概要
1991年4月8日から同年12月23日にかけてテレビ東京、テレビせとうち、テレビ北海道、ティー・エックス・エヌ九州にて放送されたサンライズ制作のアニメ。また、テレビ大阪、テレビ愛知、奈良テレビに加えて、東北放送や静岡放送や中国放送(これらはTBS系列局)とか福島テレビ(フジテレビ系列局)やらテレビ新潟やテレビ金沢(この2局は日本テレビ系列局)でも何らかの形で放送されている。全37話。
海外でも放送されているが、警察を扱う番組であるためなのか多少の設定変更はなされている。
脚本の川崎ヒロユキによってノベライズが上下巻で刊行(版元は大陸書房)、短編も2篇アニメディア(学研)で掲載。CDドラマも発売された。
玩具もタカラから展開された。なりきり武器やジャックオンシステムを再現した玩具など、数々の商品が発売されたが、売れ行きはイマイチだった模様。しかし、合体システムは『電光超人グリッドマン』のアシストウェポンをはじめとする装着型ヒーロー、もしくはロボに継承された。なりきり武器の1つ『バスターショット』が同じ警察ヒーローである『勇者警察ジェイデッカー』のジェイバスターに流用されたのは有名な話である。
本放送以降、立体物に恵まれなかった本作だった(幾度かリメイク玩具の企画は挙がっていた様子)が、2023年11月にMODEROID(グッドスマイルカンパニー)からハイパーレッドジャックのプラモデルが発売、ジャックオンシステムを始め劇中で披露したギミックを再現している。他のメンバーの発売も期待したいが、2024年にアグリを演じた中村氏の不祥事が露見されてしまい、先行きに不安を抱えている。
ストーリー
近未来の世界では、これまでにない殺人やテロや電脳犯罪等警察の想定範囲内の限界を超えていた。ある日、財前コンツェルンのパーティーに犯罪組織イドのクライムモビルが現れ、主賓の少年財前純を襲う。彼を救う為に重傷を負った警視庁刑事の神崎ケン、F1レーサーアグリ亮、プロレスラー]豪田剛の行動に感服した警視庁の醍醐正尚は、瀕死の3人の勇気に報いるため、その体をサイボーグとして蘇生し、機甲警察メタルジャックの新たなボディと任務を与えた。
登場人物
神崎ケン/レッドジャック
本作の主人公。明るくお調子者の警視庁捜査課の若手捜査官。
アグリ・亮/シルバージャック
CV:中村大樹
F1レーサーの青年。キザでプライドが高い性格で、他人に愛嬌を振りまくのを嫌っているが、親しくなった人間には微笑みを見せる、いわゆるツンデレタイプ。元ネタは元レーシングドライバーの『鈴木亜久里』。
豪田剛/ブルージャック
CV:山口健
精悍で筋肉質の青年。世界一を目指す覆面レスラー。リングネームはゴンザレス剛。名前つながりであのガキ大将を思い出す視聴者もいた様子。
醍醐正尚
CV:加藤精三
通称「醍醐指令」。『メタルプロジェクト』の推進者でリーダー的存在。メタルジャックに素顔を隠しつつ指示を与えていた。『プロジェクトジャガーノート』にも関わっており、ケンと純の関係についても知っていた。
藩銀蓮
CV:佐々木優子
妙齢の女科学者。『メタルプロジェクト』の推進者の1人で、ケンにハイパー化を施した。ケンからは「銀ちゃん」と呼ばれている。
CV:まるたまり
財前コンツェルンの御曹司。子供にしては非常に高い知能を持ち、メガデスとトロイダルを作り出した。正体は財前コンツェルンによって人工的に作り出された天才児で、ケンとはある意味において兄弟であると同時に、限りなく同一人物に近い存在である実態が後半で明かされる。ケンの妹のさゆりとは相思相愛。
CV:小野健一
純の秘書を務める青年。純が危機に陥った場合は命を張って助けるなど、秘書の枠を超えて純に心酔して敬愛している。イドの幹部グルンワルト・ド・ギルリアとしての裏の顔を持ち、ひそかに暗躍していた。
純を新総統として『ネオ・イド』として組織を再建させたが、記憶の戻ったシャドウに過去を暴露され、組織自体もメタルジャックによって崩壊させられてしまう。最期は全ての罪を背負い逮捕された。
メガデス
CV:藤本譲
犯罪組織『イド』のボス。純を殺害しようとしていたが、後にメガデス自身が純によって作られたバイオ・ヒューマノイドである真実が明らかになった。第25話で純とギルリアの機転で中枢を破壊されたところをジャック・ストームを受けて倒された。
CV:速水奨
犯罪組織『イド』並び『ネオ・イド』の幹部。長身の美青年。敵側としては唯一ジャックアーマーに似た装備(ギルリア製作)を有する。
CV:小野健一
