怪盗キッド
かいとうきっど
「よぉボウズ、知ってるか?怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが…探偵はその跡を見つけて難癖つける……ただの批評家にすぎねぇんだぜ?」
CV:山口勝平
概要
変幻自在・神出鬼没の大怪盗であり、白いタキシードにシルクハットとマントといった紳士のような出で立ちで現われ、いかなる厳重な警備も堅牢な金庫も魔法のように突破し、悠然と夜空に翼を広げて消え失せる白き罪人。
宝を盗む際には予告状を出し、警察や探偵の妨害を躱し華麗に宝を盗む様を「マジックショー」と称している。
盗んだ宝石類は152点。被害総額は387億2500万円。
初代怪盗キッドを父に、怪盗淑女(ファントム・レディ)を母に持つ、怪盗の血筋におけるサラブレッドである。
元々の呼び名は怪盗1412号(ICPOだかCIAだかがつけたシークレットナンバー)だが、とある若手小説家が新聞記者の殴り書いた1412を「KID.」と読んだことで、その名が世間に定着したことに由来する。
ちなみに彼の特徴的な衣装は基本的には初期から変わっていないが、最初期にはシルクハットのリボンにトーンが貼っていなかった(新装版『まじっく快斗』一巻巻末コメントによるとお金が無かった為らしい)り、袖口にボタンが付いていた(『クリスタル・マザーの巻』以降無くなった)りと若干の変遷が見られる。
人物
能力
白馬探曰く「僕の思考を狂わせた唯一の存在」。
いかなる事態にも臨機応変に対応する優れた洞察力とIQ400の頭脳を持つ(原作やビジュアルブックのプロフィール等で公式設定として記載されている)。
変装時に相手の免許証ナンバーまで暗記し、重力と落下速度(落下時間)を瞬時に計算するなど、記憶力や計算力もかなり高い。外国人に変装した際は流暢な英語を喋っており、一瞬でパスワードを暗記してセキュリティを突破した。
謎をつくりだすことを得意としているからか、謎解きは探偵に丸投げしてサポート側に回る傾向にあるが、『ゴールデン・アイ』、『ダーク・ナイト』、『真夜中の烏』などでもわかるように優れた推理力の持ち主でもある。
ピッキング能力も自称ライバルの鈴木次郎吉に見込まれるほどの腕である。
変装
マジック、変声術(変声機無しで、無数の声色を操る)を使える。
外見だけでなく、相手の癖や動作、性格までも完全にコピーすることができる。たまに瀬戸瑞紀や土井塔克樹など新たな人格のオリジナルキャラクターの変装をすることもある。
男性に変装する場合は元の人物の衣服を奪うこともあるが、女性に対しては手荒な真似はせず、事前に服を用意している(男性と勘違いされた世良、ある思惑から自らの服の借用を承諾した園子は例外)。
戦闘力
身体能力は非常に優れている(母親の黒羽千影譲りだと思われる)が、純粋な戦闘においては不利になり易く、「キッドの戦闘力はゼロです」と作者からも明言されている(探偵コナン怪盗キッドシークレットアーカイブス with『まじっく快斗』より)。
実際、後述する『名探偵コナン』登場回では超人的な戦闘力の持ち主である毛利蘭や世良真純、京極真には苦戦している。同作劇場版では凶悪犯に狙撃された事もあり、さらにルパン一味や黒の組織を相手にした事もある為、戦闘力の高い犯罪者相手だと一歩劣ってしまう。
過去に鉄刃とは良い勝負になるほど格闘していたこともあった(恐らくギャグ補正)が、肉弾戦で相手を圧倒するという描写は皆無である。
手下の存在
中森警部によると『老人』、「若い女』など色々と報告があるが、仲間らしき人物が1人いるらしい。怪盗キッドの驚異空中歩行、怪盗キッドの瞬間移動魔術では正体は伏せられているが明確に手下らしき人物が登場している。
目的
父親を殺害した組織への仇討ちとその組織が狙う不老不死になれるというビックジュエル「パンドラ」の破壊である。当初は「怪盗キッドの復活」を喧伝し、父の仇との接触を目論んでの活動であり、実際に組織と接触した事でその目的も知る事となった。
金銭的な目的や美術品のコレクションと言ったものに興味はなく、パンドラであるかを確認後に盗品を返す事がほとんど。たまに義賊として活動し、正当な所有者の元へ届くように手配する。
なお、パンドラに関しては不老不死を目的としている為、作品を越えた存在と推測する読者も少なくはなかったが、作者曰く黒の組織とは別の組織らしい。
正体
当初は報道の一面に飾られるのを自画自賛で有頂天になることもしばしばであったが、キッド専任の中森警部の娘の青子から非難されたことで内心反省し、危うく愉快犯に陥っていた事と改めて父の死の真相解明の目的を自覚する場面もあった。
また、僅かな期間ではあるが、盗一が死亡してから快斗が継ぐまでは寺井黄之助がキッドを務めていた事もある。
