上条当麻「死ぬなよ」
一方通行『互いにな』
※原作最新刊までのネタバレを含みます。
概要
どんな異能をも打ち消す右手を持つ主人公と、全てを反射する学園都市最強の超能力者という構図。ヒーローの対比や学園都市における二人の役割など、何かと因縁のある二人であり男女問わずファンも多い。
特に原作では一方通行の上条に対する憧れが顕著で、スピンオフなどでも時折その描写が見受けられる。
原作読者として知られる上条当麻の声優、阿部敦氏はアニメ3期のインタビュー等で一方通行に対して『あいつ俺に憧れてるんですよ』『面倒くさいファン』『こじらせヒロイン臭がする』などと語っており、声優ご本人から見ても印象に残る描写のようである。
(ついには自身の番組にてハッキリ『上一』と口に出してゲストの井口裕香氏に解説するほど)
また、漫画版超電磁砲作者が描き下ろした4コマでは初春が上一同人誌を抱えていたり、公式4コマアンソロジーでは初春が上一小説を執筆していたりとネタにされることもしばしば。
作中の描写
上条、一方通行ともに身長は168cm。しかし上条は中肉中背、一方通行は華奢、細身などと表現されることが多い。髪も黒と白、ツンツンヘアーとサラサラヘアー、最弱と最強などと何かと対になっている設定が多数見受けられる。
一方通行に関しては「少女のような繊細な肌」や「宝石より美しい瞳」など容姿に関する描写も顕著である。
また、表向きは能力開発を目的としていた学園都市だが、その正体は幻想殺しを呼び寄せ、成長させるための『箱庭』。幻想殺しを持つ上条当麻、そして学園都市が50年をかけて生み出した科学の結晶である一方通行は、アレイスターの計画を成就するために必須の存在であった。
つまりこの二人こそがメインプランの核であり、正にアレイスターの『成果物』と言える。
※各巻の詳細な描写は下記参照
一方通行の性別
原作最新刊時点で性別不明。
旧約5巻では「女か男か分かンねェ体型になっちまうしよォ」と発言、また、旧約8巻の作者あとがきでは作中に一方通行が登場しているにもかかわらず「明確な男子キャラクターは上条当麻ただ一人しか登場しません」と書かれている。
また、アニメ『とある科学の一方通行』最終回先行上映会で編集部から一方通行の性別不明について言及されたり、アニメ『とある科学の超電磁砲T』にて一方通行に関するセリフが性別不明設定を顧みて変更されるなど原作外の公式でも考慮されている設定な模様。
新約に入っても真相は明らかになっておらず、上条や美琴を「ボーイ」「ガール」と呼ぶ大統領に「ジャパニーズ」と呼ばれていたり、去鳴に可愛い本名と言及されたりと性別をほのめかされることもしばしば。(鈴科百合子ちゃんなのでは?)
新約21巻ではオティヌスからも「男か女かはっきりしてないヤツ」と言われてしまった。
そしてこの新約後半から頻繁に見られるようになった性別描写だが、ついに創約5巻の地の文ではっきり性別不明と明記されることとなる。
口調・呼び方など
上条当麻
一人称は「俺」
一方通行に対しての呼び方は「お前」「一方通行」、語気を荒げたときは「てめぇ」など。
普段の口調は一般的な高校生男子のそれだが、たまに「~でせうか?」「上条さんは~」など独特の言い回しをすることも。
一方通行
一人称は「俺」
上条に対しての呼び方は「オマエ」「三下」「善人」「ヒーロー」「無能力者」など多岐に渡るが名前を呼んだことは一度もない。(ただしアニメ1期19話ではモノローグ内で「上条当麻」と発言しており、新約22巻では「上条当麻の世界を眺めろ」と地の文ではあるが名前が登場している。)
一応、連絡先の交換や新約9巻の上条殺害依頼メールへの反応から上条の名前は認識している模様。
