この記事にはハロウィンの花嫁のネタバレが含まれます。
まだ未見の方は注意して読んでください。
概要
特殊な液体火薬を使用する殺し屋。外套姿にペストマスクをつけた不気味な風貌をしており、国籍・性別・年齢など詳細な人物像は一切不明。活動範囲は世界中に及ぶが、ロシアを拠点としているらしく、また数年前から顔形を変えて日本に潜伏していると考えられている。
コナン映画の悪役では
- 「金のためならいくらでも人を殺す」(『迷宮の十字路』の犯人、『紺碧の棺』の犯人(兼被害者)、『沈黙の15分』の犯人他)
- 「自分のこだわりを通すためなら殺人もいとわない」(『時計じかけの摩天楼』の犯人、『業火の向日葵』の犯人、『紺青の拳』の犯人他)
- 「復讐などの個人的感情に流されて、明らかに目的を逸した破壊活動に手を染め堅気にも迷惑をかける」(『14番目の標的』の犯人、『瞳の中の暗殺者』の犯人、『漆黒の追跡者』の犯人、『緋色の弾丸』の犯人他)
等の悪人は多数いたが、純粋に放火・殺人がしたくて人を殺しまくるという、極めて珍しく、そして傍迷惑なタイプの極悪人である。
正体(ネタバレ注意)
※ここから先は物語終盤の重大なネタバレの為、観覧の際は自己責任でお願いします!
警告!!
繰り返すが、本作の真犯人の詳細に触れているため、未鑑賞の方はすぐに引き返すこと!!
「そう...。私はかつてこの日本で屈辱を味わったんだよ。あの4人の警察官によって!!!」
物語終盤、村中努とクリスティーヌ・リシャールの結婚式に、プラーミャへの復讐を誓う集団、「ナーダ・ウニチトージティ」がコナンを人質に取り乱入。リーダーであるエレニカ・ラブレンチエワが村中とクリスティーヌに銃口を向け「手を挙げろ」と言う。
エレニカ「三年前、日本の刑事に銃で撃たれたせいで右腕が上がらないんだろ? なぁ、クリスティーヌ・リシャール……いや……プラーミャ!」
――そう、クリスティーヌこそがプラーミャの正体だったのだ。
尤もプラーミャが彼女であるという伏線はよく観ればいくつかあった。
- プラーミャの体躯はどちらかといえば華奢で、女性である可能性もそれとなく示唆されていたこと
- 公にされていないはずの爆弾犯の死亡を知っていたこと
- プラーミャが何故か少年探偵団がいる時に廃ビルへと彼女を誘き出していたこと(無論プラーミャから廃ビルに誘き出されたというのは真っ赤な嘘で、その本懐はオレグのメモの内容を知っている可能性がある少年探偵団を皆殺しにするための演技であった)
- 村中との結婚式を取り止めることになった際にタイミングよく『予定通り式を行え』と言うメールが入ってきたこと
- そしてなにより、作中で何度か描写されていた右腕を上げられないということ、これこそが最大の伏線だった。
え? 容疑者が少ないからすぐに分かる? 言うな。
……まぁ骨格的には村中の線は薄いが、全身黒タイツでいて普通の人間のように扱われてるとかなら話は別である。前述の右手の件も、婚約者に甘えて気づかせないように動く太々しい演技力も持ち合わせているあたり、中々の曲者と言える。
事の始まりは3年前の爆破事件。エレニカの兄のオレグと、萩原を除く降谷(安室)たち警察学校組に計画を阻止された挙句マスクをしていたとはいえ目撃されたことから、彼らとエレニカたちを殺すべく今回の犯行を計画する(明言はされていないが、村中に接触したのも、元警察官である彼と繋がりを持つことで降谷たちの情報を得ることが目的だった可能性が考えられる)。
だが、調査を進めるうちに松田と伊達が既に死亡していることは知ったが、残りの降谷と諸伏は公安警察官だったためか名前以外の情報が掴めなかったため、かつての事件で松田と萩原を殺した爆弾犯を使って誘き出そうとした。狙い通り現れた降谷に首輪型爆弾を着けたものの諸伏は現れなかったため、彼は死んだものとして計画を進めていた(実際諸伏は死んでいるのだが、死因が機密事項のため、彼の生死を確認することは出来なかったが、これを知った場合は原作そのものに大きな影響を及ぼすのは間違いなく、公安から見るとその情報を知るクリスティーヌは生きていては困る存在になる可能性は高い)。
