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顕彰馬の編集履歴

2024-06-04 15:16:29 バージョン

顕彰馬

けんしょうば

JRA顕彰馬は、中央競馬で多大な功績を挙げた競走馬を讃える制度。競走馬の殿堂入りに相当する。 メイン画像は2008年に顕彰馬入りしたディープインパクト。

概要

JRA発足30周年にあたる1984年に表彰開始。(グレード制の導入もこの年)

歴代の牡馬三冠馬は8頭全てが選出されているが、牝馬三冠馬は7頭中3頭のみである(スティルインラブアパパネは2023年現在未選出、デアリングタクトは2023年の選考時点では現役であったが後の10月に引退、登録抹消、リバティアイランドは2023年現在現役)。

顕彰馬の選考方法は時期によって変更されているが、現在は競走馬登録抹消後1年以上20年以内の競走馬が投票対象となり、毎年競馬記者たち(JRA賞の投票資格者とほぼ同じ)の4頭以内の連記による投票で75%以上の得票を得た馬が選出される。


具体的には1999年までは競走成績が優秀であること(GIの重賞で3勝以上)それに準じた成績を挙げ、繁殖入りした後の産駒の成績も優秀であること(GI優勝が種牡馬なら5頭、繁殖牝馬は2頭以上)その他競馬界の発展に貢献があった競走馬ハイセイコーはアイドルホースとして競馬の大衆文化の向上に寄与、テンポイントは獣医学の進歩に貢献し、その後の競走馬に対する医療技術の向上につながったため)、という3項目だった。

1990年の顕彰馬が多いのは制度ができた1984年にトウショウボーイが顕彰馬に選ばれたのに対し、テンポイントが入っていないことに対する抗議が多かった(種牡馬実績がなかったため。後に前述の理由もあり顕彰馬となった)ことや、制度発足時と状況が変わってきたことから再選考を行ったため。これにより、テンポイントに加えコダマスピードシンボリメイヂヒカリが選ばれた一方、ダイナナホウシユウグリーングラスのように優秀な成績を収めながら選考漏れした競走馬もいる(前者は一人の選考委員が馬体が小さく風格に欠けると反対したため)。


1999年のタイキシャトルを最後にこの選考方法は廃止され、記者による投票となったのだが、2003年までは登録抹消から20年以内の年数制限がなかったため、20年以上前の馬に投票する古参記者と最近の馬に投票する若手記者で票が割れてしまった。その結果、実績の面では顕彰馬として十分な成績を残したテイエムオペラオーが落選する事態となり、JRAに抗議が殺到。その結果、引退からあまりに時間の経過した競走馬は選出されないよう登録抹消から1年以上20年以内の競走馬を選考対象とするよう制限ができた(これにより、テイエムオペラオーは2004年の顕彰馬となっている)。

2015年には活躍のジャンルが増えてきたことから投票可能数が4頭に増やされ、現在に至っている。


ただ、票が割れてしまうと、顕彰馬なしとなる年も多く、2022年に選考対象になったアーモンドアイキングカメハメハと票が割れてしまい、受賞を逃している(その後アーモンドアイは2023年の顕彰馬となっているが、今度は同年に選考対象となったコントレイルが票割れにより受賞を逃している)。かのシンボリルドルフをも上回る勝利数を挙げたはずのアーモンドアイの受賞が一発で成らなかった事は、JRAへの、ひいてはこの制度への批判のうねりを起こした。この批判の嵐はJRAと競馬記者らにとって、完全に予想外であったようだ。部内からも制度への批判が巻き起こったからである。そのためか、『世間の猛批判を見て、選考資格者が日和ったのではないか?』という、辛辣な意見も飛び出す有様となった。更に、アーモンドアイが一年越しに選ばれた一方、コントレイルが昨年のアーモンドアイ同様の憂き目に遭ってしまうという弊害(コントレイルもその一年後に選ばれた)も生じており、前途多難の様相を呈している。


この基準によらず、特例として顕彰馬に選ばれる例もある。2004年は年数に制限ができたため、それにより対象から漏れる競走馬を対象とし、2014年はJRA60周年ということで投票可能数を4に増やしたため。これにより顕彰馬となったのがタケシバオーエルコンドルパサーである。