また、上条に「三下」と呼ばれてから自身も「三下」という呼び方を使いはじめるなど口調にも影響が見て取れる。(超電磁砲では上条より先、つまり同時期に「三下」と発言している)
「オマエ」「ァィゥェォ」「ン」がカタカナ表記。二人称は基本的に「オマエ」で、「自分」という意味で「てめェ」を用いることはあるが二人称として使ったことはない。
旧約
3巻
一方通行が絶対能力進化計画に参加し2万人の妹達を殺害する実験を行っていたところに、上条当麻が介入する形で初交戦を果たす。
能力を過信し無能力者と侮っていた一方通行は、異能を打ち消す上条の幻想殺しに敗北する。
以降、二人を巡る奇妙な因縁がはじまった。
ちなみに、このエピソードはアプリゲーム『とある魔術の禁書目録 幻想収束』の二周年イベントで行われた名場面アンケートで二位に倍以上の差を付ける票数で一位を獲得しておりファンからもかなりの支持を集めている。
イベントストーリーでの上条と一方通行のやり取りは必見。
5巻
研究所から逃げ出してきた打ち止めと出会う一方通行。彼女のピンチにどうしていいか戸惑い、助けるのは『あの無能力者のような人間にこそ相応しい』とまで自嘲するが、何かが変わるかもしれないと今まで妹達を殺してきた手で打ち止めを救ってみせた。そこで上条に対し、『生まれた時から住んでる世界が違うヒーローのように見えたが、違ったのだ。』と気づくことになり、守るべき存在を得る。
6巻
新学期になり美少女転校生がやってくるという噂を聞いた上条は、なぜか想像した転校生の羅列の中で「一方通行の本名が実は鈴科百合子ちゃんだったり」と妄想を繰り広げる。(8巻末にセーラー服姿の一方通行の設定画有り)詳しくは鈴科百合子を参照
8巻
残骸事件でニアミス。お互いを認識しないものの事件解決の一端を担う。
12巻
上条は打ち止めと、一方通行はインデックスとの邂逅を果たす。お互いに詳細を明かさないまま保護者の話を聞かされ、上条は「いいヤツ」、一方通行は「名前を聞くだけでイライラする」という印象を受ける。
13巻
電話でお互いの素性に気づかないまま初めての共闘を果たす。
一方通行はこんな惨状の中で打ち止めだけでも逃した『電話の男』を本物だと評価する。
SS
暗部に堕ちた一方通行の初日、武装無能力者集団の襲撃を知った一方通行は断崖大学へ向かう途中上条を目撃する。一目見て彼が何をしに行くか察した一方通行は、湧き上がる感情を抑え御坂美鈴を救出するために暗躍する。
15巻
暗部抗争編、一方通行を引っ張り出すために打ち止めや一般人を狙った垣根と戦闘。
圧倒的な力でねじ伏せた後、あの忌々しい『善人』との立ち位置の違いをぼんやり考えつつ、垣根にとどめを刺そうとする。
19巻
「お前のような悪党が、善人を知っているとでも言うのか?」という杉谷の問に対し、一方通行は「知っているさ。……思い返すだけで頭にくるぐらいにな」と答えた。
20巻
打ち止めを救うためロシアに向かった一方通行は、魔術師に対し右手を使って迎撃をするなど、上条を意識した戦い方を見せる。(その際「やっぱ、俺には右手は似合わねェか」という言葉を残している)
道中、一方通行の心を叩き折るためだけに製造された番外個体と交戦、なんとか退けるものの打ち止めの笑顔を取り戻したくらいでは足りないというレベルで心を壊されてしまう。そんな折、たまたま近くを走行していたトラックに上条が乗車していることに気づき、『なんで第一位と違いちゃんと人を救えるヒーローが、打ち止めの危機には気づいてくれずここを素通りしようとしてるんだ』と、半ば八つ当たり的に襲撃。そのまま2回目の交戦となる。
戦いの中で一方通行は最初から全力で攻撃を叩き込むものの、『一方通行が知る中で最も重要な位置に存在する"悲劇を食い止めるための存在"がこんなにも簡単に失われてしまうとしたら。この世界は。多分もう本当の意味で終わってしまっている』と上条に対しての感情を顕にする。