『イド』の幹部。仮面を着けた青年。正体は純の秘書・霧谷俊一。かつてはニコライ・ザイデンベルグとも名乗り、初期の『メタルプロジェクト』にも関わっていた。シャドウ(ディノ)達を実験台にするなど冷酷な性格。『イド』崩壊後、身分を捨ててケンやさゆりと暮らそうとした純を洗脳し、純を頂点とした新たな組織『ネオ・イド』を創設した。CD収録の後日談的ドラマで、醍醐正尚と同い年であると判明。
CV:冬馬由美
純によって作り出されたアンドロイド。トロイダルに愛を抱いて自我が芽生え、トロイダル最優先で行動するようになる。
シャドウ/ディノ
CV:島香裕
軍用に開発されたメタルアーマーの生き残り。かつてギルリアにより軍事用に開発された試作型ジャックアーマーの実験体にされ、その際のショックで記憶をほとんど思い出せなくなる(この事件がきっかけで『メタルプロジェクト』が中止に追い込まれ、唯一生き残ったシャドウはコールドスリープの形で封印された)。当時のコードネームはB-9。
自分や仲間達を犠牲にしたギルリアに対し激しい憎しみを抱き、旧式のジャックブレスで警察無線を傍受しては、メタルジャックが出動する事件に介入する(ギルリアに遭遇するかもしれないため)。愛用のハーモニカは人間の頃に親友の妹からもらった物である。
吉沢えり子
CV:天野由梨
ケンの同僚の女刑事。プロレスのファンでもあり、ケンを通じて知り合った剛と婚約した。
CV:荒木香恵
ケンの妹。兄思いでしっかり者。純とはケンを通じて知り合い、相思相愛になる。
城ヶ崎課長
CV:稲葉実
ケンの直属の上司。事件が起こると姿を消す(メタルジャックとして出動する)ケンに頭を悩ませつつも、それを周囲から指摘されるとケンをかばう等、面倒見のいい上司。若い頃、ロボット兵器の密売事件を捜査中に同僚の刑事が殺された為、捜査本部が解散してもたった1人で捜査を続けていた。第30話「時効成立5分前」で、時効を知っていたレッドジャックの正体がケンであると気づくが、知らぬふりをしていた。
萩原
CV:糸博
剛の所属ジムのレスラー兼トレーナー。
神崎源一郎
CV:岸野一彦
ケンの養父にして、さゆりの実父の警察官。財前夫人から赤ん坊だったケンを託されて、我が子として育てた。さゆりが産まれて間もない頃、かつて逮捕した牧江田が復讐に現れ、さゆりを人質に取られたために負傷してしまう。死の間際、ケンが養子であると明かして息を引き取った。
神崎和美
CV:西宏子
ケンの養母にして、さゆりの実母。
財前会長
CV:仁内建之
財前コンツェルンの会長で純の父親。クライムモビルのミサイルによって爆死する。人工的にケンや純を作り出す等、終盤で物語の元凶である実態が明かされる。
財前夫人
財前会長の妻。廃棄処分されそうになったケンを連れて財前コンツェルンから逃亡する。力尽きて亡くなる間際、偶然通りかかった源一郎にケンを託して死亡した。
ジャックオンシステム
※左はハイパーレッドジャック、右は上からシャドウジャック、シルバージャック、ブルージャック
素体となるサイボーグに追加装甲を装着し、身体能力を強化するシステム。元は軍で開発を行っていた『メタルプロジェクト』から誕生したサイボーグ兵士だったが、ある事件によって人間兵器としての運用に疑問を持った醍醐達開発メンバーが離脱し、機甲警察配備計画として新生させたものである。
素体形態はジャックスーツと呼ばれており、携帯銃である『バスターショット』や電磁警棒『サーメットスティック』で武装している。この状態でも十分な戦闘能力を有している(それを活かした人命救助を行う場面も多々ある)が、大型の敵に対しては強化パーツを着込むように合体(ジャックオン)し、ジャックアーマー形態をとる。
アーマー形態では素体時を遥かに上回る機動力や防御力、パワーを持ち、それぞれの特性を生かした戦法で戦う。
腕には変身アイテムである『ジャックブレス』を携帯し、機甲警察のエンブレムを展開してフリーパス扱いとなる。これを見せるといかなる場所でも捜索可能となるのだ。
レッドジャックアーマー
神崎ケンが変身したレッドジャックが、警察犬型ロボの『ランダー』と合体して誕生するスピード重視のファイター。合体前のランダーはそれほど大きくない(大型犬とほぼ同じ大きさ)が、ジャックスピーダーに変形した際には3倍以上の大きさになる。ちなみにランダーは通常は他の警察犬ロボと同じ灰色のカラーリングに偽装している。
前腕にエネルギーを蓄えて、超振動で敵を粉砕する『メタルクラッシャーパンチ』を必殺技とする。他にも手持ち武器『ハイパーマグナム』での精密射撃も得意とする(ほかの2体も射撃武器を持つがレッドほど多用していない)。ハイパーレッド登場後も状況に応じてレッドジャックに合体するケースがあった。
シルバージャックアーマー
