鉄道会社によっては「系」を使う会社や「形」を使う会社がありややこしい。また、会社によっては「形」を「けい」と呼ぶところもあり更にややこしい。
小田急電鉄 5000形
小田急電鉄には5000形を名乗る形式が3代にわたって登場している。
小田急キハ5000形気動車
現在の特急「ふじさん」の原形ともいえる、御殿場線直通運転向けの気動車。⇒キハ5000形
小田急5000形電車(初代)
1969年に登場した最後の「小田急顔」の電車。⇒小田急5000形
小田急5000形電車(2代目)
2019年度より投入する小田急の通勤形電車。⇒小田急5000形
東京都交通局 5000形
東京都交通局では路面電車および地下鉄電車として2代存在した。
東京市電気局5000形
都政施行前の1930年より製造が開始された半鋼製電車。東京市電では初の半鋼製車だった。
1930年に12両が製造された後、年間12両ずつ増備する計画だったが昭和恐慌や戦時体制の移行により実現せず、1943年に12両が増備され計24両にとどまっている。
1次車は製造時にはタイフォンを装備していたが、音が大きすぎたため従来車と同じフートゴングに交換された。
13m級車体の重厚なスタイルが特徴の3扉車だったが、中扉は手動だったため後に使用を停止され、1957年に2扉に改造された。
この際に2次車は車体更新を行い中扉を埋めたが、1次車は後扉を撤去し中扉を後寄りに移設したためそれぞれ改造後の扉配置が異なるほか、1次車は交通局芝浦工場と大栄車輛、2次車はナニワ工機と交通局芝浦工場とそれぞれ別々の工場で改造が行われており、改造を担当した事業者と工場ごとに細部の形態が異なっていたとされる。
大型車だったことから後の5500形同様運用可能な線区が限られ、1967年から1968年にかけて全車廃車となった。
西東京市内に5011号車が保存されたほか、新宿歴史博物館に実物大レプリカが展示されている。
都営地下鉄5000形
1960年の浅草線開業に合わせて製造された地下鉄用通勤形電車。京急・京成との乗り入れ協定に合わせ、車体は18m級3扉鋼製車体としたが、側扉は両開き式であった。
高速性能が悪く京急線内で急行運転を行った際にはほとんど力行状態で走行していたとされる。
1962年に製造された2次車までは2両編成、1963年に製造された3次車以降は4両編成が組まれた。
当初はクリームとオレンジのツートンカラーに銀帯を配した塗装だったが、1981年に車体更新を行った際にクリーム色に赤帯の塗装に変更された。
1995年に運行を終了。引退するまで非冷房のままであった。
なお、これとは別に1976年に製造され2006年に運行を終了した5200形は、当初「5000形6次車」として営業入りしたものである。
東京消防庁消防学校において訓練用機材として5069号車の一部のみが残されているが原則非公開である。
このほか5089号車と5092号車が馬込車両工場内に保管されていたが後に解体され現存しない。
都営地下鉄E5000形
東京都交通局において現在「5000形」を名乗る形式であり、日本の地下鉄においては唯一の電気機関車。⇒E5000形
西日本鉄道 5000形
1975年に西鉄大牟田線に登場した車両で、西鉄で最も数の多い車両(136両)である。編成単位では1988年まで、中間車は1991年まで増備された。4両編成と3両編成で組成されて最大7両編成(過去は8両編成)まで組成可能である。
外見上の特徴は、前面運転席側のみ曲面ガラスを用いた左右非対称前面である。
2014年に3両編成1本が事業用車に改造されたが、その車体色は末期色もとい、まっ黄色である。
なお、西鉄の鉄道線車両では「形」を「けい」と呼ぶ。
長年にわたり西鉄電車の通勤型として主力を務めてきたが、後継車両の登場により徐々に廃車が出始めている。
広島電鉄 5000形
広島電鉄が1999年に導入した車両で、5車体3台車形式の路面電車。愛称は『Green mover』(グリーンムーバー)。
ドイツ・シーメンス社(導入当初はデュワグ社。ただし電装品はシーメンス製)の超低床電車「コンビーノ」をベースとして国内向けに仕様変更したもの。日本国内を走る唯一のコンビーノである。全長が軌道法の規定である30m以内に収まりきらなかったために特認扱いとなっている。
5001号車はロシアの航空会社の輸送機・アントノフAn-124に積み込まれて空輸され、「ドイツから空を飛んできた電車」として話題になった。
なお残りの11編成は船で海上輸送されている。
2004年にリコール修繕により実家(製造国)のオーストリアに一時的に出戻りしたこともある。⇒広島電鉄5000形
長崎電気軌道 5000形