そして、その攻撃を受けてなお立ち上がる上条が、一方通行にはどうしようもない運命のレールを軽々と飛び越える象徴のように見えたのだった。
戦闘は続き、一方通行は自分の心情を吐露していく。ヒーローにはなれないと叫ぶ一方通行に対し、「ヒーローなんか必要ねえだろ」と返す上条。やがて上条の拳は一方通行を捉え、死闘は幕を下ろす。
戦闘後、気絶した一方通行の懐に羊皮紙があることに気づいた上条は、一方通行をトラックの荷台へと運び、何かのヒントになるであろうとインデックスの名前が書かれたメモを残す。
その後気がついた一方通行は、残されたメモを見てそれが解決策につながることに気づき、白い天使が祈りでも捧げているかのように(地の文ママ)上条からのメモを握りしめる。
22巻
羊皮紙による歌で魔術を行使し打ち止めを救った一方通行は、頭上に光の輪と背中に羽を出現させ浮上。『ベツレヘムの星』から投下された『天使の力』を『白い翼』で迎撃し、フィアンマによる大量虐殺を防ぐ。これが間接的に上条を助け、フィアンマの撃破に繋がったのだった。
新約
1巻
ロシアから帰国し、つかの間の平穏を手に入れた一方通行は上条が無事に学園都市に帰ってきているのかを案じていた。その後、襲撃してきた『新入生』に対し一方通行は、「……良いだろう、乗ってやる。その上で、真正面からぶっ壊すのが『あの野郎』のやり方だったよなァ」と、かなり上条を意識した戦い方を見せる。一方帰国した上条は黒夜が放った最後の一撃を止めることで介入、「なんか騒がしかったから首を突っ込んでみただけ」とあっさり言う上条に対し、一方通行は根本的な立ち位置の違いを再確認して舌打ちをする。
2巻
今後のために携帯電話の番号とアドレスを交換する。一方通行と浜面に魔術を説明するため、上条の部屋でこたつを囲みながらバードウェイによる魔術講座が開かれる。休憩の際、風呂場に隔離しておいた黒夜と上条のやりとりをベランダで聞いていた一方通行は、彼にしては珍しく静かに顔を青ざめさせていた。
その後、突如上空に現れたラジオゾンデ要塞を迎撃するために三主人公が共闘。一方通行は人の流れから地脈を読み取るなど、魔術のようなものを行使してみせた。
3巻
グレムリンを止めるためにハワイへ。ここで初めて、本当の意味での共闘を果たす。
『ここは俺向きの戦場だ。だからオマエはさっさと行け』『……借りは後で返す。簡単にやられんなよ』
6巻
復活した垣根との戦闘で『ヒーロー』への幻想から脱却を決意し再び悪の道へ戻ろうとしていた一方通行は、「それはただの逃避だ」とミサカネットワークの総体に忠告を受ける。
7巻
人的資源にて集まった1000人もの偽ヒーローたちから上条を逃がす形で一方通行が介入。
「……面白ェ。何ならテストしてやるよ、ヒーロー様。その名に冠するに相応しいかどォか、最も血に汚れたこの両手でなァ!!」と力を奮った。
10巻
オティヌスを連れてデンマークへ飛んだ上条に対し、学園都市は超能力者たちに抹殺命令を出す。メールを見た一方通行は真っ先に宇宙から軌道上防衛兵站輸送システムを用いデンマークへ向かう。
デンマークへと着弾した一方通行は、直後に視界一面が彼の顔で埋まるほどの至近距離へと接近。容赦なく上条へと攻撃を叩き込み3回目の交戦が始まる。
(その際、『誰か守りたいと思ったときに出現する白い翼』が背中に生えたり、「いちいち面倒見ンのは携帯電話のメモリに入ってる連中くらいで十分だ」との発言を残している。)
そして、反射の壁を貫かれてでも突撃すると覚悟を決めた一方通行の攻撃を、上条は自らの右手を犠牲にすることで撃破する。
しかし、一方通行の襲撃は『第一位の自分が一番に負けることで学園都市の驚異から上条を守る』ための作戦だった。この作戦は、負けることで誰かを守ることが出来るようになった。と、総体にも評価された。