正体を知る人物は以下の7人。
同じ正体を明かせない主人公である江戸川コナンが暗黙の内に把握する協力者を増やしつつあるのに比べ、キッドの正体を知る人物は依然として少ない。
これは正式な協力者が寺井のみであること、キッドが犯罪者である為に正体の隠匿を徹底しなければならないこと、世間的に有名な工藤新一に対し黒羽快斗はあくまで無名の一般人であることなどが要因として考えられる。本人も寺井と千影以外からはキッドの正体を疑われても否定している(特に白馬と紅子)。
メタな観点からは、不定期連載となり物語のペースが遅くなっている事情も大きい。
『名探偵コナン』
『コナンvs怪盗キッド』にて本編初登場。この時は一度きりのゲスト出演だったが、人気を博したことでその後も度々登場しており、今となっては準レギュラー枠である。
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マスコミからは「月下の奇術師」「平成のアルセーヌ・ルパン」と呼ばれ、当人も怪盗は「創造的な芸術家」であるのに対しそれを追う探偵の事は「難癖をつけるただの批評家」にすぎないという挑発的な発言があった(元ネタはG・K・チェスタトンの『ブラウン神父の童心』に出てくるヴァランタン警部の台詞)。
黄昏の館に集まった名探偵たちからは
「狙った獲物は逃さない。その華麗な手口はまるでマジック……」
「星の数ほどの顔と声で警察を翻弄する天才的犯罪者……」
と評される。
ただしここ数年の登場回では調子に乗り易い性格が災いしてか、
- 手厳しい反撃を喰らったり(怪盗キッドの驚異空中歩行/怪盗キッドと四名画/キッドvs.四神探偵団)
- 変装した人物から最後に顔面に飛び蹴りを喰らったり(怪盗キッドと赤面の人魚)
- 黒の組織に爆死寸前まで追い込まれ命からがら逃走(漆黒の特急シリーズ)
- ある人物の秘密に気付いてしまい証拠隠滅に追い込まれる(怪盗キッドの絡繰箱)
など、本家でのコメディチックな部分が頻出してきたことで、初期の頃のクールでミステリアスなイメージは薄くなっている。
劇場版
2024年現在、以下の7作に登場。
同じく時を重ねるに連れコメディチックな面が増えているが、『業火』ではダークな印象で描かれており、厳格な正義漢であるニューヨーク市警のチャーリー警部に「目的のためなら手段を選ばないテロリスト」と断じられてしまうなど批判的な意見を持たれた(これは後に真実を知ったことで評価が変わった模様)。
人間関係
- 江戸川コナン / 工藤新一
『世紀末』でコナンの正体を知り、偶然新一と素顔も声も瓜二つだったため、服と髪型だけ変えて彼のふりをして堂々と現場に現れるのが映画の定番と化しており(『鎮魂歌』『五稜星』を除く)、『難破船』では佐藤刑事と高木刑事に「キッドの正体が新一」と誤解された。
なお正体を知っている設定は、原作にも経緯を変えて引き継がれている。
恩返しとして塩を送った『世紀末』を始め当初はコナンをからかう悪ノリがほとんどだったが、彼らが恋人になった後はさすがに控えている。『紺青』のラストシーンで「オレはもっと良いブルーサファイアを持ってるから」と言わせる案もあった。
ちなみに蘭もキッドの変装に騙されることも多かったが、『難破船』では終盤「新一が絶対にやらないようなこと」をされたため看破し、『紺青』ではほぼ序盤で偽物であることを見破るに至っている。
自身の熱烈なファンだが、面と向かって会話をしたのは原作『怪盗キッドVS京極真』などごく僅か。
園子の伯父である鈴木財閥相談役。かつてキッドに新聞の一面を横取りされたことから一方的にライバル視されている。
園子の彼氏。前述の原作、および『紺青』で対決。
『世紀末』『鎮魂歌』を経て、原作では『キッドVS高明 狙われた唇』で初共演。このとき彼の幼馴染である遠山和葉に変装したが、それに気づかれず壁ドンされ、キスされそうになったため恨まれており、『五稜星』での対決に繋がった。
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クロスオーバー作品『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』にて、ルパンがキッドの正体を知っているような言動をしており、ついでに峰不二子がキッドのファンでことも示唆された。
関連イラスト
関連タグ
タキシード仮面:『美少女戦士セーラームーン』の登場人物。キッドをモチーフとするキャラクター。
彼の初代声優は『コナン』にも準レギュラー出演しており、近年になって原作で対決した。
またキッドを演じる山口勝平氏は『セーラームーン』の実写ドラマでアルテミスの声を担当。