様子を一切見せないまま、4次元ゲートも閉じられ元の時代に帰ることもできず錯乱していたサマスの元に現れた。
「言ったはずだ。お前たちの思い通りにはならないと。これがオーディエンスの総意。我々運営は消え去り、この時代の未来はこの時代の者たちに託される…!」
落ち着いた様子でこう説き伏せると、遥か過去に生きる者たちの希望ある未来を願いながら、サマスや黒いツムリと共に消滅していった…。
こうして、DGPの中で世界平和を志し、現代人の可能性を認めたゲームマスターはその役目を終えたのだった。
最後に英寿が「誰もが幸せになれる世界」を創ったことで、彼の願いも叶ったといえるのではないだろうか。
そして彼の志は、代償なく幸せになりたい人々の願いを応援する新しいDGPや、現役復帰を目指す者、人とジャマトの共生を願う者、美味しい肉を食べたい者、大量の願いを叶えたい者、白馬の王子様を求める者、そして自身と同じく「世界平和」を願う者、などによって受け継がれている。
きっと、彼も天からこの世界の未来を見守っていることだろう…
真なる余談
- 上記の通り、ギロリは第16話で一時的に退場していたため、忍成氏は第48話での登場により32話(約8ヶ月ぶり)ぶりの出演を果たした。
- 忍成氏も「ついにギロリが戻ってきました。ラスト間近での再登場、作品の始まりと終わりに関われて幸せでした。最後まで演じてみてギロリには彼なりの正義があったのかなと感じます。『皆が幸せになれる世界』がギロリの望む世界と交わるのか、それとも…。最後までお楽しみください!」とコメントし、再登場を喜んでいた。
- そして最終回、忍成氏は「ギロリの願いも最終的に叶ったのかな。」とコメント。ギロリの望みと『皆が幸せになれる世界』は確かに交わることができたのだろう。
- そもそも、ギロリは元から世界平和を望むゲームマスターであり、自身の運営下で英寿を目の敵にしていた理由も、「あまりにも勝ちすぎていること」と「彼が願いを通じて運営を探ろうとしていたこと」が大きな要因であった。その双方が無意味となった今、英寿と敵対、敵視する理由も無くなった訳であり、さらに自身の理想とは程遠い運営状況も鑑みれば、スエルに反旗を翻すのも当然とも言える。
- 忍成氏は16話で一度オールアップを迎えているため、今回は2回目のオールアップとなった。
真の関連タグ
檀黎斗:脚本家が同じゲームを題材とした作品の紫のダークライダーに変身するゲームマスターであり、行動や最期などに共通点が多い。更に後に復活し主人公に協力する共通点も生まれた。