15巻
上里翔流の妹、去鳴が登場。『上条勢力』の面々を当たっていた彼女は、一方通行にも接触する。(その際、「一方通行ちゃん☆……本名だと意外とカワイイ名前なんだね」と一方通行の本名についてほのめかしている。)
また、激昂し追ってきた一方通行を誘導し上里勢力のど真ん中に叩き込んだ際、「馬鹿なヤツ。上条当麻にはさ、"とびきり面倒臭いファン"がついているっていうの知らないの、お・に・い・ちゃん?」というセリフを残し、今まで一方通行のモノローグや地の文のみであった上条への憧憬が初めて他者に指摘される形となった。
18巻
学園都市は幻想殺しを持つ上条当麻を呼び寄せるため、そして絶対能力者へ至る能力者=一方通行を生み出すための場所であったことがアレイスターの口から明かされる。つまり上条と一方通行こそがメインプランの核であり、アレイスターの目的を達成するために必須の存在だと語られた。
19巻
AOフランキスカを追っていた一方通行は、自動書紀モードのインデックスを前にし「……これは本来、俺の領分じゃァねェと思うンだがなァ」と『相応しき者』(上条)の元へと叩き込む。
その後、少女へと変貌したアレイスターと行動を共にしていた上条と、一方通行と浜面が合流。コロンゾンを倒すために、各々の理由を持ってイギリスへ向かうこととなる。
20巻
コロンゾンを倒すためイギリスへ向かった一行であったが、直後アレイスターが上条を処刑塔へと落とし別行動となってしまう。(その際、一方通行は上条の行方を探しに行った女性陣たちを指し、そっちの方へついていけば良かったというような口ぶりを見せつつアレイスターに同行している。)
また、アレイスターは処刑塔で上条の右手を利用しコアを破壊させることが目的だったと明かした際、怒りを見せた一方通行に対して「そんなに怒るなよ、一方通行。君は彼を宝石箱にでも入れて大切に保管したいのかね?」と揶揄している。
さらに、アレイスターが聖人と交戦した際「やたらと右手にこだわるな」と尋ねる一方通行に対しては「ただの憧れさ。君はどうかね?」と返すなど一方通行とアレイスターの上条を巡る会話が顕著に描写されている。
その後、アレイスターはメイザースの死体を利用するため墓地へ赴くも、そこに死体はなく、メイザースを含む『黄金』の魔術師たちが現れアレイスターの心を叩き折ってしまう。
完全に折れてしまったアレイスターであったが、その左右を固めるようにして上条と一方通行が並び立ち、『黄金』へ向けて声を揃えて宣戦布告をする。
「「アレイスターは一人ぼっちじゃない。ヤツの成果物はここにいる!!」」
21巻
開幕から上条と一方通行の共闘でメイザース含む黄金と渡り合う。一時は撤退するものの、メイザース打倒のため上条、一方通行、オティヌス、アレイスターで行動を共にする。
黄金から追われながらも打開策を探していくなかで上条と一方通行の学力の差による魔術への理解度の対比をコメディで描くなど、シリアス以外の場面も多い。
また、オティヌスが「男か女かはっきりしてないヤツ」と発言したことによって性別不明設定が更新される。
上条と一方通行の漫才のような掛け合いや、息の合ったコンビプレーは必見。
その後、各々の目的のために解散するものの、コロンゾン打倒のため主人公たちは舞台へ集結していく。
22巻
ついにコロンゾンと対峙する上条であったが、大悪魔の圧倒的な力により文字通り粉々に破壊されてしまう。アレイスターが右腕を切り飛ばした上で回復魔術により肉体は再生されたものの、撤退を余儀なくされる。御坂と食蜂がコロンゾンを振り切る方法を考えていたその時、戦場に降り立ったのはクリファパズル545を従えた一方通行だった。