アグリ・亮が変身したシルバージャックと小型ジェットマシン『ジャックファルコン』と合体して誕生する。冷気を使用した技を得意とし、冷凍光線『ブリザードビーム』や近接武器であるソニックカッターを多用する。ジャックファルコンは主に人命救助での活躍が多く見られ、冷気を利用した消火活動などを行っている。
ブルージャックアーマー
豪田剛が変身したブルージャックと4輪バイク『ジャックローダー』が合体して誕生する、パワー重視のアーマー。背部バーニアを全開にして体当たりを敢行する『ジェットダイナマイト』が必殺技。水中戦にも対応しているが、剛がカナヅチなせいで真価を発揮できていない。ジャックローダーは地上のみならず水上・水中でも行動可能。
シャドウジャックアーマー
シャドウが変身したシャドウジャックと支援ロボ『ボルター』と合体したアーマー。ボルターはAIを搭載しているため自立稼働が可能。シャドウの命令に服従する相棒でもある。
両肩のキャノンや無数のミサイルで武装。元々軍用として製作されたものであるため、他3体より攻撃力・防御力共に高い。ただしレッド達より1世代前のアーマーなので合体時間に制限がある。
当初は単独で行動(どこで弾薬を補充してるのかは聞かない約束)してたが、記憶を取り戻した終盤はメタルジャックに合流、以降は4人目のメンバーとなった。
放送が短縮しなければもう少し早い段階でメタルジャックのメンバーに編入し、その際に改造を施され『ハイパーシャドウジャック』になる予定だったとされる。
ハイパーレッドジャックアーマー
イドに奪われたジャックアーマーにより瀕死の重傷を負わされたケンが、再改造を施され誕生したハイパーレッドジャックに、トライクおよびジェットに変形する『レッドセプター』が合体したメタルジャック最強のジャックアーマー。
ジャックアーマー3体と互角以上の戦力を持ち、シャドウジャックに匹敵する武装を併せ持つ。『Jバード』を背部に装着すると飛行可能。ロングライフルである『バーストライザー』とジェットロケット推進の高速パンチ『ジェットメタルクラッシャーパンチ』を必殺技とする。シルバーとブルーとの連携でエネルギー渦を作り、そのまま体当たりを敢行する『ジャックストーム』が最大の必殺技。
所謂アニメや特撮にあるパワーアップイベントだが、そのせいでランダーが半ばお役御免となったのは少し寂しかったり(一応Jバードを付けて飛行は可能なので出番はあるのだが……)。
主題歌
オープニングテーマ
「JUST DREAM ON」
作詞・作曲・編曲・歌:JACK BITES
エンディングテーマ
「HOLD ON」
作詞・作曲・編曲・歌:JACK BITES
都市伝説
本作には以下のような都市伝説が存在する。しかもこれらはサントラ盤CDのライナーノーツに書かれているのだ。
- 本来は『電脳警察サイバーコップ』の続編として東宝製作・日本テレビなどで放送予定の特撮ものとして企画されていたが、紆余曲折を経てアニメになった。なお本作は先述の通り日本テレビ系列局の内の2局で放送されたのだからある意味皮肉なものである。また成否は別として変形合体の描写等は、当時の水準を見てもやはりアニメに分があった。『 サイバーコップ』の関係者にとっては残念な結果になったが、これは「苦渋の末の正しい英断」と言えた…。
- 元々は1年間放送する予定で、後半はケンや純、イドの秘密が少しづつ解明される予定だった。しかし関連グッズの売り上げや視聴率が振るわず、9ヶ月で終わることを余儀なくされることに。終盤急展開になったのはそのためだが、駆け足ながらも謎を解明し終了している。
関連タグ
- 株式会社サンライズ:制作アニメスタジオ。
- スタジオディーン:制作協力。サンライズ作品ではあるものの実質ディーン制作と言えなくはない。
- 未来警察ウラシマン、超獣機神ダンクーガ、赤い光弾ジリオン、超音戦士ボーグマン、宇宙の騎士テッカマンブレード:ハイテク兵器を使用する少人数チーム、主人公に当時の若手声優を起用した点で共通。また、先述の都市伝説の通りであれば、ダンクーガとボーグマンとは放送短縮の憂き目に遭う共通点もあるとされる。そして別の都市伝説つながりでは特撮版メタルジャックは、東宝で製作予定だった点から、ボーグマンの企画も東宝が参加しており、これも共通点である扱いになる(特撮版が実現していれば、同じ放送局繋がりにもなっていた模様)。
- 電脳警察サイバーコップ:東宝製作の特撮番組で同一スポンサー繋がり。また、先の都市伝説の通り特撮版が実現していれば前番組になる筈だった……らしい。本作同様、サイバーコップも3クールで終了しているのも共通点。
- 特救指令ソルブレイン:体裁が異なるが、東映のレスキューポリスシリーズの一本。放送時期がほぼシンクロしていたが、このシリーズも一部『 サイバーコップ』の影響を受けていた。