顕彰馬一覧

生年順に列挙する。馬齢は2001年以降の現表記で統一する。

存命馬は馬齢のみ記載。

名前生年没年(馬齢)選出年競走成績主な勝鞍備考
クモハタ1936年1953年(17歳)1984年21戦9勝ダービー栗毛の貴公子 デビューから僅か9日後でダービー制覇 1952年から1957年まで日本リーディングサイアー
セントライト1938年1965年(27歳)1984年12戦9勝クラシック三冠黒鹿毛の勇者 初代三冠馬 後述トサミドリの半兄で唯一の兄弟顕彰馬
クリフジ1940年1964年(24歳)1984年11戦11勝ダービー オークス 菊花賞最強の牝馬 ダービーなどを制した「変則三冠馬」JRA史上最多連勝かつ生涯全勝馬
トキツカゼ1944年1966年(22歳)1984年30戦11勝皐月賞 オークス名牝 現役時は皐月賞・オークスの変則二冠を達成、繁殖牝馬としても年度代表馬2頭を送り出す
トサミドリ1946年1970年(24歳)1984年31戦21勝皐月賞 菊花賞稀代の名馬 現役時は皐月・菊の二冠のほか、11連勝、レコード勝ち10回達成。種牡馬として八大競走優勝馬を7頭輩出、上記セントライトの半弟で唯一の兄弟顕彰馬
トキノミノル1948年1951年(3歳)1984年10戦10勝朝日杯3歳S 皐月賞 ダービー無敗の二冠馬でダービー直後に急死した「幻の馬
メイヂヒカリ1952年1980年(28歳)1990年21戦16勝朝日杯3歳S 菊花賞 天皇賞・春 有馬記念黄金の脚 初代有馬記念優勝馬。歴代顕彰馬で現役最古の天皇賞馬 クモハタとの父子顕彰馬
ハクチカラ1953年1979年(26歳)1984年日本:32戦20勝 海外:17戦1勝ダービー 天皇賞・秋 有馬記念 ワシントンB・H(米)栗毛の国際派 初めて海外の重賞を制した日本調教馬
セイユウ1954年1977年(23歳)1985年49戦26勝(内サラ戦25戦5勝)七夕賞 福島記念 セントライト記念サラブレッドとも互角以上の戦績を残したアラブの怪物
コダマ1957年1976年(19歳)1990年17戦12勝皐月賞 ダービー 宝塚記念夢の超特急 「カミソリの切れ味」と評された二冠馬 歴代顕彰馬で現役最古の関西馬
シンザン1961年1996年(35歳)1984年19戦15勝クラシック三冠 宝塚記念 天皇賞・秋 有馬記念最強の戦士 「ナタの切れ味」と評された二代目三冠馬 後に「五冠馬」 1984年顕彰馬選定当時唯一の関西馬
スピードシンボリ1963年1989年(26歳)1990年日本:39戦17勝 海外:4戦0勝天皇賞・春 有馬記念2勝 宝塚記念時代の先駆者 初の有馬記念連覇馬 シンボリルドルフの祖父(母父)
タケシバオー1965年1992年(27歳)2004年日本:27戦16勝 海外:2戦0勝朝日杯3歳S 天皇賞・春 スプリンターズS勝鞍は1000~3200と幅広く、ダートでも複数のレコード勝ちを収めた、「元祖怪物」と言われたオールラウンダー
グランドマーチス1969年1984年(15歳)1985年63戦23勝(内障害:39戦19勝)中山大障害4勝 京都大障害3勝飛越の天才 顕彰馬唯一の障害競走馬
ハイセイコー1970年2000年(30歳)1984年地方:6戦6勝 中央:16戦7勝地方:青雲賞 中央:皐月賞 宝塚記念国民のアイドル 第一次競馬ブームの立役者
トウショウボーイ1973年1992年(19歳)1984年15戦10勝皐月賞 有馬記念 宝塚記念天馬TTG」の一角。ミスターシービーの父
テンポイント1973年1978年(5歳)1990年18戦11勝阪神3歳S 天皇賞・春 有馬記念流星の貴公子 「TTG」の一角としてその悲劇的な死も知られる
マルゼンスキー1974年1997年(23歳)1990年8戦8勝朝日杯3歳S時代に翻弄された無敗の「夢のスーパーカー」種牡馬としても活躍
ミスターシービー1980年2000年(20歳)1986年15戦8勝クラシック三冠 天皇賞・秋奇跡の豪脚 三代目三冠馬。トウショウボーイとの父子顕彰馬
シンボリルドルフ1981年2011年(30歳)1987年日本:15戦13勝 海外:1戦0勝クラシック三冠 有馬記念2勝 天皇賞・春 ジャパンカップ四代目三冠馬。史上初の七冠馬(GⅠ7勝)となった「永遠なる皇帝」