一方通行は新しく得た魔術の知識によりコロンゾンと渡り合うものの、逃げられてしまう。(正しくは逃されている)
コロンゾンを追うため、一方通行とクリファパズルは単独行動を始める。情報を整理するための会話の中でクリファパズルが上条を馬鹿にした際には、3行にも及ぶ3点リーダと「ほォ?」により"核地雷"級の怒りを見せるなど以前にもまして上条に対する一方通行の心情描写が露骨。
また、パパと呼ばれた際「パパじゃねェだろ」と反論するものの、「じゃあママなんですう?」の返答に対しては再度3行に及ぶ3点リーダの無言になるなど、性別不明設定も健在。
その後、一方通行はコロンゾンと手を組んだ浜面を発見した際に魔神ネフテュスによって操られたクリファパズルから攻撃を受け負傷してしまう。深く後悔し涙を流すクリファパズルに対し、「こんな時、上条当麻ならどうするか」と一方通行は自問する。また、『上条当麻の見ている世界を眺めろ』と行動の基準を上条にしており、さらに別の視点も加え上条には出来ないことを補う決意を新たにする。
コロンゾンが占拠するクイーンブリタニア号へと攻撃を仕掛けていた一方通行は、右腕を取り戻し船へと乗り込む上条を確認し、さらに揺さぶりをかける。(その際、何故か一方通行の攻撃であることを上条が認知している)
自身も船に乗り込んだあとは魔神ネフテュスと再戦、クリファパズルとの連携により新たな樹「クロノオト」を生み出し”プラチナの翼”を発現する。実質的に魔術を行使できるようになった一方通行はコロンゾンをローラの体から引き剥がす。そして上条が右手をふるい決着――のところで、支配権を奪われた御坂のA.A.A.が上条の右腕を切り飛ばしてしまう。必死に中のモノを抑え込もうとする上条だったがついにその力は溢れ出し、クイーンブリタニア号は真っ二つに分断されてしまう。
その後何故か右腕がくっついたものの、未だ暴発するような違和感を抱えたまま上条は誰も傷つけないところへ逃げるため氷の大地を走る。
一方、船に残っていた一方通行は瀕死のアレイスターを発見、学園都市の全権を預けられ、その最期を看取った。
22巻リバース
前巻で暴走した上条の右腕が変化したのは、『幻想殺しと失われた過去を持つ自分』であった。上条は自分の知らない過去の記憶を持つ”上条”になり変わられてしまう。そして幻想殺しを失った上条のもとに残ったのはスカイブルーにレモンイエローのラインが入った異形の右腕だった。
自分の根幹を揺るがされた上条であったが、オティヌスの計らいで集まっていた一方通行や浜面達と合流し、自分の状況を説明する。「今の自分は特別じゃない、自分が上条であると証明できない」という上条に対し、「今ここにいるオマエに何か不備でもあンのか」と返す一方通行。一方通行や浜面達との会話で自身を取り戻した上条は、もうひとりの上条を倒すことを決意する。(なお、一方通行は上条から気にかけられたり、復活した上条を見て嬉しそうな顔をクリファパズルに指摘されている)
協力者を得てウィンザー城へ乗り込む上条、道を作るため陽動に徹する一方通行や浜面たち。
(一方通行はここでも上条から陽動を任されて嬉しそうな顔をホレグレスに指摘されている)
カーテナ=セカンドを操る英国女王エリザードと激突する一方通行は統括理事長としての力と新しく得た魔術をフルに使い女王を圧倒。最後には”右手”を用い決着をつける。
そんな戦乱の中、上条はウィンザー城で”幻想殺しを持つ上条”と対峙する。互いの思いをぶつけ合い、ついに上条はもうひとりの上条を撃破する。そして自動書記を止めることに成功し、過去に決着をつけたのだった。
戦いが終わり、学園都市への帰途についた面々は日常を享受する。一方で、アレイスターが失踪し窓のないビルを失った学園都市でなお蠢く統括理事会に忍び寄る影があった。
