作品情報
作者 | 土塚理弘(原作)・五十嵐あぐり(作画) |
---|---|
フォーマット | ストーリー漫画 |
ジャンル | スポーツ漫画 |
出版社 | スクウェア・エニックス |
連載誌 | ヤングガンガン |
連載開始 | 2004年12月 |
単行本既刊 | 14巻+4巻(ガイドブック) |
連載状況 | 完結 |
概要
2004年12月3日のヤングガンガン創刊時から2010年まで約5年間にわたり連載された剣道漫画。ガンガン系において初めて成功したスポーツ漫画と言われる。
各話のサブタイトルが「○○と××」という土塚作品おなじみの形に統一されている。
タイトルの正確な表記は「BAMBOO BLADE」だが、pixivではタグにスペースが入れられない都合があり、専らアニメ版タイトルである「バンブーブレード」と表記される。
「バンブーブレード」のタイトルでアニメ化もされた他、アニメの続編としてゲームも製作された。
更に姉妹作品が2015年現在も連載中である。
連載が決まった当時の土塚は多忙で新連載を全部描く余裕がなく、ネームのみを書いて土塚のファンである五十嵐に作画を依頼する形式が取られた。そこでせっかく美少女が得意な五十嵐が描くなら女子剣道をテーマにしようということで、男子の活躍はほとんど省略され女子ばかり目立つ漫画となった。五十嵐いわく「女子に優しくヤローに厳しい漫画」で、コジローも主人公なのにどんどん扱いが小さくされていった。
なおヤング誌連載作だがお色気的な表現は一切なく、単行本オビに「超健全マッタリ青春系剣道コミック」と書かれていたこともある。
ストーリー
神奈川県の私立室江高校の教師で剣道部顧問のコジローこと石田虎侍は薄給と家賃、そして車のローンのせいで極貧生活を送っていた。
コジローが受け持っている室江高剣道部は、不良部員の外山が部員に暴行を加えて追い出しまくった結果まともな部員が激減し、新入部員も寄り付かず廃部同然となっていた。コジローも指導に身が入らず、部長のキリノこと千葉紀梨乃が一人で素振りの稽古だけを続けている状態だった。
ところがコジローのもとに、かつての先輩で大親友、かつ同じ高校教師で剣道部顧問の石橋賢三郎から、彼の指導する町戸高剣道部にコジローが指導する室江高剣道部が勝ったら石橋の父親の寿司店で1年間寿司食べ放題という話が持ちかけられ、俄然やる気を出したコジローは下心むき出しでキリノとともに早速部員集めに奔走を始める。
そんなコジローの目の前にある日、たまたま飛んできたボールや教頭先生を竹箒で華麗に打ち返す小さな少女・川添珠姫が現れる。明らかに経験者にもかかわらず剣道に興味ないと発言する彼女を何とか入部させることに成功し、姑息な手段も使って石橋との勝負に勝利するコジローだが、ある理不尽な災難によって理事長から今年限りの免職を言い渡されてしまう。
失意のコジローを見かねたキリノは、コジローが剣道部顧問としての成績を残せば免職撤回になるかもしれないと提案。コジローのために剣道部が立ち上がった…
登場人物
室江高校
- 石田虎侍(CV:小西克幸)- 主人公。情けない貧乏教師。酒屋(現在はコンビニ)の息子で室江高校剣道部顧問。
- 千葉紀梨乃(CV:豊口めぐみ)- 2年生。通称キリノ。惣菜屋の娘で剣道部部長、面倒見の良いお姉さん副将。
- 川添珠姫(CV:広橋涼)- 1年生。通称タマちゃん。剣道道場の娘で室江高剣道部のちっちゃな大将。アニメ・特撮好き正義の味方。
- 宮崎都(CV:桑島法子)- 1年生。通称ミヤミヤ。ちょっと変わった彼氏持ちの元ヤン次鋒。剣道の腕前はまだ半人前だが、竹刀を手にするとブラックオーラを漂わせるドS。
- 桑原鞘子(CV:小島幸子)- 2年生。通称サヤ。威勢もスタイルも良いが情緒不安定・幽霊気味の中堅。
- 東聡莉(CV:佐藤利奈)- 1年生。通称さとりん。おバカさん、超ドジっ娘先鋒。でも剣道経験者で強い。作中で剣道部最後の入部者。
- 中田勇次(CV:阪口大助)- 1年生。通称ユージ。剣道経験者、人畜無害系の好少年。
- 栄花段十朗(CV:石田彰)- 1年生。通称ダン君。身長不定のナイスガイ、ミヤミヤの彼氏。
- 外山晶(CV:伊丸岡篤) - 2年生。現在進行形の不良、幽霊部員。ミヤミヤと違って完全に性根が曲がっている。
- 岩佐勝(CV:石上裕一) - 2年生。外山のグルの幽霊部員。内心で外山の傍若無人ぶりに呆れており、剣道に真面目に取り組みたいという気持ちを持っている。
町戸高校
- 石橋賢三郎(CV:稲田徹)- コジローの高校時代の先輩で今でも大親友・好敵手。寿司屋の息子。コジローに対し実力で自信を持っているが、高校生の頃地区大会決勝でコジローに負けており、未だにリベンジの機会を窺っている勝負脳な男。