メジロラモーヌ1983年2005年(23歳)1987年12戦9勝桜花賞 オークス エリザベス女王杯初代牝馬三冠
オグリキャップ1985年2010年(25歳)1991年地方:12戦10勝 中央:20戦12勝有馬記念2勝 マイルCS 安田記念スーパースター 「平成三強」の一角。第二次競馬ブームの立役者
メジロマックイーン1987年2006年(19歳)1994年21戦12勝菊花賞 天皇賞・春2勝 宝塚記念親子三代で天皇賞を制した最強のステイヤー 初の天皇賞・春連覇を達成
トウカイテイオー1988年2013年(25歳)1995年12戦9勝皐月賞 ダービー ジャパンカップ 有馬記念幾度も故障しながら復活を遂げた不屈の帝王 シンボリルドルフとの父子顕彰馬
ナリタブライアン1991年1998年(7歳)1998年21戦12勝朝日杯3歳S クラシック三冠 有馬記念シャドーロールの怪物」五代目三冠馬
タイキシャトル1994年2022年(28歳)1999年日本:12戦10勝 海外:1戦1勝安田記念 マイルCS2勝 スプリンターズS ジャック・ル・マロワ賞(仏)海外G1も制した日本の誇るマイラー
エルコンドルパサー1995年2002年(7歳)2014年日本:7戦6勝 海外:4戦2勝NHKマイルC ジャパンカップ サンクルー大賞(仏)世界を駆けた「怪鳥」。2021年時点世界レート日本馬No.1の「134」
テイエムオペラオー1996年2018年(22歳)2004年26戦14勝皐月賞 天皇賞・春2勝 宝塚記念 天皇賞・秋 ジャパンカップ 有馬記念2000年に年間無敗及び史上初の秋古馬三冠達成。GⅠ7勝の「世紀末覇王
ディープインパクト2002年2019年(17歳)2008年日本:13戦12勝 海外:1戦0勝クラシック三冠 天皇賞・春 宝塚記念 ジャパンカップ 有馬記念日本近代競馬の結晶」六代目三冠馬にして二代目七冠馬になった「英雄」
ウオッカ2004年2019年(15歳)2011年日本:22戦10勝 海外:4戦0勝阪神JF ダービー 安田記念2勝 天皇賞・秋 ヴィクトリアマイル ジャパンカップクリフジ以来64年ぶりの牝馬のダービー馬。GⅠ7勝の「女傑
オルフェーヴル2008年(16歳)2015年日本:17戦10勝 海外:4戦2勝クラシック三冠 有馬記念2勝 宝塚記念金色の暴君」七代目三冠馬
ロードカナロア2008年(16歳)2018年日本:17戦11勝 海外:2戦2勝スプリンターズS2勝 高松宮記念 安田記念 香港スプリント2勝「世界のロードカナロア」。スプリント路線で縦横無尽に活躍した「龍王」下記キングカメハメハとの親子顕彰馬
ジェンティルドンナ2009年(15歳)2016年日本:17戦9勝 海外:2戦1勝桜花賞 オークス 秋華賞 ジャパンカップ2勝 有馬記念 ドバイシーマクラシック(UAE)五代目牝馬三冠馬。牝馬三冠、史上初のジャパンカップ連覇などGⅠ7勝を挙げた七冠牝馬「貴婦人」。ディープインパクトとの父娘顕彰馬
キタサンブラック2012年(12歳)2020年20戦12勝菊花賞 天皇賞・春2勝 ジャパンカップ 大阪杯 天皇賞・秋 有馬記念北島三郎が実質的なオーナー。2021年時点国内総獲得賞金第1位
アーモンドアイ2015年(9歳)2023年日本:14戦10勝 海外:1戦1勝桜花賞 オークス 秋華賞 ジャパンカップ2勝 ドバイターフ(UAE) ヴィクトリアマイル 天皇賞・秋2勝六代目牝馬三冠馬。牝馬三冠、天皇賞・秋連覇などJRA史上最多のGⅠ9勝を挙げた九冠牝馬。ロードカナロアとの父娘顕彰馬
コントレイル2017年(7歳)2024年11戦8勝ホープフルステークス クラシック三冠 ジャパンカップ八代目三冠馬。史上初の父子二代で無敗三冠を達成した衝撃の後継者。ディープインパクトとの父子顕彰馬
キングカメハメハ2001年2019年(18歳)2024年8戦7勝NHKマイルC ダービー史上初の変則二冠を達成した「大王」。

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