「それじゃ注目、学園都市統括理事長の一方通行です。みンなよろしくね☆」
創約
1巻
学園都市新統括理事長になった一方通行が最初に始めたことは暗部の一掃であった。
暗部を完全になくし罪を犯した者は法によって裁かれる、だがそれは一方通行自身に対しても例外ではなく、一方通行はまず自分が自首することで確固たる決意を表明しようとしていた。
しかしその方針を快く思っていない暗部は存在し、一方通行を引っ張り出すための刺客・舞殿星見が上条と居合わせた打ち止めを狙う。もちろんそのことは一方通行も予見していたが、『今自分が動いては何も変わらない、学園都市の枠組みが打ち止めを助けることを信じる』と警備員の詰所で堪えていた。
一方で舞殿を撃破していた上条は、一方通行が実験の件で自首していたこと、暗部を一掃するために自らは動けないことを知る。一方通行の覚悟の重さを悟った上条は、黒幕である統括理事の一人、根丘の打倒を決意する。そこで、意識を取り戻した打ち止めから声があった。
『あの人を助けるために戦ってくれる?ってミサカはミサカはお願いしてみたり!』
『その、まあ、何だ。うーん、じゃあこうしようぜ』
『今から黒幕んトコ行って全部ぶっ潰してくるから、結果を待ってろ』
守り抜け。学園都市第一位の超能力者、なおかつ新統括理事長。一方通行が紡いだその夢を。
2巻
突如アンナの強襲によりサンジェルマンウイルスを服毒させられてしまった上条は、全身の激痛と高熱により入院を余儀なくされる。上条の余命が幾ばくもないことを盗み聞いた御坂と食蜂は解毒方法を得るためアンナに挑むも魔術に圧倒され敗北。そのことを知った上条は、アンナと戦うために自身の体を蝕むサンジェルマンに対話を試みる。サンジェルマンと協力を取りつけた上条は右手で幻想殺し、左手で魔術を使いアンナを撃破する。その後、逮捕され拘置所へ連行されたアンナは一方通行と初の面会を果たし、学園都市へ宣戦布告をする。
3巻
学園都市に蔓延る暗部を一掃するため一方通行が掲げた『ハンドカフス』であったが、アンナ率いるR&Cオカルティクスがばら撒いたニコラウスの金貨によって警備員・風紀委員たちと暗部による血の抗争が始まってしまう。
結果的に大量の死者や遺恨を残す結果となり、一方通行の夢は大敗してしまうのだった。
4巻
クリスマスの一件から入院していた上条であったが、ロサンゼルスにて3000万人が消失した事件をきっかけに病院を脱走、インデックス、オティヌスと共にロスへと向かう。
(なお、ステイルとの会話や学園都市のニュースを見ての反応など、以前とは打って変わり上条が一方通行を気にかけるシーンが度々描写されている。)
消失事件を調査していた上条一行であったが、そこで出会ったヘルカリアという少女の母親が事件に大きく関わっていることを知り、彼女とともに母親を捜索することとなる。
事件の真相が明らかになっていくうちに、アンナがヘルカリアの母親、メルザベスの夢を叩き折り利用していたことを知る。その理不尽さに強く憤る上条に対し、オティヌスは一方通行の『ハンドカフス』が失敗したこともアンナが原因であったことを反芻していた。
黒幕と対峙し戦闘の中で解決策を模索する上条であったが、黒幕が操るファイブオーバーたちに囲まれてしまう。右手の効かない相手というピンチ、しかしその窮地に現れたのは存在を秘匿されていたはずの妹達だった。
行手を阻むファイブオーバーOS、モデルケース『アクセラレータ』に対し、妹達はこう呟く。
「最後に立ち塞がる壁が『あなた』の名を冠するとは。これもまた運命の皮肉でしょうか、とミサカ一九五五九号は静かに呟きます。……だけど”本物”なら、絶対に彼の邪魔はしない」