長崎電気軌道が2011年に投入開始した車両で、3車体2台車形式の路面電車。同社としては2形式目となる超低床車である。
2019年に7年ぶりに増備車が登場した。
神戸市交通局 5000形
神戸市営地下鉄海岸線用の通勤形電車。
2001年(平成13年)7月7日 海岸線開業とともに営業運転を開始している。主回路はVVVFインバーター制御で電動機は鉄輪式リニアモーターである。リニア地下鉄。
6両編成を想定して設計されているものの、現状においては4両編成で運行されている。
名古屋市交通局 5000形
1980年(昭和55年)、東山線初の冷房車として登場した。製造当初は打子式ATSを搭載していたが、後にCS-ATCへ取り替えられている。後期に製造された車両には、車内案内表示装置もついていた。
老朽化の進行とホームドアに対応する機器の搭載スペースが無かったことからN1000形に置き換えられ、2015年(平成27年)8月に引退した。
引退後、一部の車両がアルゼンチンに譲渡されている。
札幌市交通局 5000形
ゴムタイヤで走行する札幌市営地下鉄は、開業当初に小型車両を導入してしまった故に長年にわたり輸送力不足に悩まされてきた。
車両を大型化しこの問題を一挙に解決するため、本形式は18m4ドア、ボギー車とした。開業当初の1000形、2000形のほか、3000形も置き換え、南北線は5000形に統一。ホームドアが設置可能となった。
北海道内で唯一の4ドア車でもある。
筑豊電気鉄道 5000形
筑豊電気鉄道初のカルダン駆動車・初のVVVF制御車両であり、初のバリアフリー対応低床車である。2015年運転開始。車体色は第一編成はピンク、第二編成(タイトル画像)はライトグリーンである。
国と福岡県、沿線自治体である北九州市・中間市・直方市からの財政支援により、2018年度までに計4編成が導入された。
同一設計の兄弟車両として阪堺電気軌道1001形電車がある。なおこちらも筑鉄と同じく沿線自治体からの財政支援により導入された。
流鉄 5000形
定期列車の全列車2両編成・ワンマン運転化のため、西武鉄道の101系電車(新101系のグループ)を流鉄が譲受したもの。2両編成5本が在籍し、編成ごとに愛称を設定。
- 5001編成「さくら」:塗色は薄桃色&濃桃帯
- 5001編成旧塗装「流馬」:塗色は空色&白帯
- 5002編成「流星」:塗色はオレンジ&青帯
- 5002編成旧塗装「流星」:塗色はオレンジ&白帯
- 5003編成「あかぎ」:塗色は赤&白帯
- 5004編成「若葉」:塗色は黄緑&白帯
- 5005編成「なの花」:塗色は黄色&黄緑の帯
伊予鉄道 5000形
伊予鉄道2100形に続く低床型路面電車車両。2017年運行開始。
先代の低床車両が小型化が過ぎて積み残しを出すなど問題が多発したため、その改良型として登場した。
客室の拡張や外吊りドアの採用などの結果、定員は60人となり2100形の定員・47人よりも収容力が増加した。
今後は旧型車両の置き換えとして当形式を増備する方針。
北陸鉄道 5000形
北陸鉄道が1951年に導入した車両。製造は大阪府堺市に存在した広瀬車両。
元々は大聖寺駅・動橋駅から山代・山中温泉、粟津駅から粟津温泉を結ぶ加南線に投入されたもので、同時期に石川総線系統に導入された準同型車5100形は普通屋根・ロングシートであったのに対し、観光需要を考慮し張り上げ屋根に向かい合わせクロスシート(扉付近はロングシート)を装備していた。
従来運用されていた1800形が15m級車体の直接制御車だったのに対し、17m級車体に間接制御を採用した車両であり加南線の代表的存在となった。
加南線のエースとして活躍したものの、1964年にさらにデラックスな電車が投入されたが故に加南線を追われ石川総線(石川線、能美線、金名線)に転属。
1965年から1966年にかけて走行性能の向上と機器類の仕様統一を目的に、親会社となった名古屋鉄道から譲り受けたAL車の廃車発生品のモーターや制御機器に交換。内装も5100形に合わせオールロングシートに改造され形式名を3750形に改めた。
さらに1983年から1984年にかけ、外板の取り換えや前面の行先表示器設置などの延命工事を施している。
東急から7000系を導入してからも扉部分のステップ撤去などの改造を施し、区間運転やイベント列車などで活躍を続けたものの、京王電鉄から電車を購入することになったため、それに入れ替わる形で2006年と2007年に廃車となった。
3751は石川県加賀市内に、3752は千葉県いすみ市のポッポの丘にそれぞれ保存されている。
関東鉄道 キハ5000形
関東鉄道が2009年に導入した、単行運転用の気動車。⇒キハ5000形