最初は村中が味方についていたこともあってしらを切っていたクリスティーヌだったが、肩から金属反応があるはずだと言われた上に佐藤刑事から何故情報が開示されていない爆弾犯死亡の情報を知っているのかと問われると、観念したのかニヒルな笑みを浮かべる。
「私としたことが、最後にやってしまったな……」
村中から差し伸べられる手を払いながらこれまでの態度を一変させ、遂に連続殺人犯としての正体を現す。
「あぁ、うるさいうるさい…まったくうるさい。ハエのような奴らだな、お前らは!!」
うるさいハエと、彼とエレニカを含めたその場にいる者全員に吐き捨て、それを示すように婚約指輪を弾き飛ばしてしまった。結局村中も彼女にとっては都合の良い隠れ蓑、または便利な手駒に過ぎなかったのである。
そしてドレス姿のまま佐藤の手をかわすと某冒険家のような身軽な格好に変身し、2階に移動。
「私の正体を知る者は、誰一人生かすことはできない!!」
隠していたサブマシンガンと拳銃を使い、警護していた警察とそのまま銃撃戦になる(後にこの場面で高木渉が佐藤を庇って負傷してしまっていた事が発覚したが、彼は事件解決後に緊急手術を受け、エンディング後の後日談で一命をとりとめていた)。
しかし右肩を負傷していることに加え、数の上でもこれ以上戦闘を長引かすのは不利と考えたのか、屋上のヘリポートへと移動し、そこからヘリコプターで逃走しようとするが、そこでコナンに追い詰められる。爆弾をどこに仕掛けたのかと問われると、渋谷に張り巡らされたジャック・オ・ランタンのランプに仕掛けられていると暴露した。しかし、ヘリの操縦士に扮していた安室透が正体を現した上で正拳突きでプラーミャの右肩を後方脱臼させた。突然の出来事に唖然としていたがすぐに脱臼を無理やり戻し、ヘリに再び搭乗。逃走を図りつつ安室を人質に取り、彼に仕掛けた首輪型爆弾を起動するが……
爆発したのはヘリの後部だった。
安室「こんなこともあろうかと、君からの贈り物は返しておいたよ」
――とのことで、実はコナンが上記の探偵団を口封じにする為に誘い出した廃ビルで起きた爆発事件の際に採取した液体爆弾の性質や成分の解析は既に完了しており、風見裕也が徹夜で中和剤を完成させたおかげで安室は首輪型爆弾を取り外すことができていた(3年前の資料や安室の首に着いている爆弾を着けられた時点から液体を抜き取った方が早く中和剤を作れたと思うが、前者は公安によって事件自体はガス漏れと隠蔽にしていた為資料すら残っていなかったと思われ、後者だとコナンに安室に着けられた首輪の爆弾の事を伝えていた時点で時限式か無線式かは不明の為、無闇に解体したら爆破する恐れがあったからと思われる)。
安室に計画を台無しにされたことに激昂し、墜落するヘリコプターの中で安室と死闘を繰り広げるが、そのうち地上に墜落。
全身血まみれの満身創痍の状態になりながらも、尚も金属の破片を手にして安室を殺そうとするが、そこに立ち直った村中が手刀を首に当てプラーミャの意識を奪う。止めを刺したのは、皮肉にも彼女を信じ続けていた婚約者であった。
物語最後でプラーミャが逮捕されたと報道されて、事件は幕引きを迎えたのだった。
実力
異常
その一言に尽きる。
特殊な爆弾を作る知識、身体能力、行動力、殺人に対する躊躇いのなさなど、どれをとっても常人を遥かに超える描写がされており、例えイレギュラーが発生してもすぐに対応できるなどの用意周到さを持ち合わせている。
