概要
1910年に藤井林右衛門(ふじい りんえもん)が横浜市元町で創業した洋菓子店を発祥とする大手菓子メーカー。
日本式ショートケーキやバターケーキ(正確にはバタークリームケーキ)の開発・販売、フランチャイズチェーン展開への早期参入など「おいしさは、しあわせに向かう」のキャッチコピーによる一般家庭への洋菓子の普及に貢献した。
構成
ミルキーの発売に際して創業者の林右衛門と実子にして二代目社長の藤井誠司(ふじい せいじ)の発案から生まれたマスコットキャラクター『ペコちゃん・ポコちゃん』を目印とし、一時期は全国展開を果たす業績を誇る一大食品産業メーカーに成長したが、2007年初頭に隠蔽されていた食品偽装の疑惑が内部告発の形で報道機関に通告されるとそれまでの業績が一気に失墜した。
これを皮切りに数々の食品メーカーによる食品偽装問題が白日の下に晒され、長く国内乳業シェアトップを堅持し続けた雪印乳業が致命的な経営打撃を受けるなど波乱を呼んだが、事件の渦中にあった2007年2月に不二家は「品質管理などの業務支援」を名目に大手パンメーカー『山崎製パン』と業務支援提携、翌3月には資本業務提携を締結して事態を乗り切り、翌4月以降数回に及ぶ業態再編を経て2008年11月に持株50%を有する山崎製パンの子会社となった。
出店規模こそ縮小したものの2018年現在でも洋菓子店およびレストラン店舗経営、市場流通は不二家ブランドで存続しており、食品部門でも
製菓:カントリーマアム、ミルキー、ポップキャンディ、ルックチョコレート、ソフトエクレア
などを主力商品としている。
余談
日本発祥の慣習『ホワイトデー』誕生に関与する三大有力候補の一角(不二家説、全飴協説、石村萬盛堂説)。
1970年前後、2月14日のバレンタインデーを目標に加速するチョコレートの売れ行きに不服を覚えた菓子メーカー数社が「チョコレートをくれた女性への返礼を」をコンセプトに自社の菓子を売り出した折、1973年(昭和48年)にマシュマロを主力商品とする株式会社エイワと協力してちょうど1ヶ月後の3月14日をホワイトデーと定め、キャンディやマシュマロを大々的に売り出した。
しかし、記録上最古の情報とは言えこれから5年後に始まった他の二説についても、その発祥は不二家説とは全く関連の無い独自のアイデアに基づいたものであるため、「どの説が正しいか」とする議論は不毛である。
1955年から1973年にかけてTBS(当時はラジオ東京テレビ)にて不二家の時間という一社提供の番組枠を構えていた事でも有名。この枠は『ポパイ』や藤子不二雄作品(『オバケのQ太郎』『パーマン』『怪物くん』)や『サインはV』などを送り出した枠である。
関連人物
- 佐野実(さの みのる)
料理人としての出発点が『横浜ドリームランド』(2002年閉園)に出店していた不二家レストランへの就職であり、高校卒業後の18歳から34歳まで(28歳以降は店長)勤務し、16年間の洋食修行と趣味のラーメン店巡りで培った知識を活かして『支那そばや』を開店・経営した。
味に一切の妥協を許さず自身が納得する最高の素材と技術を探し続け、常にラーメンの進化形を模索する求道の姿勢から「ラーメン職人」の呼称を定着させるなど、従来のラーメン業界に新風を吹き込んだ。
- 不二家桃子(ふじや ももこ)
カプコンによるクイズ恋愛ゲーム『QUIZなないろDREAMS 虹色町の奇跡』に出演するヒロインの1人。
名称の由来など詳細は上述リンク先を参照。