- 原田小夏(CV:真堂圭)- 真面目苦労人の3年生先鋒。その立ち位置ゆえにキリノと気が合う。
- 浅川明美(CV:近藤彩希)- 剣道よりも彼氏が大事な恋する2年生次鋒。しょっちゅう行方不明になる。
- 西山佳恋(CV:森夏姫)- 大きな体格と小さなメンタルがミスマッチな3年生中堅。いつも冷や汗をかき、試合から逃げ出そうとすることも。
- 安藤優梨(CV:おみむらまゆこ)- 通称&さん。お腹真っ黒心真っ黒、ついでに発言も真っ黒な危ない2年生副将。いつも何やら怪しい本を読んでいる。
- 横尾摩耶(CV:矢澤喜代美) - 通称よこたん。豪快漢女系3年生大将。浅川の躾役兼安藤のブレーキ役でもある。
成明高校
- 林忠明(CV:小川真司)- 古風で生真面目な、厳しい剣道指導者。しかし幼少時に自分も挫折しかけた経験から、指導の厳しさで部員が辞めていくことに心を痛めている。
- 小川芽衣(CV:名塚佳織)- 真面目だけどちっちゃくて気弱な初心者。合同練習で指導してもらったタマちゃんに強く憧れている。
- 小田島礼美(CV:中原麻衣)- ミヤミヤの同中で彼女につきまとう怪しい女子生徒。剣道部員ではない。ちなみに母親はコジローと車をぶつけて彼をクビに追い込んだ本人。
その他
- 鈴木凛(CV:坂本真綾)- 秀玉高校剣道部所属、クールで大人びた黒髪美少女に見えるが特撮オタク。後にタマちゃんの友人となる。アニメ限定キャラで、原作では名前しか登場しない。
- 榊心 - 桃竜学園剣道部所属、病んでる系女子高生剣士。やはり特撮オタクだが、どちらかと言うと特撮そのものよりそこに出演しているイケメン俳優のファン。鈴木凛とは知り合い同士である。アニメではわずかに登場したのみ。
- キャリー西川(CV:小林沙苗)- 英進高校剣道部所属、アメリカ出身の日米クォーター剣士。二刀流の使い手。アニメのオリジナルキャラ。
姉妹作
本作品の連載中である月刊少年ガンガン2009年2月号から連載終了後の2013年12月まで、キリノとサヤの母校である飛鈴中学校の剣道部員を描いた『BAMBOO BLADE B(BOYS)』が連載された。
さらにビッグガンガン2013年6号より亀之宮高校剣道部を中心に各校を描いた『BAMBOO BLADE C(CROSS)』が、ビッグガンガン2013年12号より日常4コマ『BBデフォルメ(BAMBOO BLADE D)』が連載され、一つの連作シリーズを形成している。これ以降、本作のことを『BAMBOO BLADE A』と表記することも増えた(Aは「ATOMIC FIRE BLADE」の意)。
いずれも作画は五十嵐あぐりではない(「B」は土塚理弘本人も含めたスタジオねこ、「C」は高尾じんぐ、「D」はスタジオねこ所属の亜積沙紀)。
「BAMBOO BLADE B」は単行本全12巻、「BAMBOO BLADE C」は2015年8月時点で5巻、「BBデフォルメ」は同1巻が発売されている。
時系列的には「A(本作)」と「B」は並行しており、「C」「D(デフォルメ)」は「A」と「B」の翌年以降を描いたもので続編としての要素も持つ。
「A」はこの中でも対象年齢が高く、バトル要素よりも女子高生の日常がメインらしいが、それでも試合シーンはきっちり描かれている。「B」は高校生世代を対象にしており、バトル要素とラブコメっぽい描写が多い。「C」もどちらかと言うと高校生世代を対象としているが、こちらはスポ根マンガに近く、コメディ要素を「D」で補う形式をとっている。
ちなみに本作品は今や土塚の代表作となったが、もともとは行き当たりばったりで5巻程度で終わるつもりで連載を始めた作品だったという。
TVアニメ「バンブーブレード」
2007年10月1日から2008年3月31日までテレビ東京系列にて全26話が放送された。監督は斎藤久、製作はAIC ASTA。
制作当時の原作の進捗状況がアニメ26話分には全く足りなかったため、終盤のストーリーはアニメのオリジナルとなっている。キャラクターの設定など細かい部分にも多数変更が加えられているため、パラレルワールド的システムに近い。原作よりもサブキャラ、特に町戸高剣道部員の扱いが大きくなった。
また作画総監督を置かず、比較的各回の作画監督の裁量に任せている。メインアニメーターの植田洋一いわく、総作画監督を置くと手直し前提になって作画監督のやる気が下がるからとのこと。
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 竹ぼうきと正義の味方 |
第2話 | ブレードブレイバーとお弁当 |
第3話 | ブラックとブルー |
第4話 | ピンクとブルー |
第5話 | 室江高と町戸高 |
第6話 | 川添珠姫と遅刻の武礼葉 |