一方、学園都市では一方通行の裁判が行われていた。クローン製造を隠したい上層部の圧力により裁判は難航していたものの、イギリス清教の新最大主教であるダイアン=フォーチュンが一方通行に接触。妹達を大々的に公にすることで世間のクローン人間への忌避感情を払拭することに成功。これによって一方通行の罪が正式に裁かれることとなる。
遅すぎるよ、という一方通行の唇の動きにさて老いた裁判長は気づいただろうか。世界中が勝利に沸き踊る中、誰よりもそれを願った人間だけが地獄に落ちる。新統括理事長の狙い通りに。
5巻
総数三万六〇二五件の罪で懲役一万二千年という刑が確定した一方通行は、自身のために誂えられた牢獄へ身を投じていた。
一方で突如学生寮に現れたアリスに振り回されながらも年末の食卓事情を乗り切るため奔走していた上条は、『ハンドカフス』の生き残りを乗せた列車の衝突事故に遭い、そこで『ハンドカフス』の顛末を知る。
アリスの術式により都合の良い決着を経験しながらも、上条はそれを否定し『ハンドカフス』の失敗を取り戻すため現実に立ち向かう。
そして非情な現実の洗礼を浴びるなか、再会を果たしたアレイスターにこう告げる。
「……どけアレイスター。二五日の夜がどうだろうが、二九日は俺のものだ。『ハンドカフス』の敗北なんかもう許さない。今度は俺の手でハッピーエンドにしてやるよ……」
数々の協力・激闘の果てに勝利を掴み取った上条だったが、安堵も束の間、一つ抜け落ちているものがあることに気づく。
まだ事件は終わっていない、そう確信し立ち尽くす上条の近くで公衆電話が鳴り響く。恐る恐る受話器に手を取ると、声があった。
『よォ』「…あ、一方通行?」
7巻
創約6巻にて大晦日の渋谷で超絶者との激闘を終えた上条は、自身が打ち負かしたアラディアを抱えて学園都市へと帰還する。アラディアをイギリス清教へと引き渡すため、パイプラインを持つ一方通行を当てにしてのことだった。
しかし初詣の最中、アリスたち橋架結社が学園都市へと襲来。橋架結社が学園都市に作った領事館へアラディア諸共出向くこととなる。
領事館への招待はアリスの純粋な遊びたいという気持ちからであったが、上条の動向を見極めていたH・Tトリスメギストスは上条の計略を感じ取り殺害しようとする。
しかし上条への攻撃を知ったアリスが介入、トリスメギストスと『旧き善きマリア』を瞬殺してしまう。
慌てて止めに入った上条だったが、超絶者たちを庇う上条にアリスが激昂、グリフォンを召喚し上条を痛めつけはじめる。
なすすべのない上条であったが、唐突にグリフォンの肉が弾ける音が響く。
それは遠くのビルから放たれた、御坂妹による狙撃だった。
国際法で守られた領事館を攻撃するために、橋架結社に買われた元の国であるコンドロニアード共和国へと一方通行が経済支援、さらに領事館を学園都市の一等地へと引っ越しさせることで介入を実現していたのだ。
市街地で兵器をぶっ放す妹達を見て御坂はボヤく。
「くそっ新しい統括理事長め。こんなのにあっさりサインをしやがって、罪悪感から変な甘やかしモードに入っていないでしょうね…」
「(…甘やかしというのであれば、ミサカというよりむしろ『彼』にという気もしますが)」
「?」
「とミサカは架空条件に基づく益体もないシミュレーションを、精密かつ大規模にミサカネットワーク内で弄びます。または妄想がはかどると呼ぶのかもしれません」
8巻
アラディアを追った先でとっさにアンナを庇ってしまい、橋架結社、学園都市、アレイスター陣営から追われる身となってしまった上条は、新統括理事長・一方通行により戒厳令の敷かれた学園都市で橋架結社への脅迫材料を手に入れるため、アンナ、アラディアと共に装甲車を繰り奔走する。
そして、その様子を一方通行は独房から静観していたのだった。
(……あの野郎、どォいうつもりで世界的な悪女と肩並べて遊ンでやがンだ?)