特に話題に挙がるのはあの安室相手に、ヘリの中の狭い空間、しかも銃弾が残って右肩が上がらない状態で互角に戦っている事(オマケに、直前に安室に物理的に古傷を抉られている)。しかも、タフさも持ち合わせており、村中が救援に向かわなければ安室はかなり危なかった。これだけならまだしも、この犯人は上記の通り萩原を除いた安室達警察学校の同期4人や警視庁の面々とナーダ・ウニチトージティを相手にたった1人で互角以上だった事もその強さが分かる。
ファンの間でも歴代最強犯人の候補の一人として名前があがり、
実際、監督も「現在(完璧超人になった)の安室でもひとりで勝てたかどうかわからない、おそらく劇場版の歴史でも一、二を争う強敵」と断言している。
ただし、近年の劇場版はコナンサイドの登場人物によっては犯人の強さが変化する事が多く、今回の場合は安室だけでなく、松田、伊達、諸伏といった何らの能力の特化したキャラが複数いた事もあって歴代トップクラスの犯人が誕生したと言える部分もあり、次回作に登場した犯人は彼女と比較すると弱いという声もあるが、これはコナンサイドの戦闘キャラが蘭しかいなかった事もあってコナンサイドの強さに合わせているものと思われる(これらの犯人の相手が京極真や若狭留美辺りならさらに強化されたり、逆に服部平次辺りなら弱体化されたともいえる)。
また、安室と諸伏は3年前の時点で組織に潜入している為、組織とプラーミャの対決が実現した形になっている。
しかし、上記に書いてある通り諸伏の死因は機密事項であり、これをプラーミャが知った場合は原作そのものに大きな影響を及ぼす為か劇中では諸伏の潜入先については一切触れられていない(安室についてはオープニングで組織に潜入している事に触れられているが、ご存知の通り首輪型爆弾をつけられて生死の危機になった為、危うく彼女の秘密がバレそうになったと言える)。
余談
概要(と豹変っぷり)を見ればわかるだろうが、同情の余地など一切無い犯人である。
加えて自分を目撃したという理由だけで子供を含む多くの罪の無い人々を殺害、果ては都市1つ消そうとするという黒ずくめの組織に匹敵する悪辣さ・非道さを見せており、この凶悪さについては映画の犯人(それどころか原作やアニメの女性犯人)の中ではトップクラスだろう(尤も、コナン達少年探偵団やナーダ・ウニチトージティの面々などの活躍によって渋谷そのものが吹き飛ばされる惨劇は免れ、皮肉にもその方法は3年前に松田が液体爆弾を塞き止める際にした同様の方法だった)。
動機も全て自己保身のものであるため、極刑は免れないことは間違い無い(ロシアの法律で裁かれるとすれば、死刑が廃止同然の状態なので恐らく終身刑)。また、その素顔を日本や(国際爆破テロ犯だから恐らくは)世界中に晒される事になった為に、自身の顔を目撃した人物を全員口封じをするのはもはや不可能であろう(また姿形変えたらいいじゃんという突っ込みはご法度……だが、身体能力を考えると脱獄される可能性は非常に高いと思われるが)。もっとも、上記の通り銃弾を無理矢理除去して爆弾の制作ができないようにすれば済む。加えて、今作のラストで彼女の製造する爆薬の中和剤が制作されており同様の事が起こればすぐに対策されるはずである。
最大の被害者は、巻き込まれ利用された婚約者である村中と、夫と子を失いプラーミャを追っていたエレニカであろう。今後この2人の心労がさらに重くなっていくことは想像に難く無いが、1日でも早く立ち直って前に進んでほしいと願わずにはいられない……。
劇場版名探偵コナンの中で犯人に異名があるのは今回のプラーミャと、第3作『世紀末の魔術師』のスコーピオンのみである。奇しくも、ロシアに縁がある女性犯人であること、国際的に活動する悪人であること、自らの保身のために証拠を見られた(と思い込んだ)相手を容赦なく殺害すること、コナンたちや一般人を巻き込むことを何とも思ってない残虐性、同情の余地が無い動機、そして犯人発覚後の豹変ぶりなど、多くの共通点がある。
関連タグ
???:初代逆転裁判におけるラスボス。同じく肩を銃弾で負傷しており、その結果、主人公に犯行を暴かれる事になった。