第7話 | 寿司とメンチカツ |
第8話 | タマちゃんとアルバイト |
第9話 | コジローと運命の分岐点 |
第10話 | 宮崎都の憂鬱と初大会 |
第11話 | アニメーションとドリーム |
第12話 | 東の事情とメイの事情 |
第13話 | 先生たちと生徒たち |
第14話 | さとりんの決意ともぎゅもぎゅ |
第15話 | 初合宿と初銭湯 |
第16話 | キリノの欠席と予選大会 |
第17話 | 光と影 |
第18話 | 大会とその後の室江高 |
第19話 | アルマジロとセンザンコウ |
第20話 | ブレイバーとシナイダー |
第21話 | 川添道場と鈴木凛 |
第22話 | 敗者と勝者 |
第23話 | 嘘と沈黙 |
第24話 | 剣と道 |
第25話 | 剣道とそれがもたらすもの |
第26話 | “それから”と“これから” |
最終回ラストで全員1年進級したというエピローグが描かれている。石橋は室江高の女性教師と結婚して子供を授かり、自主退職したコジローは彼女の産休代理として室江に復帰。室江高剣道部はキリノに代わりダン君が部長になり、外山と岩佐はサッカー部へ移籍、代わりに新一年生として外山の妹・忍(CV:斎藤千和)と岩佐の弟・誠(CV:藤田圭宣)が入部。町戸の3年生は大学に進学、安藤は新部長となった。
劇中音楽
- オープニングテーマ「BAMBOO BEAT」
作詞:河井英里 作曲・編曲:Koma2 Kaz
歌:川添珠姫(広橋涼)・千葉紀梨乃(豊口めぐみ)・桑原鞘子(小島幸子)・宮崎都(桑島法子)・東聡莉(佐藤利奈)
- エンディングテーマ:「STAR RISE」
作詞:河井英里 作曲・編曲:Koma2 Kaz 歌:川添珠姫(広橋涼)・千葉紀梨乃(豊口めぐみ)・桑原鞘子(小島幸子)・宮崎都(桑島法子)・東聡莉(佐藤利奈)
出だしの歌詞が「あんこ入り☆パスタライス」と聞こえることで有名で、公式でネタにされた。
- 挿入歌
「超剣戦隊ブレードブレイバー」(第2・15・20・21・24・26話)
作詞:桑原永江 作曲:中川幸太郎 歌:石原慎一
「シナイダーの歌」(第21・26話)
作詞:桑原永江 作曲:中川幸太郎 歌:石原慎一
「FOR YOUR SHINE」(第26話)
作詞:河井英里 作曲:中野定博 歌:千葉紀梨乃(豊口めぐみ)
「SUNFLOWER」(第26話)
作詞:河井英里 作曲:中野定博 歌:川添珠姫(広橋涼)
ゲーム
アニメ放送終了1年後の2009年4月、ガジェットソフトからPSP向けのゲーム版「バンブーブレード ~それからの挑戦~」が発売された。ビジュアルノベルを交えたカードバトルゲームで、アニメ版の最終回のタイトルとかけていることからもわかるようにストーリーはアニメ版の後日談である。もちろんここでのストーリーや設定は、その後描かれた原作の後日談である「BBデフォルメ」とは異なる。
ゲームの目的としては、成明高校の林忠明が高校生剣道地区大会の女子チーム監督を辞退したため、その代理を務めて実績を上げる事で産休代理から再び正規の教師に戻るきっかけを掴みたいコジローと相変わらずリベンジに燃える石橋が互いの指導力で監督代理の座を争うというもの。
室江高剣道部の合同合宿に町戸の剣道部員(OGとなった原田らを含む)や小川芽衣を参加させて彼女たちから5人ずつを選んで指導し、団体戦で戦わせて勝ったチームを指導していたほうが監督になるということで話がまとまる。
フリーバトルモードも用意されており、ゲーム本編でもゲスト登場する鈴木凛を始め、ユージやダン君のような活躍の場が少ない(笑)男子などもプレイヤーキャラに加える事が出来る。しかしアニメ版ラストで入部した外山妹や岩佐弟は未登場。
なおゲーム公式サイトでアニメ2期の製作嘆願署名活動が行われていたが、結局2期が制作されることはなかった。
余談
- 原作は42話ぐらいまで女性の服が間違って右前で描かれていた。単行本1巻のタマちゃんが着ているブレザーも合わせが逆で、そのまま真似て描くと間違いになる。
- アニメ第11回で登場したアニメ監督のイメージは谷口悟朗で、なんと本人が声を当てている。このシーンは原作では宮崎駿と思しき人物が登場していたが、彼のパロディは流石にまずいということで、プロデューサーが谷口氏に声をかけたところ快諾された。
- アニメ版のガイドブックはスクウェア・エニックスではなくジャイブと学研から発売された。
- 「天体戦士サンレッド」の第1期24話、「フロシャイム、地獄の剣術特訓」では舞台が神奈川・出版社つながりなのか自転車に乗った学校帰りの川添珠姫(らしき人物)の後姿が写っている。ちなみにこの時にアントキラー・サンレッドの両名が使っていた必殺技はアトミックファイアーブレード。