9巻
突如復活を遂げたCRCは全ての『超絶者』、ひいてはアンナを殺害するため学園都市を蹂躙していく。
その圧倒的な力の差に防衛と逃げの手で何とか即死を回避していた上条は第二三学区へと辿り着いていた。
飛行場やロケットの発射場となっているそこへ現れたCRCへ、はるか上空から粒子加速器による絶大な言威力の電子ビームが放たれる。
『どきな。こンなモンは足を止めて確実に当てるための、ただの前座だ』
それは新統括理事長である一方通行が準備していた切り札だった。
しかし攻撃は無効。アンナが眠る病院へCRCの侵入を許してしまう。
一方の病院ではCRCとアレイスターが対峙していた。アンナを守るため、上条が来るまでの足止めのため戦うアレイスターだったが、CRCの攻撃に倒れてしまう。
病院に到着し血まみれのアレイスターを見たそのとき、上条がとった選択肢は右手を吹き飛ばし、竜王の力を使うという反則技だった。
竜王の力は圧倒的だった。これまで誰もが全く歯が立たなかったCRCへ強烈な一撃を叩き込んでいく。
しかし、その力も長くは持たない。右肩から多量の出血が止まらない上条は、あと一歩のところで力尽きてしまう。
追い詰められたCRCがとった行動は逃亡だった。病院の窓かを叩き割って逃げようとするCRCだったが、大量の無人機によって病院内に押し戻されてしまう。
それは、一方通行が操っている『スネークヘッド』だった。
『……ったく、勝手にこの街の命運を背負ってンじゃねェよ、化け物野郎が』
『オマエはただの人間で、この統括理事長が守るべき学園都市の住人の一人だぜ?そいつを忘れてンじゃあねェ!!』
病院に戻されたCRCへ上条の竜が牙をむく。
しかし、遅かった。出血多量に耐えられなかった上条は床に倒れ、竜も虚空へ消えてしまう。
いよいよ勝利を確信したCRCは、その場にいた御坂や超絶者たちを屠っていく。
最後に残った『旧き善きマリア』を嘲笑するCRCだったが、一人起き上がっている者がいた。
アレイスター=クロウリー。上条が復活することを信じて再度時間稼ぎをするアレイスターを、理解できないとCRCは叫ぶ。
そして、上条は立ち上がっていた。確実に死んでいたはずの彼が生きていたのは、心臓が止まっても再起動させられるように一方通行がクリファパズルと風斬を上条へと忍ばせていたからだった。
つまり第二三学区で使った電子ビームの切り札ですら、上条をアシストするためのブラフだったのである。
復活した上条はアレイスターと共にCRCへ強烈な拳を放つ。
こうして、全てを超える魔術師との激闘は幕を下ろしたのだった。
10巻
復活したアリスに会うため学校へ訪れた上条に、『今回は学園都市上層部を頼ることはできない』と忠告するトリスメギストス。それは新統括理事長である一方通行を封殺したことを意味していた。
思わぬ事態に上条は動揺する。「お前っ、今の統括理事長って事は、まさかあいつを……ッ!?」
11巻
アリスとの戦いで死亡した上条当麻は、アンナ=キングスフォードとクリスチャン=ローゼンクロイツとともに地獄を旅することとなる。
地獄の空気にあてられた上条は自身が生き返ることに疑問を持つが、現世に遺された人々の様子を見て未練を取り戻す。
──現世にはインデックスがいる。御坂美琴がいる、青髪ピアスや子萌先生がいる、アラディアがいる、アレイスターがいる、一方通行がいる。放置などできるか。死んでこんな目に遭うのは、自分だけで十分だ。
とある魔術の電脳戦機
小説版
バーチャロンを巡り起こる事件を上条は表から、一方通行は裏から探り、やがて同じ場所へたどり着いた二人の、ブルーストーカーを倒すための共闘がはじまる。
ブルーストーカーの情報を得るため病院に出向いた二人は、情報を握っている男に対して息のあった尋問を見せる。上条の巧みな交渉術は、あの一方通行をもってして「おっかねェヤツ」と評された。
その後、ブルーストーカーとの交戦時、ブルーストーカーが上条の乗るテムジンを一方通行が乗るスペシネフへ投げつけたことにより生まれた一瞬の隙をつき、「いいから、やれええええ!!」とテムジンごと斬ることでブルーストーカーを倒せと叫ぶも、一方通行はその瞬間ふっ、と反射を解除し、テムジンを庇うようにして衝突、ロストしてしまう。
それは一方通行自身が倒しても、上条の挟持を守れない。という考えからの行動だった。
一方通行が託してくれたチャンスを無為にしないために、上条は最後の敵へと挑む。
ゲーム版
小説版のその後、元通りになった世界では普通にバーチャロンがゲームとして普及していた。以前の記憶は誰も覚えていないかのように見えたが、上条と一方通行、そして食蜂操祈は『前のバーチャロン』を覚えていた。そして、再度バーチャロンを巡る事件が巻き起こることとなる。
小説版同様、ゲーム版シナリオでも上条に対する一方通行の絶対な信頼が顕著に描かれている。